2023/01/05 ( 公開日 : 2023/01/05 )

高次脳機能障害とは? 診断基準、間違えやすい疾患は?(医師監修)

症状
脳疾患 障害
この記事は約6分で読めます
高次脳機能障害は病気や事故などのさまざまな原因で脳が部分的に損傷されたために、言語・思考・記憶・行為・学習・注意などの知的な機能に障害が起こった状態です。原因疾患にはいくつか種類がありますが、いちばん多い原因は脳血管障害です。今回の記事では高次脳機能障害の診断基準、特徴、原因疾患などをご紹介いたします。
目次

高次脳機能障害とは?

高次脳機能障害とは、病気や事故などによって脳が部分的に損傷してしまい、言語、思考、記憶、行為、学習、注意などの知的機能に障害が起こった状態のことです。

よくみられる症状としては、「注意力や集中力の低下」「新しいことを覚えることができない」「感情や行動が抑えられない」「周囲にあった適切な行動を選べない」などがあります。

高次脳機能障害の診断基準

⑴ 主要症状

① 脳の器質的病変の原因、たとえば事故による受傷や疾病の事実が確認されている。
② 現在、日常生活や社会生活に制約があり、おもな原因が記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害などの認知障害である。

(補足)
器質的病変とは血管障害、感染、炎症、変性疾患などで脳の細胞、組織が損傷を受けた病変のことです。

⑵ 検査所見

MRIやCTや脳波などによって、認知機能の原因と考えられる脳の器質的病変の存在が確認できる。

⑶ 除外項目

① 脳の器質的病変に基づく認知障害のうち、身体障害として認定可能である症状を有しているが、上記の「主要症状」の②を欠く場合は除外する。
② 診断にあたって、受傷または発症以前から有する症状と検査所見は除外する。
③ 先天性疾患、周産期における脳損傷、発達障害、進行性疾患を原因とする場合は除外する。

⑷ 診断

① ⑴〜⑶をすべて満たした場合に高次脳機能障害と診断される。
② 高次脳機能障害の診断は、脳の器質的病変の原因となった外傷や疾病の急性期症状を脱した後で行う。
③ 神経心理学的検査の所見を参考にできる。

(補足)
神経心理学的検査とは、言語・思考・認知・記憶・行為・注意などの高次脳機能障害を数値化して、定量的・客観的に評価する検査のことです。

高次脳機能障害と間違えやすい状態は?

高次脳機能障害と間違えやすい疾患として、「せん妄」と「認知症」があります。

⑴ せん妄

せん妄はその方がもともと持っている病気や疾患、もしくは薬などの理由で一時的に意識障害や認知機能の低下が生じる精神状態のことです。
注意力や思考力の低下、日時や場所が認識できなくなる障害(見当識障害)、覚醒レベルの変動などを特徴としています。
もしせん妄になったとしても、原疾患が完治すれば予後を心配する必要はあまりありません。

⑵ 認知症

認知症はさまざまな原因で、認知機能が低下して日常生活に支障が出てくる状態のこと。
もっとも多いのがアルツハイマー型認知症で、ついで多いのが血管性認知症です。

初期は加齢による物忘れに見えますが、仕事や家事など普通にできることでミスが増え、日常生活に支障をきたすようになります。

認知症によって高次機能障害が出現することもありますが、一般的な高次機能障害とは区別されます。

高次脳機能障害の特徴

高次脳機能は精神と心理面での障害が中心になり、大きな特徴としては以下のものがあります。

  • 外見上は障害が目立たない
  • 本人も障害を充分に認識できていない場合がある
  • 障害は診察時や入院している最中よりも日常生活や社会活動で出現する、そのため一見、気づかれにくい
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監修医 古田 泰之 (ふるた・やすゆき)
メディカルチェックスタジオ東京銀座クリニック
脳神経外科専門医・血管内治療専門医

富山大学卒業後、虎の門病院入職。
東京大学脳神経外科に入局し急性期医療中心に診療に従事。
メディカルチェックスタジオ東京銀座クリニックで診療を継続する傍ら、医療業界のさまざまな課題解決のため自身でもPreMed株式会社を起業。

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