夏に注意! ラクナ梗塞とは? 初期症状、診断に必要な検査、治療法などについて
脳にはたくさんの神経細胞が集まっており、神経細胞に栄養を与えるために血管が張り巡らされています。血管は分岐するたびに細くなるため、先に行くほど血圧の影響が大きくなります。細い動脈が高血圧などの原因で損傷を受け、血液が流れが悪くなくなることで組織が死んでしまうものを「ラクナ梗塞」と言います。夏は脳梗塞が多いとされており、原因や対策についても触れております。2022/08/23 ( 公開日 : 2022/08/23 )
微小脳出血(CMBs)とは? 将来的な脳梗塞リスクと関係あるの?
微小脳出血とは?
脳内の細い血管が破れ、ごく少量の出血があった痕跡を微小脳出血(Cerebral microbleeds:CMBs)と呼びます。
通常のCTやMRIの撮影法では検出できないことが多いのが特徴です。
微小脳出血が現れてもほぼ無症状ですが、認知機能障害と関連しているといわれています。また将来的には、脳出血や脳梗塞を発症するリスクが高いともいわれているため、注意が必要となります。
微小脳出血が起こる原因
微小脳出血は加齢とともに出現することが多く、その原因には次のような症状が関与します。
- 高血圧
- 脳アミロイド血管症
高齢者の場合、以上の症状が原因で微小脳出血が出現することが高頻度で確認されます。
その一方で、微小脳出血に至った原因がはっきりしない場合もあり、さらなる研究が進められています。
微小脳出血の症状
微小脳出血が出現しても特別な症状は伴わず、気づかないうちに発症しているケースが多いです。
また微小脳出血の出現は、アルツハイマー型認知症をはじめとした認知機能障害との関連も報告されています。
たとえば微小脳出血は、記憶を司る海馬の萎縮にもつながるといわれており、記憶障害は認知機能障害の中でもよく知られた症状です。
他の脳内出血との違い
微小脳出血とその他の脳内出血との違いは、症状や障害の有無です。
微小脳出血には症状がない一方で、脳内出血には手足の麻痺や言語障害などが現れます。
しかし、微小脳出血は将来的に脳内出血に進展する可能性もあります。
微小脳出血の出現確率を、脳血管疾患を持つ患者と健常者とでくらべると次のようになります。
・脳出血患者の約60%
・脳梗塞患者の約35%
・健常者の約5%(*1)
以上からもわかる通り、微小脳出血を持つ人は持たない人にくらべて、将来的に脳出血や脳梗塞になるリスクが高いことがわかります。
脳出血の原因は、一般的には高血圧症や脳アミロイド血管症とされています。
しかしその他にも、次の疾患が原因として考えられています。
・遺伝性の脳小血管病
(CADASIL、CARASIL、ファブリー病など)
・自己免疫性疾患
(SLE、Sneddon症候群 など)
・血液疾患
(鎌状赤血球症、DIC、ITPなど)
・その他
(可逆性白質脳症、頭部外傷、もやもや病、感染性心内膜炎、粘液腫など)
ラクナ脳梗塞との関係
ラクナ脳梗塞とは脳内の細小血管が詰まった状態で、微小脳出血と同じく無症状のことが多いです。
ラクナ脳梗塞が起こった血管は血流が行き届かず壊死しますが、血管の壊死した部分がもろくなってそこから微小脳出血を起こすことがあります。
微小脳出血の検査方法
微小脳出血はCTや通常のMRIで検出するのは困難です。
そこで、次の撮影法で検査が行われます。
- T2*強調画像(T2スター強調画像)
- 磁化率強調画像(SWI)
T2*強調画像(T2スター強調画像)は、還元ヘモグロビン(酸素を放出した後のヘモグロビン)やヘモジデリン(血鉄素、ヘモグロビンの崩壊産物)の部分が無信号で黒く表示されるようになっており、出血性病変の検出能が高くなります。
また磁化率強調画像(SWI)は、磁化率変化により画像コントラストを強調したもので、T2*強調画像よりもはっきりした画像が描出されます。
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28年間の脳神経外科の手術と救急の経験から、再生しない脳という臓器の特性、知らないうちに進行し突然発症して障害を残す脳卒中疾患の特性に対しては「発症させない」ことが最も有効な対策だと考えています。 なるべく多くの方が健康なうちに脳ドックを受診し、問題解決できる環境を提供してゆきたいと思います。
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