2022/12/07 ( 公開日 : 2021/05/21 )

くも膜下出血に初期症状はある? 突然始まった頭痛には要注意!

症状
くも膜下出血 初期症状 脳卒中
この記事は約6分で読めます
くも膜下出血は、脳出血のひとつです。 発症すると死亡する確率が高いのが特徴の病気で、その確率は約50%にも及びます。 回復したときでも後遺症が残る場合が多く、再出血が起こるとさらなる生命の危機に晒されます。 この記事では、くも膜下出血を避けるための予防策や、よくみられる前触れ症状についてご紹介いたします。
目次

くも膜下出血の症状と特徴

くも膜下出血のもっとも大きな要因は脳動脈瘤(のうどうみゃくりゅう)によるものです。
脳動脈にできた瘤(こぶ)が破裂することによって、脳を包んでいるくも膜と脳の間のくも膜下腔に血液が流れだします。

◇動脈瘤の破裂で起こる症状例◇

  • 強烈な頭痛(鈍器で殴られたような痛み)
  • 意識障害
  • 嘔吐(強い吐き気)

これらの症状はかならずすべてが起きるわけではありません。

くも膜下出血が起きる原因

くも膜下出血の80〜90%が、脳動脈瘤の破裂に起因するといわれています。
この脳動脈瘤ができる原因は、完全にはわかっていませんが、動脈の分岐部に血圧が強くかかってしまうこともひとつの原因と考えられています。
血管壁に圧がかかることで血管壁の脆弱な部分が外側に膨らみ、瘤を形成し、その一部が破れることでくも膜下出血は起こります。

◇脳動脈瘤の種類◇

おもに形状から以下の三種類に大別できます。

・囊状(のうじょう)動脈瘤
・紡錘状(ぼうすいじょう)動脈瘤
・解離性脳動脈瘤

くも膜下出血の前触れとなる症状

くも膜下出血は、破裂するまで症状が現れず、突然に先ほど述べたような症状が出現することがほとんどです。
しかし以下の場合には、初期症状といえるものが起こることもあります。

・動脈瘤が目の動きをコントロールする神経を圧迫している
・少量の血液が瘤から漏れ出すかたちで頭痛を引き起こしている

この現象が起きているときには、以下の症状が起こります。

  • 物が二重に見える
  • 頭痛
  • 吐き気
  • めまい

突然始まった頭痛(こわい頭痛)を放置するのは危険

くも膜下出血の頭痛は明らかに激しいものの場合がほとんどですが、動脈瘤から血が少しずつ漏れてくも膜下腔に流れこんでいるようなときには、がまんできる程度の頭痛である場合もあります

普段から頭痛を持つ人は、このような前兆となる頭痛をがまんしてしまいがちです。
前兆となる症状がすぐに収まった場合でも、特に普段より激しい頭痛の場合にはなるべく早く病院を受診することが必要です。

また「◯時◯分に頭痛が突然始まった」と自分ですぐにわかるような頭痛は極めて特殊なものです。見過ごさずに病院へ向かいましょう。

脳動脈瘤が破裂して意識不明になってしまうか、まだ自力で病院へたどり着ける状態に留まっているかで、生存率や障害が残る程度が大きく変わることは知っておきましょう。

くも膜下出血の要因

脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血の4大要因は以下のものです。

・高血圧
・喫煙習慣
・過度の飲酒習慣
・家系によるもの

高血圧

高血圧の人はそうでない人と比較して、くも膜下出血の発症リスクが3倍ほどになります。

喫煙習慣

タバコの煙にはニコチンや一酸化炭素などの有害な物質が含まれています。
これらは血管の収縮や、血圧の上昇、心拍数の増加をもたらします。
血圧の上昇はとくに動脈瘤への刺激を行うものですので、破裂のリスクも高まります。
喫煙習慣はくも膜下出血の発症リスクを約2倍に引き上げます。

過度の飲酒習慣

また、過度の飲酒も危険因子のひとつです。一週間で純アルコール換算で150g以上のアルコール摂取はくも膜下出血のリスク因子であることが知られています。
なお、5%のビール500mlで約20gの純アルコール量になるので毎日500mlのビールを1本以上飲むと一週間で150g以上の純アルコール摂取になります。

家系によるもの

親や兄弟・姉妹にくも膜下出血の方がいる場合、くも膜下出血の発症リスクが約2倍高くなります。

記事についてお気づきの点がございましたら、
編集部までご連絡いただけますと幸いです。

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監修医 鳴海 治 (なるみ・おさむ)
元メディカルチェックスタジオ医師・医学博士

28年間の脳神経外科の手術と救急の経験から、再生しない脳という臓器の特性、知らないうちに進行し突然発症して障害を残す脳卒中疾患の特性に対しては「発症させない」ことが最も有効な対策だと考えています。 なるべく多くの方が健康なうちに脳ドックを受診し、問題解決できる環境を提供してゆきたいと思います。

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