2025/04/02 ( 公開日 : 2025/04/02 )

認知症について知っておくべきこと

症状
認知症
この記事は約10分で読めます
これからの高齢社会において、多くの人が関心を寄せるテーマの一つが認知症です。家族や身近な人が認知症になったらどうしよう、また自分自身が将来、認知症になってしまうのではないかと不安に思う方もいらっしゃることでしょう。この記事では、認知症の基礎知識や予防法など、認知症に関する理解を深めるための情報をお届けします。この記事を読み終わったとき、認知症に対する正しい知識が身につくことでしょう。どうぞ最後までお付き合いください。
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目次

認知症とは何か

認知症は、認知機能障害を起こす複数の病気の総称です。そのため認知症の中のどの種類の病気であるか、またはどれとどれが合併しているかなど、より詳しい診断名を知ることで将来の病気の経過を予測したり、病気に合った治療法やサポートの選択ができるようになるなど、病気への対処がしやすくなります。

まずこのパートでは複数の病気を含んだ認知症全体の定義や症状について詳しく説明します。認知症とは何か、どんな症状が出るのかを知ることが認知症の理解を深める第一歩です。

認知症の基本的な定義

認知症とは、一度獲得した認知機能が、後天的な要因により、社会生活の遂行が困難なレベルにまで低下する病気を指します。たとえば脳梗塞で脳の一部の機能が障害されて認知機能が低下した認知症を脳血管性認知症と言います。また進行性、つまり悪化していく病気であることも認知症の特徴です。

認知症になると、主に記憶障害や失語、失認、失行、見当識障害などの症状が出現し、日常生活に支障を来します。認知症は通常、65歳以上の高齢者に多い病気ですが、65歳未満で発症する若年性認知症という病気も存在します。

認知症と言うとアルツハイマー病という名前を聞いたことがある方もいらっしゃると思います。前述のとおり、認知症は認知機能障害を来す複数の病気の総称であり、アルツハイマー病は認知症の原因疾患の中で頻度が多い病気のひとつです。

認知症の症状について

認知症の症状には大きく分けて中核症状と周辺症状があります。中核症状は認知症患者に必ずみられる症状ですが、その程度や偏りには個人差があります。また進行する速さにも個人差があります。認知症の中核症状には記憶障害、失語、失認、失行、見当識障害などが含まれます。それぞれの症状について詳しく説明します。

認知症の中核症状

記憶障害

記憶障害とは、物の名前が思い出せなかったり、言われたことを忘れたりする症状ですが、認知症の初期では短期の記憶が障害されやすいとされています。

失語

失語は、頭で思った言葉が出てこない症状や間違った言葉の並びになってしまう症状を指します。たとえばメガネと言いたくても「メ」だけ出てきて止まってしまったり、「メネ」と「ガ」を飛ばしたりするような症状です。また失語は、話すことだけでなく読んだり書いたりすることにも障害が出ることがあります。

失認

失認は視力には問題がないにもかかわらず、目の前の物が何かを認識できない症状で、たとえばカギを見ても何をする物かわからない、時計が読めないなどの症状のことです。

失行

失行は体を動かす機能には問題がないのに、一連の動作の順序ややり方がわからなくなる症状です。たとえば服を着替えてと伝えてもボタンを外して服を脱いで服を着てボタンをつけるといった一連の動作が難しくなります。

見当識障害

見当識障害は、時間や場所、人物などが正しく認識できなくなる症状で、たとえば自分が居る場所がわからなくなり道に迷ってしまう、季節がわからなくなり服装を間違えるなどがあります。そのため同じ質問を繰り返すこともしばしば見られます。

認知症の周辺症状 

認知症の周辺症状はBPSDとも呼ばれます。これは、Behavioral and psychological symptoms of dementia(認知症の行動と心理症状)の略語です。つまり周辺症状には、中核症状に付随してあらわれる行動や心理症状が含まれます、具体的には幻覚や徘徊、妄想、不眠、不安、焦燥、興奮、暴力、不潔行為、異食、過食などがあります。

ここまで読んで気づかれた方もいらっしゃるかもしれませんが、認知症の中核症状は主に「できなくなる症状」であり、周辺症状は主に中核症状の影響により、「出てきてしまう症状」と言えます。

実は認知症の治療でもっとも治療が難しいのは中核症状です。なぜなら失われた機能を回復させる治療がまだ確立されていないからです。一方で周辺症状は出てきてしまう症状のため、それを抑えるような治療法はある程度確立されています。たとえば不眠であれば睡眠薬、興奮であれば興奮を抑える薬などがあります。

そのため、もしも現在認知症のご家族を介護をされている方で、周辺症状に該当する症状で困っている場合には、主治医に治療について相談してみましょう。認知症の薬(中核症状を治療する薬)は限られていますが、具体的な困っている症状を主治医に伝えることで周辺症状を軽減する治療は提案してもらえる可能性が高いと思います。

認知症の種類とそれぞれの特徴

認知症にはさまざまな種類があり、それぞれ異なる特徴を持っています。主なものとして「アルツハイマー病」「血管性認知症」「レビー小体型認知症」「前頭側頭型認知症」の4つが挙げられます。

これらの認知症は、発症のメカニズムや進行の仕方が異なるため、以下で詳しく説明します。

アルツハイマー病

アルツハイマー病は、日本人の認知症の原因疾患のうち67.6%、つまり約3分の2を占める、最も頻度が高い病気です。(参考文献:日本神経学会監修「認知症疾患診療ガイドライン2017」)症状は記憶障害や見当識障害、空間認知能力の低下が目立ちます。

CTやMRI検査では海馬(かいば)の萎縮や大脳皮質の萎縮がみられます。

アミロイドベータ(Aβ)というタンパク質が脳に蓄積し、脳の神経細胞が障害を受けることでアルツハイマー病が発症するということが、近年わかってきています。

血管性認知症

血管性認知症は、日本で2番目に多い認知症の原因疾患で、約20%を占めると報告されています。原因が脳梗塞や脳出血であることからしばしば運動麻痺や感覚障害も伴います。また、脳梗塞や脳出血が起こった場所によって症状が様々であることから「まだら認知症」などとも呼ばれます。さらに、脳梗塞が起こるタイミングごとに症状が段階的に悪化していくことも特徴です。

CTやMRI検査では脳内に古いものから比較的新しいものまで、複数の脳梗塞のあとが見られます。

レビー小体型認知症

レビー小体型認知症も比較的よくみられる認知症の原因疾患です。認知機能の低下に加えて幻視がみられるのがこの病気の特徴で、小動物や子供、虫や火などが比較的鮮明に見えると訴える患者さんが多くいます。また、パーキンソン病と同じレビー小体と呼ばれる異常タンパク質が蓄積した所見が脳内に出現することから、手の振えや手足の硬さ、表情の乏しさ、転びやすさなどパーキンソン病と同じような症状も合併します。

CTやMRI検査ではあまり異常がみられないことが特徴です。

前頭側頭型認知症

前頭側頭型認知症は、その名前のとおり前頭葉と側頭葉の萎縮が目立つ認知症で、特に感情をつかさどる前頭葉が萎縮することにより、人格変化や常同行動がみられることがあります。具体的には、感情的になったり犯罪行為をしてしまったり、同じ行動を繰り返したり、同じものばかりを食べ続けたりするなどの症状があり、社会的に問題となる行動を起こすことがしばしばみられます。

若年性認知症について

認知症は主に65歳以上の高齢者に発症する病気ですが、65歳未満に発症する認知症を若年性認知症と言います。若年性認知症は働き盛りの世代に発症することから、仕事や社会生活に支障を来すことが多く、高齢者の認知症に比べて多くの問題を引き起こします。

認知症の原因と予防法

認知症の原因疾患で多いのは「アルツハイマー病」「血管性認知症」「レビー小体型認知症」「前頭側頭型認知症」の4つでしたね。このうち血管性認知症は、脳梗塞などにより少しずつ脳の様々な場所が障害されていくことが原因です。そのほかの3つについてはまだ明らかな原因はわかっていません。しかし長年の研究により、それぞれの認知症で異常なタンパク質が脳に蓄積することがわかってきました。そのため、これらの異常なタンパク質をターゲットにした治療法開発が世界中で盛んに進められています。認知症の特効薬のようなものはまだ発見されていませんが、認知症の予防のための生活習慣の工夫はある程度可能です。たとえば定期的な運動やバランスのとれた食事、社会的交流の維持、ストレス管理などは認知症のリスクを低下させると考えられています。

認知症の主な原因疾患とそのメカニズム

認知症の4つの主要な原因疾患である「アルツハイマー病」「血管性認知症」「レビー小体型認知症」「前頭側頭型認知症」は、それぞれ異なる原因によって引き起こされます。以下に、各疾患の原因についてまとめます。

アルツハイマー病

脳内にアミロイドベータやタウと呼ばれる異常なタンパク質が蓄積し、神経細胞が破壊されることで発症します。これにより記憶や認知機能が徐々に障害されていきます。

血管性認知症

脳梗塞や脳出血などの脳血管疾患が原因です。これらの疾患により脳の血流が滞り、酸素や栄養が十分に届かなくなることで脳の障害が発生します。高血圧、糖尿病、喫煙、過度の飲酒などがリスクファクターとされています。

前頭側頭型認知症

脳の前頭葉と側頭葉が萎縮することで発症します。未解明な部分の多い疾患ですが、最近の研究でTDP-43(ティーディーピー フォーティーエイト)というタンパク質の脳への異常な蓄積がこの病気の発症に関係していることがわかってきました。このタイプの認知症は、初期段階で異常な行動を起こしたり感情が不安定になることが特徴です。

レビー小体型認知症

αシヌクレイン(アルファ シヌクレイン)という異常なたんぱく質が脳内に蓄積することが原因です。認知機能の障害に加えて、幻視やパーキンソン病に似た運動障害を伴うことが特徴です。発症メカニズムは完全には解明されていません。

治る認知症があるって本当?

認知機能低下を起こす病気には、治療が可能な病気も存在します。そのため、多くの認知症外来では、まず治療可能な認知症を除外するために必要な検査を行います。

代表的なものとして慢性硬膜下血腫があります。この病気は、頭をぶつけてから数カ月後に発症しやすいと言われており、脳の中にじわじわと血がたまっていくことで脳出血のような劇的な症状は出ず、軽度の認知機能障害や何となくいつもと違う受け答えをするというような、注意しないとわからないほどの症状しか出ないことがあります。頭部CT検査で脳に血腫を認めれば診断がつき、手術で治る可能性が高い病気です。

そのほかにも正常圧水頭症という脳に水が溜まる病気や甲状腺機能低下症、ビタミンB1の慢性的な不足なども認知機能障害を来します。これらの病気も診断がつけば治療することが可能ですので、まずは疑うことが大切です。

認知症を予防するための生活習慣

認知症を引き起こす原因はまだ明らかになっていないことが多いですが、様々な研究により、生活習慣を改善することが認知症の予防につながる可能性があることを示唆しています。具体的には、適度な運動やバランスのとれた食事、よい睡眠、ストレスの低減などが認知症予防に良いと考えられています。

適度な運動

定期的な運動は脳の健康を保つ上で重要です。例えば、ウォーキングやヨガ、軽いジョギングは、心拍数を適度に上げ、全身の血流を良くする効果があります。これにより、脳細胞への酸素供給が促進され、認知機能の維持につながります。

バランスのとれた食事

バランスの取れた食事も認知症予防に好影響を与えます。特に、地中海食と呼ばれる、野菜、果物、魚、オリーブオイルを豊富に含む食事は、抗酸化物質を多く含み、脳の炎症を抑える効果があります。さらに、ナッツ類や全粒穀物も、脳を守るための栄養素を多く含みます。

よい睡眠

睡眠の質と量も、脳の健康に大きく影響します。十分な睡眠時間を確保することは、記憶の整理と老廃物の除去を助けるとされています。深い睡眠は、脳のデトックスを促進し、認知症のリスクを軽減する可能性があります。適切な睡眠環境を整えるために、寝室の温度や明るさにも気を配り、就寝前にスマートフォンを見ないようにするなど生活習慣を見直すことが大切です。

ストレスの低減

ストレス管理とリラクゼーションも認知症予防につながります。日々のストレスを解消するためには、適度な休憩や趣味に時間を費やすことが有効です。瞑想や深呼吸の技法も、心を落ち着かせ、脳機能の低下を防ぐ手助けとなります。心身のバランスを整えることで、健やかな脳の維持を目指しましょう。

軽度認知障害(MCI)ってなに?

軽度認知障害はMCI (mild cognitive impairment)とも呼ばれ、軽い記憶障害や認知機能の低下がみられる状態を指します。認知症と正常の中間と考えられており、MCIのうち5-15%の人が、1年後に認知症になるとされています。(参考文献:日本神経学会監修「認知症疾患診療ガイドライン2017」)

そのため、MCIの段階で治療を始めることで認知症への進行を抑制することができるのではないかと期待されています。アルツハイマー病の新規治療薬である、レカネマブ(レケンビ®)やドナネマブ(ケサンラ®)という点滴薬は、MCIの患者さんにも適応があります。

まとめ

ここまで認知症について書いてきました。認知症には様々な種類があることがおわかりいただけたと思います。もしも身近な人が認知症ではないかと疑った場合、まずは治療可能な認知症を見逃さないことが大切です。気になることがあれば早めに認知症外来や脳神経内科を受診しましょう。また、認知症と生活習慣には密接な関係があることもわかっています。そのため、適度な運動やバランスの良い食事、よい睡眠、ストレスの低減などを心がけましょう。

これからも健康に関する正しい知識を身につけて、自分や家族の健康を守りましょう。

記事についてお気づきの点がございましたら、
編集部までご連絡いただけますと幸いです。

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監修医 近藤 直英 (こんどう・なおひで)
JPMDコンサルティング代表取締役
・日本医師会 認定産業医
・日本内科学会 認定内科医
・日本神経学会 神経内科専門医・指導医
2003年奈良県立医科大学卒
名古屋大学大学院で博士号取得
これまでトヨタ記念病院、名古屋大学病院などで臨床、教育、研究に従事。2年半のトロント小児病院でのポスドク後、現在は臨床医として内科診療に携わる一方で複数の企業で産業医として働き盛り世代の病気の予防に力を入れている。また2022年に独立し、創薬支援のための難病患者データベースの構築や若手医療従事者の教育を支援する活動を行っている。

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