2022/08/04 ( 公開日 : 2022/07/29 )

脳動脈解離(椎骨動脈乖離)ってなに? 原因、症状などについて解説いたします!

症状
くも膜下出血 脳梗塞 脳疾患
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脳動脈解離の検査方法

脳動脈解離の検査方法はつぎの通りです。

  • MRI
  • MRA
  • 3D-CTA
  • 脳血管撮影

MRI検査では脳の断面画像を撮影し、MRA検査では脳血管の立体画像を撮影します。
MRI検査とMRA検査はセットで行われることが多いです。

MRI・MRA検査は造影剤を使わないため、副反応などのリスクがない状態で検査が可能です。
また、MRI・MRA検査では分かりづらい場合には、造影剤を使用した3D-CTAや脳血管撮影といった検査が行われます。

脳動脈解離の治療方法

手術をしないケース

血管が裂けた状態を放っておくと、症状が進行して脳卒中になるリスクがありますが、一方で裂けた箇所が自然と修復される「リモデリング」により、脳卒中にならずに治る場合もあります

脳動脈解離の進行のリスクとリモデリングの可能性を考慮して、どのような治療法を行うか否かの判断がなされます。
リモデリングの可能性が高ければ、定期検査がくり返し行われ、経過観察と血圧コントロールがなされます。

脳梗塞を生じた場合には、脳梗塞に準じて抗血栓薬の投与が行われます。

手術をするケース

経過観察で解離の進行による動脈瘤(解離性脳動脈瘤)の発生があると判断された場合は、手術が行われることがあります。
解離性脳動脈瘤の破裂により、くも膜下出血が生じるリスクがあるためです。

動脈瘤は血管にできた瘤(こぶ)のことで、その瘤が破けるとくも膜下出血になります。
動脈瘤が破れないようにする手術には「コイル塞栓術」や「開頭クリッピング」があります。

◇コイル塞栓術

コイル塞栓術はプラチナ製のやわらかいコイルを動脈瘤の中に挿入する手術で、頭を開かずに解離性脳動脈瘤からの出血を防げます。

鼠径部の動脈などからカテーテルを挿入し、動脈瘤まで到達させ、そこにプラチナ製のコイルを挿入します。
コイルを動脈瘤の中に挿入して栓をすると、瘤の中に血液が流れ込まないため、血管が破れて出血するのを防ぐことが可能です。

しかし解離性脳動脈瘤の場合には動脈瘤の入り口が広いことが多いです。
この場合は単純なコイル塞栓術ではなく、ステントという網目状の筒を内張りとして用いてコイル塞栓術を行ったり、場合によっては罹患した血管ごとコイルで塞栓する、母血管閉塞という手術を行うことが多いです。

◇開頭クリッピング

開頭クリッピングは、動脈瘤の開口部を金属クリップで留めて、瘤内への血液の流入を防ぐ手術です。
金属クリップを動脈瘤に装着する必要があるため、頭蓋骨の一部を開口する必要があります。

しかし前述のごとく、解離性脳動脈瘤の場合には動脈瘤の入り口が広いことが多いです。
この場合には単純な動脈瘤のクリッピング術は困難なことが多く、罹患した血管ごとクリップで閉塞させる母血管閉塞という手術になることが多いです。

コイル塞栓術や開頭クリッピングで上述の母血管閉塞を行う場合は、脳虚血が起こることも予想されます。
その際はバイパス手術を行って血液の迂回路を作って、脳虚血を防ぐ処置が行われます。

くも膜下出血を防ぐためにも、脳動脈のリスクを判断して適切な治療を受けることが重要です。

定期的な検査で脳の異常を早期発見

脳動脈解離の前兆があったら、すぐに病院を受診して早期発見することが重要です。
代表的な前兆としては、今までに経験したことがない頭痛や、50歳以降における初発の頭痛などが挙げられます。

また脳動脈解離は症状がない場合も多いため、定期検査が予防につながります。
定期的に脳ドックでチェックすることをおすすめします。

記事についてお気づきの点がございましたら、
編集部までご連絡いただけますと幸いです。

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監修医 鳴海 治 (なるみ・おさむ)
元メディカルチェックスタジオ医師・医学博士

28年間の脳神経外科の手術と救急の経験から、再生しない脳という臓器の特性、知らないうちに進行し突然発症して障害を残す脳卒中疾患の特性に対しては「発症させない」ことが最も有効な対策だと考えています。 なるべく多くの方が健康なうちに脳ドックを受診し、問題解決できる環境を提供してゆきたいと思います。

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