2021/09/13 ( 更新日 : 2021/09/22 )

新型コロナの中和抗体検査って? 人によって差が出る「抗体価」について

検査
この記事は約5分で読めます
「コロナウイルスのワクチンを打ったけど、本当に抗体ができているのかな?」そんな風に不安に思うときには「中和抗体検査」を受けることで、体が保有する中和抗体の量を調べることができます。この記事の中では、実際に中和抗体検査でわかることや、ご自身の抗体価がわかったときに知っておきたいことをご説明いたします。
目次

スマートドックでは、自身の新型コロナウイルスに対する抗体をチェックできる 検査もご受診いただけます。(一部クリニックを除く)

中和抗体検査 (S抗体)
について詳しくみる

中和抗体検査ってなに?

新型コロナウイルスの中和抗体検査は、中和抗体(スパイク抗体;S抗体)が、どれだけ血中に含まれるかをチェックする検査です。

血中に含まれる抗体の量は「抗体価」と呼ばれ、ある一定以上の量を保有していた場合に、感染予防や重症化リスクを抑える効果があるとされています。

そのため、ワクチン接種や自然感染によって、抗体が生成されているかどうかの指標として利用されます。
同じ新型コロナウイルスの検査でも「過去の感染歴」を調べるためのN抗体による抗体検査や、「現在感染しているか」を調べるPCR検査もあるため、受診を検討する際は、その検査でなにが確認できるかをよく確認するようにしましょう。

中和抗体検査でわかること

前述のとおり、中和抗体検査は「血中に含まれる抗体の量(抗体価)」を調べることができ、検査に使われる試薬によって、以下の基準で陽性と陰性の結果を確認できます。

一般的にコロナ感染歴がなく、ワクチンを摂取していない方は、中和抗体を持っていない「陰性」であると判定されます。
反対に中和抗体を持っている場合、上記の数値を超えていれば「陽性」と判定されます。しかし抗体価はその数値に個人差が大きく現れることが確認されており、低い人と高い人では100倍以上の差が出ることもあります。

抗体価の個人差について

では、抗体価の個人差はどうして起きるのでしょう?
ドイツで発表されたロシュ製の検査を用いた研究結果では、ワクチン接種状況(接種後3~4週間経過)とコロナ感染歴の有無によって、以下の結果が報告されています。

U/mL(ユニット・パー・ミリリットル;濃度の割合)

さらに、ニュースなどで報道されている通り、「飲酒をする人は抗体ができにくい」「女性の方が抗体ができやすい」など、様々な要因が抗体価へ影響を与えるという報告がされています。

抗体価は上記の要素により、個人差が大きくなることは知識として知っておきましょう。

抗体価が多かった場合

「抗体価が4万もあったから、絶対コロナにかからない!」

中和抗体検査の結果をみると、こんな風にイメージされる方がいらっしゃるかと思います。
しかし、現状で明言できるのは「抗体価が多くても感染することはある」ということくらいです。

現在、抗体価の数値と感染率の関係性については、世界中で研究が進められている状況です。今後解釈が変化していく可能性もありますが、抗体価の高い低いにかかわらず、感染リスクがゼロになることはありません。

ワクチン接種によって抗体を獲得したのちも、感染リスクの高い行動を取っていると、「ブレイクスルー感染」をする例も多く報告されています。

適切な対策(ワクチンの接種や日頃の手洗いうがいなど)を行った上で、密を避けることが、感染を防止する一番の対策であることを忘れないようにしましょう。

抗体価が少なかった場合

「2回ワクチンを打ったのに、抗体価が1000しかなかった…」

ワクチン接種後の抗体価が少なかった場合についても、必要以上に落胆する必要はありません。一定以上の数値があれば、感染予防には効果があるとされています。

また、国内で多く打たれているワクチン(ファイザー製、モデルナ製など)を接種することで、体内では中和抗体に加えて「細胞性免疫(T細胞)」なども生成されます。

中和抗体が体の細胞とウイルスが結びつき感染しにくくするのに対して、このT細胞はコロナウイルスに感染した細胞を見つけ出し、細胞ごと破壊する存在。

中和抗体も、ワクチンでスパイクタンパク質の情報を体に伝えることで体内に生まれるものですが、T細胞を始めとする「細胞性免疫」も体内では新たに生まれています。
体内では複数の免疫物質によってウイルスとの戦いが行われているため、抗体価が少なかった場合でも、ワクチン接種の有用性を疑う必要はないと言えるでしょう。

まとめ

中和抗体検査は、ワクチン接種によってできた抗体量を測る検査ですが、どのくらい免疫力があるかを測る指標としても、たいへん興味深いものです。
お酒をたくさん飲んでいる方や、不摂生で体の免疫機能が弱くなっている方も、思いのほか自分の抗体価が上がっておらず、結果として生活習慣を見直すきっかけになる方もおられます。

また、今後もコロナウイルスと抗体価についての研究が進み、さまざまなニュースが世間を賑わすことが予想されます。 自身の感染に対する状態を把握した上で、コロナウイルス情報を理解して、感染リスクを避けた生活に心がけることが最も重要です。

引き続き、3密の回避や、手洗いや手指消毒などは必要となりますので、その点もいっしょに理解しておきましょう。

スマートドックでは、自身の新型コロナウイルスに対する抗体をチェックできる 検査もご受診いただけます。(一部クリニックを除く)

中和抗体検査 (S抗体)
について詳しくみる

監修医 知久 正明 (ちく・まさあき)

メディカルチェックスタジオ東京銀座クリニック院長・医学博士
病気になる前に治すという『未病』を理念に掲げていきます。循環器内科分野では心臓病だけでなく血管病まで診られる最新の医療機器を備えたバスキュラーラボで、『病気より患者さんを診る』を基本として診療しています。

こちらの記事もおすすめ

コロナワクチンの副反応と気になる抗体や免疫のしくみ

ワクチンの副反応、免疫、抗体、抗体検査など。今知っておくべき、免疫の基礎知識や、体の中で起こるメカニズムについて説明します。また自分の体にコロナウイルスを防ぐ抗体ができているのか知りたいと考えている方に、おすすめの抗体検査についても紹介しています。

コロナウイルスの後遺症とは? 長期化する理由と炎症反応の仕組みについて

新型コロナウイルス感染症による後遺症が長引く方が増えています。初期の症状が軽かった方も倦怠感、脱毛、呼吸のしにくさをはじめとして、様々な症状を感じる方が多いようです。この記事ではコロナウイルスが体内に入ることで、どのような影響が起きるのか? また長期的に体調の悪さが続くのはなぜなのか? などについて解説いたします。

肺がんに初期症状はある? 知っておきたい基礎知識と、コロナ禍の「隠れがん患者」について

肺がんは症状として自分では気づきにくい、初期ステージでの発見が難しいがんです。日本人の死因でも上位にランクされるこのがんは、転移しやすく危険も高いです。初期症状の有無や、肺がんの組織による特徴など、知っておきたい基礎的な情報をまとめました。またコロナ禍での受診控えの影響についても言及いたします。