くも膜下出血に初期症状はある? 突然始まった頭痛には要注意!
くも膜下出血は、脳出血のひとつです。 発症すると死亡する確率が高いのが特徴の病気で、その確率は約50%にも及びます。 回復したときでも後遺症が残る場合が多く、再出血が起こるとさらなる生命の危機に晒されます。 この記事では、くも膜下出血を避けるための予防策や、よくみられる前触れ症状についてご紹介いたします。2022/08/04 ( 公開日 : 2022/07/29 )
脳動脈解離(椎骨動脈乖離)ってなに? 原因、症状などについて解説いたします!

脳動脈解離とは?

脳動脈解離とは脳動脈の壁にある三層のうち内側にある膜が裂けることで発症する疾患です。
血管壁内に血液が流入することで血管内腔が狭くなって血流が滞って脳梗塞を生じたり、血管壁が破綻してくも膜下出血を生じたりします。
脳の動脈の壁は内膜、中膜、外膜という構成になっています。
この内膜と中膜のあいだに「内弾性板」という強固な組織があるのですが、加齢や高血圧で強い負荷を長く受けることで次第に弱くなり、断裂しやすくなると考えられています。
脳動脈解離が発生する脳の部位はつぎの通りです。
内頚動脈系:主に大脳半球に血流を送る血管
椎骨・脳底動脈系:主に小脳や脳幹に血流を送る血管
脳動脈解離は発生する部位に応じて、予後や症状などが異なります。
日本人を含めたアジア人は椎骨・脳底動脈系に多いことが知られています。
脳動脈解離が起こる原因
脳動脈解離が起こる原因は3パターンに分けられます。
- 外傷性
- 進展性
- 特発性
外傷性
外傷性の脳動脈解離は外部からの衝撃で脳の血管が裂けて発症するタイプです。
強い衝撃は明らかでなく、頚部の進展が生じた場合(例えばゴルフやカイロプラクティックなど)でも生じることがあります。
進展性
内頚動脈や椎骨動脈が直接解離をきたしていなくても、その中枢側での解離(大動脈解離)が生じた場合、解離の進展によりその末梢血管である内頚動脈や椎骨動脈にまで進展することがあります。
特発性
脳動脈解離の原因が不明の場合が、このケースに当たります。
脳動脈解離の症状
この項では日本人に多い椎骨動脈解離についての症状を記載します。
椎骨動脈解離の代表的な症状は、後頭部に突然の強い頭痛を感じることです。

中年男性が突然の強い後頭部痛を訴える場合には、脳動脈解離が起きているケースがみられることがあります。
動脈解離によりくも膜下出血を生じた場合は、強烈な頭痛もしくは意識障害を生じ、場合によっては死に至る可能性があります。


くも膜下出血発症後の生存率はどのくらい? 再破裂、脳血管れん縮、水頭症についても解説
くも膜下出血の多くは、脳の血管にできた「動脈瘤」が破裂することによって起こります。初回破裂時の致死率が非常に高いことで知られる病気ですが、再破裂や脳血管れん縮などにも注意が必要となります。この記事の中では、くも膜下出血が起きた後で、どのようなリスクがあるのかを解説いたします。椎骨動脈解離が原因で脳梗塞などを起こした場合は、顔面を含む手身体に感覚障害や運動障害などの症状が起こります。

脳梗塞の前兆となる症状とは? 急に起こるからだの異変に注意!
脳梗塞はある日突然発症し、その日から体の自由を奪ってしまう病気です。しかし前兆となる症状も多く報告されていますので、日常に潜む「脳梗塞の前兆」を見落とさずに、しっかりと検査を受ける必要があります。この記事のなかでは、脳梗塞の前兆となる症状や、注視したいポイントについて解説いたします。脳動脈解離の検査方法
脳動脈解離の検査方法はつぎの通りです。
- MRI
- MRA
- 3D-CTA
- 脳血管撮影
MRI検査では脳の断面画像を撮影し、MRA検査では脳血管の立体画像を撮影します。
MRI検査とMRA検査はセットで行われることが多いです。
MRI・MRA検査は造影剤を使わないため、副反応などのリスクがない状態で検査が可能です。
また、MRI・MRA検査では分かりづらい場合には、造影剤を使用した3D-CTAや脳血管撮影といった検査が行われます。
脳動脈解離の治療方法
手術をしないケース
血管が裂けた状態を放っておくと、症状が進行して脳卒中になるリスクがありますが、一方で裂けた箇所が自然と修復される「リモデリング」により、脳卒中にならずに治る場合もあります。
脳動脈解離の進行のリスクとリモデリングの可能性を考慮して、どのような治療法を行うか否かの判断がなされます。
リモデリングの可能性が高ければ、定期検査がくり返し行われ、経過観察と血圧コントロールがなされます。
脳梗塞を生じた場合には、脳梗塞に準じて抗血栓薬の投与が行われます。
手術をするケース
経過観察で解離の進行による動脈瘤(解離性脳動脈瘤)の発生があると判断された場合は、手術が行われることがあります。
解離性脳動脈瘤の破裂により、くも膜下出血が生じるリスクがあるためです。
動脈瘤は血管にできた瘤(こぶ)のことで、その瘤が破けるとくも膜下出血になります。
動脈瘤が破れないようにする手術には「コイル塞栓術」や「開頭クリッピング」があります。
◇コイル塞栓術
コイル塞栓術はプラチナ製のやわらかいコイルを動脈瘤の中に挿入する手術で、頭を開かずに解離性脳動脈瘤からの出血を防げます。
鼠径部の動脈などからカテーテルを挿入し、動脈瘤まで到達させ、そこにプラチナ製のコイルを挿入します。
コイルを動脈瘤の中に挿入して栓をすると、瘤の中に血液が流れ込まないため、血管が破れて出血するのを防ぐことが可能です。
しかし解離性脳動脈瘤の場合には動脈瘤の入り口が広いことが多いです。
この場合は単純なコイル塞栓術ではなく、ステントという網目状の筒を内張りとして用いてコイル塞栓術を行ったり、場合によっては罹患した血管ごとコイルで塞栓する、母血管閉塞という手術を行うことが多いです。
◇開頭クリッピング
開頭クリッピングは、動脈瘤の開口部を金属クリップで留めて、瘤内への血液の流入を防ぐ手術です。
金属クリップを動脈瘤に装着する必要があるため、頭蓋骨の一部を開口する必要があります。
しかし前述のごとく、解離性脳動脈瘤の場合には動脈瘤の入り口が広いことが多いです。
この場合には単純な動脈瘤のクリッピング術は困難なことが多く、罹患した血管ごとクリップで閉塞させる母血管閉塞という手術になることが多いです。
コイル塞栓術や開頭クリッピングで上述の母血管閉塞を行う場合は、脳虚血が起こることも予想されます。
その際はバイパス手術を行って血液の迂回路を作って、脳虚血を防ぐ処置が行われます。
くも膜下出血を防ぐためにも、脳動脈のリスクを判断して適切な治療を受けることが重要です。
定期的な検査で脳の異常を早期発見

脳動脈解離の前兆があったら、すぐに病院を受診して早期発見することが重要です。
代表的な前兆としては、今までに経験したことがない頭痛や、50歳以降における初発の頭痛などが挙げられます。
また脳動脈解離は症状がない場合も多いため、定期検査が予防につながります。
定期的に脳ドックでチェックすることをおすすめします。
編集部までご連絡いただけますと幸いです。
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28年間の脳神経外科の手術と救急の経験から、再生しない脳という臓器の特性、知らないうちに進行し突然発症して障害を残す脳卒中疾患の特性に対しては「発症させない」ことが最も有効な対策だと考えています。 なるべく多くの方が健康なうちに脳ドックを受診し、問題解決できる環境を提供してゆきたいと思います。
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