2022/05/24 ( 更新日 : 2022/05/24 )

くも膜下出血を起こす、危険な脳動脈瘤とは? 未破裂脳動脈瘤が見つかった方に知って欲しいこと

症状
くも膜下出血 動脈 脳出血
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脳動脈瘤とは脳の動脈にできた瘤(こぶ)です。血流が勢いよく流れている動脈の分かれ目などに瘤はできやすく、まれに破裂することでくも膜下腔で出血が起こります。そんな脳動脈瘤ですが、脳ドックで見つかったすべての瘤に処置が必要なわけではありません。記事の中ではどんな脳動脈瘤に処置の必要があるのか、などについてご説明いたします。
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目次

くも膜下出血はなぜ起こる? 知っておきたい基本

脳卒中のひとつに「くも膜下出血」と呼ばれるものがあります。
脳梗塞(のうこうそく)という言葉には、若い方がなるイメージは世間的にないかもしれませんが、くも膜下出血は比較的若い方でも発症する方はいます。
有名人でもときにこの症状を発症し、「半年から一年半くらい療養されていた」という事例を見聞きしている方もいらっしゃるかもしれません。

くも膜下出血について

脳は内側から、軟膜、くも膜、硬膜の順番で包まれています。
この軟膜とくも膜の間のくも膜下腔と呼ばれる部位に血液が流れ込むことで、くも膜下出血となります。

治療法は年々発達していると言われていますが、現在でもくも膜下出血を起こした場合には、3ヶ月以内に1/3の方が亡くなり、残り2/3の約半数の方に後遺症が残ります。

危険な脳動脈瘤の特徴

大きな脳動脈瘤

脳動脈瘤は大きさが大きいほど、くも膜下出血を引き起こす可能性が高いです。
脳ドックで見つかる多くの動脈瘤は5mm未満ですが、この場合には出血を起こすリスクは一年間で200人に1人程度です。
最大径が3~4mmの小型脳動脈瘤と比較する場合、7~9mm程度になると3.4倍、10~24mmでは9倍、25mm以上では76倍という研究結果もあります。

脳動脈瘤が発生する部位

動脈瘤のできる場所によって、出血する危険度が異なります。
特に多くのくも膜下出血の患者の出血源になっている、前交通動脈、内頚動脈ー後交通動脈分岐部の動脈瘤には注意が必要となります。

脳動脈瘤の形

動脈瘤に、不整形の突出した部分(専門用語では「ブレブ」と呼ばれる)があるものは、こうしたものがない動脈瘤と比較すると、1.6倍ほど破裂しやすいといわれています。

UCAS(日本脳神経外科学会主催研究)動脈瘤破裂危険性計算式

年齢や性別など6つの項目から、3年間での脳動脈破裂の危険性を推測することができる計算式があります。

表1 3年間での脳動脈破裂の危険性、計算式
因子 点数
年齢 70歳未満
70歳以上
性別 男性
女性
高血圧 無し
有り
大きさ(mm) 3mm以上、7mm未満
7mm以上、10mm未満
10mm以上、20mm未満
20mm以上
部位 後交通動脈分岐部以外の内頸動脈
前大脳動脈、椎骨動脈
中大脳動脈、脳底動脈
前交通動脈、内頸動脈-後交通動脈
ブレブ、Daughter sac 無し
有り

スコア合計と破裂危険性は、以下のようになります。

脳ドックで未破裂脳動脈瘤が見つかった場合どうする?

直径が5mm未満

5mm未満の未破裂脳動脈瘤が見つかったときには、血圧管理、禁煙、節酒を目的として生活習慣の改善を行いつつ、定期的な検査を推奨することが多いです。

5mm程度の未破裂脳動脈瘤が破裂するのは、1年間に0.5%程度といわれています。
これより小さな脳動脈瘤で、前述の表1に記載されている危険な条件にも当てはまらなければ、手術を行う必要はほぼありません。

しかし加齢とともに血圧が上がってしまったり、脳動脈瘤の形状に変化がみられたりすると、手術を行った方がいい状況に変わることもあります。

直径が5mm以上

直径が5mmを越えるときには、手術を検討する必要が出てきます。
治療方法は大きく2種類。

・血管内治療(コイル塞栓術)

血管内治療では、脳動脈瘤のなかに形状記憶のついたコイル(※柔らかく細いプラチナ製)をカテーテルから詰め込んで、瘤内に血液が流れ込まないようにします。
カテーテルは足の付け根の動脈から挿入して、X線透視血管画像をみながら脳の血管まで進めます。

開頭の必要がないため頭部に傷が残らず、治療も比較的短時間(1~3時間)で行うことができるのがメリットです。
瘤内のコイルが安定するまで時間がかかるので、再発のリスクがクリッピング術に比べて高いのがデメリットです。

・開頭手術によるクリッピング術

脳動脈瘤の首根っこの部分を金属のクリップで挟むことで、破裂や出血を防止する治療法です。
開頭して術部を手術用顕微鏡で直接みながら治療を行うため、確実性が高く、再発リスクも低いのがメリットです。

特に脳動脈瘤が脳の表面に近い箇所にある場合には、この手術が有効とされています。治療時間は比較的長くなり、体への負担は大きくなることがデメリットです。

どちらの治療法にも、上述のようにそれぞれ長所と短所があります。
また当然ながら治療を行うこと自体にもリスクがあるため、患者さまの希望や、血圧、年齢、瘤の形状なども考慮して、将来の出血リスクを総合的に判断することが必要となります。

まとめ

脳動脈瘤は人口の2~6%が持っているともいわれます。
脳ドックを受診されたことで、脳動脈瘤が見つかる方もおられることと思いますが、すぐに手術が必要な方の数は多くありません。

ただ数%は破裂のリスクがあることをしっかり自覚し、最初は半年以内に、その後は1〜2年ごとに脳の状態をチェックすることが望ましいといえるでしょう。

この記事について

2022/05/24 (更新日:2022/05/24)

くも膜下出血を起こす、危険な脳動脈瘤とは? 未破裂脳動脈瘤が見つかった方に知って欲しいこと

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監修医 鳴海 治(なるみ・おさむ)

メディカルチェックスタジオ大阪梅田クリニック院長・医学博士
28年間の脳神経外科の手術と救急の経験から、再生しない脳という臓器の特性、知らないうちに進行し突然発症して障害を残す脳卒中疾患の特性に対しては「発症させない」ことが最も有効な対策だと考えています。 なるべく多くの方が健康なうちに脳ドックを受診し、問題解決できる環境を提供してゆきたいと思います。

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