2023/01/13 ( 公開日 : 2021/04/27 )
脳ドックとはなにか? 検査の内容、受診をおすすめする方、費用や注意点について解説
脳ドックをなぜ受ける必要があるの?
脳ドックの検査内容を知る前に、近年なぜ脳ドックを受ける方が増えているかを説明したいと思います。
脳疾患の多くは脳に血液を送る動脈が詰まったり、破れて出血することによって発症します。この原因になるのが、血管狭窄や脳動脈瘤の破裂などです。
ですがこれらの病変は、進行していても無症状であることが多いです。
その結果、脳疾患を発症した際には、患者は症状が突然起こったように感じます。
しかし実際は、長年の生活習慣の乱れなどによって、若い頃から体にダメージが蓄積されていることが関係しています。
つまり脳疾患の予防対策は、長期的に考えていく必要があるのです。
脳疾患を発症した約3人に1人が死亡
2020年度は、脳疾患の発症数は約30万人といわれています。
この年の脳疾患による死亡者数は10万2956人であることから、脳疾患を発症すると約3人に1人は命が助かりません。
脳疾患を発症した約3人に1人に障害が残る
脳が損傷してしまうと、完全に元の状態に戻ることはありません。
約3人に1人はさまざまなレベルの障害が体に残ってしまいます。
とくに仕事面に焦点をあてて考えると、脳疾患の発症以前と同じ業務を行えなくなってしまう方も多いです。
さらに家族に介護を頼る場合には周囲の方にも大きな影響が及びます。
脳疾患を発症させないことが重要
このように高い確率で死亡や障害につながる脳疾患は、まずは発症させないことが何よりも大切です。
そして脳ドックは、この脳疾患リスクの早期発見・早期治療に役立ちます。
それでは、脳ドックの検査内容などを細かくみていきましょう。
脳ドックはどんな検査をするの?
脳ドックは、「脳卒中」や「くも膜下出血」といった、脳疾患リスクの早期発見のために行われる検診コースの総称です。
おもにMRI(次期共鳴画像診断)装置による画像診断で、脳実質(※脳の中身のこと)の構造や、頭部・頸部の血管の状態を把握します。
気になる項目がある場合は、頸動脈エコー、心電図、ABI検査、血液検査などもあわせて受診する場合があります。
脳ドックでわかる病気
検査名 | なにを調べるの? | 発見できる症例 |
---|---|---|
頭部MRI検査 | 脳実質(おもに大脳・小脳・脳幹・脊髄のこと)に異常をきたしている部分があるかどうか | 脳梗塞 白質病変 脳腫瘍 脳萎縮 脳微小出血 など |
頭部・頸部MRA検査 | 頭部と頸部の動脈に狭窄や拡張、瘤や奇形がないかどうか | 動脈瘤 動脈解離 血管狭窄 血管屈曲・蛇行 血管閉塞 脳血管奇形 など |
検査名 | なにを調べるの? | 発見できる症例 |
---|---|---|
頸動脈エコー検査 | 頸部-頸動脈(首にある太い動脈のこと)の動脈硬化の状態 | 動脈硬化 など |
心電図 | 脳梗塞の原因になるような不整脈、虚血性心疾患(血液が心臓に行き渡ってない状態)があるかどうか | 不整脈 心筋虚血 など |
ABI検査 | 両手両足の血圧を同時に測ることで下肢の動脈硬化の程度を調べる | 動脈硬化 血管年齢 など |
血液検査 | 血糖、脂質、肝機能、腎機能 など | 高脂血症 糖尿病 など |
脳ドックはどんな人におすすめ?
脳ドックをおすすめする人のプロフィール
- 脳ドックを受診したことがない
- 高血圧、糖尿病、脂質異常、動脈硬化の診断を受けたことがある
- 過度の飲酒、喫煙習慣がある
- ご家族の中で脳の病気にかかった方がいる
こんな人にもおすすめ
- 気になる症状がある(頭痛など)
- 頭を頻繁に接触させるスポーツをしている
何歳から受けた方がいい?
脳疾患を発症する方は50〜60代から増え始めて、70代でピークを迎えます。
脳ドックでは若い方でも脳の異常がみつかることがあります。
30代になったら脳ドックを推奨いたします。
脳ドックの受診頻度は?
異常所見がみつからなければ、2~3年に一度の受診をおすすめいたします。
より短期間(1~2年)での脳ドックが推奨されるのは以下の方。
・初回の脳ドックで軽度の異常所見があった
・血管リスク(高血圧症、脂質異常症、糖尿病、喫煙歴)を持っている
・親族に脳疾患になった人が多い
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病気になる前に治すという『未病』を理念に掲げていきます。循環器内科分野では心臓病だけでなく血管病まで診られる最新の医療機器を備えたバスキュラーラボで、『病気より患者さんを診る』を基本として診療しています。
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