タバコを吸うことで発症する可能性がある病気とは? 依存度チェックも収録!
健康のために禁煙しようと思っても、「1本だけなら…」とついついタバコに手を伸ばしてしまうことはありませんか? タバコには麻薬と同程度の依存性があるため、止めようと思ってもなかなか止められないものです。今回は、なぜ1本だけでも喫煙すべきではないのか、喫煙によりどのような病気になる可能性があるかなどを紹介します。がんの原因とリスクをチェック|予防につながる行動とは
がんはタバコや飲酒、肥満、遺伝など様々な要因が関係していると言われています。
本記事では、がんの発生メカニズムやリスクとなる要因、早期発見のポイントなどを解説します。ご自身やご家族の健康を守るためのヒントが得られる内容となっているので、ぜひ最後までご覧ください。
がんの原因とは何か? まず知っておきたい基礎知識
がんとは、細胞の設計図である遺伝子に異常が起こることで、細胞の増え方を制御するブレーキが利かなくなり、周りの組織を押しのけながら増え続けたり、別の臓器に広がったりする病気です。
がんの発生には、タバコや飲酒などの生活習慣、ウイルスや細菌感染、周囲の環境など、様々な要因が関わっています。
加齢もがんの発症に関係しており、厚生労働省の「令和3年全国がん登録罹患数・率報告」では、年齢が上がるほどがんの罹患率が高くなることが示されています。

生活習慣によるがんリスク
喫煙、飲酒、運動不足、肥満などはがんのリスクになるため、注意が必要です。
ここからは、生活習慣を中心に以下のリスク要因について解説します。
- 喫煙と受動喫煙の影響
- 飲酒の量とがんとの関係
- 食生活
- 肥満・運動不足が与える影響
それぞれ、見ていきましょう。
喫煙と受動喫煙の影響
喫煙は、肺がん、食道がん、膀胱がんなどに関連すると考えられています。
タバコの煙には、発がん性物質が約70種類含まれているとの報告があります。喫煙により、これらの発がん性物質が細胞や遺伝子にダメージを与えることで、がんの発生リスクが高まるのです。
また、周囲の非喫煙者に影響を及ぼす受動喫煙も、がんの発症に影響を及ぼすことが複数の研究で報告されています。例えば、日本人を対象とした研究の統計解析の結果では、受動喫煙があると肺がんの罹患率が約1.3倍高くなることがわかっています。
喫煙のリスクについては、以下の記事をご覧ください。
飲酒の量とがんとの関係
飲酒は頭頸部がん(口腔、咽頭など)、食道がん、肝臓がん、大腸がんなどの発症リスクを高めるため、注意が必要です。
アルコール(エタノール)や、その代謝により生じるアセトアルデヒドには発がん性があり、分解酵素の働きが弱い人が飲酒を続けると、頭頸部がんや食道がんのリスクが高くなると言われています。
なお、厚生労働省の「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」では、生活習慣病リスクを高める飲酒量の目安が以下の通り明示されています。
- 男性:純アルコール摂取量:40g以上/日
- 女性:純アルコール摂取量:20g以上/日
がん予防の観点から、飲酒を控えることが推奨されています。飲酒量は少ないほどリスクが低くなることもわかっており、「飲みすぎない」だけでなく、可能であれば量を減らすことや、お酒を飲まない日を設けることが推奨されています。
食生活
食生活は、がんに影響を与える大きな要因の1つです。
赤身肉や、ベーコン、ソーセージ、ハムなどの加工肉を過剰に摂取すると、大腸がんのリスクが高まるという研究もあります。

また、塩分の多い食事を続けると、胃がんの発症リスクが高まる恐れがあります。
一方、野菜や果物を積極的にとることで、一部のがんのリスクが低くなると言われています。
厚生労働省が発表した「健康日本21(第二次)」では、健康のため1日あたり野菜を350gとることが目標とされています。
なお、塩分の摂取目安については以下の記事をご覧ください。
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肥満・運動不足が与える影響
肥満は、子宮体がん、大腸がん、膵(すい)臓がんなど、様々ながんに関連しています。
体内脂肪(特に内臓脂肪)が多いとエストロゲンの過剰分泌や、インスリン抵抗性に伴う高インスリン血症や慢性炎症を伴います。その結果、細胞の増殖シグナルが強まり、がんのリスクが高まると考えられています。
また、運動不足による体内脂肪の増加は、免疫機能の低下や慢性炎症の促進を招き、がんのリスクを高める恐れがあります。
実際、国立がん研究センターの研究では、肥満や運動不足とがんの関係性が指摘されています。
厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」は、成人の健康づくりのために、歩行かそれと同等以上の身体活動を1日60分以上(1日約8,000歩以上に相当)行うことを推奨しています。
日常的な身体活動や体重管理は、健康維持とがん予防のために大切です。なお、肥満による病気のリスクについては、以下の記事をご覧ください。
どこからが肥満? 治療が必要になってしまう状態とは? 治療法についても解説!
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感染症が引き起こすがん
特定のウイルスや細菌感染は、がんの発症に深く関わっていることがわかっています。ここからは、発症予防のために以下について詳しく解説します。
- ヒトパピローマウイルスと子宮頸がん
- ピロリ菌と胃がん
- 肝炎ウイルスと肝臓がん
それぞれ、見ていきましょう。
ヒトパピローマウイルスと子宮頸がん
ヒトパピローマウイルス(HPV)は、主に性交渉により感染するウイルスです。HPVには多くの型があり、中でも16型と18型が子宮頸がんの発症に関わっていると言われています。
これらの感染を防ぐためにはワクチン接種が重要です。HPVワクチンを接種することで、高リスク型HPVの多くの感染を予防できるとされています。
HPVワクチンは、主に小学校6年生から高校1年生の女の子を対象としており、公費によって接種可能です。
また、がんの重症化を避けるためには、定期的ながん検診による早期発見も大切です。日本では子宮頸がん検診の対象年齢は20歳以上で、2年に1回の受診が推奨されています。
子宮頸がんについては、以下の記事をご覧ください。
子宮頸がん検診の頻度はどれくらい?年齢別・状況別に徹底解説
子宮頸がんは比較的若い世代でも罹患するリスクがあり、自覚症状のないまま進行することもあるがんです。早期発見のためには定期的な検診が重要です。安心して検診を受けるためにも、具体的な内容を知っておきましょう。<br /> <br /> この記事では、年齢やライフステージに応じた適切な子宮頸がん検診の頻度や、検診のメリット、費用、安心して受診するためのポイントをわかりやすく解説します。 <br /> ぜひ、検診の計画を立ててみてください。
ピロリ菌と胃がん
ヘリコバクター・ピロリ菌(以下、ピロリ菌)は、胃がんの主要なリスク因子だと考えられている細菌です。
幼少期に感染しやすく、汚染された水や食品を摂取することや、大人が口移しで離乳食を与えることで感染する場合があります。
感染すると、胃粘膜で炎症を引き起こし、この状態が長く続くと胃がんにつながることがあります。
なお、一部の研究では、ピロリ菌の除菌治療で胃がんのリスクが低下することが報告されており、2013年からはピロリ菌による胃炎への除菌治療は医療保険で受けられるようになっています。
肝炎ウイルスと肝臓がん
肝臓がんの主な原因は、B型、C型肝炎ウイルスです。
感染経路は輸血、母子感染、性行為などで、無症状のままウイルスを保有している場合(キャリアと呼ばれます)もあります。
肝炎ウイルスの予防は、感染経路に応じた対策が重要です。例えば、「血液を媒介する可能性のある日用品を共有しない」「性交渉時に避妊具を使用する」などです。
ワクチン接種や抗ウイルス薬による治療は、肝炎の進行を抑え、肝がんの発症リスクを下げる効果が報告されています。
自治体によっては、B型、C型肝炎に対する検査費用の補助や、医療機関でのフォローアップ体制が整備されているので、積極的に活用しましょう。
遺伝・体質によるがんリスク

生まれつきの体質や遺伝もがんに影響する要因の1つです。
家族にがんを経験した方や、生まれつきがんになりやすい遺伝的特徴をもっている方は、リスクが高まることが知られています。
遺伝性のがんの代表例としては、卵巣がんや乳がん、大腸がんなどが挙げられます。人の身体には「がんを抑制する遺伝子」があり、その働きに異常があるとがんを発症しやすくなると考えられています。
がんを予防するためには、このような遺伝的な背景を正しく理解しておくことも大切です。
遺伝によるがんのリスクについては、以下の記事をご覧ください。
がんは遺伝する? 発生の原因と遺伝しやすいがんについて
がんの発生には遺伝的要因のほか、環境や生活習慣などの要因が関係しています。自分にがんが遺伝するかどうかは、多くの人々にとって関心の高い問題です。大半のがんは遺伝しませんが、がんの発生に関わる遺伝子異常は受け継がれるケースもあります。そのため、もしも家族にがん患者がいる場合は自分自身の遺伝的リスクを知ったうえで健康管理を行うことが重要です。この記事では、がんの発生原因や遺伝しやすいがんの種類について詳しく説明します。遺伝的リスクを把握し、適切な対策を講じることで、がんの早期発見が可能となり、心理的な安心感を得ることができるでしょう。
環境や職業による発がんリスク
がん発症には環境や職業が影響することが知られています。
例えば、放射線、アスベスト、ベンゼンなどの化学物質、紫外線に長期にさらされると、リスク増加につながります。
工場勤務や医療機関での放射線業務、高濃度化学薬品を扱う職場では、仕事中の曝露がきっかけとなるがんが報告されており、法規制や安全対策が徹底されています。
予防のためには、環境や職業によるリスクを理解し、必要な対策や定期的な検診を心がけることが大切です。
予防可能な要因と防ぎにくい要因の違い
がんのリスク要因には、生活習慣や感染症などの予防可能なものと、遺伝や年齢といった避けにくいものがあります。
予防可能な要因に対しては、生活習慣の見直しやワクチン接種、定期的な検診の実践が効果的です。
一方、遺伝や加齢、周囲の環境などはコントロールが難しいため、リスクを認識したうえで検査や予防法を活用することが大切です。科学的な根拠に基づいた取り組みが健康を守ることにつながります。
また、人間ドックを受けて自分のリスクを把握しておくのも良いでしょう。
人間ドックについては、以下の記事で解説しています。詳細はそちらをご覧ください。
人間ドック、何歳から始めるべき? 「年齢×生活習慣」でわかる最適なタイミング
「人間ドックは何歳から受けるべきか」「どんな検査が受けられるのか」。人間ドックの利用を考えている方は、このような疑問を持っているのではないでしょうか。<br /> <br /> 人間ドックの受診は任意であり、義務付けられている検査ではありません。しかし、利用することで重大な病気の早期発見、早期治療につながるケースもあります。<br /> <br /> 本記事では年齢ごとの「人間ドック受診の目安」「おすすめの検査項目」などを解説します。人間ドックの疑問が解決できる内容になっているので、ぜひ最後までご覧ください。
がん検診と早期発見の重要性
がんは早期に発見して治療を始めることで、経過が大きく変わる可能性があります。
早期発見のためには、自治体で実施されているがん検診や、より詳しく調べるがんドックの活用が大切です。
がん検診の種類と対象年齢
がん検診はお住まいの市町村で実施されています。ほとんどの場合は、費用が公費負担となっており、一部自己負担で受診できます。
がん検診の種類や、検診方法、対象年齢、受診間隔は以下の通りです。
| 種類 | 検査項目 | 対象年齢 | 受診間隔 |
| 胃がん |
・問診 ・胃部X線検査または胃内視鏡検査 |
50歳以上 | 2年に1回 |
| 子宮頸がん |
・問診 ・視診 ・子宮頸部の細胞診および内診 |
20歳代 | 2年に1回 |
|
・問診 ・視診 ・子宮頸部の細胞診および内診 |
30歳以上 | 2年に1回 | |
|
・問診 ・視診 ・HPV検査単独法 |
5年に1回 | ||
| 肺がん |
・問診 ・胸部X線検査 ・喀痰細胞診 |
40歳以上 | 年1回 |
| 乳がん |
・問診 ・乳房X線検査(マンモグラフィ) |
40歳以上 | 2年に1回 |
| 大腸がん |
・問診 ・便潜血検査 |
40歳以上 | 年1回 |
参考:
がん検診で「異常なし」と判定されても、その後新たながんが発生する可能性があります。
予防のためには、定められた受診間隔に従い、継続して検診を受けましょう。
がん検診の詳細については、以下の記事をご覧ください。
がん検診のメリット、デメリットは? 受診の頻度はどのくらい?
がん検診には、国として推奨するがん検診(対策型検診)と、自己負担型のがん検診(任意型検診)があります。これらのがん検診はなぜ受けた方がいいのでしょうか? がん検診のメリット、デメリット、受診頻度などについても解説いたします。
「がん情報サービス」など活用できる公的情報
がんを予防するためには、正しい知識と情報を得ることが重要です。
国立がん研究センターの「がん情報サービス」は、がんの原因や予防、検診、治療に関する最新データと科学的根拠を公開しています。
また、厚生労働省や都道府県の公的機関も信頼できる情報源として活用できるでしょう。
がん診療連携拠点病院にある「がん相談支援センター(※)」では、看護師や福祉の専門家であるソーシャルワーカーが、がんに関する不安や悩みの相談に応じています。
このような公的機関や専門家によるサービスを利用することで、安心して予防や治療に取り組めるでしょう。
※がん相談支援センター:がん患者やその家族が、治療や生活、仕事、経済的なことなど、様々な不安や悩みについて無料で相談できる窓口。地域によっては、名称が「患者サポートセンター」「医療相談室」など、名称が異なることがある。
まとめ:がんの原因を知り、自分の行動を見直そう
がんは生活習慣や周囲の環境との関連が指摘されています。健康に過ごすためにはこれらのリスクを知っておくことが重要です。
自治体によって、がん検診や健康診断の補助が受けられることもあります。早期発見のため、このような制度を活用するのも良いでしょう。
また、人間ドックやがんドックの利用もおすすめです。健康を意識して、自分自身の行動を見直すことで、未来への安心感や前向きな生活につながるでしょう。
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日本糖尿病学会 糖尿病専門医
日本内分泌学会 内分泌代謝科専門医
日本内科学会 認定内科医
2008年大分大学医学部卒業
臨床研修終了後、糖尿病・内分泌内科を専門に病院勤務を行っております。
診療の傍ら、ミトコンドリア代謝など基礎研究、医学書の執筆・監修業務も並行しつつ、正しい医療知識・生活習慣予防の重要性など啓蒙活動を行っております。