脳梗塞の前兆となる症状とは? 急に起こるからだの異変に注意!
脳梗塞はある日突然発症し、その日から体の自由を奪ってしまう病気です。しかし前兆となる症状も多く報告されていますので、日常に潜む「脳梗塞の前兆」を見落とさずに、しっかりと検査を受ける必要があります。この記事のなかでは、脳梗塞の前兆となる症状や、注視したいポイントについて解説いたします。2022/10/06 ( 公開日 : 2022/06/24 )
くも膜下出血発症後の生存率はどのくらい? 再破裂、脳血管れん縮、水頭症についても解説

くも膜下出血ってどんな病気?

脳は頭蓋骨の中で外側から順番に、硬膜、くも膜、軟膜の順に覆われています。
脳動脈にできた瘤(こぶ)の破裂によって、出血が「くも膜の下の空間=くも膜下腔」に流れ込むことで起こるのが「くも膜下出血」です。
くも膜下出血の発症患者のうち80~90%は、脳動脈瘤からの出血が原因です。
動脈瘤破裂以外の原因(例えば外傷や血管炎)でも、くも膜下出血になる場合もあります。
症状として特徴的なのは、突然バットで殴られたような頭痛、今までに経験したことがないような強烈な頭痛です。
くも膜下出血の発生頻度と死亡率
発生の頻度は一年で人口10万人あたり、20人程度です。
日本では好発年齢は50~70代で、男性よりも女性の発症率が全世代で高くなっています。
発症リスクは30~40歳を超えると高くなります。
発症すると死亡確率は非常に高く、30%程度といわれています。
再破裂について
くも膜下出血が軽症だった場合でも、まだ安心することはできません。
一度くも膜下出血になった方は、再破裂する方や、脳梗塞を発症する方も多くおられます。
再破裂(再出血)
最初の出血で病院に搬送され、入院することになってからもまだ安心はできません。
約20%程度の方が再び出血を起こしてしまうといわれているからです。
再破裂が起こると死亡率は50%、さらにもう一度出血が起きた場合には死亡率は80%程度にもなるといわれています。

再破裂は初回の破裂から24時間後がもっとも起こる可能性が高く、もしその期間をすぎても1~2週間の間に起こることは依然として多いため、再破裂の予防として早期に手術が行われます。
手術後もしばらくは入院して様子を見ることが必要となります。
くも膜下出血の治療方法
くも膜下出血の手術には大きく「クリッピング手術」と「コイル塞栓術」の二つがあります。
クリッピング手術
・・・頭蓋骨の一部分を外して、動脈瘤の外側からアプローチする手術です。動脈瘤のつけ根部分を金属製クリップで挟み、動脈瘤に血流が入らない状態を作ります。クリップは基本的に留置したままです。
コイル塞栓術
・・・足の付け根の動脈などからカテーテルで脳の血管までアプローチする手術です。動脈の内側から動脈瘤の中にプラチナ等でできたコイルを詰めて動脈瘤に血流が入らない状態を作ります。コイルも基本的に留置したままです。
くも膜下出血の手術後の経過
無事手術が終わっても、くも膜下出血が起きてから2週間程度は、不安定な状態がつづきます。再破裂のリスクが高い時期の後には、脳血管れん縮という血管が細くなってしまい、脳梗塞のリスクが高くなる時期が来ます。
また水頭症も、くも膜下出血に引き続いて起こる疾患としてよく知られています。
脳血管れん縮
脳は脳脊髄液という液体の中にありますが、くも膜下出血で血液が混ざることによって、さまざまな反応をおこします。
その変化のひとつが脳の血管が縮んでしまうというもので、これを「脳血管れん縮」といいます。
初回破裂から4~14日後に起こりやすい病態です。
脳血管れん縮の発生頻度としては、症状を伴うもので30%程度、造影検査(カテーテル検査や造影CT)をした場合には70%の方に確認できるともいわれています。
脳血管れん縮によって脳梗塞が引き起こされることがあり、血管のれん縮部位によって様々な症状が出現します。
▽脳梗塞の前兆記について詳しくはこちらから

脳血管れん縮への対策としては、脱水に注意したり、体に水分を保つ働きのあるアルブミンというたんぱく質を保持したり、血圧をやや高めに設定したり、時にはれん縮解除目的にカテーテル治療を追加で行う場合もあります。
状況に応じた柔軟な対処が必要となります。
水頭症
水頭症とは、脳内を絶えず循環している脳脊髄液が、くも膜下出血によってうまく循環できなくなって貯留している状態です。
くも膜下出血の後ですぐに生じる水頭症と、数週間以上が経過してから起こる水頭症がありますが、区別がうまくできない場合もあります。
脳への圧迫を開放して、脳循環や脳機能の改善を行う処置が必要となります。
急性期には、細い管を頭や背中から挿入して、脳脊髄液を排出する髄液ドレナージが行われます。
慢性的な水頭症に対しては髄液シャント術が行われ、脳脊髄液を腹部や血管内に誘導するカテーテル(管)が体内に埋め込まれます。
くも膜下出血の後遺症
くも膜下出血を発症したのち、後遺症が残る場合があります。
後遺症は重症度や障害を受けた脳の部位などで異なるため、一概にはいえません。
そのままにしておくと生活への影響が出てしまうため、後遺症に対してリハビリ治療が必要になります。
▽脳卒中の後遺症について詳しくはこちらから

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脳卒中は日本人の死因ランキングで4位にランクインしていますが、介護が必要になる原因の2位にもランキングしています。脳卒中を早期発見でき、軽度で済めばもとの生活に戻れる可能性が高いです。しかしもし重症化すれば、重い後遺症が残ったり、最悪の場合死亡するケースもあります。今回の記事では、そんな脳卒中による後遺症について詳しくご説明いたします。くも膜下出血は発症予防が大切

くも膜下出血の予防としては、まずは大部分の原因となる脳動脈瘤があるかないかを早期に発見することです。そのために脳ドックを受診することが大事です。
また、動脈瘤があった場合には危険因子となっている糖尿病、高血圧、脂質異常症などの生活習慣病や、喫煙習慣に気をつけることが大切です。
瘤があるのかないのかまず知ること、そしてそれに応じて適切な対応をとるという意味でまずは脳ドックをお勧めします。
編集部までご連絡いただけますと幸いです。
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脳神経外科専門医・血管内治療専門医
富山大学卒業後、虎の門病院入職。
東京大学脳神経外科に入局し急性期医療中心に診療に従事。
メディカルチェックスタジオ東京銀座クリニックで診療を継続する傍ら、医療業界のさまざまな課題解決のため自身でもPreMed株式会社を起業。
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