2021/10/22 ( 更新日 : 2021/11/22 )

脳卒中の後遺症(失語症・まひ・鬱など)について 寝たきりになるのを避けるためには?

症状
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脳卒中は日本人の死因ランキングで4位にランクインしていますが、介護が必要になる原因の2位にもランキングしています。脳卒中を早期発見でき、軽度で済めばもとの生活に戻れる可能性が高いです。しかしもし重症化すれば、重い後遺症が残ったり、最悪の場合死亡するケースもあります。今回の記事では、そんな脳卒中による後遺症について詳しくご説明いたします。
目次

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脳卒中は寝たきりになる原因第1位

脳卒中は寝たきりになる原因で第1位であり、日常生活に大きな支障が生じることが分かります。
脳卒中とは「脳にただち(卒)に中(あた)る」という意味で、急に発症する脳の血管の病気の総称です。

「脳出血」「脳梗塞」「くも膜下出血」が含まれます。
中でも、一番発症率が高いものは「脳梗塞」で、脳卒中の約60%を占めます。
二番目に多いのが「脳出血」です。

脳梗塞や脳出血を発症すると多くのケースで手足が動かなくなる「運動まひ」や、会話が困難となる「失語症」の症状が出てしまいます。

運動まひなどの症状が重度であれば、自分の力で起き上がることも難しい人が多いです。
そこにさまざまな原因が重なり、運動しない期間が続くことで全身の筋肉が衰え、寝たきりとなるのです。
重度でなくても再発することで、体の機能が低下して寝たきりに近づいていく場合もあります。

脳梗塞の原因は2種類

脳梗塞の原因は大きく分けて動脈硬化性のものと不整脈(多くは心房細動)による心原性のものがあります。
動脈硬化については喫煙のほか高血圧、糖尿病や脂質代謝異常といった生活習慣病などの「危険因子」を持っていることが強く影響します。

脳梗塞では再発するケースもあり、これらの生活習慣病が影響します。
ですので、脳梗塞の発症や再発を予防するためには、これらの危険因子を管理することが大変重要です。

脳出血のほとんどは高血圧性と言って、高血圧が原因で小さな血管が破綻し、脳の中に出血をお起こし脳を損傷して症状を出すものです。発症すると重度の運動まひや失語症を残し日常生活に支障をきたします。
脳梗塞に比べると再発率は低いです。

損傷部位によって後遺症が異なる

脳は大きく、大脳、間脳、脳幹、小脳に分かれています。

それぞれが役割を持ち、神経などを通して連絡を取り合うことで、体の機能を維持できるのです。
しかし、それが「脳卒中」によって血管が詰まったり出血することで、神経が傷ついたり、機能が破綻してしまい症状として現れます。

さらに大脳は、前頭葉、後頭葉、側頭葉、頭頂葉に分かれています。

前頭葉であれば物事を判断したり、感情のコントロールをしたり、さらには注意のコントールなどを行っています。
この部分が損傷を受ければ、怒りやすくなったり、注意散漫になるような症状が見られます。

他にも、後頭葉であれば視覚機能を司るため、損傷を受けると視覚に問題が出ます。

このように損傷部位によって現れる症状が異なってきます
医師やリハビリの先生に聞いて、どんな場所を損傷して、どんな症状が出やすいのかを知ることが大切です。

脳卒中の主な後遺症

脳卒中を発症するときに、よく聞かれる後遺症は「運動まひ」「感覚まひ」「言語障害」でしょう。
実際、脳卒中を発症した人はこれらの症状に困っていることも多いです。
しかし、後遺症には他にも様々ものがあります。

そこでここからは、脳卒中の代表的な後遺症をご紹介していきます。

運動まひ

運動するときは、前頭葉の後端に帯状に存在する運動野から目的通り体を動かすための指令が出ます。
指令は、神経を通して脳から脊髄(脳から背骨に伸びる神経の束)に降り、脊髄から筋肉に伝わることで体を動かすことができます。

神経は脳から脊髄に降りてくるとき交差しているので、脳の左側の前頭葉が損傷すると「右側」の体に、右側だと「左側」の体に症状が現れます。
両方とも同時に血管障害が起こることは少ないので、体のどちらかに異変が起きる場合が多いことは知っておきましょう。

また、血管障害が広範囲で大きいものだと、多くの神経細胞を死なせてしまい、手足を動かすことができなくなる場合もあります。
反対に軽度なものであれば、手の細かい動きをするときに、使いづらさを感じたりする程度に収まる場合もあります。

感覚まひ

何かに触れたり、触れられたりしたときなどの「感覚」は、神経を通して脊髄から登っていき視床という部分で中継され、前端に運動野に並走するように存在する感覚野に伝わります。

そのため視床や頭頂葉が損傷を受けると、感覚まひが起こります。
感覚機能が少し低下した人からは、「なにか皮が1枚あいだにある感じがする」という発言がよく聞かれ、それが足の裏だと浮いたような感覚がする人もいます。

運動まひと同様に、片側に症状が出ることが多く、重度であれば全く感覚が分からなくなる人もいます。
頭頂葉は視覚や聴覚などのあらゆる感覚情報を統合して、運動を司る前頭葉に伝達しています。
そのため頭頂葉を損傷している場合、感覚がうまく統合できなかったり、情報を伝えられないことで、運動にも悪影響を及ぼすことがあります。

視野障害

視覚の情報は、視神経から側頭葉を経由して後頭葉の内側に伝わります。
視神経や側頭葉・後頭葉に障害が起きると、半盲や一部が欠けたりするような視野障害が起こります。
眼には、眼球を動かすための神経も3つ通っていて、この神経が障害を受けることで二重に見えたりすること(複視)もあります。
特に、高齢者の方が視野の障害を起こすと、物にぶつかってしまいバランスを保つ筋力も低下しているので、転倒する可能性が高いです。

転倒は、「脳損傷」「骨折」などの寝たきりの原因になる事象を引き起こしてしまうので、十分な注意が必要となります。
何か異常があれば、すぐに病院で診てもらうようにしましょう。

嚥下(えんげ)障害

嚥下障害とは、口の中に入れた食べ物や飲み物をうまく飲み込めない状態のこと。
運動まひや感覚まひによって、舌や喉の動きが悪くなったり、飲み込む筋肉が落ちていることなどが原因です。

脳卒中になると、気管に入らないように蓋を閉じてくれる「喉頭蓋」の動きも悪くなり、「誤嚥性肺炎」を起こしやすくなります。
嚥下障害が起こると、のどの詰まりや誤嚥性肺炎のリスクが高まる他、食事の意欲が落ちて食事量が減ることで、体力や筋力の低下にも繋がるのを防がなければいけません。

また高齢者の場合は、脳卒中の治療経過中に誤嚥性肺炎や窒息によって致命的となることもありますので、嚥下障害の評価と治療は脳卒中後のリハビリにおいて非常に重要な部分となります。

医師や看護師、リハビリの先生の指導の元、徐々に食べられるように訓練が必要です。

失語症・構音障害

失語症とは、左側の大脳にある言語中枢が障害されて「読み」「書き」「話す」「聴く」がうまくいかなくなることを指します。

大きく分けて「言葉はなめらかに話せるけど聞いたことを理解ができない」タイプ(感覚性失語)と、「言葉は理解できるけどうまく話せない」タイプ(運動性失語)の、2つの失語症があります。

障害されている部分によって症状は違い、2タイプがどちらも障害を受けた「全失語」というものあります。

一方の構音障害は、言葉を話すときに運動まひや感覚まひによって、舌や口がうまく動かず正しい音を作ることができず、不規則・不明瞭な話し方になる障害です。

前頭葉にある言語中枢が傷ついてしまうと、先ほど説明した1タイプである「言葉は理解できるけどうまく話せない」という運動性失語症になります。
この中枢の近くに、舌や口の運動を実行する脳の部位があるので、失語症と一緒に構音障害も発生することがよくあります。
また、側頭葉にある言語中枢が傷つくと「言葉はなめらかに話せるけど聞いたことを理解ができない」という感覚性失語になります。

高次機能障害

高次脳機能障害は、脳血管障害などによって「注意障害・記憶障害」「失語症」「失行症」「失認症」を起こしているものを言います。

失行症や失認症について少し説明をします。

「失行症」は、運動をする機能に問題はないのに、うまく動作ができないことを指します。
例えば、洋服を上手く着れない、歯磨きの仕方が分からないなど。
「失認症」は、感覚機能や注意機能、知能は保たれているのに物事を認識できないことです。

以上のような高次機能障害が引き起こされると、日常生活に大きな支障をきたします。
特に難点なのは本人が自覚しづらいこと。
リハビリすることで一定の回復が見られる方もいますが、人によってさまざまです。
身体機能が回復しても、高次脳機能障害が最後まで残っている状況は多々見られます。

排尿障害

排尿障害とは、尿を貯めたり排出したりする機能が障害されている状態のこと。
これらの機能は、大脳や脊髄を含めさまざまな部分で制御されています。

尿を貯めるときには、膀胱を膨らませて、尿道の筋肉で閉じなければいけません。
反対に尿を排出するときには膀胱を縮めて、尿道の筋肉は緩める必要があります。
この働きを複雑な仕組みで、神経が制御しているのです。

もし尿を貯めることが困難になった場合、頻繁にトイレに行きたくなります。
脳卒中により運動まひを起こしていると、速く歩けなれば間に合わずに失禁をしてしまうこともあります。
そもそもトイレをしたいという感覚が分からない症状だと、トイレに行こうともせず失禁をしてしまいます。

失禁は本人のストレスになり、介護者にとっても大変です。
回復が見られるまでは、環境や道具の工夫が必要になることは知っておきましょう。

うつ・感情障害

感情障害は、気持ちが塞ぎこむ「うつ病」と、気持ちが過度に高揚する「躁病」のどちらも指す気分の障害です。
脳卒中発症で、うつ病になる人は比較的多く見られます。
特定の脳の部位の損傷でストレス適応力が徐々に低下することで、うつ病を発症すると言われています。
主に、感情のコントロールを司る「前頭葉」が障害を受けることで発症しやすいです。

感情障害に対しては、周囲のサポートや環境の整備は必ず必要となります。
さらに確かなエビデンス(証拠)はありませんが、週に3回の中等度の運動が感情障害に効果があるとされているので、リハビリでの積極的な運動は必要となってきます。

リハビリによって回復が見込める場合も

基本的に脳卒中を発症後には、できるだけ早期にリハビリを行っていきます。
そうすることで機能の回復も早く、予後も良い(後遺症が少ない)ことが分かっているのです。
また、発症後すぐでもある程度歩行ができたり、生活の自立度が高いと、最終的に生活に戻れる人が多いことも分かっています。

後遺症は、損傷や症状の程度にも大きく左右されますが、発症した人の認知機能や年齢、意欲なども強く影響を受けます。
例えば、スポーツを訳も分からずただ行うのと、しっかり理解して意欲的に取り組むのとでは、上達速度が違いますよね。
リハビリでも同様なことが言えて、認知症を持っている人はリハビリへの集中が欠けたり、その日覚えた動き方も次の日には忘れてしまう場合もあります。

まとめると、

・発症後すぐからある程度生活の自立度が高い
・認知機能が保たれている
・年齢が若いなど

上記の要素があれば、回復が見込める場合もあります。

ただ症状の程度などもあるため断定はできず、あくまで「予測」となります。
家族に脳卒中を発症した人がいる場合、状況を把握している担当の医師やリハビリの先生に聞いてみましょう。

脳卒中のダメージを最小限に抑えるには早期発見・早期治療が肝要

脳卒中のダメージを最小限に抑えるには、早期発見・早期治療が大切です。
早期発見・早期治療ができた場合は、予後が良く日常生活にすぐに戻れる人も多くいます。

脳卒中の多くは血管狭窄や脳動脈瘤のように持っているだけでは症状の出ない病変が原因となって、ある日突然大きな脳の損傷を引き起こします。
一旦損傷した脳は100%の状態には戻りません。
可能ならば、こういった病変の有無を知っておくことが有用です。

その上で生活習慣(食事、運動、睡眠、禁煙)を整え、動脈硬化につながるような基礎疾患(高血圧、糖尿病、脂質代謝異常など)を適切に管理することが、将来のダメージを最小限に抑えるより確実な方法と考えます。

また不幸にも発症してしまった場合の対応ですが、脳卒中を受け入れている医療機関では「FAST」という言葉を使って脳卒中医療の啓蒙を行っています。

F:Face 顔が歪んでいないか(顔の麻痺)
A:Arm 水平に挙げた両腕を保てるか(上肢の麻痺)
S:Speech うまく話せるか(失語)
T:Time いつから症状があるか(発症から早いほど治療成績が良い傾向)

このような症状が出現すれば、脳卒中を疑って早急な受診をしましょう。

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監修医 鳴海 治
(なるみ・おさむ)

メディカルチェックスタジオ大阪梅田クリニック院長・医学博士
28年間の脳神経外科の手術と救急の経験から、再生しない脳という臓器の特性、知らないうちに進行し突然発症して障害を残す脳卒中疾患の特性に対しては「発症させない」ことが最も有効な対策だと考えています。 なるべく多くの方が健康なうちに脳ドックを受診し、問題解決できる環境を提供してゆきたいと思います。

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