2022/07/22 ( 公開日 : 2021/11/08 )

アテローム血栓性脳梗塞とは? 原因や検査方法、治療方法についても解説!

症状
脳卒中 脳梗塞 脳疾患
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アテローム血栓性脳梗塞は太い血管に血栓ができて詰まるもの、心原性脳塞栓症は心臓でできた血栓が詰まるものです。どちらも似たようなメカニズムで起こりますが、アテローム血栓性脳梗塞は動脈硬化、心原性脳塞栓症は心房細動や心筋症などが原因になります。今回は原因や治療方法、必要な検査や予防方法などを詳しく紹介いたします。
目次

アテローム血栓性脳梗塞とは?

アテローム血栓性脳梗塞は、プラークが破綻して血栓が形成されて閉塞したり、血栓が末梢へ移動して血管を閉塞することにより起こる脳梗塞のことです。

首から脳につながっている太い血管(頸動脈)は、途中で顔に向かう血管と脳に向かう血管とで二股にわかれています。

この血管の分岐点にはプラークが沈着して動脈硬化を起こしやすいため、アテローム血栓性脳梗塞の原因となりやすいです。

頸動脈はとても太い血管のため、詰まることで脳への影響が出やすく重症化しやすいと言われています。脂質の値が異常な状態が続くと、コレステロールがたまって血栓になることもあるため、日頃から生活習慣を改めておくことが大切です。

体を動かしているときだけでなく、睡眠時のように安静にしているときでも症状が出ることがあります。

心原性脳塞栓症

アテローム血栓性脳梗塞と同じようなメカニズムで起こるものに、心原性脳塞栓症があります。
心原性脳塞栓症は心臓でできた血栓が血流に乗って移動し、脳の動脈で詰まることで起こるものです。

心原性脳塞栓症は、心臓でできた血栓が原因となるため、急激に広い範囲で脳梗塞が起こることが特徴です。

60歳以上の方で発症しやすく、脳梗塞の15~20%はこの心原性脳塞栓症だと言われています。重症化しやすいため、危険度の高い脳梗塞として知られているものです。

症状と早期発見の可能性

アテローム血栓性脳梗塞を発症した方のうち、約20~30%は次のような前兆が現われると言われています。

・顔半分がしびれたりマヒを起こしたりする
・片足を引きずって歩いている
・ろれつが回らない
・片方の目だけ見えない
・経験したことがない激しい頭痛がする

これらの症状が出ても24時間以内に改善する場合も少なくありません。一過性脳虚血発作と言われており、一時的に脳への血流が悪くなることで前兆が起きているのです。

症状がなくなるとそのまま治療せず放置される方もいますが、アテローム血栓性塞栓症を発症した方の約10%は意識障害や失禁、片側マヒなどの症状も現われます。

そのまま重症化するケースもあるため、前兆があった場合は速やかに医療機関を受診しましょう。
早期発見・早期治療のために血液検査や脳ドックを受けることも大切です。

その他の脳梗塞

脳梗塞にはほかに、ラクナ梗塞と呼ばれるものもあります。太い血管が詰まるアテローム血栓性脳梗塞とは違い、ラクナ梗塞は細い血管が詰まることで起こるものです。

詰まったとしても軽い症状しか出ないこともあり、発症に気づかないこともあります。さらに詳しく知りたい方は、こちらを参考にしてみてください。

夏に注意! ラクナ梗塞とは? 初期症状、診断に必要な検査、治療法などについて

脳にはたくさんの神経細胞が集まっており、神経細胞に栄養を与えるために血管が張り巡らされています。血管は分岐するたびに細くなるため、先に行くほど血圧の影響が大きくなります。細い動脈が高血圧などの原因で損傷を受け、血液が流れが悪くなくなることで組織が死んでしまうものを「ラクナ梗塞」と言います。夏は脳梗塞が多いとされており、原因や対策についても触れております。

アテローム血栓性脳梗塞・心原性脳塞栓症発症の原因

アテローム血栓性脳梗塞が起こる主な原因は動脈硬化です。動脈硬化とは血管の弾力性が失われ狭くなったり、血栓ができて詰まりやすくなったりしている状態をいいます。

動脈硬化を起こす三大危険因子は主に次の3つです。

  • 高血圧
  • 脂質異常症
  • 糖尿病

いわゆる生活習慣病と言われるものが動脈硬化を引き起こす原因となります。とくに高血圧や糖尿病はアテローム血栓性脳梗塞を発症する要因となりやすいものです。

生活習慣病を発症する原因は主に偏った食生活や喫煙、飲酒、運動不足や肥満などが知られています。

心原性脳塞栓症が起こる主な原因は、心房細動や心臓弁膜症、心筋梗塞や心筋症などです。「心原性」と名のつくことから、心臓に関係する疾患が原因になっていることがわかります。

心房細動は心臓が不規則に収縮するもの、心臓弁膜症は心臓の弁が正常に動かなくなるものです。
心筋梗塞は心臓に酸素を送る冠動脈という血管が詰まるもの、心筋症は心臓そのものの働きが悪くなるものを指します。

アテローム血栓性脳梗塞・心原性脳塞栓症の診断に必要な検査

アテローム血栓性脳梗塞や心原性脳塞栓症を診断するためには、MRIを使った検査を行います。MRIは体に負担をかけることなく脳内の断面図を撮影できる検査です。
どこで詰まっているのか、出血はしていないかなどを確認し、どのタイプの脳梗塞なのかを判断します。

そのほか頸動脈エコーや心電図、心エコーや血液検査などを行ってほかの疾患の可能性を除外することも大切です。

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監修医 知久 正明 (ちく・まさあき)
メディカルチェックスタジオ東京銀座クリニック院長・医学博士

病気になる前に治すという『未病』を理念に掲げていきます。循環器内科分野では心臓病だけでなく血管病まで診られる最新の医療機器を備えたバスキュラーラボで、『病気より患者さんを診る』を基本として診療しています。

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