2022/08/10 ( 公開日 : 2021/07/14 )

コロナワクチンの副反応と気になる抗体や免疫のしくみ

症状
予防 抗体 新型コロナ
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ワクチンの副反応、免疫、抗体、抗体検査など。今知っておくべき、免疫の基礎知識や、体の中で起こるメカニズムについて説明します。また自分の体にコロナウイルスを防ぐ抗体ができているのか知りたいと考えている方に、おすすめの抗体検査についても紹介しています。
目次

ワクチンの副反応について

国内でのワクチン接種は、2021年7月6日時点で総接種回数が五千万回を超えました。今後は64歳以下の方への接種が本格化します。
そんな中で、もうすでにワクチン接種を済ませた65歳以上の方や、医療従事者の方からは、副反応が起きたケースが多く報告されています。

ワクチンの副反応はなぜ起こる?

ワクチンは感染症の原因になる細菌、ウイルスの病原性を弱めたもの、あるいは毒素をなくしたものです。病気にならないために必要な抗う力(免疫)を、病気にかからずに身につけるために使用されます。

しかし、今回のコロナワクチンはメッセンジャーRNAワクチンというもので、今までとは違う新しい機序のワクチンです。
そのためどの様な副反応がでるかはまだ完全には把握されていません。

新型コロナウイルスの副反応で多くみられる症状

特に目立つのは、以下のもの。

  • 接触部位の腫れ
  • 発熱
  • だるさ、倦怠感
  • 頭痛
  • 思考力低下、集中できない(脳の霧 ”Brain Fog”)

ワクチンを製造する会社からは、以下のような発現割合で症状がでることが報告されています。
(※ 2021年5月時点のデータのため、今後ウイルスの変異やワクチンのアップデートで発現割合が変わることが予想されます)

表1 各社ごとの発現症状と割合
発現割合 症状
コミナティ(ファイザー社) モデルナ(武田薬品)
50%以上 接種部位の痛み、疲労、頭痛 接種部位の痛み、疲労、頭痛、筋肉痛
10~50% 筋肉痛、悪寒、関節痛、下痢、発熱、接種部位の腫れ 関節痛、悪寒、吐き気・嘔吐、リンパ節症、発熱、接種部位の腫れ
1~10% 吐き気、嘔吐 接種後7日以降の接種部位の痛みなど

コミナティ添付文書 COVID-19 ワクチンモデルナ添付文章より
厚生労働省 2021年

特に20代・30代の方は、1回目よりも2回目の接種時に発熱する方が多いようです。
ワクチンの2回目を接種する前には、解熱鎮痛剤を用意しておく方がいいかもしれません。

新型コロナウイルスに感染した人もワクチンを打っていいの?

ワクチンは免疫を獲得するためのものですが、新型コロナウイルスにすでにかかった方でも、ワクチンを打っても問題ないとされています。
「免疫がすでにあると、副反応が辛いのでは?」と危惧される方も多いようですが、確かにその傾向は諸外国でも報告されています。

ちなみに厚労省からの発表では、自然に感染するよりもワクチン接種を行う方が新型コロナウイルスに対する血中の抗体の値が高くなることが報告されています。(※1)

いずれにせよ、ワクチンを受ければ新型コロナウイルスに感染しないという話ではありません。ワクチン接種後も時間の経過とともに免疫力は次第に低下します。
そのため、いずれは3回目の接種も考えられますし、その後も継続的にワクチン接種が必要であることは知っておきましょう。

抗体検査を受ける前に知っておきたい免疫の基礎知識

抗体について知る上で、まず免疫について知る必要があります。

免疫ってなに?

免疫は体の外から来る侵入者であるところの「抗原」(細菌やウイルスなど)に対して、免疫細胞が「自分」と「自分でないもの」という基準で識別して、体を守る仕組みのこと。

自然免疫と獲得免疫

体は抗原(自分でないもの)が入ってくると、異常を取り除くために、対抗する抗体を作って攻撃を行います。
この「自分でないもの」を初めてみたときに反応する免疫を「自然免疫」といいます。

同じ種類の「抗原」、つまり見知った敵が現れると、今度は記憶されている免疫がすぐ反応します。
これを「獲得免疫」といいます。

◇自然免疫の例

◇獲得細胞の例

免疫細胞はどこにいる?

免疫細胞たちは、体をめぐっている血液とリンパ液に乗って、抗原をつねに探しています。
私たちの体をいつも巡回しているのが、免疫細胞だと理解しておくといいでしょう。

抗体ってなに?

抗体は特定の異物にある抗原に結合して、異物を除去する分子のこと。
抗体は異物が体内に入った場合には、免疫グロブリンというタンパク質でその異物にある抗原と特異的に結合する抗体を作り、これを排除します。

▽免疫機能について詳しく知りたい方はこちら

自然免疫と獲得免疫ってなに?! 免疫機能を高めるためにできることは?

体の中で免疫がどんな働きをしているのか詳しくご存知でしょうか? この記事の中では「自然免疫」と「獲得免疫」の働き、免疫機能を高めるために日常でできることなどをご紹介いたします。

抗体検査について

「抗体」は、ウイルスやワクチンに対する免疫反応の結果として産生されるものです。
新型コロナウイルス(SARS-Cov-2)はウイルス表面のスパイクタンパク質が、ヒトの細胞膜上のACE2タンパク質と結合をすることで、細胞への侵入を開始します。

この新型コロナウイルスのスパイクタンパク質に結合して、ACE2との結合を阻害する抗体を「中和抗体」(S抗体)と呼びます。

新型コロナウイルスのワクチンを打つか、すでに感染したことがあると、その結果として体内でこの中和抗体が生まれます。
血液中にこの中和抗体がどのくらい含まれているかで、新型コロナウイルスに対して有効な免疫がどれだけあるかを確認することが可能となります。

まとめ

ヒトの体は、免疫と呼ばれる賢いシステムで守られています。

私たちにとって身近なインフルエンザウイルスも、元々は第一次世界大戦下に流行った、スペインかぜに由来するもの。
インフルエンザウイルスも一年で90%以上が変異するため、毎年の予防接種が行われていますが、新型コロナウイルスに対するワクチンでも、今後は同様のことが起こるといわれています。

新しいウイルスが生まれるたびに、それを防ぐワクチンを接種してヒトは自分の免疫システムをアップデートし続けていきます。

新型コロナの中和抗体検査って? 人によって差が出る「抗体価」について

「コロナウイルスのワクチンを打ったけど、本当に抗体ができているのかな?」そんな風に不安に思うときには「中和抗体検査」を受けることで、体が保有する中和抗体の量を調べることができます。この記事の中では、実際に中和抗体検査でわかることや、ご自身の抗体価がわかったときに知っておきたいことをご説明いたします。
記事についてお気づきの点がございましたら、
編集部までご連絡いただけますと幸いです。

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監修医 知久 正明 (ちく・まさあき)
メディカルチェックスタジオ東京銀座クリニック院長・医学博士

病気になる前に治すという『未病』を理念に掲げていきます。循環器内科分野では心臓病だけでなく血管病まで診られる最新の医療機器を備えたバスキュラーラボで、『病気より患者さんを診る』を基本として診療しています。

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