2023/02/02 ( 公開日 : 2021/12/22 )
予防医療とは何か? 超高齢化社会に突入した日本が取り組みたいこと
予防医療とは?
予防医療とは、病気にかからないように予防する医療のことです。
病気になってから何か治療を始めるのではなく、そもそも病気にならないように対策を行います。
日本国内で高齢者の割合がどんどん増えていく中、健康寿命をいかに伸ばせるかが注目されるようになってきました。予防医療を行うことで、日常生活が制限されることなく過ごせる健康寿命を伸ばすことができます。
これは、生活の質(QOL)を改善したり、社会全体を活性化させたりすることにもつながります。先進国の中には30年以上も前から予防医療に取り組んでいる国もありますが、日本ではまだ大きな広がりは見せていません。
なぜ予防医療が必要なの?
病気になってから治療をする方法も、医療の発展とともに手段が昔より格段に増えています。そのような中、なぜ予防医療が必要とされるのでしょうか。
理由は主に次の3つがあります。
超高齢社会への備え
高齢者の割合が人口の21%を超えている状態を、「超高齢社会」と呼びます。
高齢者の割合が増えるほど医療費も増大するため、健康寿命をいかに伸ばせるかが重要です。
このまま医療費の圧迫が続けば、窓口での負担割合が増えたり、医療保険、年金保険、介護保険などの仕組みが脆弱になったりしてしまう可能性もゼロではありません。
高齢者が生涯現役でいられる生涯現役社会を目指すためにも、予防医療はとても重要なのです。
慢性疾患への対策
日本人の死因は2019年時点で1位が悪性新生物(がん)、2位が心疾患、3位が老衰、4位が脳血管疾患となっています。
老衰を除く残りの3疾患は、予防によって防ぐことができる可能性があるといわれている疾患です。
悪性新生物と心疾患は年々増加傾向にあるため、とくに予防が大事になるでしょう。悪性新生物や心疾患が増えている原因としては、食生活の乱れが関係しています。
これらの疾患は生活習慣と大きな関係があるため、食生活の改善が効果的です。
平均寿命と健康寿命の問題
健康寿命とは、日常生活に支障をきたすことなく制限されずに生活ができる期間のことです。医療の進歩により平均寿命だけが伸びても、健康に生きられる期間が短ければ、長い人生は不便なものに変わってしまいます。
現在でも平均寿命と平均健康寿命には10年前後の差があります。
つまり約10年は寝たきりだったり、介護が必要だったりするということです。
この差を縮めるためにも、予防医療は年々重要度を増しています。もし平均寿命と平均健康寿命の差が縮まれば、社会保障費の増大を防ぐことも可能です。
スマート・ライフ・プロジェクトとは?
スマート・ライフ・プロジェクトとは、厚生労働省が2011年の2月から開始した健康寿命を伸ばすためのプロジェクトです。
運動、食生活、禁煙などと絡めて、幅広い企業が連携しながらアクションを呼びかけているのはご存知ですか?
外食産業やフィットネスクラブ、食品会社やメディアなどがそれぞれの活動を通じて、健康作りの意識を浸透させることが目的です。
ネット上で見られる食事バランス教室や体操などもあるため、誰でも気軽に健康作りへ参加できます。
予防医療の3つの段階
予防医療には、大きく3つの段階があります。
健康な時期から始める「一次予防」、検診により病気を早期発見する「二次予防」、リハビリテーションを行う「三次予防」です。
従来の医療では、二次予防と三次予防が中心でした。
しかし健康寿命を伸ばすためには一次予防がもっとも大切です。
厚生労働省が行っているプロジェクトである「健康日本21」でも、一次予防が重要視されています。
一次予防
一次予防とは、病気になる前の健康な時期に行う予防です。
栄養管理、運動、休養などによって、生活習慣を改善することで健康を目指します。
このほかにも予防接種による病気の予防や、事故を防止することで傷害を防ぐことも一次予防のひとつです。
二次予防
二次予防とは、いわゆる検診や健康診断のことです。
何か病気がないかを早期発見することで、早期治療を行い病気の重症化を防ぎます。
病気があったとしても比較的軽い状態で治療を行い、合併症を予防するのが二次予防の目的です。
三次予防
三次予防とは、リハビリテーションのことを指します。
病気を治療していく中でリハビリテーションも行うことで、身体機能の著しい低下を防いだり、病気の再発を予防したりします。
病気が進行した後に行うため、一次予防のように健康寿命を伸ばすというよりは病気になった後の生活をサポートするものだと言えます。
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