頭部MRI検査とは? 発見できる病気、費用、メリットについて解説!

2023/01/18
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MRI
頭部MRI検査は、頭部の断面図を映像化して画像診断する検査です。脳の異常を低侵襲で早期に発見できる可能性があります。またMRI検査には、CT検査では診断できない細かな異常を見つけられるという特徴があります。
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目次

頭部MRI検査とは?

MRIは、強い磁力を使って体内の断面図を映像化するものです。X線を使用しないため、被曝はしません。MRIを使って頭部の検査をすることを「頭部MRI検査」と呼んでいます。

MRIは脳実質や脳血管を任意の方向で確認できることが大きな特徴です。
検査時間は15~30分程度で、機械の中に入り、じっとしているだけで検査は終わります。

検査にやや時間がかかることはデメリットですが、低侵襲で被爆の心配もなく脳の断面図を確認できることはメリットです。

MRI検査とMRA検査の違い

MRI検査と合わせて行うことが多い検査に、MRA検査があります。MRI検査とMRA検査は撮影方法が異なるだけで、使用する機器は同じです。
脳ドックを行う際には、MRI検査とMRA検査を同時に行うことが一般的です。

MRI検査:脳の断面画像を得ることが目的
→MRI検査は身体に電磁波を当てることで、細胞に含まれている水分を共鳴させ、その信号をもとに脳の断面画像を得るもの。

MRA検査:脳血管を立体画像として得ることが目的
→MRA検査は電磁波を用いるが、血流の信号だけを処理し、脳血管、特に脳動脈の様子を立体画像として得るもの。

 

CT検査とMRI検査の違いについては、こちらの記事をご覧ください。

CTとMRIの違いとは? 発見できる疾患などそれぞれの特徴を解説

画像検査といえば、多くの方になじみが深いレントゲン検査がまず挙げられます。レントゲンの他にも体内の状態を見ることができる画像検査としては超音波検査、CT、MRI、核医学検査などがありますが、それぞれ特性が異なります。この記事ではCT検査とMRI検査に焦点をあて、それぞれの特徴を解説します。

頭部MRIの流れと所要時間

頭部MRI検査の流れと、所要時間は以下の通りです。


流れ 概要/注意点
受付 診察券や保険証を提示し、問診票を記入する
医師の問診 ・必要に応じて医師による問診を受ける
・「妊娠中である」「ペースメーカーがある」「造影剤アレルギーがある」「閉所恐怖症がある」「手術などにより身体の中に金属がある」「タトゥーやアートメイクがある」といった場合は事前に伝える
検査説明 医師または検査技師から検査の説明を受ける
検査の準備(更衣) ・更衣室で検査着に着替える
・アクセサリーや金属製のメガネなどを外す
MRI撮影 ・撮影時間はおよそ15分から40分
・機械音が気になる場合は、用意されている耳栓やヘッドホンを使用する
検査結果の説明(後日になることも) ・医師から検査結果の説明を受ける
・医療機関によっては、後日結果を受け取ることもある

MRI検査は強力な磁場を使用するため、身体に金属があると危険を伴う恐れがあります。更衣時に金属アクセサリーは外しましょう。

また、ペースメーカーや植込み型除細動器などの医療機器は磁気の影響で不具合を起こす可能性があります。必ず事前に医師に相談しておきましょう。

検査時間は15分から40分ほどです。検査中は動かないように指示がありますが、リラックスのためイヤホンや耳栓を使用したり、必要に応じて鎮静作用のある内服薬を服用したりできます。

検査後は再度着替え、検査結果の説明を医師から受けます。後日あらためて説明を行うこともあるため、あらかじめ流れを受付で確認しておきましょう。

MRI検査の詳しい流れについては以下の記事をご覧ください。

MRI検査ってどれくらいかかる? 初めてでも安心の流れと時間の目安を解説

「生活の中で空いた時間に検査したい」「MRI検査ってどれくらい時間がかかるの?」と考えている方は多いのではないでしょうか。効率的に検査を受けるためには、あらかじめ検査時間を把握しておくことが大切です。

本記事では、「MRI検査にかかる時間」「MRI検査の注意点」などを解説します。これから検査を受ける方の疑問が解決できる内容となっていますので、ぜひ最後までご覧ください。

頭部MRI検査によって発見できる主な病気

頭部MRI検査を行うことで、あらゆる方向から脳の断面図を撮影できます。身体に傷をつけることなく脳内を可視化できるため、自覚症状の有無にかかわらず、脳血管疾患が起きていないかどうかを確認することが可能です。

また、どこに病変があるのか、どういうリスクがあるのかなども特定できます。ここでは頭部MRIで発見できる疾患のうち、代表的なものを4つ見ていきましょう。

脳腫瘍

脳腫瘍とは、頭蓋骨の中にできる腫瘍の総称です。神経膠腫や髄膜腫、下垂体腺腫などが該当します。
良性腫瘍であれば増殖スピードはそこまで速くありませんが、悪性の場合は良性より速いスピードで増殖していくことが特徴です。

腫瘍ができてから時間が経つと、頭痛、吐き気、視力の低下などが出現します。
MRIで脳腫瘍が見つかった場合、手術や化学療法、放射線治療などが検討されることがあります。

脳腫瘍に初期症状はあるの? 頭痛、嘔吐、意識障害などには注意が必要です!

脳腫瘍の多くは良性ですが、がんが転移したものや、神経膠腫(グリオーマ)と呼ばれるものは悪性であることが多いです。脳にできる腫瘍の分類や、身体にあらわれる症状、診断や治療の概要について解説します。

脳梗塞

脳梗塞とは、脳の血管が詰まったり、細くなって血流が悪くなったりしている状態を指します。
主な原因は動脈硬化です。片側の手足がしびれたり、ふらついたりすることなどがよくある症状です。ろれつが回らなかったり、嘔吐したりするなどの症状が見られることもあります。

脳梗塞は早期の対応が重要で、早期に治療を開始することで後遺症リスクが軽減するといわれています。
発症から治療までの時間が短ければ短いほど、少ない後遺症で留められます。

脳梗塞の種類は大きく3種類! 症状ごとに知っておくべき特徴とは?

脳梗塞は脳内の動脈が狭くなったり、血栓で閉塞してしまったりすることで発症します。脳梗塞の範囲が大きいと、さまざまな身体上の障害につながる可能性も。では、記事の中で詳しくみていきましょう。

脳出血

脳出血とは、脳の動脈が破れて出血している状態です。出血により脳の神経細胞が圧迫され、言語障害や意識障害などが生じます。
脳出血を起こす大きな原因は高血圧です。血圧が高い状態が続くと、脳の血管がダメージを受けてしまいます。
MRIで脳出血を早期に把握できた場合、適切な治療につながる可能性があります。

脳出血とはなにか? 出血しやすい部位や体に起こる症状について解説

脳の中ではときに出血が起きることがありますが、症状は脳梗塞と似ていることが多いです。脳出血はなりやすいいくつかの部位があり、それぞれ特徴が異なります。この記事の中では脳出血の診断方法や治療方法、また予防方法についても解説いたします。脳出血がどのようなものか気になる方は、ぜひ確認してみてください。

くも膜下出血

脳を覆っているくも膜と脳のあいだには脳脊髄液がありますが、この空間を「くも膜下腔(まくかくう)」と呼びます。
このくも膜下腔に血液が流れ込んでしまうことを総称して、「くも膜下出血」といいます。

くも膜下出血は、脳動脈瘤と呼ばれるこぶが破れて出血することがほとんどです。MRI検査で脳動脈瘤がある場所を突き止められるため、くも膜下出血のリスクを確認できます。

脳動脈瘤の状態によっては、クリッピング術やカテーテルによる処置が検討されることがあります。脳動脈瘤を早期に発見することによって、くも膜下出血の予防が可能となります。

くも膜下出血に初期症状はある? 突然始まった頭痛には要注意!

くも膜下出血は、脳出血のひとつです。 発症すると死亡する確率が高いのが特徴の病気で、その確率は約50%にも及びます。 回復したときでも後遺症が残る場合が多く、再出血が起こるとさらなる生命の危機に晒されます。 この記事では、くも膜下出血を避けるための予防策や、よくみられる前触れ症状についてご紹介いたします。

頭部MRI検査を受けるメリット

頭部MRIを受けるメリットとしては、主に以下のものが挙げられます。

  • 様々な方向から頭部の断面図を撮影できる
  • CT検査では見つけられない小さな異常を見つけられる
  • 放射線を使用しないため、被曝の心配がない

頭部MRIはあらゆる方向から脳の断面図を自由に撮影できることが大きな特徴です。そのため、脳内にある病変を診断できます。

頭部MRI検査の費用相場

頭部MRIの検査費用は、予防を目的に行う場合と治療を目的に行う場合で異なります。早期発見をかねて予防のために行う脳ドックの場合は保険診療の対象外です。

一般的に、脳ドックの費用の相場は20,000~70,000円です。

もし頭痛やふらつきがある場合は、保険が適用されるため、年齢によって負担額が変わります。同時にほかの検査も行う場合は、さらに料金がプラスになっていきます。

知っておきたい脳ドックの補助金・助成金制度 思っていたよりずっと安く受診できるってほんと?

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検査は機器のどこまで入る? 閉所が不安な方への対策


頭部MRI検査では、ベッドが移動して頭部が機器の中心部に来るように固定されます。

全身がすべて機器の中に入るわけではありませんが、閉所が不安な方は事前に医師や検査技師に相談しましょう。

以下は、落ち着いてMRI検査を受けるための対策です。

・音楽を聴く
・耳栓を使う
・深呼吸をする
・鎮静効果のある内服薬の処方を医師に相談する


医療機関によっては、音楽を聴くためのヘッドホンや耳栓が提供されたり、必要に応じて鎮静作用のある内服薬を処方してもらえたりします。

また、一部の施設は、圧迫感が少ないオープン型MRI(※)を導入しています。

このような対策を知っておくことで、閉所が苦手な方も安心して検査を受けられるでしょう。

閉所が苦手な方のMRI検査については、以下の記事で詳しく解説しています。詳細は関連記事で紹介しています。

閉所恐怖症でもMRIは受けられる? 知っておきたい最新の脳ドック事情

近年受診する人が増えている脳ドック。狭い空間に頭から入るMRI装置に、閉所恐怖症の方は「自分にはムリかも…」と思われているかもしれません。しかしながら、現代のMRIは短時間での撮影ができるようになっています。この記事の中では、閉所恐怖症の方にも安心してMRIを受けていただけるように、最新の動向をご説明いたします。

※オープン型MRI:全身が機械に入るトンネル型の構造ではなく、開放部分が広い設計のMRI装置。圧迫感が少なく、閉所が苦手な方や子ども、高齢の方でも安心して検査を受けやすい。

脳の病気を早期発見・治療するために定期的に脳ドックを受けよう

脳腫瘍、脳卒中、脳動脈瘤などは、早期発見が予後の改善につながる可能性があるとされています。速やかに治療を行うことで、重症化や後遺症のリスク低減が期待されるとされています。

高血圧、脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病が危険因子として知られていますので、生活習慣病にならないよう日頃から食生活や運動習慣などに気をつけながら、定期的に脳ドックを受けて早期発見に努めましょう。

記事についてお気づきの点がございましたら、
編集部までご連絡いただけますと幸いです。
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監修医 知久 正明 (ちく・まさあき)
メディカルチェックスタジオ東京銀座クリニック院長・医学博士

病気になる前に治すという『未病』を理念に掲げていきます。循環器内科分野では心臓病だけでなく血管病まで診られる最新の医療機器を備えたバスキュラーラボで、『病気より患者さんを診る』を基本として診療しています。

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