アテローム血栓性脳梗塞とは? 原因や検査方法、治療方法についても解説!

2022/07/22
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アテローム血栓性脳梗塞は太い血管に血栓ができて詰まるもの、心原性脳塞栓症は心臓でできた血栓が詰まるものです。どちらも似たようなメカニズムで起こりますが、アテローム血栓性脳梗塞は動脈硬化、心原性脳塞栓症は心房細動や心筋症などが原因になります。今回は原因や治療方法、必要な検査や予防方法などを詳しく紹介いたします。
目次

アテローム血栓性脳梗塞とは?

アテローム血栓性脳梗塞は、動脈硬化によって血管の内壁に蓄積した「プラーク(アテローム)」が破れて血栓ができ、脳の血管をふさいでしまうことで起こる脳梗塞です。血栓がその場で詰まるだけでなく、末梢に移動して別の部位の血管を閉塞する場合もあります。

特に首から脳につながる太い血管(頸動脈)は、顔や脳へ分岐する部位にプラークがたまりやすく、動脈硬化が進行すると血栓ができやすい部位とされています。頸動脈が詰まると脳への血流が一気に低下し、重篤な後遺症につながる可能性があると指摘されています。

血栓が生じる背景には、「アテローム硬化」と呼ばれる血管の慢性的なダメージがあります。アテローム硬化とは、動脈の内壁に脂肪やコレステロールが沈着し、プラークを形成して血管を狭くしてしまう状態です。これが進行するとプラークが破れて血栓が形成され、脳梗塞や心筋梗塞の原因となることがあります。

アテローム硬化を進行させる主な要因には、高血圧、糖尿病、脂質異常症、喫煙、過度の飲酒、運動不足といった生活習慣があります。発症リスクを下げるためには、日常的に生活習慣を見直し、定期的な健診を受けることが大切です。

なお、アテローム血栓性脳梗塞は、日中の活動時だけでなく、安静にしている睡眠中などにも発症する可能性があります。思い当たる症状がある場合は、できるだけ早めに医療機関を受診しましょう。

心原性脳塞栓症

アテローム血栓性脳梗塞と同じようなメカニズムで起こるものに、心原性脳塞栓症があります。

心原性脳塞栓症は心臓でできた血栓が血流に乗って移動し、脳の動脈で詰まることで起こるものです。

心原性脳塞栓症は、心臓でできた血栓が原因となるため、急激に広い範囲で脳梗塞が起こることが特徴です。

60歳以上の方で発症しやすく、脳梗塞の15~20%はこの心原性脳塞栓症だと言われています。重症化しやすいため、危険度の高い脳梗塞として知られています。

血栓による病気に関しては、こちらの記事もご覧ください。

症状と早期発見の可能性

アテローム血栓性脳梗塞を発症した方のうち、約20~30%は次のような前兆があらわれるとされています。

  • 顔半分がしびれたり麻痺を起こしたりする
  • 片足を引きずって歩いている
  • ろれつが回らない
  • 片方の目が見えない
  • 経験したことがないような激しい頭痛がする

これらの症状が出ても、24時間以内に改善する場合も少なくありません。これらの症状は一過性脳虚血発作によるものとされており、一時的に脳への血流が悪くなることで、アテローム血栓性脳梗塞の前兆として起きているのです。

症状がなくなるとそのまま治療せず放置される方もいますが、アテローム血栓性塞栓症を発症した方の約10%は意識障害や失禁、片側麻痺などの症状があらわれます。

そのまま重症化するケースもあるため、前兆があった場合は医療機関への速やかな受診が推奨されています。

早期発見・早期治療のために血液検査や脳ドックを受けることも大切です。

その他の脳梗塞

脳梗塞にはほかに、ラクナ梗塞と呼ばれるものもあります。太い血管が詰まるアテローム血栓性脳梗塞とは違い、ラクナ梗塞は細い血管が詰まることで起こるものです。

血管が詰まっても軽い症状しか出ないこともあり、発症に気づかないこともあります。さらに詳しく知りたい方は、こちらを参考にしてみてください。

アテローム血栓性脳梗塞・心原性脳塞栓症の発症の原因

アテローム血栓性脳梗塞が起こる主な原因は動脈硬化です。動脈硬化とは血管の弾力性が失われて狭くなったり、血栓ができて詰まりやすくなったりしている状態をいいます。

動脈硬化を起こす三大危険因子は以下の通りです。

  • 高血圧
  • 脂質異常症
  • 糖尿病

いわゆる生活習慣病と言われるものが動脈硬化を引き起こす原因となります。特に高血圧や糖尿病はアテローム血栓性脳梗塞を発症する要因となりやすいです。

生活習慣病を発症する原因としては、偏った食生活や喫煙、飲酒、運動不足、肥満などが知られています。

心原性脳塞栓症が起こる主な原因は、心房細動や心臓弁膜症、心筋梗塞や心筋症などです。「心原性」と名のつくことから、心臓に関係する疾患が原因になっていることがわかります。

心房細動は心臓が不規則に収縮するもので、心臓弁膜症は心臓の弁が正常に動かなくなるものです。

心筋梗塞は心臓に酸素を送る冠動脈という血管が詰まるものであり、心筋症は心臓そのものの働きが悪くなるものを指します。

生活習慣病の原因、予防についてはこちらの記事もご覧ください。

アテローム血栓性脳梗塞・心原性脳塞栓症の診断に必要な検査

アテローム血栓性脳梗塞や心原性脳塞栓症を診断するためには、MRIを使った検査を行います。MRIは身体に負担をかけることなく脳内の断面図を撮影できる検査です。

血管が詰まっている箇所や、出血している箇所などを確認し、どのタイプの脳梗塞なのかを判断します。

そのほか、頸動脈エコーや心電図、心エコーや血液検査などを行い、ほかの疾患の可能性を除外することも大切です。

MRIについては、こちらの記事もご覧ください。

アテローム血栓性脳梗塞・心原性脳塞栓症の治療方法

アテローム血栓性脳梗塞の治療にあたっては、薬を使う方法がメインとなります。プラークが血管に沈着するのを防ぐために、血栓を溶かす薬を使うことが基本です。

脳梗塞を起こして4~5時間以内であれば血栓を溶かす薬により症状が改善する可能性が示されています。

また、発症直後や再発予防の場面では抗血小板薬が用いられることがあります。

後遺症が残った場合はできるだけ早くリハビリを行います。

心原性脳塞栓症の場合、発症してすぐであれば血栓溶解薬(tPA療法)が使われることがあります。その後は血栓が作られないようにする抗凝固療薬が処方されることがあります。

アテローム血栓性脳梗塞と同様に、後遺症がある場合は速やかにリハビリを行うことが大切です。

アテローム血栓性脳梗塞の後遺症とリハビリ

アテローム血栓性脳梗塞は、脳の血管が血栓によって閉塞されることで発症します。

その結果、脳の一部が損傷し、麻痺、言語障害、視覚障害、認知機能の低下など、様々な後遺症があらわれることがあるため、注意が必要です。

これらの後遺症は、日常生活に大きな影響を与える可能性があります。そのため、後遺症を軽減して、日常生活を送るためには適切なリハビリが重要とされています。

専門スタッフによるリハビリの例は以下の通りです。

リハビリ(例) 内容
身体の動きを改善するトレーニング 筋力トレーニングや関節を動かす練習
日常生活動作の練習 着替え、食事、トイレ動作などを安全に行うための訓練
言葉の理解や発音を助ける訓練 会話の練習、コミュニケーション方法の工夫

このようなリハビリは、症状の程度や発症後の期間によって内容が異なります。

また、家族の協力も重要です。家庭での練習の付き添いや生活環境の調整(段差の解消や手すりの設置など)がリハビリの効果を高めることに寄与します。

定期的に専門家の評価を受けながら、少しずつリハビリに取り組むことで生活の質の向上につながります。

脳梗塞のリハビリの詳細は以下の記事をご覧ください。

急性期、回復期、生活期の3段階がある脳梗塞のリハビリ

脳梗塞のリハビリは大きく3つの段階に分けることができます。それぞれの段階にあったリハビリをしっかりと行うことが大切です。

定期的な検査でアテローム血栓性脳梗塞・心原性脳塞栓症を予防しよう

脳梗塞を引き起こす原因はいくつかあるため、症状が出た場合は原因を確定するために検査を行います。

症状だけでは原因が特定しづらいこともあり、確定診断までに時間がかかってしまうことも少なくありません。

治療をしている途中で何かわかりやすい症状が出れば、原因が特定され、治療方法が切り替わることもあります。

心原性脳塞栓症は前触れがなく突然起こることが多いため、できるだけ早期発見・早期治療を行うことが重要です。

脳梗塞は重症化するケースが多いため、発症を予防するためにも定期的な検査が推奨されます。

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監修医 伊藤 たえ (いとう・たえ)
菅原クリニック東京脳ドック院長
2004年浜松医科大学医学部卒業
脳神経外科学会専門医
脳卒中学会専門医
脳ドック学会認定医

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