2023/01/16 ( 公開日 : 2022/09/06 )

大動脈解離の症状はどんなものがある? 検査、治療、予防法も紹介!(医師監修)

症状
動脈
この記事は約7分で読めます
大動脈は脳、体の臓器、手足に血流を供給するという大切な役割をしています。この大動脈に解離が起きてしまうと大変になることは想像できますが、起こる原因には何があるのでしょうか? また記事の中では大動脈解離の症状、合併症、検査方法、予防方法などについて紹介いたします。
目次

大動脈解離とは?

大動脈解離は高血圧や動脈硬化があると、動脈を構成する内膜、中膜、外膜のうち内膜層に亀裂が入り、血液が中膜層にまで入り込むことで発症します。
急性期には解離した血管壁が薄くなって外側に破裂してしまうと、生命の危険を脅かすことがあります。

また、解離が原因で本来は流れない場所に血流が流れこむことで「偽腔(ぎくう)」という空間が大きくなり、血液の流れを圧迫して臓器血流障害につながります。

心臓周囲に血液が溜まった場合には、心臓タンポナーデという状態になって、血圧が下がってショック状態になることもあります。

大動脈解離の原因

大動脈解離の主要な原因には、動脈硬化が挙げられます。
高血圧の方は動脈に対して、「柔軟性」「弾力」「強度」を損なうダメージをつねに与えています。
動脈はもともとしなやかで弾力性がありますが、長年の高血圧で動脈が硬くなってしまうと、ときに解離を起こします。

ほかにも「高脂血症」「糖尿病」「睡眠時無呼吸症候群」「先天的な遺伝性疾患(マルファン症候群など)」などが原因となることもあります。
これらの病気や症候群を医師から指摘されている方は、特に注意が必要です。

日中の眠気がつらい! 自分では気づかない睡眠中のいびきが原因かも? 睡眠時無呼吸症候群について解説!

「いびきがうるさい」「呼吸が止まってた」などと、誰かから指摘されたことはありますか? いびきをかいている方の中には、睡眠中に無呼吸状態に陥っている方が多くおられます。これは睡眠時無呼吸症候群(SAS)と呼ばれ、体に蓄積的なダメージを与えるものです。この記事の中では、慢性的ないびきが持つ危険性について、詳しくご説明いたします。

大動脈解離の症状

大動脈解離の三病態

① 拡張(膨れる)

大動脈が膨れると、心臓から大動脈に血液を送る弁が広がって、血液が心臓に逆流してしまうことがあります。
また、声帯を動かす神経が血液で膨れ上がったこぶによって圧迫されて、声が掠れる、ものが飲み込みにくくなる、などの症状が出ることがあります。

② 破裂

大動脈が破れることで血管の外に出血すると、心臓をつつんでいる膜の中に出血して心臓のポンプ機能が失われたり、胸腔の中に血液が溜まったりしてショック状態になります。
大動脈の破裂は、急死する可能性も高まるためとても危険です。

特に前触れもなく胸や背中に突然の激痛が起きた際には、迷わず救急車を呼ぶ必要があります

③ 血流障害

偽腔によって枝分かれした血管が塞がれると、各臓器に対して血液の供給がしにくくなります。
すると狭心症、心筋梗塞、脳梗塞、腸管の虚血、腎不全など、体のさまざまな部分に影響が及びます。

狭心症ってどんな病気? 生活習慣を見直すことと、定期的な検査が予防の鍵

食生活の欧米化と高齢化社会にともない狭心症をはじめとした虚血性心疾患の患者数が増加傾向にあります。狭心症では心臓への血液が減ることで、胸の苦しさや動悸などの症状が感じられる方が多いです。この記事では、狭心症についてわかりやすくまとめ、狭心症にまつわる検査や治療について解説していきます。

痛みをずっとがまんするのは危険

解離は患部が広がっていくにつれて、痛みが胸から背中、肩、腹部へと移動することもあります。
痛みをがまんすることで、解離がどんどん大きくなってしまい、胸から腹部へと長い解離が起きることもあります。

異常な痛みが出たら、なるべく早く病院へ向かう必要があります。

表1 解離が起きる部位と症状例
部位 症状
大動脈の基部での解離
(心臓から出てすぐの部位)
基部が拡張するにつれて血液の逆流を防ぐ弁も広がり、血流が逆流する「大動脈弁閉鎖不全症」となる。
心嚢液が溜まると心タンポナーデという状態になり、ショック状態になる。
呼吸困難急性心不全などが起きる。
偽腔が冠動脈を塞ぐ
(心臓に栄養を送る主要な動脈)
胸痛や圧迫感が生じ、狭心症心筋梗塞を併発する可能性が高い。
偽腔が脳動脈への分枝血管を塞ぐ 脳への血流が遮られると意識を失ったり、マヒを起こしたりする(脳梗塞の症状)。
上肢への血流が遮られた際には、左右で血圧に違いが出たり、上肢に冷感が出たりする。
偽腔が腹腔動脈や上・下腸間膜動脈を塞ぐ 腸管への血流が遮られることで腹痛、腰痛、下血(肛門から血液成分が出る)が起こる。
偽腔が前脊髄動脈を塞ぐ 脊髄への血流が遮られて、両側の下肢にまひが出る。
偽腔が腎動脈を塞ぐ 腎臓への血流が遮られて、腎梗塞、腎不全を起こす。

※大動脈解離は前述の通りさまざまな臓器や体の部位に関わるため、ほかにも症状は多岐にわたります。

大動脈解離の検査方法

心エコー検査

超音波を用いて心臓の動きや弁の状態や血管の形状(フラップ)、血流の状態を調べることが可能です。
胸から超音波プローブを当てて、画面に状態を映し出すことができるため、非侵襲的に心臓の状態をリアルタイムに観察できます。

胸部CT検査

胸部CT検査は、胸部X線検査よりも詳しく血管の状態をみることができます。
また造影剤を使用することで、詳細に血管の状態を調べることもできますが、緊急時は単純撮影でも心エコー検査と併用して、解離の有無を診断することが可能です。

▼CT肺・心血管ドックについて詳しく知りたい方はこちら

CT肺・心血管ドックとは

CTスキャンによって胸部の撮影を行い、肺、心臓、血管の状態を詳細に検査できます。レントゲンでは確認しにくい部分も調べることが可能。

MRI検査

電磁波を照射することで鮮明な画像を撮影する検査ですが、急性期には向かない検査です。
慢性期の経過観察には、被爆のリスクもないため施行されることがあります。

大動脈解離の治療方法

大動脈解離は命に関わる病気のため、治療方針が慎重かつ早急に決められます。
基本的に上行大動脈に解離が起きた場合は、外科的な手術が選択されます。
下行大動脈の場合には、降圧治療で様子をみることもありますが、拡張して動脈瘤になると手術が選択されることもあります。

内科的治療

降圧剤の点滴を用いて血圧をコントロールし、解離の進展を防ぎます。
血管内の圧力が高いほど、内膜が引き裂かれる力が増大しますので、血圧は100~120mmHg以下に維持します。

外科的治療

大動脈解離の分類に「スタンフォードA型」と「スタンフォードB型」があります。

「スタンフォードA型」は上行大動脈に解離があるため重篤化しやすく、緊急での手術が必要になります。
解離を起こしている範囲に対して人工血管を使い、置換術をおこないます。

「スタンフォードB型」の場合には、血圧を下げる治療と痛みを和らげる治療をおこないます。
最近では「ステントグラフト内挿術」という、血管内にステントを挿入する治療を行うこともあります。
大動脈解離の程度や動脈瘤の破裂の恐れがある際は人工血管置換術を行うこともあります。

大動脈解離の予防方法

高血圧治療などの生活習慣病対策

大動脈解離は動脈硬化や高血圧が原因となることが多いです。
動脈硬化は生活習慣病である、脂質異常症や糖尿病などが原因であるため、生活習慣を見直すことが重要です。

暴飲暴食、過度な飲酒、喫煙を避けて、食事バランスと睡眠を整えて、適度な運動を心がけましょう。

認知症予防に効果あり! マインド食は持続可能性のある食事を実現

超高齢化社会を迎える日本では、100歳を超える方の数が8万人に達しました。そんな中で今多くの高齢者が気にされている病気のひとつが、認知症でしょう。認知症は加齢とともに誰でもなりえる病気ですが、日々の食生活を改善することで発症確率を下げることができます。今回は認知症予防に役立つ「マインド食」についてご紹介いたします!

ヒートショックに注意する

ヒートショックとは、急激な温度変化で心臓や血管にダメージを与えることです。
特に入浴時の脱衣所やトイレなどで発症する人が多く、好発時期は気温が低い11~2月頃です。

65歳以上の高齢者、高血圧や糖尿病などの基礎疾患がある方、肥満の方などはとくに注意が必要です。
室内の温度差をできるだけなくし、血圧が乱高下しないように心がけましょう。

ヒートショックによる死亡者数は年間どのくらい? 対策についても紹介

毎年11月頃から少しずつ増え始めるのがヒートショックです。ヒートショックは暖かい部屋から寒い場所に行ったり、熱いお湯の中に入ることで、血圧が急激に上下することが原因で起こります。この記事の中では、ヒートショックが起きやすいシチュエーション、引き起こされる疾患、対策方法などについてご紹介いたします。

定期的に検査を受ける

生活習慣病などの基礎疾患を持っている方には、大動脈解離の発症リスクが高いです。
心血管ドックなどで血管の状態を把握することも予防には重要と思われます。

記事についてお気づきの点がございましたら、
編集部までご連絡いただけますと幸いです。

気になる方は、即日予約・受診可能です。
所要時間10分、検査は3分の
「胸部CT肺ドック」

まずは空き枠を確認してみる
監修医 知久 正明 (ちく・まさあき)
メディカルチェックスタジオ東京銀座クリニック院長・医学博士

病気になる前に治すという『未病』を理念に掲げていきます。循環器内科分野では心臓病だけでなく血管病まで診られる最新の医療機器を備えたバスキュラーラボで、『病気より患者さんを診る』を基本として診療しています。

こちらの記事もおすすめ

🚑さまざまな検査の中身を詳しくまとめています🚑

知っておきたい脳ドックの補助金・助成金制度 思っていたよりずっと安く受診できるってほんと?

脳ドック受けてみた! 各種メディアさま スマート脳ドック | 体験レポート

X線(レントゲン)検査とは? 検査の方法、造影剤の使用について解説

📚 知識を増やすことも未病対策のひとつです 📚

こわい/こわくない頭痛とは? 脳梗塞は頭痛を感じないってほんと? 知っておきたい頭痛の分類

立ち上がったときに頭がぐらっとするのはなぜ? 立ちくらみ、脳貧血とは?

動悸・息切れに潜む疾患とは? 失神、吐き気、めまいなどが伴うと危険信号

🥗 食事・運動・睡眠を整えるための情報が満載🥗

話題のオートミールは健康にいいの? 栄養素や種類についても解説!

健康寿命を縮める要因は? 未病ケアが将来の医療費を減らすことにつながる!

生活習慣病の原因は? すぐに実践できる5つの改善方法を紹介いたします!

🧑‍⚕️ インタビューなど耳寄りな情報を掲載! 🧑‍⚕️

健康面でのリスク管理はできていますか? 知久先生にインタビュー

脳ドックを導入するタクシー会社が増加中! 葵交通株式会社さまインタビュー

脳卒中で要介護になると時間・費用はどのくらいかかる? 逸失収入にも注意!

記事を探す