頭部MRI検査とは? 発見できる病気、費用、メリットについて解説!
頭部MRI検査は、頭部の断面図を映像化して画像診断する検査です。脳の異常を低侵襲で早期に発見できる可能性があります。またMRI検査には、CT検査では診断できない細かな異常を見つけられるという特徴があります。大脳白質病変ってなに? 病変の仕組みや、種類・グレードについて解説
白質と灰白質について
灰白質:神経細胞(ニューロン)の細胞体が存在している部位
白質:神経細胞がなく、有髄神経線維ばかりの部位(神経線維とは、情報を伝えるための突起のことです)
MRIで白質・灰白質はどう映る?
MRI(磁気共鳴画像)は、磁石と電波を使って身体の内部を画像化する検査です。放射線を使わないため、脳や身体の構造や異常を安全に調べられます。
白質は、神経の信号を伝える通り道のような部分で、MRI画像では比較的明るく映ります。一方、灰白質は神経細胞が集まる部分で、やや暗く映るのが特徴です。
MRIは大脳白質病変の有無や広がりの評価に用いられ、診療上の判断材料になります。
頭部MRIについては、以下の記事をご覧ください。
大脳白質病変とは?
大脳白質病変とは、脳深部の大脳白質に起こった虚血(血のめぐりが悪くなって、器官が酸素不足になっている)状態のことです。
脳をMRI画像で描出したときに、見つけることができます。加齢によっても起こりますが、変化の程度が年齢平均よりも進行しているときには注意が必要となります。
本人にとっては無症状であることが多いですが、白質病変が増加する(グレードが高くなる)と、認知機能の低下リスクが高くなることが知られています。
また、脳血管疾患の発症リスクが高まることもあわせて知っておきましょう。
認知症については、こちらの記事もご覧ください。
病変の仕組み
虚血には高血圧が関連しています。高血圧の状態が長い間続くと、白質に張りめぐらされている脳の細い動脈が硬化するからです。
細い動脈が伸びたり縮んだりすることをやめると、その周囲の細胞は酸素が足りない状態になり、次第に弱っていきます。
その結果として、血管から水分が漏れ出て、MRIで検査した画像を見たときに白いまだら状の模様が映し出されます。
大脳白質病変の種類とグレードについて
大脳白質病変は大きく分けて2種類あります。
- 脳室周囲白質病変(PVH)
- 深部皮質下白質病変(DSWMH)
どちらも、病変なしの「グレード0」から重度は「グレード4」まで5段階で評価されます。
「グレード1」から「グレード3」にかけては、病気に向かっている「未病」と呼ばれる状態です。
この未病の期間に高血圧管理や生活習慣管理を行うことが、症状を「グレード4」へ進行させないためには重要です。
脳室周囲白質病変(PVH)

脳室周囲白質病変(PVH)は、目標を決め、計画を作り、効果的に行動をするときに使う「遂行機能」の低下に関連していると言われています。
深部皮質下白質病変(DSWMH)

深部皮質下白質病変(DSWMH)は、理解、判断、論理などの認知機能の低下に関連していると言われています。
症状
大脳白質病変は、自分では異変を感じることがない場合が多いです。ただ、自分の動作を遅く感じたり、抑うつ的な気分が長く続いたりするなど、身体に違和感を覚える方もいます。
大脳白質病変は加齢とともに自然となるものですが、過度に進行すると脳梗塞の要因になります。
もし大脳白質病変が見つかって「経過観察が必要」と言われたら、脳ドックを定期的に受診することをおすすめします。
大脳白質病変は認知症や脳卒中の前兆?
大脳白質病変は脳の白質部分に起きる異常であり、脳卒中や認知症のリスクを高める可能性があるため、注意が必要です。
動脈硬化や高血圧は、大脳白質病変と関与するとされており、微小な血管の損傷が進行することで脳梗塞や脳出血などが発生しやすくなります。
大脳白質病変は、慢性的な血流低下などとの関連が指摘され、認知機能の低下に関与する可能性が示されています。
アルツハイマー型認知症は脳内物質の老廃物の蓄積などが関与するとされ、大脳白質の変化がみられることが報告されています。
また、脳卒中にも関与するため、脳血管性認知症(※)のリスクを高める要因となることがあります。
しかし、大脳白質病変があるからといって必ずしも認知症や脳卒中を発症するわけではありません。
自覚症状がない場合もあるため、必要に応じて健診や医師への相談が推奨されています。
※脳血管性認知症:脳梗塞や脳出血などの脳血管障害が原因で起こる認知症。
診断と治療
診断
大脳白質病変は、脳ドック(MRI・MRA検査)を受診した際に見つけることが可能です。
MRI検査では脳実質を調べるので、大脳白質病変だけでなく、脳梗塞・脳腫瘍・脳微小出血などの有無についても確認することができます。
またMRA検査では、脳と首の血管の状態を調べて、詰まり具合(狭窄)や動脈瘤の有無などを確認できます。
脳ドックについて詳しく知りたい方はこちら
治療
大脳白質病変はもとの状態に戻りにくいとされるため、生活の見直しにより進行の抑制を図るケースが多いです。血圧が高い場合には、動脈硬化に関係した疾患(高血圧・糖尿病・高脂血症)を進行させないように、生活習慣の見直しが基本的な対処法となりますが、医師の判断で食事療法や薬物治療が検討されることもあります。
生活習慣については、こちらの記事もご覧ください。
大脳白質病変は治る? 改善・予防のためにできること
大脳白質病変は完治が難しいとされますが、進行抑制を目指す取り組みが検討されます。

生活習慣病の予防
大脳白質病変は、高血圧、糖尿病、慢性腎臓病がきっかけとなると考えられています。
大脳白質病変を予防するためには、以下のような取り組みを行い、生活習慣病に注意することが大切です。
- 適度な運動を取り入れる
- 規則正しい生活リズムを保つ
- バランスの取れた食事を心がける
有酸素運動や筋力トレーニングは血流や体調の維持に役立つとされています。
また、食事は減塩を基本とし、カリウム、食物繊維、マグネシウムを多く含む食品を積極的にとりましょう。
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」によると、塩分摂取の1日の目安量は男性7.5g、女性6.5gとされています。
ストレスをためない
ストレス管理も大切です。ストレスは血管を収縮させ、結果として脳の血流を妨げると言われています。
以下のように、リラクゼーションや趣味の時間を持つなど、ストレス対策を行いましょう。
- 好きな音楽を聴く
- 趣味の時間を楽しむ
- 家族や友人と会話をする
- 軽い運動やストレッチをする
- ゆっくり入浴してリラックスする
さらに、日常的に深呼吸や瞑想を行うと、ストレスホルモンの分泌が減り、リラックス効果が得られるとされています。
ストレスによる脳への影響については以下の記事をご覧ください。
ストレスで脳が萎縮するって本当? そのメカニズムと幸せホルモン「セロトニン」について解説
ストレスは心だけでなく体にもさまざまな影響をもたらします。ストレスで胃やお腹が痛くなってしまうことはよく知られていますが、実は脳が萎縮することもわかっているのです。では、脳が萎縮すると具体的にどのような影響があるのでしょうか。今回はストレスが脳に与える影響や幸せホルモンと呼ばれるセロトニンを増やす方法などを紹介します。
医療機関を受診する
医師の指導のもと、適切な薬物治療を行うことも大切です。
高血圧や脂質の管理は、大脳白質病変の進行抑制に役立つ可能性があるとされています。脳血管を良い状態に保つことで、新たな病変の予防につながるでしょう。
また、定期的な健診を受けることが推奨されています。年齢に応じた検査は、異常の早期発見につながり、大脳白質病変に対する適切な対策がとりやすくなります。
まとめ

大脳白質病変は年齢の割に症状が早く進行していると、後々重大な脳疾患につながる可能性があります。
生活習慣の乱れは、脳の異常をどんどん加速させていきますので、運動・食事・睡眠などの状況を見直して、脳疾患リスクを高めないように心がけることが大切です。
編集部までご連絡いただけますと幸いです。
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2004年浜松医科大学医学部卒業
脳神経外科学会専門医
脳卒中学会専門医
脳ドック学会認定医