膵臓がんの初期症状は?検査の方法と早期発見のポイント
日本では1年間に約4万人が新たに膵臓がんと診断されます。膵臓がんは早期に発見されれば比較的高い5年生存率が期待できますが、実際には早期発見が難しいため初期から進行期までの膵臓がん全体の5年生存率は約10%と他のがんと比べて低いことが知られています。 膵臓がんを初期のステージIまでの段階で発見するためにさまざまな診断の工夫が国内外で行われています。<br /> <br /> この記事では、膵臓がんの初期症状、検査、早期発見のポイントについて解説します。ぜひ参考にしてください。膵臓がん検査の重要性を理解しよう!検査方法とタイミング
進行も早く、国立がん研究センターの統計によると、膵臓がんの5年生存率は全がんの中で最も低い12.1%とされています。
本記事では、膵臓がんはなぜ見つかりにくいのか、どんな検査があるのか、どんな人が検査を受けるべきかをわかりやすく解説します。「自分が検査を受けるべきなのか」がわかる内容となっていますので、ぜひ最後までご覧ください。
膵臓がんとは? 早期発見が難しい理由3つ
膵(すい)臓は、胃の裏側にある長さ15cmほどの細長い臓器で、主に2つの機能を担っています。
| 外分泌機能 | 消化液(膵液)を分泌して食べ物の消化を助ける |
|---|---|
| 内分泌機能 | インスリンなどのホルモンを分泌して血糖値をコントロールする |
膵臓にできる悪性腫瘍を膵臓がんと呼びます。膵臓がんが他のがんに比べて早期発見が難しい主な理由は、次の3つです。
- ① 深部に位置し、見つけにくいから
- ② 初期症状が現れにくいから
- ③ 進行が速く、周囲へ広がりやすいから
それぞれの理由を知ると、膵臓がんの検査の重要性が分かります。順番に見ていきましょう。
深部に位置し、見つけにくいから
膵臓は、胃の裏側、十二指腸や大腸、肝臓、脾臓などの奥に位置している臓器です。 他の臓器に隠れているため、健康診断で行われる腹部超音波検査では、膵臓全体をはっきり確認できないケースがあります。
さらに、お腹にガスがたまりやすい方や、肥満体型の方は、画像がぼやけやすくなり、検査の精度が下がることがあります。
初期症状が現れにくいから
膵臓がんは初期のうちに症状が出ないことが多く、気づいた時には進行しているケースも少なくありません。膵臓がんの代表的な症状は、以下の通りです。
- 食欲不振
- 体重減少
- 腹部の違和感
- 背中の鈍い痛み
- 急な糖尿病の発症
- 皮膚や白目が黄色くなる
これらの症状は胃腸炎や筋肉痛、ストレス、生活習慣の変化などでも見られるため、「まさか膵臓がんとは思わない」ことも、発見が遅れる要因となっています。
膵臓がんの初期症状については、以下の記事でも解説しています。詳細が気になる方はそちらもご覧ください。
進行が速く、周囲へ広がりやすいから
膵臓がんは進行が速く、早期から血管やリンパ管を通じて他の臓器に広がりやすいと言われています。膵臓の周りには太い血管が集まっており、がんが血管まで及ぶと、手術が難しくなるケースがあります。
膵臓がんの発見が遅れると、治療の選択肢が限られ、見つかった時点ですでに手遅れとなっていることも少なくありません。実際に、国立がん研究センターの統計によると、膵臓がんの5年生存率は全がんの中で最も低い12.1%であり、予後が悪いとされています。
膵臓がんを確実に予防する方法はまだ見つかっていません。そのため、早期発見がとても重要です。早い段階で見つけることができれば、治療の選択肢も広がり、予後の改善にもつながるためです。健康を意識して、症状が出る前から検査を定期的に受けておきましょう。
膵臓がん検査の種類と特徴
ここからは、膵臓がん早期発見に役立つ主な検査方法を紹介します。
- 血液検査(血中酵素・腫瘍マーカー)
- 画像診断(CT、MRI、超音波)
- 内視鏡検査
- 最新の検査技術
膵臓がんを早期発見するためには、検査の種類を正しく理解しておくことが大切です。それぞれ順番に見ていきましょう。
血液検査(血中酵素・腫瘍マーカー)
血液検査では、腫瘍マーカー(CA19-9、CEAなど)や膵酵素(アミラーゼ、リパーゼなど)を測定し、膵臓に異常がないかを調べます。血液検査の主な項目と特徴は以下の通りです。
| 検査項目名 | 種類 | 目的・特徴 |
CA19-9 |
腫瘍マーカー | 膵臓がんで高値を示すことが多い |
CEA |
腫瘍マーカー | 大腸がん、膵臓がんなどで上昇する |
アミラーゼ |
膵酵素 | 膵炎、膵管閉塞などで高値を示す |
リパーゼ |
膵酵素 | アミラーゼより膵特異性が高い |
|
血糖 |
糖代謝関連 | 膵臓がんの発症や進行によって糖尿病を引き起こすことがある |
CA19-9は膵臓がんと関係が深いとされており、がんがあると数値が高くなることがあります。ただし、膵炎やほかのがんでも上昇することがあるため、これだけで「膵臓がんである」と、判断はできません。膵臓がんの有無は、CTやMRIなどの画像検査とあわせて、総合的に判断されます。
画像診断(CT・MRI・超音波)

画像検査は、膵臓がんの位置や大きさ、他の臓器への広がりを把握する上で欠かせません。画像検査の種類や特徴は以下の通りです。
| CT検査 | X線にて身体の断面を撮影するもので、腫瘍の位置や広がりの把握に優れている |
|---|---|
| MRI検査 | 磁気を使い、軟部組織や膵管の状態を詳しく確認できる |
| 超音波検査(エコー) | 体外から超音波を当て、臓器の様子をリアルタイムで観察できる |
以下に、画像検査のメリット、デメリットをまとめています。
| 検査名 | メリット | デメリット |
CT検査 |
|
|
MRI検査 |
|
|
超音波検査(エコー) |
|
|
画像検査については別の記事でも解説しています。詳細が気になる方はぜひそちらもご覧ください。
CTとMRIの違いとは? 発見できる疾患などそれぞれの特徴を解説
画像検査といえば、多くの方になじみが深いレントゲン検査がまず挙げられます。レントゲンの他にも体内の状態を見ることができる画像検査としては超音波検査、CT、MRI、核医学検査などがありますが、それぞれ特性が異なります。この記事ではCT検査とMRI検査に焦点をあて、それぞれの特徴を解説します。
内視鏡検査(EUS、ERCP)
内視鏡による検査は、膵臓や胆道系をより詳しく観察するために行われます。
内視鏡検査には「EUS(超音波内視鏡検査)」と「ERCP(内視鏡的逆行性膵胆管造影)」の2種類があります。それぞれの役割と特徴は以下の通りです。
-
EUS(超音波内視鏡検査)
超音波装置を備えた内視鏡を口から挿入し、胃や十二指腸の壁を通して膵臓や胆管を観察する検査です。腹部の外から行う超音波検査よりも、臓器に近い位置から詳しく見られるため、小さな病変も見つけやすいのが特徴です。 -
ERCP(内視鏡的逆行性膵胆管造影)
内視鏡を使って十二指腸から胆管、膵管に造影剤を注入し、X線で詳しく観察する検査です。検査だけでなく、その場でステントを入れたり、細胞の採取(生検)を行ったりと、診断と治療の両方に使われます。ただし、身体への負担がやや大きく、膵炎をはじめとした合併症を起こすリスクがあるため、医師の判断のもと慎重に行われます。
EUSは、一部の人間ドックでオプション検査として受けられる場合もありますが、ERCPは診断や治療を目的とした専門的な検査であり、通常の健診では行われません。気になる症状がある場合や、医師から勧められた際は、これらの検査も含めて早めに相談してみましょう。
最新の検査技術
膵臓がんの早期発見が難しいとされる中、近年ではAI技術やマイクロRNAを用いた血液検査など、先進的な検査手法も注目されています。
-
AIを活用した画像診断支援
CTやMRIの画像データをAIが解析し、微細な病変まで検出できる技術です。造影剤を使わないCT検査の結果から膵臓がんのリスクを推定するAIモデルが開発されるなど、健診やスクリーニングへの応用が期待されています。 -
マイクロRNAを用いた血液検査
マイクロRNAは、遺伝子の一部として働く小さなRNA分子です。がんが体内にできると、マイクロRNAの量や種類に特徴的な変化が現われることがわかっています。この性質を生かして、腫瘍マーカーのように血液から膵臓がんの有無を調べる新たな検査法として研究が進められています。
なお、これらの技術は現時点で研究段階のため、標準的な検査法としてはまだ確立されていません。
検査を受けるべき人とは? リスク要因と受診の目安
膵臓がんは、早期発見が難しいがんの1つです。ここからは、膵臓がんのリスクが高くなる3つの要因を解説します。
- 家族に膵臓がんの患者がいる
- 喫煙や糖尿病など、生活習慣に不安がある
- 膵炎など、過去に膵臓の病気を患ったことがある
発症リスクが高い方は、定期的に検査を受けることが大切です。自分が当てはまるかどうかを確認し、必要に応じて検査を検討しましょう。
家族に膵臓がんの患者がいる

膵臓がんは、家族歴(家族に既往歴がある)があると、発症リスクが高まると言われています。特に、血縁者の2人以上に膵臓がんの既往がある場合は「家族性膵臓がん(FPC)」とされ、それ以外の方と比べて、リスクが数倍にのぼると報告されています。
家族歴がある場合は医師に相談し、自分のリスクを把握した上で適切な検査を受けましょう。
喫煙や糖尿病など、生活習慣に不安がある
膵臓がんのリスクは、生活習慣とも深く関係しています。以下のような習慣や体質を持つ方は、特に注意が必要です。
| リスク因子 | 特徴 |
喫煙 |
非喫煙者に比べて、リスクは男性で約1.59倍、女性で約1.81倍に上昇※ |
過度の飲酒 |
膵炎を引き起こし、がんのリスクを高める可能性あり |
肥満(特に内臓脂肪型) |
脂肪の蓄積により慢性的な炎症が起きやすい |
糖尿病 |
特に2型糖尿病や新たに診断された糖尿病は関連が強い |
※出典:国立がん研究センター「喫煙と膵臓がんリスク」
これらに該当する場合は、放置せず早めに医師に相談し、必要な検査を受けましょう。
膵炎など、過去に膵臓の病気を患ったことがある
過去に急性膵炎や慢性膵炎など膵臓の疾患を経験している方は、膵臓がんの発症リスクが高まると言われています。膵炎による炎症は膵臓の組織にダメージを与え、長期間にわたってがん細胞の発生リスクを高めるのです。
これらの既往歴がある方は、健診だけでなく、画像検査(超音波、CT、MRIなど)や腫瘍マーカーの測定など、膵臓がんに特化した精密検査を検討しましょう。医師と相談しながら継続的に検査を受けることで、万が一がんが発生しても早期発見につながります。
検査を受ける際の流れと注意点
ここでは、初めて検査を受ける方でも安心して臨めるよう、検査の流れと注意すべきポイントを3つのステップで紹介します。
| ステップ | 内容 | 注意点 |
1.受診前の準備 |
検査の予約、持ち物の確認、食事制限の有無の確認 | 一部の検査は絶食や薬の制限が必要です。検査前日までに案内をよく読みましょう。 |
2.検査当日 |
受付後に問診や着替えを行い、検査を実施 | 検査内容によって所要時間や身体への負担が異なります。緊張せず医療スタッフの指示に従いましょう。 |
3.検査後のフォローアップ |
結果の確認、必要があれば追加検査や経過観察 | 結果に応じて定期的な検査が必要になる場合もあります。医師と今後の方針を検討しましょう。 |
予約時に紹介状が必要なケースもあるため、受診前は必ず医療機関の案内を確認しておきましょう。検査内容によっては事前の食事制限や服薬制限があるため、予約時に注意事項も確認しておくとスムーズです。
膵臓がん検査の費用と保険適用について
膵臓がんの検査を受ける際に、気になるのが費用についてではないでしょうか。検査には健康保険が適用される保険診療と、任意で受ける自費診療(人間ドックやがん検診)があり、費用が大きく異なります。
ここからは、代表的な検査ごとの費用の目安と、保険適用の有無、自己負担額について見ていきましょう。
保険診療の点数と自己負担額の目安
保険診療は医師が診察したうえで「必要」と判断した場合に限り適用されます。保険が適用されると、保険点数に基づいて費用が計算され、患者の自己負担は原則3割(年齢や所得により異なる)となります。
以下は、保険診療で行われる主な検査とその点数、3割負担時のおおよその自己負担額です。
| 検査項目 | 診療報酬点数(目安) | 自己負担額(3割負担時) |
血液検査(腫瘍マーカー) |
100〜200点/項目 | 約300〜600円 |
腹部超音波(エコー) |
530点 | 約1,590円 |
CT検査(単純) |
560〜1,020点 | 約1,680〜3,060円 |
CT検査(造影) |
1,060〜1,520点 | 約3,180〜4,560円 |
MRI検査(非造影) |
900〜1,620点 | 約2,700〜4,860円 |
MRI検査(造影) |
1,150〜1,870点 | 約3,450〜5,610円 |
EUS(超音波内視鏡検査) |
4,800点 | 約14,400円 |
ERCP(内視鏡的膵胆管造影) |
4,540点以上 | 約13,620円〜 |
※点数は診療報酬(医療費の基準)をもとに計算されており、1点=10円で算出
※点数は目安であり、施設・診療報酬改定により変動する可能性がある
※初診料や技術料、指導料などが別途加算される場合もある
自費診療(膵臓がん検診)の費用相場
自費診療(膵臓がん検診)は、検査内容や実施する医療機関によって費用に大きな差があります。
例えば、大学病院や健診専門施設では、血液検査(腫瘍マーカー)、腹部超音波、CT、MRIなどを組み合わせた検査セットが提供されており、費用はおおよそ5万円から10万円を超えるケースもあるのです。
特に、EUS(超音波内視鏡検査)など専門性の高い検査が含まれる場合は、費用が高額になる傾向があります。自費診療では、検査の実施条件や結果の受け取り方法、追加検査の有無などが医療機関によって異なります。受診前に必ず検査内容、費用、必要書類などを電話や公式サイトで確認しましょう。
なお、スマートドックでは29,700円(税込)から、すい臓がんドックの予約が可能です。詳しい検査内容が気になる方は以下から確認してみてください。
まとめ:早期発見のためにも定期的な検査を
膵臓がんは、自覚症状が出にくく、身体の奥深くに位置するため、検査でも発見しにくいのが特徴です。進行も速いため、見つかった時には手遅れになっているケースも少なくありません。
大切なのは定期的な血液検査や画像検査(CT、MRI、超音波)で早期に病気を発見することです。膵臓がんを初期の段階で見つけることができれば、治療の可能性は大きく高まります。家族歴がある方や、糖尿病、喫煙などのリスクがある方はもちろん、「体調の変化が続く」と感じる方も、放置せず検査を受けてみましょう。
編集部までご連絡いただけますと幸いです。
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