2022/12/01 ( 公開日 : 2022/02/16 )

血糖値を下げるには? 血糖値の基本と明日から実践できる食事・運動のコツ

検査
血液 血糖値
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血糖値は食事や運動などの影響を受けて、上下します。通常は大きく変動することはなく、一定の範囲内に保たれていますが、調節がうまくいかないと低血糖や高血糖になり、高値が続くと糖尿病を発症することもあります。今回は血糖値が異常になることのリスクや、下げる方法などを見ていきましょう。
目次

血糖値とは?

血糖値とは、血液中に含まれているブドウ糖の濃度のことです。
糖尿病になって血糖値が高い状態がずっと放置されていると、網膜症、神経障害、腎障害などが起こりやすくなるため、健康診断や人間ドックでは血糖値が測定されます。

正常値の範囲を保つメカニズム

一定の範囲内で血糖値が上下しているのは、さまざまなホルモンの働きによるものです。

血糖値を下げるホルモンはインスリンしかありません
インスリンはすい臓で作られるホルモンで、その働きによってブドウ糖が筋肉などへ送り込まれ、エネルギーとして利用されます。

血糖値を上げるホルモンとしてはグルカゴンやアドレナリン、コルチゾールや成長ホルモン、甲状腺ホルモンなどが代表的です。
普段は血糖値を下げるホルモンと上げるホルモンとがバランスよく働いているため、大幅に下がりすぎたり上がりすぎたりせず正常範囲内で変動しています。

血糖の働き

食事をすると、炭水化物が分解されて成分のひとつである「ブドウ糖」が吸収されると肝臓から血液に放出されて、血糖値が上がります。
その後、血糖値が上がったことが感知されると、膵臓からインスリンが分泌されて血糖値を下げるように働きます。

また、運動などのエネルギー消失により、血糖値が低下するとグルカゴンなどが血糖値を上げて一定に保ちます。これを恒常性血糖維持機構といいます。

細胞に取り込まれたブドウ糖はエネルギー源として利用されることが特徴です。
過剰なブドウ糖はグリコーゲンや中性脂肪に変換され、肝臓や筋肉に蓄えられます。

血糖値の正常値範囲

血糖値は、食後と空腹時で正常範囲の値が違うことが特徴です。
食後は摂取した食べ物に含まれるブドウ糖が血液中に移行するため、血糖値が高くなりやすいです。

食後の正常値範囲

食後から2時間が経過した時点で血糖値が140 mg/dLを下回っていれば正常です。
140mg/dL以上になると、食後高血糖と見なされます。
すい臓から分泌されるインスリンの量が少なかったり、分泌されるまでに時間がかかったりすると、血糖値が十分に下がりません。そのため、高血糖の状態となってしまうのです。
もし食後のみ一時的に血糖値が140 mg/dL以上になる場合は、「隠れ糖尿病」ともいわれる血糖値スパイクを起こしているかもしれません。

空腹時の正常値範囲

空腹時の血糖値は、70-110mg/dLが目安となります。
ただし、100-109mg/dlは糖尿病予備軍の可能性もあるため、注意が必要です。

通常は食事が終わって2時間以上経つと、血糖値は70-110mg/dLに戻ります。

異常血糖値が引き起こすリスク

高血糖の状態がつづくと、細胞から活性酸素が発生します。
活性酸素は細胞を傷つける働きがあるため、神経、腎臓、網膜などが障害されることが特徴です。

このほか、脳梗塞や心筋梗塞のリスクが高まることも知られています。

糖尿病の基準値と検査方法

糖尿病と診断する方法には、主に4つあります。

① ヘモグロビンA1c(HbA1c)

過去1~2か月の血糖値の状態を表す指標です。6.0%以上になると糖尿病の可能性が高くなります。
6.5%以上だと糖尿病が強く疑われる状態です。

② 早朝空腹時血糖値

8時間以上絶食した後、早朝に血糖値を測定します。110mg/dL未満なら正常です。110~126mg/dLは、糖尿病の可能性が疑われる境界値と言われています。
126mg/dL以上になると、糖尿病の可能性が高いでしょう。

③ 75g経口ブドウ糖負荷試験(75gOGTT)

ブドウ糖が入ったサイダーのようなものを飲み、飲み終わった30分後と60分後、120分後に血糖値の測定をします。
2時間後の値が200mg/dL以上の場合は糖尿病が疑われます。

④ 随時血糖値

食事の時間に関係なく採血を行い、血糖値を測定する検査です。
200mg/dL以上の場合に糖尿病が疑われます。

血糖値のコントロール目標

日本糖尿病学会では、ヘモグロビンA1cの値を次のようにコントロールするよう目標値が設定されています。

  • 低血糖などの副作用で治療を強化できない場合:8.0%未満
  • 神経障害や網膜症などの合併症を予防したい場合:7.0%未満
  • 血糖値の正常化を目指す場合:6.0%未満

ヘモグロビンA1cは6.0%未満が正常値です。
そのため、基本的には6.0%未満を目指すことになりますが、状況に応じて目標値が変化します。

高齢者の場合は普段使用している薬や健康状態なども加味する必要があります。

血糖値を下げる方法

健康診断などで血糖値が高いと言われたことはないでしょうか?
血糖値は身体の健康状態を知る項目のひとつでもあるので、血糖値をコントロールすることも大切です。
血糖値の状態によっては、糖尿病などのリスクも高くなってしまいます。
改善する方法として食事と運動について解説していきます。

食事

糖尿病のリスクが高い方は、食生活や運動など生活習慣を改めることが第一です。簡単にできる血糖値対策としては、食べ方に気をつけることが挙げられます。
早食いを避けたり、血糖値が上がりやすい炭水化物は食事の後半で食べるなどの工夫をして、血糖値の急上昇を防ぐよう心がけましょう。

食物繊維には急激な血糖値の上昇を抑える効果もあるため、野菜を多めに食べることも効果的です。お菓子やブドウ糖が沢山入った飲料など糖質が多いものは、とり過ぎないように気をつけましょう。


運動

運動をすることによって、血中のブドウ糖が細胞の中に取り込まれて血糖値が下がります。
継続的に運動をすることで血中のブドウ糖の量を調整するインスリンが効きやすい体質へと変わっていきます。
運動には大きくわけて「有酸素運動」と「レジスタンス運動(筋トレ)」の2つにわけられます。

有酸素運動はウォーキングやジョギングなどの大きい筋肉を使って行う全身運動のことで、
筋肉への血流が増えるとブドウ糖が細胞の中に取り込まれて、インスリンの効果が高まり血糖値が低下します。

レジスタンス運動(筋トレ)は、腹筋やスクワットなど筋肉に負荷をかけて筋肉を増やす運動のことです。
筋肉が増えることにより基礎代謝量が上がり、からだのエネルギー消費量が増えて、インスリン効果が高まり血糖値は下がりやすくなります。

また、運動するタイミングとしては、血糖値が急上昇すると言われている食後の1~2時間以内に軽い運動をすることで、血液中のブドウ糖が大量に消費され血糖値の上昇を抑える効果があります。

糖尿病と診断されてしまった場合

糖尿病と診断された場合は、専門家による食事管理や指導が行われます。
状態によっては血糖値をコントロールする飲み薬やインスリン製剤が使われることもあるでしょう。

治療については専門医の指示に従って行うことが大切です。

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編集部までご連絡いただけますと幸いです。

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監修医 知久 正明 (ちく・まさあき)
メディカルチェックスタジオ東京銀座クリニック院長・医学博士

病気になる前に治すという『未病』を理念に掲げていきます。循環器内科分野では心臓病だけでなく血管病まで診られる最新の医療機器を備えたバスキュラーラボで、『病気より患者さんを診る』を基本として診療しています。

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