脳ドックにかかる費用は? 保険適用できる? 自由診療と保険診療の違いも解説

2023/01/20
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40歳を越えると脳卒中のリスクが徐々に高くなるため、40代の方でまだ脳ドックを受けたことがない人は注意が必要です。特に高血圧や喫煙習慣、飲酒習慣、生活習慣に心配のある人はリスクがさらに高くなる可能性があるため、一度脳ドックを受けることをオススメします。この記事では、脳ドックの費用の目安はどれくらいか、保険適用されるかどうかについて解説していきます。
目次

脳ドックの費用相場

日本の診療方法は、保険診療自由診療の2つがあります。
脳ドックは、健康状態で行う予防的な検査になるため、保険診療は適用外となり全額自費負担の自由診療となります。

医療機関の多くは複数の検査を組み合わせた「プラン」を作っており、検査する項目によって費用の総額は大きく変わります。例えば「認知症の検査+脳のCTやMRI」などです。

検査の使用する機材が最新かつハイスペックであれば、より費用は高くなる傾向にあります。

脳ドックで行う基本の検査と費用相場

脳ドックで検査する主な項目は、脳の断面を撮影するMRI、脳血管を撮影するMRA、脳に血液を送る首の血管「頸動脈」を超音波で画像を映し出す頸動脈エコーになります。

MRIとCTはそれぞれ種類がありますが脳梗塞・脳出血・脳腫瘍・脳動脈瘤などの発見にはMRIが役立ちます。

表1 脳ドックの基本相場
検査項目 費用
MRI/MRA 30,000~70,000円
頸動脈エコー 3,000~6,000円
CT 20,000~40,000円
眼科検査 3,000~6,000円

CTを除く基本的な3つの項目であれば、合計2.5万円~3.5万円前後が相場となります。

オプションで行う検査と費用の相場

脳ドックとは別に、オプションとして行うことができる検査があります

表2 脳ドックオプション検査の基本相場
検査項目 費用
心電図検査(短時間の心電図のみ) 2,000~3,000円
ABI検査 1,000~2,000円
認知機能検査 5,000~8,000円
腫瘍マーカー検査 1種類につき2,000~3,000円

※ABI検査:足首と上腕の血圧比を計測することで、動脈の閉塞などを検査することが可能

病院やクリニックによって、オプション検査の種類の豊富さは異なります。
豊富であっても、一つひとつの検査の値段はそれほど差はない印象です。

脳ドック費用を少しでも抑えるには?

脳ドックを受ける際の費用を抑えるためには、いくつかの方法があります。まず、自治体や健康保険組合の補助金や助成金を活用することです。多くの自治体では、住民の健康管理を支援するために脳ドックの費用を助成しています。住んでいる地域の役所や健康保険組合のサービスを確認してみましょう。

会社の検診補助制度の確認も重要です。一部の企業では、従業員の健康管理のために脳ドックの費用を補助する制度を設けています。この制度を利用すれば自己負担額を減らせます。会社の担当者に問い合わせてみましょう。

民間医療保険の検査補助特約の有無も確認してみてください。多くの民間保険会社では、健康診断や脳ドックに対する費用補助特約を提供しています。加入している保険の内容を確認してみましょう。

脳ドックと同様の検査が保険適用となるケース

脳脳ドックと同じ内容の検査を保険適用で行える場合があります。これは、脳ドック自体が保険適用になるわけではなく、何らかの症状が出ていた場合、医師の診察を受け検査が必要となったときに、保険診療で検査ができるという意味です。

保険適用の場合は医師が必要と判断した検査しかできないため、自身で検査内容を選ぶことはできません
個人によって自己負担が1割~3割と異なるため、確認が必要になります。

何も症状が出ておらず、「念のために受診する」「予防のために受診する」といった場合は保険適用外での検査となるので注意が必要です。

ケース1 脳ドックで異常が見つかり精密検査を行う場合

脳ドックで脳梗塞の疑いがある箇所が発見され、脳梗塞の詳しい検査や治療が必要となり、
医師の指示でMRIやCT、MRAなどの検査を行った場合、検査費用は保険適用です。

脳梗塞に限らず他の脳の異常が見つかった場合でも同様に保険適用です。

ケース2 頭痛やしびれなどの診察時に脳に異常がないかを調べる場合

頭痛や手足のしびれなど脳疾患に起因する症状があって検査を希望した場合、保険適用となります。

ただし、すでに手足のしびれやまひ、話しにくさ、真っすぐ歩けないなど何らかの症状が出ている場合は、脳ドックではなく病院で検査を受けましょう。

保険適用の場合の費用相場

保険診療での検査では、自己負担金額は通常3割です。
しかし年齢や年収で自己負担が次のように変化します。

  • 70歳~75歳未満は2割
  • 75歳以上は1割
  • 年収が370万以上であれば3割のまま
  • 住民税課税標準額が145万円未満の後期高齢者医療制度の被保険者であれば1割
表3 各検査の保険適用時の費用相場
検査項目 3割負担 1割負担
MRI 5,000~20,000円 2,500~6,000円
CT 6,000~13,000円 2,000~4,000円
心電図 600~1,000円 200~300円
睡眠時無呼吸症候群(簡易) 1,000~3,000円 800~1,000円
各種超音波検査 1,000~2,500円 300~750円

検査を受ける際、自治体や勤めている会社によって補助金が出る場合もあるため一度確認をしてみてください。

脳ドックで見つかる病気と早期発見の重要性

脳ドックでは、脳動脈瘤、脳梗塞、脳内出血などを発見できます。脳動脈瘤は脳血管の枝分かれ部分に血流負荷がかかり、血管の壁が弱くなったことで、血管の壁が風船のように膨らんだ状態で、放置すると破裂してくも膜下出血を引き起こす危険性があります。

脳梗塞は脳の血流が途絶えて脳細胞が損傷し、手足のまひや言語障害などの神経症状を引き起こす病気です。命に関わることもあるため、迅速な治療が求められます。
脳内出血は脳の血管が破れて、脳の実質内に血液が流出し、脳を圧迫することで感覚障害や言語紹介などを引き起こします。

これらの病気は早期発見、早期治療ができれば機能障害を残す可能性を低く抑えられるものの、発見が遅れることで命のリスクを伴います。つまり、早期発見が非常に重要といえるのです。脳の病気の中には、初期段階では症状が表れにくいこともあるため、定期的に脳ドックを受けることで健康な状態を維持しやすくなります。

さらに、脳ドックでの検査は生活習慣の見直しにもつながります。高血圧や高脂血症などのリスク因子が見つかることで、生活習慣を改善するきっかけとなり、病気の予防に役立ちます。

脳ドックは何歳から受けるべきか?

脳ドックを受けるべき年齢について、多くの専門家は40歳を一つの目安としています。以下のような条件に該当する方は、40歳になる前でも受けることをおすすめします。

  • 家族に脳卒中の既往がある
  • 高血圧や糖尿病などの生活習慣病をもっている
  • 喫煙習慣がある
  • 過度の飲酒をしている
  • ストレスの多い生活を送っている

脳ドックは病気の早期発見だけでなく、生活習慣の見直しにも繋がります。40歳以上の方だけでなく、上記の条件に当てはまる方もぜひ一度検討してみてください。

また、定期的な健康診断を受けることも重要です。脳の健康を維持するためには、予防が何より大切です。

予防のためにも脳ドックはおすすめ

脳卒中は早期発見と早期治療で、予後が大きく左右されます。今、健康の方も予防のために脳ドックを受けてみることをおすすめします。



しかし、すでに何か不安な症状がある方は、脳ドックではなくすぐに脳神経外科で医師に診てもらいましょう。
なお、脳ドックは自費診療のため、病院によって紹介した費用と異なることがあるので、あくまで参考にしてください。

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編集部までご連絡いただけますと幸いです。
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監修医 伊藤 たえ (いとう・たえ)
菅原クリニック東京脳ドック院長
2004年浜松医科大学医学部卒業
脳神経外科学会専門医
脳卒中学会専門医
脳ドック学会認定医

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