胸の痛みや息切れが続くときは何科?循環器内科で診る症状とは

2025/09/25
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どんな時に循環器内科を受診すればいいかご存知ですか? この記事では循環器内科でわかる主な疾患、その原因、検査の方法などについて解説します。 生活習慣の影響を大きく受ける心臓と血管の病気についての正しい知識をつけて、もしものときの備えにしましょう。
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目次

循環器内科とは?



循環器内科とは?

私たちの身体には血管が全身に張り巡らされており、その中を血液が循環しています。

循環器内科は主に血液の流れや心臓、血管に関する病気を総合的に診る診療科です。
血液を送るポンプの役割を持つ「心臓」、血液の通り道である「血管」を中心に、それらに影響を及ぼす生活習慣の指導なども含めた、総合的な診療にあたります。

循環器内科で診てもらえる主な疾患と原因



心臓の疾患は、身体の様々な部分の不調が原因となってあらわれます。
循環器内科は心臓や血管の病気を専門とし、心臓や血管の病気の早期発見・早期治療を目指しています。
ここからは、主に循環器内科が担当することの多い病気を説明します。

狭心症

心臓を動かす筋肉に栄養と酸素を送る血管を「冠動脈」といいます。
高血圧や喫煙など様々な原因から動脈硬化を起こし、冠動脈が狭くなって心臓の筋肉が酸欠になってしまうことがあります。
その状態を「狭心症」とよびます。

狭心症では急激な体温の変化によって発作が起こりやすくなります。
風呂上がりの急激な体温低下や、トイレでの冷え、飲酒後に涼むため外気に当たるなどした場合に発作が起こりやすいことが知られています。

高血圧症

安静時の血圧で、上(収縮期)が140mmHg、下(拡張期)が90mmHgを超える状態が「高血圧症」とされています。
原因としては塩分の多い食習慣や喫煙、運動不足、遺伝などが挙げられますが、それぞれに適した治療や改善が必要です。

血圧が常時高い状態では血液が血管内を流れる速度が増すため、それだけ血管に傷がつきやすい状態になります。
傷ついた血管は通常は修復されるのですが、その状態が続くと徐々に血管が脆くなり、様々な疾患を引き起こす原因になります。
血管の状態をなるべく良いまま保つためにも、高血圧の改善が重要です。

心筋梗塞

「冠動脈」が詰まって心臓の筋肉が壊死した状態を心筋梗塞といいます。
その原因の多くは、高血圧、脂質異常症、糖尿病などから起こる「動脈硬化」が挙げられます。
俗にいう「悪玉コレステロール値」や「血糖値」の数値が高い場合には、リスクが高まることも知っておきましょう。

発生した部位や範囲によっては、命に関わる重大な病気です。
予防、そして一刻も早い処置が大切な病気といえるでしょう。

肺塞栓症

肺には、全身を巡ってきたヘモグロビンから二酸化炭素を切り離し、呼吸によって得た酸素を血液に結合させる役割があります。
肺動脈に別の血管内でできた血のかたまり(血栓)が飛んできて、血管を塞いでしまった状態が「肺塞栓症」です。

その原因の多くは、足の静脈にできた血栓が血流に乗ってきたものです。
「エコノミークラス症候群」で知られるように、長時間同じ姿勢を続けることで血栓のできるリスクが上昇します。
デスクワークが続いたり、自動車、飛行機などに座り続けたりする状況では、こまめに歩いて水分補給を忘れないようにしましょう。

大動脈解離

血管の壁は3層構造になっていますが、血管が縦方向(流れる方向)に裂けてしまった状態を「解離」とよびます。
血管の内側の壁が裂けると、その部分から血液が流れ込んできて、血管に膨らみができてしまいます。

大動脈という太い血管で起こったものを「大動脈解離」といい、放置すれば命に危険が及びかねません。
原因としては、動脈硬化、高脂血症、糖尿病、喫煙などが挙げられます。

不整脈

心臓は1分間に60回~80回ほどの一定のリズムで動いています。
リズムが遅すぎる、速すぎる、テンポが整っていないなど、心臓の動きに異変がある場合を「不整脈」と呼びます。
不整脈にはたくさんの種類があり、健康な人でも起こる不整脈もあれば、命に関わる深刻な不整脈もあります。

原因についても電気信号の発生や電気信号の伝わり、電解質のバランスなど多岐にわたります。
なぜ不整脈が起こっているかを突き止め、適切な処置を行うことも循環器内科の専門分野です。

循環器内科と内科の違いは?どちらにかかるべき?



循環器内科は心臓や血管に関する専門的な診療を行う内科の一分野です。
動悸や胸の圧迫感、胸の痛み、息切れ、むくみなどがある場合は循環器内科を優先して受診を検討してください。
これに対して、内科は具体的にどこの具合が悪いのかわからないケースにおいて、幅広い症状を網羅的に診療します。
発熱や腹痛、風邪、咳や喉の痛み、消化不良など全身の症状を広く診てもらうことができます。

最初に何科を受診すべきか迷った場合は、症状の有無を1つの目安にしましょう。
「運動をすると胸に痛みや重苦しさを感じる」「脈が極端に速くなったり遅くなったりする」「動悸がする」という場合はすでに心血管系に異常が生じている可能性があります。
そのため、これらの症状が出ている場合にはまずは循環器内科で相談するのが良いでしょう。

また、すでに心臓や血管の問題を抱えている場合、初めから循環器内科を受診すると、検査や治療方針の検討がスムーズになる場合があります。

しかし、自身で症状の判断ができない場合には内科への相談がおすすめです。
内科医は全身の状態を評価し、必要に応じて循環器内科を紹介します。

例えば、一般的な風邪かと思っていた症状が実際には心臓の問題に起因している場合、内科医がその判断を助けてくれます。

適切な医療を受けるための第一歩として、どの診療科を選ぶかが重要になります。

循環器内科で行う主な検査



循環器内科で行う主な検査

循環器内科では心臓や血管の状態を確認するために、様々な検査を行います。
検査と治療を同時並行で行うものも含め、身体の不調をあらゆる角度から確認していきます。
ここでは一般的に行われる検査を紹介します。

心電図

心臓が収縮と拡張を繰り返す際に発生する微弱な電流を、皮膚につけた電極でキャッチして電流の流れ具合に異常がないかを調べる検査が心電図です。
身体からの電気を受信する検査なので、ビリビリとした刺激は一切ありません。

狭心症などが疑われる場合には、短時間の心電図検査ではなく長時間(24時間など)の心電図をモニタリングする「ホルター心電図検査」、や、運動によって心電図の変化を確認する「負荷心電図」などの検査もあります。

超音波検査

心臓に超音波をあてて、その反射波を画像化し、心臓の様子を調べる検査です。
心臓の働きや形、血液の流れなどをリアルタイムで確認できます。
心臓の弁が正しく開閉しているか、血液が逆流していないかなども確認できます。

超音波は安全性の高い検査の1つで、痛みもなく、食事制限の必要もありません。
繰り返し検査を行うことも可能な検査といえます。

心臓カテーテル検査

脚の付け根にある血管などから細い管を通し、冠動脈をみる検査です。
造影剤とよばれる薬を入れてからX線撮影を行うことで、冠動脈が狭くなっている状態や詰まっている状態などを確認することができます。

狭くなった血管の場所でバルーンを膨らませて治療を行うこともあります。

心臓CT検査(マルチスライスCT)

心臓カテーテル検査以外でも冠動脈の状態を検査することができる方法です。
比較的短時間で検査ができ、心臓の大きさなどの情報を得ることもできます。

循環器内科の初診では何をするの?検査内容と費用の目安



循環器内科の初診では、まず問診を行います。
医師や看護師が、患者の現在の症状や過去の病歴、服薬状況、生活習慣などを丹念に聞き取り、詳細な情報を収集します。
近年では待ち時間にWeb上で問診を行ったり、自宅で問診票を記載してから持参したりするケースもあります。

次に、診察です。心臓の音を聴診器で聴いたり、血圧を測ったりすることで、心臓の状態をチェックします。
その後、心電図などの基本的な検査を実施します。
必要に応じて、血液検査やホルター心電図検査、心臓超音波検査を追加することがあります。
ホルター心電図検査は長時間連続で心電図を記録し、短時間の心電図では捉えきれない脈の異常を検出するのに役立ちます。

費用の目安ですが、保険適用時に1,000〜2,000円程度となる場合があります。
検査内容や保険点数、医療機関などにより変動します。
初診の場合は初診料がかかるため、もう少し費用が掛かるケースがあります。
クリニックであれば紹介状なしでも受診できる場合が多いため、心臓や血管に不安がある場合は早めに受診することをおすすめします。
強い胸痛、冷や汗、意識消失などの強い症状がある場合は、緊急性が高い可能性があるため、ためらわずに救急対応を検討してください。

心臓に異常があるときのサインとは?



心臓に異常があると感じる一般的なサインは、胸の痛みです。
特に胸の中央や左側に激しい痛みを感じた場合、心筋梗塞の可能性があります。
このとき、動悸や息切れ、背中の痛み、左腕のしびれ、冷や汗などを伴うようなら注意が必要です。
心筋梗塞では、数時間から数日前に前駆症状を自覚することがあるとされています。
このような症状が見られたら、早めに医療機関へ相談してください。

また、心筋梗塞は胸焼けや肩こり、歯痛と誤解されやすいため、これらの症状が長引く場合は医師の診察を受けることが重要です。

心拍の異常も見逃してはならないサインです。
心拍が異常に速くなったり(頻脈)、遅くなったり(徐脈)、または不規則になることがあります。
これらは不整脈の兆候である可能性があるため、循環器内科での評価・受診を検討してください。

心臓の健康を守るためには、早期発見と適切な対応が不可欠です。
少しでも異常を感じたら、専門医に相談しましょう。

心臓に異常があるときのサインとは?

胸の痛みや手足のむくみなどの症状がある場合は循環器内科の受診を



狭心症や心筋梗塞では、症状として胸や背中に強烈な痛みが発生することがあります。
場合によっては肩や歯など、胸とは別の場所が痛むため、区別がつきにくいこともあります。

循環器内科では心臓や血管に影響を与えるいろいろな原因について検討を行います。
高血圧や脂質異常症はもちろん、糖尿病で血管が脆くなれば心臓への負担も増加します。
喫煙や飲酒、食生活の見直しも含めて、命に関わる心臓の病気を防ぐことも循環器内科の大切な仕事です。

手足のむくみや冷え、動悸、息切れなど、心臓の不調が原因で起こる症状はたくさんあります。
気になることがある方は、ぜひ循環器内科を受診しましょう。

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編集部までご連絡いただけますと幸いです。
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監修医 伊藤 晴紀 (いとう・はるき)
クリニックファーストエイド 院長
科目 内科・皮膚科・アレルギー科

2023年に千代田区神田で「スキマ時間に通える」をコンセプトとして忙しい方のために空いたスキマ時間、昼休みや仕事終わり、休みの日にも通える内科・皮膚科・アレルギー科のクリニック「クリニックファーストエイド」を開設。

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