高次脳機能障害とは? 診断基準、間違えやすい疾患は?(医師監修)
高次脳機能障害は病気や事故などのさまざまな原因で脳が部分的に損傷されたために、言語・思考・記憶・行為・学習・注意などの知的な機能に障害が起こった状態です。原因疾患にはいくつか種類がありますが、いちばん多い原因は脳血管障害です。今回の記事では高次脳機能障害の診断基準、特徴、原因疾患などをご紹介いたします。2023/05/25 ( 公開日 : 2023/05/25 )
急性期、回復期、生活期の3段階がある脳梗塞のリハビリ
発症後すぐのリハビリで後遺症も軽くなる
以前は脳梗塞を発症してすぐに体を動かし始めると、さらに症状が悪化するといわれてきました。
しかし20年ほど前から治療ガイドラインが見直され、 現在では発症直後からのリハビリが推奨されています。
リハビリを早期に開始することで症状を軽くすることができ、誤嚥性肺炎などの合併症の予防にもつながります。
また脳梗塞による死亡の危険性を下げることが、統計データから明らかになっています。
脳梗塞のリハビリは3つの時期に分けて進めます。
- 急性期:発症から約2週間まで
- 回復期:発症から約3-6か月まで
- 生活期(維持期):自宅や施設に戻りリハビリを行う
[1] 急性期のリハビリ
急性期のリハビリは身体機能の低下防止を目的としており、基本的には発症から48時間以内に開始することが望ましいとされています。
寝たきりの期間が長くなると、筋肉が萎縮したり関節が固まって動きが悪くなる拘縮(こうしゅく)が起きたり、骨が弱くなってきたりします。
体力の低下や認知機能の低下も合わせて起こります。
このような状態を「廃用症候群」と呼びます。
廃用症候群の予防としては定期的に行うストレッチ、また座る、立つ、車いすに乗り移るなどの離床訓練が行われます。
さらには食事、着替え、入浴、トイレなど日常生活に必要不可欠な動作を自身でできるようにするADL訓練も行います。
また、ものをうまく飲み込むことができない場合には、自分で食事をとれるようにする摂食・嚥下訓練も行われます。
機能回復訓練は、手が動かせないなどの「運動麻痺」がある人、うまく話せなかったり、言葉を思い浮かべられないなどの「言語障害」がある人、物事に集中できなかったり記憶力が低下したりする「高次脳機能障害」がある人などに対し、それぞれの症状に合わせた訓練を行います。
急性期には脳の血流が改善して脳のむくみがとれてくるので、ある程度麻痺は回復します。
さらに適切なリハビリを積み重ねていくことで、脳は新たな学習を始めます。
たとえば脳の左側が障害されて右半身の麻痺が起きた場合であっても、右手を動かす訓練をつづけることで、脳のべつの領域の神経細胞が機能するようになります。
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