糖尿病でも食べていいお菓子ってあるの? 間食の仕方や注意点をご紹介

2025/05/23
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糖尿病の患者が食べでもいいお菓子と食べてはいけないお菓子について具体的に紹介しています。またお菓子以外に間食としておすすめなものや、間食をする際のポイントなどについてもわかりやすく解説しています。糖尿病の方でも一緒に間食を楽しめるように、どんなものを食べてもよく、何がNGなのかみてみましょう。
目次

糖尿病と間食

糖尿病と間食

糖尿病は血液中のブドウ糖(グルコース)が多い「高血糖」の状態が続いてしまう病気です。

通常なら空腹時の血糖値は100㎎/d未満でおさまっています。
これはインスリンがすい臓から分泌されて、血液中のグルコースをエネルギーとして活用しているからです。余分なグルコースは肝臓や筋肉に一時的に蓄えられ、血糖値が下がった時にエネルギー源として利用されます。

しかし糖尿病の人はインスリンの分泌量が不足しているからか、うまく機能せずに血糖値を下げられません。高血糖の状態が続くとさまざまな病気が引き起こされるため、血糖値をコントロールする治療を行う必要があります。

糖尿病に限らず、食事をすると誰でも血糖値が上昇しますが、甘いものであれば血糖値が上がりやすくなります。間食としてはお菓子類など糖分を多く含んだものが好まれるため、血糖値が急上昇して糖尿病を悪化させるかもしれません。

糖尿病でもOKなお菓子の条件

お菓子の中には血糖値が上昇しづらいものがあります。特徴を知って、お菓子を選ぶ際の参考にしましょう。

糖尿病の人に推奨されるお菓子の特徴

・でんぷん質や糖質が少ない:お米や砂糖など糖質原料が多いものほど血糖値があがりやすい
・タンパク質を多く含まれている:たんぱく質は血糖値の変動が穏やかにする
・血糖値が上がりづらい糖質(果糖、人工甘味料)が含まれている
・野菜類が入っている:食物繊維は血糖値の上昇を穏やかにする など

食べていいお菓子の例

血糖管理をしているときは、できれば糖質の含まれていないものを摂取するのが理想ですが、どうしても甘いものを食べたくなることがあります。そういう時には糖質量やカロリーに注目しましょう。
市販品であれば栄養素の表示をチェックしてみてください。

寒天ゼリーやキシリトールガムは糖質が少なく、カロリーも低いので血糖値の変動が少ないおやつといえます。

食べていいお菓子の例:寒天ゼリーやキシリトールガム

チョコレートはポリフェノールが多く、糖尿病の合併症を予防することが期待できるお菓子です。ミルクチョコレートはカロリーや糖分が高くお勧めできませんが、糖分の少ないカカオ70%以上のチョコレートを選び、食べ過ぎないようにしましょう。

糖質が少なく、タンパク質を多く含むお菓子類に「おからクッキー」や「プロセスチーズ」などがあります。腹持ちが良く、空腹感がまぎれるのでおすすめです。
野菜類を使用した「ベジタブルチップス」や「トマトゼリー」なら栄養価も高いでしょう。

糖質オフや低糖質のお菓子でも油断しないために


糖尿病の方にとって、糖質オフや低糖質のお菓子は魅力的な選択肢です。これらのお菓子は、血糖値の急上昇を抑える効果が期待されますが、油断は禁物です。

糖質が少ない商品でも、カロリーが高い場合があります。例えば「ノンカロリー」または「カロリーゼロ」と表示されていても、実際には100mlあたり5kcal未満のエネルギーが含まれています。

また、「糖質ゼロ」と表示されている商品にも注意が必要です。砂糖が使われていないため血糖値の急激な上昇は防げますが、人工甘味料が使われているケースも多く、糖尿病の発症や悪化、肥満、腸内環境の乱れによる耐糖能異常を引き起こすこともあります。

糖質オフや低糖質のお菓子を選ぶ際は、成分表示をよく確認し、摂取量を適切に管理しましょう。適切な量を守れば、血糖コントロールを保ちながら、食事や間食を楽しめます。

糖尿病の方が避けるべきお菓子の条件

当然ですが、糖質を多く含むお菓子は控えた方がいいでしょう。

1日の糖質量は体重1㎏あたり5~7g以内に収め、間食のカロリーも80〜160kcalが糖尿病協会の推奨値です。これらの数値をオーバーしないためには、1日分の食事をベースにして間食できる量を計算することです。
ほかの栄養素も食べるように意識しておくと、栄養バランスが整いやすくなります。

もし間食でとれる糖質量が少ないと、欲求不満で食べ過ぎてしまうこともあります。
満腹感が得られないスナック菓子や、ついつい手が伸びてしまう大袋のお菓子も避けたほうがいいでしょう。

たくさんは食べてはいけないお菓子の例

糖尿病治療中には、糖質を多く含むお菓子は控えた方がいいと思います。

たくさんは食べてはいけないお菓子の例

例えば、「おせんべいは甘くないので血糖値を上げにくい」と思っている人が多くいますが、原材料はお米なので、糖質そのものを食べているとも言えます。
また、シャーベットなどの冷たいものは甘さを感じにくいのですが、糖分がたっぷりと入っています。ようかんなどの和菓子はカロリーが低いので体に良いイメージですが、豆と砂糖でできているあんこは糖質の塊です。もし食べる場合でも先に食べる量を決めておき、少量ずつ摂るようにしていきましょう。

お菓子の代わりにおすすめなもの

間食には、お菓子以外の血糖値の変動が少ないものを食べるのがおすすめです。

例えば、糖質が少なくタンパク質が多いナッツ類、豆類、小魚、あたりめ、ゆで卵などが挙げられます。

お菓子の代わりにおすすめなもの:ナッツ類、豆類、小魚、あたりめ、ゆで卵

また、ドリンクには満腹感が得られるカフェオレ(無糖)を一緒に飲むのもいいでしょう。

ベリー類やりんご、グレープフルーツなどの果物は糖質が少なめです。
とはいえ、リンゴやグレープフルーツは1個でおよそ10~20gの糖質が含まれているので、丸々ひとつ食べるのではなく、小分けにして食べるのが望ましいです。

間食をする際の注意点

間食をするときには、食べ方や時間帯、摂取量に注意するようにしましょう。
間食が許されるのは血糖コントロールが良好なときです。HbA1cが7.0%以上のときはおすすめできません。

間食は一気にたくさん食べるよりも、少しずつ分けて食べることで血糖値の上昇を緩やかにすることができます。就寝前は活動量が少なく、血糖値が上昇したままずっと高い状態が続いてしまうので、活動する直前かエネルギーを消費できる日中に食べましょう。

また、食事と食事の間で間食をすると、血糖が下がりきらずに血糖が高いままになります。食後すぐにデザートとして食べるのがポイントです。

糖質量やカロリーは1日の食事の量とトータルで考えて、医師に指示されている量を超えないようにします。
食品表示を見るクセをつけておくといいでしょう。

間食が必要なケースもある? 低血糖対策としての間食


糖尿病の方が治療中に低血糖になることがあります。特にインスリンやスルホニル尿素薬を使用している場合、血糖値が過度に低下するリスクがあります。低血糖の状態を改善するためには、適切な間食が重要です。
低血糖時の間食としては、速やかに血糖値を上げることができるものが推奨され、例えば、ブドウ糖の錠剤やジュース、チョコレートが挙げられます。これらは体内で迅速に吸収され、血糖値を一時的に上昇させます。
一方で、間食の際には適度な摂取量に注意が必要です。過剰な間食はカロリーオーバーや体重増加を招き、血糖管理に悪影響を及ぼす可能性があります。したがって、低血糖を感じたらまずは軽めの間食を試み、その後も血糖値の変動をチェックすることが重要です。
低血糖対策としての間食は、適切なタイミングと適量を守ることで、糖尿病管理の一環として有効に機能します。日常の食事計画にうまく取り入れ、健康なライフスタイルを維持しましょう。

糖尿病でも楽しめる「甘いもの」との付き合い方


糖尿病と診断されると、「もう甘いものは一生食べられない」と思ってしまいがちです。しかし、甘いものを断つ必要は全くありません。糖尿病になっても、適切な方法をとれば、甘いものと付き合えます。
まず、控えめな量を心がけることが大切です。これまでも述べてきましたが、糖尿病の管理には、血糖値の急上昇を避けることが重要です。例えば、通常のお菓子を小分けにしたり、家族とシェアしたりすることで、食べ過ぎを防げます。

また、食べる頻度も意識しましょう。血糖コントロールへの影響を抑えながら間食を楽しむためには、甘いものを食べる頻度を抑えることが必要です。
「甘いものは絶対に禁止」という極端な制限はストレスのもとになり、かえって暴飲暴食を引き起こすこともあります。無理なく続けられる範囲で、甘いものとの上手な付き合い方を見つけましょう。

まとめ:血糖コントロールが良好であれば、糖尿病でもお菓子を食べてOK

まとめ:血糖コントロールが良好であれば、糖尿病でもお菓子を食べてOK

糖尿病患者にとっては、血糖値があがることが良くないのであって、間食そのものが問題ではあるわけではありません。血糖のコントロールが良好に保たれている範囲で、摂取することが重要です。

何をどのように食べ、食べる時間帯や量などに気をつければ、間食をしても血糖値に大きな影響を与えることは少ないでしょう。
また、近ごろでは糖尿病の方のために、カロリーコントロール食品や食後の血糖を抑える機能性調整食品も開発されています。
糖尿病でも血糖コントロールを行い、間食の楽しみ方を工夫してみましょう。

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編集部までご連絡いただけますと幸いです。
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監修医 知久 正明 (ちく・まさあき)
メディカルチェックスタジオ東京銀座クリニック院長・医学博士

病気になる前に治すという『未病』を理念に掲げていきます。循環器内科分野では心臓病だけでなく血管病まで診られる最新の医療機器を備えたバスキュラーラボで、『病気より患者さんを診る』を基本として診療しています。

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