だるい、眠い、やる気がでない?! 更年期障害の症状や発現因子について解説

2022/05/17
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40代になると、少しずつ更年期障害の症状が現れる方もいらっしゃるのではないでしょうか。更年期障害はホルモンの減少によって起こるもので、女性でも男性でも症状が発現することがあります。この記事の中では、更年期障害の知っておきたい基本や、症状、発現因子、対策などを紹介いたします。
目次

もしかして更年期障害?

  • やる気が出ない
  • 憂鬱な気分になる
  • 暑くないのに汗が出る
  • すぐにイライラする など

40代になると、このような症状が体に現れる方もいるかもしれません。

更年期は、思春期や成熟期と同じように、人生で通り抜けるひとつの時期です。
この時期はホルモンバランスが崩れることで、体に症状が起こる方がいます。

更年期は男女ともにありますが、とくに女性の方がホルモンバランスが急激に変化するため、まだ更年期を迎える前から意識されている方が多いのではないでしょうか。

いつから始まってどのくらい続くの?

女性の場合

女性の場合は閉経になるのが50歳ごろといわれています。
閉経期の前後10年で、卵巣ホルモンである「エストロゲン」の分泌が急激に減少しますが、この影響が体に症状となって現れるのです。

女性の場合なら45~55歳くらいまでが、更年期障害が続くだいたいの時期であると認識しておきましょう。
ただ閉経の年齢は個人差があるため、人によっては平均よりも若い時期に症状が出る方もいますし、またもっと年齢を重ねてから症状が出る方もいます。
あくまでも目安として考えましょう。

男性の場合

男性の場合は、30歳以降に男性ホルモンのひとつである「テストステロン」の分泌が次第に減っていき、40代後半くらいで症状が現れる方がいます。
ただ男性の更年期障害は、女性よりさらに発症時期にばらつきがあります。30代で症状が出る人もいれば、70代で症状が出る人もいるといった具合。

男性は女性よりもホルモンの減少は緩やかであるため、他の加齢減少と一緒になって、更年期障害だと意識しない方も多いです。

更年期障害の症状

更年期によくある症状は、おもに自律神経の失調が関係しています。

自律神経失調症とは?

自律神経失調症は、ストレスによって自律神経が正常に機能しないことで起こる症状のことです。
自律神経は体を動かすときに働く「交感神経」と、体を休ませるときに働く「副交感神経」とがありますが、ホルモンバランスが崩れることで、この両方の自律神経が狂ってしまい、体にさまざまな症状が起こります。

自律神経については、こちらの記事もご覧ください。

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全身的な症状

・だるい
・不眠
・疲れが取れない
・肩こり など

器官的な症状

・顔のほてりや、のぼせ
・異常な発汗
・めまい
・動悸
・耳鳴り
・喉の乾き
・排尿異常 など

精神神経症状

・倦怠感
・鬱(うつ)
・不眠
・イライラ
・無気力 など

更年期障害の発現因子

更年期障害が発現する因子は、かならずしもホルモンの減少だけが関わっているわけではありません。
性格に由来する心理的な要因や、仕事やプライベート(家庭環境)の社会的な要因も関係しています。

更年期障害は一種のストレス性疾患でもあるため、あまり気にしすぎもよくないという側面もあることは知っておきましょう。

ストレスによる影響については、こちらの記事もご覧ください。

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更年期あたりから注意したい病気

高血圧症

更年期の高血圧には、女性ならエストロゲンの減少が、男性ならテストステロンの減少が関係しているといわれます。
また親の介護や、子供との関係でストレスも生まれ、心理的要因もあいまって血圧が不安定になりやすいです。

高血圧になると、動脈に負荷がかかって傷がつき、動脈硬化が促進されます。
そして動脈硬化は、心筋梗塞や脳梗塞などの重大疾患につながることもよく知られています。

高血圧については、こちらの記事もご覧ください。

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脂質異常症

女性ホルモンのエストロゲンは、脂質の代謝とも深く関係しています。
閉経の前後でエストロゲンが急減すると、血液中のLDLコレステロール(悪玉コレステロール)やトリグリセライド(中性脂肪)は急激に増えていきます。

脂質異常は動脈硬化の危険因子ですが、自覚症状として現れることはほぼないため、人間ドックなどの検診でわかることがほとんど。
脂質異常症も動脈硬化の主要な因子のひとつですので、注意が必要です。

動脈硬化については、こちらの記事もご覧ください。

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自覚症状がない骨に関する病気(骨粗しょう症)

エストロゲンが減ると、骨代謝のバランスも崩れます。
閉経後には一年ごとに2%前後骨量が減り、10年経つと20%近く減少
骨折のリスクも高まるため、注意が必要となります。

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更年期対策としてできること

運動でのケア

ジョギングや軽いエクササイズなどで、体を動かすことで健康にはいい影響があります。
日常的なことでもなるべく体を動かすようにして、意識して代謝を高めることが大切。

食生活でのケア

主食(熱や力になる食品)、副菜(体の調子を整える食品)、主菜(血や肉になる食品)をバランスよく摂取しましょう。
特に女性の場合には、天然の女性ホルモンである、イソフラボンを含む大豆食品を食べると有効です。

男性の場合には、テストステロンを増やすために、良質なタンパク質を摂るといいといわれています。
またアルコールは筋肉にダメージを与えるため、過剰な飲酒は控えましょう。

サプリメントでのケア

大豆イソフラボンの一種であるダイゼインから腸内細菌によって作られる、大豆イソフラボン代謝物と呼ばれるものがあります。
女性の場合は、これを摂取することによって、ほてりや肩こりなどの更年期障害の症状を緩和することが認められています。

病院・クリニックでのケア

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監修医 知久 正明 (ちく・まさあき)
メディカルチェックスタジオ東京銀座クリニック院長・医学博士

病気になる前に治すという『未病』を理念に掲げていきます。循環器内科分野では心臓病だけでなく血管病まで診られる最新の医療機器を備えたバスキュラーラボで、『病気より患者さんを診る』を基本として診療しています。