2022/01/07 ( 更新日 : 2022/01/13 )

高血圧とは? 基準値、引き起こされる疾患、有効な生活習慣改善方法について解説

生活習慣
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血圧が高い傾向にあっても、自覚症状が少ないために対策が遅くなることがあります。そのため、高血圧だと診断された場合に、どうすればよいのか悩む方も多いのではないでしょうか。この記事の中では、高血圧の概要や原因、放置することで予想されるリスクなどについて詳しく解説いたします。
目次

高血圧とは?

高血圧とは、安静時に測った血圧が正常値よりも常に高い状態を指します。日本では20歳以上の2人に1人が高血圧と言われており、生活習慣病につながる可能性が高いです。
ここでは、高血圧の基準値と種類について解説します。

高血圧の基準値

高血圧の診断基準は、診察で測定した収縮期血圧が140mmHgで、拡張期血圧が90mmHg以上です。

高血圧は血圧の高さに応じて、次の表のように分類されます。

表1 高血圧の分類
分類 診察室での血圧 家庭での血圧
収縮期血圧 拡張期血圧 収縮期血圧 拡張期血圧
Ⅰ度高血圧 140~159 90~99 135~144 75~84
Ⅱ度高血圧 160~179 100~109 145~159 85~89
Ⅲ度高血圧 180以上 110以上 160以上 90~99

なお自宅の血圧計で計測したときの基準は、診察での基準値よりも5mmHg低く設定されています。

高血圧の種類

高血圧の種類は次の4タイプです。

本態性高血圧
二次性高血圧
仮面高血圧
白衣性高血圧

各タイプの高血圧は原因ごとに分けられています。ここでは、4タイプの高血圧について、それぞれ詳しく解説します。

本態性高血圧

本態性高血圧とは、二次性高血圧症が否定された原因不明の高血圧症のことで、日本人の大半が当てはまります。生活習慣や遺伝などのさまざまな要因が組み合わさることで、高血圧の原因がはっきりとしない場合もあるのです。

二次性高血圧

二次性高血圧とは、体質・遺伝・環境・加齢などによって発症する本態性の高血圧とは異なる、ある特定の原因がある高血圧のことをいいます。
主に腎臓の働きに関係するものと、血圧を上げるホルモンが異常になるものがあります。

仮面高血圧

仮面高血圧とは、健康診断や医師の診察では血圧が正常である一方で、自宅の血圧計で測ると血圧が高くなる状態です。

仮面高血圧のように、血圧は時間帯や環境に応じて変化するため、次のような時間ごとの分類もあります。

早朝高血圧:早朝の血圧が高い
昼間高血圧(ストレス下高血圧):精神的・肉体的にストレスを感じているときに血圧が高い
夜間高血圧:寝る時間帯に血圧が高い

時間帯や環境の変化に関わらず、血圧が正常よりも高くなる場合は、脳卒中や心疾患のリスクがあります。

白衣性高血圧

白衣性高血圧は、診察室や医療現場で測定した血圧が高血圧であったとしても、診察室外血圧が正常域血圧を示す状態のことです。
診察室血圧で高血圧と診断された患者の、約15〜30%がこの高血圧に相当します。
その頻度は高齢者(特に女性)で増加する傾向にあります。

高血圧の症状

高血圧は自覚症状が無いことが多いのですが、重度になると頭痛やめまいなどに見舞われることがあります。
そのため、重篤な病気にかからないためにも、高血圧による症状が現れる前に定期検査を受けることが大切です。

高血圧になる原因

高血圧になる原因は次の通りです。

食生活
肥満
自律神経の乱れ
喫煙
年齢/遺伝
その他の病気

以上の生活習慣やその他の病気が高血圧の原因だとされています。

食生活

日本人が高血圧になる一番の原因は、食塩の過剰摂取による食生活の乱れです。
厚生労働省発表の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、食塩に関する男女の摂取基準を次のように定めています。

成人男性:7.5g未満
成人女性:6.5g未満

和食には、塩分が多い傾向にあります。そこで日本人が、食塩の摂取量を減らすためには、和食に含まれる調味料や食品を減らすと良いです。
たとえば、次のような工夫をしてみてはいかがでしょうか。

  • かけしょうゆを止めて、つけしょうゆにする
  • 漬物や味噌汁を食べる機会を減らす
  • 味噌汁の野菜を多めにして薄味にする

食生活の心がけ次第で、血圧の調整は可能ですので、ぜひ取り組んでみてください。

肥満

内臓脂肪型肥満の人も高血圧になることがあります。肥満の場合、拡張期血圧から収縮期血圧の順番に血圧が高くなる傾向にあります。

肥満の場合は高血圧の他にも、高血糖や高脂血症を抱えたメタボリック症候群の可能性を考える必要もあるでしょう。心臓病や脳血管疾患などのリスクも高くなるため、早めの対策が必要です。

自律神経の乱れ

ストレスや睡眠不足で交感神経の働きが過剰になり、自律神経が乱れると、高血圧になる可能性があります。

交感神経の働きのひとつに血管の収縮があります。血管が収縮すると、血液の通り道が細くなり、血圧が上昇するのです。

一時的な血圧の上昇は問題ないのですが、過剰な交感神経の働きにより、持続的に血管が収縮すると高血圧につながります。

喫煙

喫煙は動脈硬化を進行させるので高血圧になりやすくなります。
また、たばこに含まれるニコチンには、血管を収縮させる作用があるため、喫煙をすると一過性に血圧が上昇します。

年齢・遺伝

加齢によって動脈硬化が進んだり、自律神経が乱れやすくなったりすることで、血圧が上昇しやすくなります。

また、家族に高血圧の人がいる場合は、血圧が上昇しやすい体質が遺伝している可能性もあります。

その他の病気

心疾患や腎臓疾患などが原因で、高血圧になることもあります。心臓は全身へと血液を巡らせる役割があり、腎臓は血液をろ過する働きがあります。
つまり、心臓と腎臓はともに、循環器系に関わっているのです。

病気が原因で起こる高血圧の場合は、原因となる病気を治療することが重要です。治療を受けずに放っておくと、高血圧が進行し、さらに他の病気を招く可能性があります。

高血圧によって引き起こされる病気

高血圧によって引き起こされる病気は、次の通りです。

脳血管疾患
心血管疾患
慢性腎臓病

高血圧が進むと、動脈硬化のリスクが高まり、以上の病気につながる確率が上がります。

動脈硬化について詳しく知りたい場合は、次の記事を参考にしてください。

内臓脂肪が将来の脳疾患リスクに? 知っておきたい動脈硬化の仕組み

内臓脂肪が体に溜まっていると動脈硬化につながる要因になりやすく、最悪の場合には大きな脳疾患を引き起こすことも。

脳血管疾患

脳血管疾患の中でも脳卒中は高血圧と因果関係が高い病気で、脳梗塞や脳出血、くも膜下出血などの総称です。

運動麻痺や感覚障害、言語障害などのさまざまな後遺症が残りやすいのも脳卒中の特徴です。脳卒中について詳しく知りたい場合は、次の記事を参考にしてください。

脳卒中ってどんな病気? 脳卒中の種類、原因、初期症状、予防についても解説!

命に関わる病気として、「脳卒中」があります。脳の血管が破れたり、血管が詰まることで起こり「脳血管障害」とも呼ばれます。

心血管疾患

高血圧は心血管疾患を発症しやすくなります。なぜなら、血圧が上昇することで、通常よりも血液を送る力が必要になり、心臓の負担が増加するからです。

心血管疾患の中には、心筋梗塞や狭心症などがあります。心筋梗塞は心臓に酸素を送るための冠動脈が完全に塞がれた状態です。
また狭心症は、冠動脈の一部が狭窄して、心臓への酸素供給量と需要のバランスが崩れた状態を指します。

慢性腎臓病

高血圧は血管に負担がかかるため、血液中の老廃物をろ過する働きのある腎臓の細動脈に負担がかかります。

腎臓の機能が低下すると、高血圧が悪化するため、腎臓病と高血圧の悪循環が起こりやすくなるのです。さらに、慢性腎臓病が悪化すると人工透析や腎移植が必要になる場合もあります。

高血圧の受診科目

高血圧は、まずは内科(特に循環器内科または内分泌内科などを標榜している医院・病院)を受診しましょう。循環器とは血液循環と、それに関わる心臓や血管などの臓器を指します。

高血圧は生活習慣にも影響を受けるため、病院や医院で治療を受けながら、生活習慣の改善にも努めることが重要です。

高血圧の治療

生活習慣の乱れが原因で、高血圧になることも多いです。そのため、高血圧の治療は生活習慣の改善をベースに、必要に応じて薬物療法が行われます。

ここでは、生活習慣の改善と薬物療法についてお伝えします。

生活習慣の改善

高血圧の改善を期待して生活習慣を改める場合、次のような取り組みを行うと良いでしょう。

  • 食塩の摂取量は1日6g未満にする
  • 野菜や果物を食べる
  • 腹八分目を意識する
  • 1日の飲酒量は日本酒1合くらいに留める
  • 喫煙者は禁煙をする
  • 適度な運動、質のいい睡眠を心がける

食塩の摂取量は1日6g未満にする

慢性腎臓病の場合、重症化を予防するために推奨される食塩の摂取量は1日6g未満とされています。
お酢や柑橘類の酸味、香辛料の辛味、だしの風味など塩味以外のテイストを食事に織り交ぜて、薄味でも食卓を楽しめる工夫をするとよいでしょう。

野菜や果物を食べる

野菜や果物には、血圧を下げる働きのあるカリウムが豊富に含まれています。
すでに治療中の場合は、担当の医師の指示に従って野菜や果物を摂取するようにしてください。

腹八分目を意識する

腹八分を意識して食事を摂り、高血圧の原因である肥満を防ぎましょう。
定期的に体重を測るようにし、自分の体重をコントロールすることも大切です。

1日の飲酒量は日本酒1合くらいに留める

飲酒が過ぎると、高血圧を悪化させます。そのため、1日の飲酒量は日本酒1合くらいに留めて、週1日以上の休肝日を設けるようにしましょう。

禁煙をする

喫煙は血圧を上げる作用があるため、高血圧を改善させるためには、禁煙が重要です。
たばこに含まれるニコチンが血管を収縮させ、血圧が上昇するため、電子タバコも吸わないことをおすすめします。

薬物療法

病院で、生活習慣の改善指導が1~3ヶ月ほど行われても、血圧に改善が見られない場合は、薬物療法が実施されることがあります。
高血圧の場合、たとえば次のような薬が処方されます。

カルシウム拮抗薬
ARB・ACE阻害薬
利尿薬
β遮断薬など

降圧薬を使用して血圧が下がっても、服用を止めると再び高血圧になる可能性があります。
そのため、自己判断で薬の服用を止めるのではなく、医師と相談しながら徐々に減らしていくことが重要です。

高血圧の予防方法

高血圧を予防するには、その原因である生活習慣の改善と病気の治療が重要です。中でも、食塩の摂取制限は必ず実施したい高血圧の予防法です。

循環器に関わる疾患にかかってなければ、成人男性7.5mg以下、成人女性6.5mg以下を目安に食塩の摂取量をコントロールすると良いでしょう。

また、内臓脂肪も高血圧の原因になるため、接種カロリーのコントロールも高血圧の予防に役立つでしょう。初期の高血圧は自覚症状が少ないため、早めに生活習慣を見直すことをおすすめします。

高血圧の予防・早期発見のために、定期的な血圧測定をしよう

高血圧は自覚症状がなく進行するため、サイレントキラーと呼ばれています。
ですから定期的に血圧を測定し、変化を確認することが大切です。

血圧が高めの方は家庭に血圧計を用意し、毎日血圧を測定することが望ましいです。
また既に高血圧の場合は、人間ドックや脳ドックなどの定期検査を受けて、循環器系統の状態を確認するべきでしょう。

専門の医療機関で提供される各種検査サービスを上手く利用して、高血圧を早めに予防しましょう。

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監修医 知久 正明 (ちく・まさあき)

メディカルチェックスタジオ東京銀座クリニック院長・医学博士
病気になる前に治すという『未病』を理念に掲げていきます。循環器内科分野では心臓病だけでなく血管病まで診られる最新の医療機器を備えたバスキュラーラボで、『病気より患者さんを診る』を基本として診療しています。

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