MRA検査とは? MRA検査を発見できる病気や、受診するメリットについて

2025/12/09
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MRA
脳の病気は、自覚症状が出たときにはすでに進行していることも少なくありません。重症化を防ぐためには、定期的な検査による早期発見・早期治療が大切とされています。脳の状態を調べる方法の1つに「脳ドック」があり、脳の手術を行わずに脳の状態を知ることができます。この記事では脳ドックの検査の1つであるMRAについて解説します。
目次

MRA検査とは?

脳ドックの検査において、診断や状態評価に役立てるために広く用いられているのが、検査精度の高さが特長のMRI(Magnetic Resonance Imaging)です。
その中でより詳しく脳の状態を調べるためにセットで行うことが増えているのがMRA(MR Angiography)です。

MRIとMRAは似た名称をしているため、混同されがちです。
まずは、MRIとMRAがどのような検査なのかを解説していきます。

MRAとMRIの違い

MRIは身体に電磁波を当て、細胞内の水と共鳴させることで、脳全体の断面画像を描き出しています。MRAはMRI装置を使用して電磁波を当て、脳の血管だけを立体画像として描き出すことができます。

MRAは造影剤を使わなくても頭と首の血管がどのような形態をしているか、奇形や狭い部分がないか、破裂しそうな血管や詰まりそうな血管がないかを調べることができます。

MRI検査の詳細は以下の記事をご覧ください。

MRI検査とは? 検査を行う目的、検査方法などについて解説

MRI検査とは、どのような検査なのでしょうか。検査を行う目的、検査の方法、検査を受ける上の注意事項などを簡単にまとめました。

頭部MRA

頭部MRAは、脳の血管を撮影する検査です。
脳の血管は蜘蛛の巣のように頭の中に張り巡らされています。MRA検査を行うと、血管が膨らんでいないか、狭くなっていないか、形がいびつになっていないかを調べることができます。
頭部MRAでは、くも膜下出血の原因となる未破裂脳動脈瘤や、脳の血管の異常で起こる動静脈奇形、脳卒中の原因となる無症候性脳主幹動脈閉塞・狭窄の有無を調べることができます。

頸部MRA

頸部MRAでは頸部(首)の血管を撮影し、血管の状態と動脈分岐部の状態を詳しく調べることができます。

頸部には心臓と脳をつなぐ重要な動脈が複数通っています。頸部の血管が動脈硬化を起こしていたり、狭くなっていたり、動脈と静脈が分かれる部分がいびつになってしまったりすると、心臓から十分な酸素や栄養を脳に届けることができなくなります。

また、内頸動脈にプラーク病変や狭窄病変があると、将来的に脳梗塞を起こすリスクが高くなります。

MRA検査の流れと所要時間

MRA検査にかかる時間は、10分から60分程度です。造影剤の有無や撮影部位、MRI装置の種類によって所用時間が異なります。MRA検査の流れは以下の通りです。


流れ

詳細

事前説明・問診

医師から検査の目的や手順、注意点の説明を受けます。

アレルギーや持病、服薬中の薬について申告しましょう。

準備・着替え

身につけている金属類を外し、検査着に着替えます。

検査開始

MRI装置のベッドに横になり、筒状の機械の中に入ります。検査中はリラックスして、できるだけ動かないようにしましょう。

造影剤使用時

血管の状態をより詳しく調べるため、医師の判断で造影剤を投与することがあります。

検査終了・医師からの説明

医療機関によっては検査後に医師から説明があります。造影剤を使用した場合は、しばらく休憩して様子を見ます。


人間ドックや健康診断の場合、検査結果は後日郵送されるのが一般的です。検査の流れについて不安がある方は、事前にスタッフに相談しましょう。

検査費用について気になる方は、以下の記事をご覧ください。

頭部MRI検査とは? 発見できる病気、費用、メリットについて解説!

頭部MRI検査は、頭部の断面図を映像化して画像診断する検査です。脳の異常を低侵襲で早期に発見できる可能性があります。またMRI検査には、CT検査では診断できない細かな異常を見つけられるという特徴があります。

MRA検査のメリット

MRA検査は造影剤を使用せずに行えるため、腎機能に問題がある方やアレルギー体質の方でも、条件が揃えば医師の判断のもとで脳の血管を詳しく調べられます。

同じような検査はCTでも可能ですが、造影剤を使用しないと組織のコントラストをうまく描出できません。
MRA検査であれば造影剤を使わずに血管の状態を詳しく評価できるため、患者さんの負担軽減につながるとされています。

また、X線を使用しない検査のため、放射線被曝を避けられるのもメリットといえるでしょう。

他の血管検査との違い:CTや超音波検査との比較

MRA検査は血管の状態を調べるための検査です。

身体の状態を評価する検査には、CT検査や超音波があります。それぞれの検査の特徴は以下の通りです。


検査

内容

特徴

MRA検査

磁力と電波により血管の状態を詳細に確認する

  • 放射線を使用しないため被曝のリスクがない
  • 血管の形状、閉塞、拡張などを詳細に確認できる
  • 医療機器の植え込みがある場合、検査が制限されることがある

CT検査

X線を用いて体内の断面画像を作成する

  • 比較的短時間で撮影でき、造影剤により血管の詳細な画像も作成できる
  • 放射線の被曝リスクがある

どの検査を行うかは、医師が症状や目的によって判断します。各検査の特徴を理解することで、自分の希望や状況を医師に伝えやすくなるでしょう。

他の検査との違いについては、以下の記事でも詳しく解説しています。

MRA検査によって発見できる主な病気

MRA検査では、脳の血管の狭窄や梗塞による血流異常、血管の病変の場所や形、周辺組織への広がりを評価するための情報を得ることができます。
MRA検査でわかる代表的な病気としては、以下のようなものがあります。

脳動静脈奇形(AVM)

脳動静脈奇形とは、胎生早期に発生する先天的な異常で、脳の動脈と静脈のあいだにナイダスと呼ばれる異常な血管の塊ができ、血液が毛細血管を通らずに脳の動脈から静脈に流れ込んでしまう病気です。

未破裂脳動脈瘤

脳の動脈が瘤(こぶ)状に膨らんだものです。
動脈瘤が破裂すると、脳の血管を包んでいる「くも膜」の内側に出血します。

ただ、未破裂脳動脈瘤のすべてが危険なわけではなく、場所、大きさ、形などから破裂率が割り出され、医師が「危険である」と判断した場合には処置が必要となります。

未破裂脳動脈瘤の詳細は以下の記事をご覧ください。

未破裂脳動脈瘤とは? くも膜下出血を起こす危険がどのくらいあるかを知りましょう!

脳動脈瘤とは脳の動脈にできた瘤(こぶ)です。血流が勢いよく流れている動脈の分かれ目などに瘤はできやすく、まれに破裂することでくも膜下腔で出血が起こります。そんな脳動脈瘤ですが、脳ドックで見つかったすべての瘤に処置が必要なわけではありません。記事の中ではどんな脳動脈瘤に処置の必要があるのか、などについてご説明いたします。

もやもや病

もやもや病は原因不明の進行性脳血管閉塞症です。内頸動脈という太い脳血管の終末部が狭窄ないし閉塞し、その周囲に異常血管網が認められます。

隠れた脳の病気を早期発見・治療するために

脳の病気は、発症すると後遺症が残ったり命に関わったりすることがあり、注意が必要です。
脳の病気を予防するためには、原因となり得る高血圧、高脂肪、糖尿病といった生活習慣病を予防し、そのために規則正しい生活を心掛ける必要があります。

また、早期発見に役立つ方法の1つとして、定期的な脳ドックを選ぶ方もいます。ご自身の健康管理について気になる点があれば、医療機関へ相談しながら検討してみてください。

脳ドック受けてみた! 各種メディアさま スマート脳ドック | 体験レポート

スマート脳ドックでは、一般的な健康診断では調べられることのない、脳の異常や病気を短時間でチェックできます。今回はスマート脳ドックの受診を考えている方のために、さまざまなメディアでご投稿された「体験レポート」記事をまとめてご紹介いたします。
記事についてお気づきの点がございましたら、
編集部までご連絡いただけますと幸いです。
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スマート脳ドックとは?
監修医 知久 正明 (ちく・まさあき)
メディカルチェックスタジオ東京銀座クリニック院長・医学博士

病気になる前に治すという『未病』を理念に掲げていきます。循環器内科分野では心臓病だけでなく血管病まで診られる最新の医療機器を備えたバスキュラーラボで、『病気より患者さんを診る』を基本として診療しています。