認知症の検査ってどんなもの? 検査の種類や流れを徹底解説
「最近、親のもの忘れが増えてきている」「認知症の検査を受けた方が良いのか」。 そのように考えている方は多いのではないでしょうか。<br/><br/> 認知症の有無は、検査や問診をもとに医師が総合的に判断します。認知症の診断は、似た症状を持つ他の病気との見極めが重要であり、一般の方が自己判断するのは困難です。<br/><br/> そこで、本記事は「認知症の検査の内容や流れ」や「認知症と診断された場合の対応と予防策」などを解説します。検査を受けるか迷っているときに、落ち着いて判断するためのヒントが得られる内容になっているので、ぜひ最後までご覧ください。脳ドックで認知症って診断できるの? 認知症の基本と診断までの流れ
認知症は病気とは違うの?
認知症は脳疾患や障害などの原因によって認知機能が低下して、日常生活に支障をきたした状態のことです。
認知症をもの忘れと混同される方が多いですが、記憶の消失だけではなく、理解力・判断力などに大きな影響があるため、認知症になると生活が難しくなることが多いです。
もの忘れの場合は、何かきっかけがあれば思い出すことができますが、認知症では、体験したこと自体を思い出しにくい場合があります。忘れたことを自分で自覚することもできないため、自分ではなく周囲の方が異変に気づくケースもよく見られます。

認知症の種類
認知症は大きく3種類に分けられ、これらは3大認知症といわれます。
アルツハイマー型認知症

アルツハイマー型の認知症は、最も割合が多いことで知られています。
原因としては、脳に特殊なタンパク質が溜まることで神経細胞が傷つき、海馬をはじめとして脳全体が萎縮(脳の神経細胞が死滅)してしまいます。
女性に多いのが特徴です。
レビー小体型認知症

レビー小体型認知症は、認知機能が「良いとき」と「悪いとき」が波のように変化するため、周囲の方から見ても病気であるとなかなか気づかれにくいです。
原因としては「レビー小体」と呼ばれる特殊なタンパク質が、脳の大脳皮質や、脳幹にたくさん集まることが関係しています。
レビー小体が多く集まる部位では、神経細胞が減ることがあり、それにより神経が本来の活動をできずに、認知症の症状となって異変があらわれます。
血管性認知症

血管性認知症は、脳梗塞や脳出血などが原因となり、脳の血行が阻害されることで発症します。阻害された部分では脳の細胞が壊死することが多く、身体に生じる症状は壊死した脳の部位によって異なります。
脳ドックを受ければ認知症の診断はできる?

脳ドックでは、脳の状態をMRIやMRA検査を用いて確認します。
特に脳の血液が行き渡っていない部分がないか、あるいは脳が年齢の平均よりも萎縮していないか(脳は加齢とともにいくらか萎縮をします)といったことを確認できます。
脳ドックでは無症状の脳梗塞や脳出血など、血管性認知症の要因となる異常を発見することができますが、認知症と診断するには、ほかの検査もあわせて行う必要があります。
認知症かどうかを判断するには脳ドックだけでなく、医師による問診や身体検査、神経心理学的検査が必要です。
早期発見の鍵となる「VSRAD(ブイエスラド)」とは
「VSRAD(ブイエスラド)」は、アルツハイマー型認知症の原因である脳の萎縮の程度をMRI画像を用いて評価するシステムです。
アルツハイマー型認知症は、記憶をつかさどる「海馬」が萎縮して起こると言われています。VSRAD(ブイエスラド)は、脳の萎縮を以下のように4段階で評価します。
- 0〜1:脳の萎縮はほとんど見られない
- 1〜2:脳の萎縮がやや見られる
- 2〜3:脳の萎縮がかなり見られる
- 3〜:脳の萎縮が強い
萎縮が見られる場合は、医療機関での精密検査をすすめられることがあります。
なお、VSRAD(ブイエスラド)は診断をサポートするシステムであり、認知症を確定する検査ではありません。
また、MRI機器を使用するため、ペースメーカーや金属の植え込みがある方は受けられない可能性があるため注意しましょう。
アルツハイマー型認知症は、早い段階で治療を始めれば、症状の進行をゆるやかにできる可能性があります。
脳の萎縮の発見につながるVSRAD(ブイエスラド)の詳細が気になる方は、以下のページをご覧ください。
https://smartdock.jp/docks/vsrad
認知症を診断する際の流れ
認知症を診断する流れは以下の通りです。
1.問診
医師と直接話すことで「記憶力はあるか」「話をちゃんと理解できるか」など、認知的な能力を探っていく。家族に対しても「いつ頃から気になる症状が出ているか」などと質問されることもある。
2.身体検査
「認知症の原因となりうる病気になっていないか」を調べるため、尿検査、血液検査、内分泌検査、心電図検査などを行う。
3.画像検査
脳の形や内部の状態を見ることで、「脳疾患が進行していないか」を確認する。
脳ドックはMRI・MRA検査を行うが、それ以外にも脳の働きを調べるSPECT検査(脳の血流を調べる検査)、PET検査(脳の糖代謝を調べる検査)などもあわせて行われることがある。
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検査名 |
内容 |
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SPECT検査 |
微量の放射性物質を含んだ薬を飲み、臓器の状態を調べる。 |
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PET検査 |
体内に放射性薬剤を投入して、放出される放射線の動きから脳の働きを画像化する。 |
4.神経心理学的検査
最後に行われるのが、知的機能、認知機能、記憶、実行機能が正常かどうかを判断するためのテスト。臨床心理士と対面で行われる。
検査内容としては口頭での質問や、文字・図形・絵などを書いてもらうものが多く、時間的には1時間程度で実施される。
認知症が心配な方の「脳ドック」の選び方
検査機関によって、脳ドックのプランは変わってきます。プランを選ぶにあたり、認知症を調べたい時に注意すべきポイントは以下の通りです。
- MRIやMRAを含むプランを選ぶ
- VSRAD(ブイエスラド)を含むプランを選ぶ
- 神経心理学的検査や問診を行うプランを選ぶ
MRIは、脳をいくつもの断面に分けて撮影し、脳の形の変化や異常がないかを詳しく調べる検査です。また、MRAは脳卒中や動脈瘤などの血管のトラブルを見つけるために行われることが多く、結果的に脳血管性認知症につながるリスクを把握する際の参考になります。
認知症特有の変化を発見するためには、VSRAD(ブイエスラド)を利用した検査を選択しても良いでしょう。VSRAD(ブイエスラド)は、脳の萎縮を数値化して評価する検査です。脳の萎縮を早期に把握することで、認知症の早期発見につながります。
神経心理学的検査や問診を行うプランも選択肢の1つです。神経心理学的検査は、認知症かどうかを調べるために、質問や作業を通して記憶、言語、計算などの機能を客観的に評価する検査です。
代表的なものに「長谷川式簡易知能評価スケール」や「ミニメンタルステート検査(MMSE)」が挙げられます。
これらの検査は認知機能の低下の有無を調べ、認知症の診断に役立ちます。自分の健康を守るため、適切な「脳ドック」を選びましょう。
認知症の検査については以下の記事をご覧ください。
まとめ
認知症かどうかは、脳ドックさえ受診すれば診断できるというものではありません。
「問診」「身体検査」「画像検査」「神経心理学的検査」という4つの検査を行い、総合的に判定します。
認知症は、現在は根本的に治療できない病気です。
認知症にならないためには、脳疾患を予防するための取り組みが必要です。
脳ドックや、定期的な健康診断、日頃の生活習慣改善によって、認知症になる前からケアを行うことが重要になります。
また、認知症でも早期発見ができれば、運動や食事の改善などで、症状の進行を遅くできる可能性があります。
編集部までご連絡いただけますと幸いです。
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2004年浜松医科大学医学部卒業
脳神経外科学会専門医
脳卒中学会専門医
脳ドック学会認定医