がんの種類一覧|部位・血液・組織別に分類と特徴をわかりやすく解説

2026/04/06
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「友人が、がんになったと聞いた」「将来のために健康管理をはじめたい」。

このように、がんについて詳しく知り、健康管理に役立てたいと考えている方は多いのではないでしょうか。

厚生労働省の「令和6年(2024)人口動態統計」によると、がんは日本人の死因の中で最も多い病気とされています。

がんを予防するためには、正しい知識や情報を得ることが重要です。本記事では、代表的ながんの分類や特徴、症状、治療法などを解説します。

それぞれのがんの予防のポイントもご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
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目次

がんとは? 種類を知る意義と分類の基礎

 

まずは「がんとは何か」を知るために、定義や分類の考え方をわかりやすく紹介します。

  • 良性と悪性の違い
  • 固形がんと血液がんの違い
  • 部位別/組織別の分類

それぞれ、見ていきましょう。

良性と悪性の違い

腫瘍は大きく「良性」と「悪性」に分けられており、「がん」は悪性腫瘍を指します。

「良性腫瘍」は、最初に腫瘍ができた臓器で細胞が増殖し、塊ができた状態です。一般的に、

増殖スピードはゆっくりで、周囲の組織に入り込んで広がったり(浸潤)、転移したりすることはありません。

また、よほど大きくならなければ自覚症状がなく、日常生活に影響がない場合もあります。手術で完全に取り除ければ、再発することはほとんどありません。

一方「悪性腫瘍」は、全身に影響を及ぼし、臓器の働きや生命に重大なリスクをもたらす可能性があります。周囲の正常な組織に浸潤しやすく、血液やリンパの流れに乗って、別の臓器へ転移することもあります。

固形がんと血液がんの違い

固形がんは、身体の臓器にできる腫瘍の塊で、血液がんを除く悪性腫瘍の総称です。

周囲の組織に染み込むように広がることで、他の臓器に転移することがあります。治療は、切除手術や放射線治療などが行われることがあります。

血液がんは、血液そのものや血液をつくる骨髄に発生するがんです。血液や造血器の細胞が異常に増えて全身に広がるのが特徴で、白血病や悪性リンパ腫などが挙げられます。

一般的に、手術による切除は難しく、治療には化学療法や造血幹細胞移植(※)が行われます。診断方法も固形がんとは異なり、血液検査や骨髄検査が中心となることが多いです。

※造血幹細胞移植:骨髄、末梢血、さい帯血から採取した造血幹細胞(血液の元になる細胞)を移植する治療法

部位別/組織別の分類

がんは「肺がん」「乳がん」のように、発生する部位によって分けられています。

また、組織の種類による分類もあり、身体の表面や臓器の内側を覆う細胞(上皮細胞)からできる「癌腫」、筋肉や骨、脂肪など身体を形づくる組織からできる「肉腫」などに分けられます。

それぞれの特徴は以下の通りです。

分類

特徴

部位別

・肺がん

・胃がん

・乳がん

・大腸がん

・肝臓がんなど

発生した臓器、部位によって分けられ、検診や治療法は部位ごとに異なる。

組織別

・癌腫

・肉腫

・血液がん

細胞の種類や由来で分ける。


・癌腫:がん全体の大部分を占める

・肉腫:比較的まれで、骨や筋肉などに発生する

・血液がん:血液や骨髄、リンパ節の中で増える

進行の程度を示す「ステージ分類」や、細胞の異常の強さを表す「グレード分類」などもあります。このような分類を知っておくことで、がんの理解がより深まるでしょう。

部位別でみる代表的ながん

 

がんが発生する臓器ごとに代表的な種類と特徴を詳しく解説します。

  • 肺がん
  • 乳がん
  • 大腸がん
  • 胃がん
  • 肝臓がん

それぞれ、見ていきましょう。

肺がん

肺がんは、肺の「気管支」や、酸素と二酸化炭素を入れ替える役割を担う「肺胞」の細胞ががん化する病気です。

肺がんは、がんによる男性の死亡原因として最も多い病気です。罹患者数自体も男女合わせて2番目に多いがんとされています。

主な症状は以下の通りです。

  • 咳が出る
  • 胸が痛む
  • 声がかすれる
  • 痰、血痰(痰に血が混じる)が出る
  • 動いたときに息切れ(労作時の呼吸困難)する

肺がんは「小細胞肺がん」と「非小細胞肺がん」に大きく分かれており、進行スピードや転移のしやすさなどが異なります。

非小細胞肺がんは小細胞肺がんと比べると進行が比較的緩やかです。一方、小細胞肺がんは急速に増殖して転移しやすい傾向があります。

どちらのタイプでも、喫煙との関連性が指摘されており、予防には禁煙がポイントになります。受動喫煙によるリスク増加も指摘されており、周囲に喫煙者がいる場合は注意が必要です。

肺がんについては、以下の記事もご覧ください。

肺がんのステージとは? ステージ別の進行度や5年生存率についても解説

がんは日本人の死因第1位になるほど死亡者数が多い病気です。がんの進行の程度を表したものに「ステージ(病期)」があります。これは治療方針を決める上で重要な判断材料です。この記事の中では、肺がんのステージごとの状態、治療方法、また5年生存率などについてご紹介いたします。

乳がん

乳がんは乳房の中にある「乳腺」の組織にできるがんで、多くは母乳を運ぶ「乳管」から発生します。女性に多いがんとしても知られており、若年層で発症する可能性があります。

また、男性にも乳房組織があるため罹患のリスクはゼロではありません。乳がんの症状は以下の通りです。

  • 乳房にくぼみ(皮膚のひきつれ)ができる
  • 乳頭から分泌物が出る
  • 乳房にしこりができる
  • 乳頭や乳輪の皮膚が荒れる
  • 左右で形や大きさが違って見える

乳がんは、家族歴との関連性も指摘されているため、家族に乳がんの既往歴がある方は注意が必要です。健康な生活を送るためにも、定期的ながん検診やがんドックで早期発見を心がけましょう。

大腸がん

大腸がんは、大腸の粘膜の細胞が変化することで起こるがんの総称です。

がんの中では最も罹患率が高く、40代から50代以降で徐々に増加する傾向があります。

症状は以下の通りです。

  • 血便が出る
  • 腹痛があらわれる
  • 残便感がある
  • 便秘や下痢を繰り返す
  • 便が細くなる

早期には自覚症状がないことも多く、進行すると便に血が混じったり、下血したりすることがあります。出血が強くなると貧血による気分不良、めまいなどが生じる恐れもあるため、症状がある場合は早めの対応が大切です。

大腸がんは、初期段階で発見された場合に治療効果が得られやすいとされています。便の異常や腹痛などの症状に気付いた際は、早めに医療機関を受診しましょう。

胃がん

胃がんは、胃の内側を覆っている粘膜の細胞が変化し、がん細胞となって増え続ける病気です。早期の胃がんは自覚症状がほとんどありませんが、進行すると「胃の痛む」「便が黒くなる」などの症状があらわれます。

胃の中で出血すると、血液が胃酸で酸化して、血液が黒っぽく変化します。その結果、便の色が黒く見えることがあります。

その他の症状は、以下の通りです。

  • 貧血を起こす
  • 吐き気がする
  • 胸焼けがする
  • 食欲不振になる
  • 胃に不快感がある

胃がんの発症には、ヘリコバクター・ピロリ菌との関連が指摘されており、長期的に胃粘膜で炎症を引き起こすことで、胃がんが生じると言われています。

また、塩分過多や野菜不足、加齢による胃の粘膜の変化も胃がんの発症に関与すると考えられています。

胃がんは、がんの中でも罹患者数が多い病気です。予防のためには定期的な検診とバランスの良い食生活を意識しましょう。

肝臓がん

肝臓がんは、慢性肝炎や肝硬変の進行により発症することが多いです。

肝臓は「沈黙の臓器」とも呼ばれ、症状があらわれにくいため、発見された時点で進行していることが少なくありません。「疲れがとれない」「食欲がわかない」などの自覚症状がある場合は早めに検査しましょう。

進行する肝臓の病気には、B型・C型肝炎ウイルスが関与すると考えられています。

肝炎ウイルスの感染経路はウイルス型により異なりますが、主に血液や体液(性交渉など)で、肝臓がんを予防するためにはこれらの感染対策が重要です。

具体的には「血液を介して感染する可能性のある日用品を共有しない」「性交渉時に避妊具を使用する」などが挙げられます。

血液や組織に発生するがんの種類

 

血液や骨、筋肉などの組織に発生するタイプのがんについて紹介します。

  • 白血病
  • 悪性リンパ腫
  • 多発性骨髄腫
  • 骨肉腫、軟部肉腫

それぞれ、見ていきましょう。

白血病

白血病は血液の細胞が異常増殖する病気です。

骨髄で白血病細胞が増殖することで、正常な赤血球、白血球、血小板がつくられにくくなり、「貧血になる」「感染しやすい」「出血しやすい」といった症状があらわれます。

がん化した細胞の種類、進行スピードにより白血病は「急性骨髄性白血病」「慢性骨髄性白血病」「急性リンパ性白血病」「慢性リンパ性白血病」に分類されます。

白血病は、血液検査によって早期発見されるケースもありますが、進行が早い場合は短期間で全身に影響が及ぶこともあるため注意が必要です。

治療は抗がん剤や造血幹細胞移植が用いられることがあり、本人の状態や進行度に応じて方法が選択されます。

悪性リンパ腫

悪性リンパ腫は、白血球の1つである「リンパ球」ががん化する病気です。

主な症状は、首、わきの下、足の付け根などのリンパ節の腫れや、発熱、体重減少などです。

悪性リンパ腫は、大きく「ホジキンリンパ腫」と「非ホジキンリンパ腫」に分類されており、病理検査の結果を踏まえて判断されます。

治療方法は病型によって異なり、化学療法や放射線治療などが検討されます。

多発性骨髄腫

多発性骨髄腫は、骨髄の中にある「形質細胞」という血液細胞ががん化する病気で、中高年層に多く見られる血液がんの1つです。

骨がもろくなり骨折しやすくなるほか、腎障害や貧血など全身に様々な症状を引き起こします。

初期には自覚症状がなく、健康診断や人間ドックにより判明するケースもあります。

治療は、分子標的薬(※)、抗がん剤、ステロイド薬などを組み合わせる薬物療法が中心となります。本人の年齢や体力によっては、造血幹細胞移植が検討されることもあります。

※分子標的薬:病気(特にがん)の原因となっている特定の分子(タンパク質や遺伝子など)にだけ作用するように設計された薬

骨肉腫、軟部肉腫

骨肉腫、軟部肉腫は若年層に多く見られるがんです。

骨や筋肉、脂肪などにできるがんで、医学的には「肉腫」に分類されています。

一般的ながん(癌腫)との違いは、発生する場所や組織にあります。癌腫が臓器の表面や内側を覆う細胞から発生するのに対し、骨肉腫や軟部肉腫は骨や筋肉、脂肪など身体を支える組織から発生するのが特徴です。

症状としては痛みや腫れ、運動障害などが挙げられます。

治療は、外科手術や抗がん剤など、いくつかの方法を組み合わせることもあり、早期発見・早期診断が治療の成果に影響します。

各がんの特徴比較と発症部位の違い

 

主要ながんの発生年齢や男女差、予後にはどのような違いがあるのでしょうか。健康リスクを正しく評価するために、それぞれの比較を見ていきましょう。

以下は、いくつかのがんを比較した表です。

種類

発生年齢の傾向(※1)

性差の傾向(※1)

5年生存率(※2)

肺がん

中高年以上に多い

男性に多い

約35%(男女計)

乳がん

20代から30代で増えはじめる

40代から60代に多い

女性に多い(男性はまれ)

約92%(女性)

大腸がん

中高年に多い

男性やや多い

約71%(男女計)

胃がん

中高年に多い

男性に多い

約67%(男女計)

肝臓がん

中高年に多い

男性に多い

約36%(男女計)

白血病

中高年以降に多いが、小児例もあり

男性やや多い

約44%(男女計)

悪性リンパ腫

中高年中心で幅広い

男性やや多い

約68%(男女計)

多発性骨髄腫

高齢者に多い

男性やや多い

約43%(男女計)

なお、がんを早期発見するには、定期的ながん検診や、がんドックの利用が重要です。がん検診については以下の記事をご覧ください。

がん検診のメリット、デメリットは? 受診の頻度はどのくらい?

がん検診には、国として推奨するがん検診(対策型検診)と、自己負担型のがん検診(任意型検診)があります。これらのがん検診はなぜ受けた方がいいのでしょうか? がん検診のメリット、デメリット、受診頻度などについても解説いたします。

※1

※2全国がん罹患モニタリング集計2009-2011年生存率報告(国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策情報センター, 2020)|独立行政法人国立がん研究センターがん研究開発費「地域がん登録精度向上と活用に関する研究」平成22年度報告書

まとめ:がんの種類を知り、適切な対処へ

 

がんの特徴や予防、早期発見の重要性を知ることで、今後の健康管理や医療機関の選択がより適切にできるようになり、また不安の軽減と、前向きな対策に役立ちます。これを機会にご自身やご家族の生活習慣を見直し、定期的な検診で健康維持に努めましょう。

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編集部までご連絡いただけますと幸いです。
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監修医 井林 雄太 (いばやし・ゆうた)
福岡ハートネット病院勤務
日本糖尿病学会 糖尿病専門医
日本内分泌学会 内分泌代謝科専門医
日本内科学会 認定内科医
2008年大分大学医学部卒業

臨床研修終了後、糖尿病・内分泌内科を専門に病院勤務を行っております。
診療の傍ら、ミトコンドリア代謝など基礎研究、医学書の執筆・監修業務も並行しつつ、正しい医療知識・生活習慣予防の重要性など啓蒙活動を行っております。