息苦しいと感じたときに考えられる主な原因と適切な対処法
本稿では、息苦しさの主な原因とその対処法について詳しく解説します。息苦しさを引き起こす要因には、呼吸器系や循環器系の疾患、精神的なストレスや不安などがあり、これらを正しく理解することが症状緩和の第一歩となります。具体的な対処法や予防策を知ることで、息苦しさを効果的に緩和し、生活の質を向上させることが可能になるでしょう。
息苦しいという症状は、多くの人々が経験する不快なものです。呼吸がうまくできないことは、日常生活に大きな支障をきたし、時には非常に不安を感じることがあります。
本稿では、息苦しさの主な原因とその対処法について詳しく解説します。息苦しさを引き起こす要因には、呼吸器系や循環器系の疾患、精神的なストレスや不安などがあり、これらを正しく理解することが症状緩和の第一歩となります。具体的な対処法や予防策を知ることで、息苦しさを効果的に緩和し、生活の質を向上させることが可能になるでしょう。
息苦しさとは? その正体とメカニズム
息苦しさは、多くの人が日常生活の中で経験する不快な症状です。突然の息切れや胸の圧迫感に悩まされることがありますが、原因は様々。ここからは、息苦しさの正体とメカニズムについて詳しく解説します。
「息苦しい」とはどんな感覚か
「息を吸ってもスッキリしない」「胸が締め付けられるような感じがする」「息切れがする」など、息苦しい時の表現の仕方は多様です。医学的には「呼吸苦」と言うこともあります。息苦しさは運動中はもちろん、安静時や日常動作中にも感じられる症状です。しかし、その原因は様々であり、病院を受診して検査をしなければ原因の特定が難しい場合があります。そのため、息苦しさが頻繁に起こる場合や持続する場合は、早めに病院を受診することが重要です。
息苦しさが生じるメカニズム
息苦しさが生じるメカニズムは、原因によって違ってきます。原因の多くは息を吸ったり吐いたりすることの異常、つまり呼吸の異常です。呼吸に問題があり、体内に十分な酸素が供給されないと、息苦しさを感じることがあります。
また、過換気という呼吸が過剰に多く、浅くなる状態も原因の1つです。この状態では体内の酸素と二酸化炭素のバランスが崩れ、体内に溜まっている二酸化炭素の量が少なくなるため、息苦しさや手足のしびれ、けいれん、不安などが引き起こされます。
そのほかには、心臓が原因になることもあります。例えば、心不全などが原因で、心臓に渋滞した水分が肺に溜まったり、血液が十分に身体に行きわたらず、全身に必要な酸素が不足したりすることで息苦しさを感じます。
さらに、呼吸は精神的な状態とも密接に関関係しています。ストレスや不安が高まると自律神経が乱れ、呼吸がスムーズに行えなくなることがあります。これらの要因が1つでもあったり、それぞれが組み合わされたりすることで、息苦しさが引き起こされます。一度に複数の原因が絡んでいる場合も多く、息苦しい症状が続く場合は病院の受診が必要です。

息苦しさを引き起こす身体的な原因と精神的な原因
息苦しさは身体的な問題だけでなく、精神的な問題から引き起こされることもあります。このパートでは、呼吸器疾患や心臓疾患などの身体的な原因と、ストレスやパニック障害などの精神的な原因について詳しく解説します。それぞれの原因がどのように息苦しさを引き起こすのかを理解すれば、適切な対策を講じることができるでしょう。
肺や心臓などの身体の病気(喘息、慢性閉塞性肺疾患、心不全、心筋梗塞、貧血など)
息苦しさの原因となる身体疾患は多岐にわたります。まず、喘息や慢性閉塞性肺疾患(COPD)は肺の代表的な病気です。喘息は過剰な免疫反応により気道に炎症が起こり、息苦しさを感じさせる病気です。息を吸う時よりも息を吐く時に気道が細くなり、重症になると「ぜーぜー」という音が聞こえることもあります。特に夜間や早朝に喘息が悪化することがあるため、十分な治療を受ける必要があります。
慢性閉塞性肺疾患は長い間タバコを吸っていた人に多い肺の病気で、肺が膨らんだ状態で硬くなるため、十分な呼吸が難しくなり、息苦しさが引き起こされます。ひどくなると酸素ボンベを引いて、常に鼻から酸素を吸っていなくてはならなくなります。そのほかにも肺に血栓が詰まって起こる肺塞栓症も息苦しさの原因になります。下半身の長時間の安静で起こるエコノミークラス症候群も肺塞栓症と同様のメカニズムで肺の機能障害を起こします。
心臓に関連する病気としては、心不全や心筋梗塞が挙げられます。心不全や心筋梗塞による心機能の障害により心臓が正常に血液を送り出せなくなると血液が渋滞し、肺に水が溜まった状態になることで息苦しさが引き起こされます。また、身体への酸素供給が不十分になると息苦しさだけでなく様々な臓器に機能障害をきたします。これらの息苦しさは、軽症であれば身体を動かした時だけに限られますが、病状が進行すると安静にしていても感じるようになります。
また、息苦しさを起こすほかの身体疾患としては、強いアレルギー反応によるアナフィラキシーショックや、貧血などがあります。
ストレスやパニック障害など精神的な要因
息苦しさは身体の病気ではなく、精神的な病気や状態に起因することもあります。不安や緊張は呼吸のリズムを乱し、息苦しさを感じさせる原因となります。具体的には過換気症候群やパニック障害が挙げられます。過換気症候群とは、いわゆる過呼吸のことで、緊張などで息を何回も激しく吸ったり吐いたりすることで、身体の二酸化炭素濃度が低下した結果、呼吸中枢により呼吸が抑制されることで、息苦しさやめまいを感じる症状を指します。パニック障害でも過呼吸と同様のメカニズムで息苦しさを感じることがあるとされています。
精神的な要因による息苦しさは、一見すると身体疾患に起因するものと判別がつかないこともあります。息苦しさを感じたら、早めに病院を受診して原因をつきとめることが重要です。精神的な要因で起こった息苦しさであっても、適切な治療を受けることで症状をコントロールすることができるようになります。
命に関わる可能性がある“緊急性のある息苦しさ”
命に関わる可能性がある“緊急性のある息苦しさ”には迅速な対応が必要です。以下のような症状があらわれた場合は、ただちに病院を受診する必要があります。
- 突然の激しい息苦しさで意識を失う
- 冷や汗や胸の痛みを伴う息苦しさが15分以上続く
- 会話ができないほど苦しい
このような症状は心筋梗塞や肺塞栓症、重症喘息発作、アナフィラキシーショックなど、命に関わる病気である可能性があります。これらの症状があらわれた場合は、すぐに救急車を呼ぶ必要があります。
自宅でできる対処法と日常的な予防
息苦しさを感じた時に自宅でできる対処法や、日常的に取り組める予防法を紹介します。応急処置の方法やストレス軽減、生活習慣の改善など、様々な対策を詳しく解説します。
応急処置と姿勢の工夫
息苦しさを感じた時にすぐにできる対処法は、楽な姿勢を取ることです。例えば、椅子に座った状態で、身体を前に倒し、前かがみの姿勢をとることで、呼吸が楽になります。
また、「口すぼめ呼吸」を試してみましょう。口をすぼめて息をゆっくりと吐くことで、呼吸のリズムを整えることができます。息を吸う際には、鼻からゆっくりと吸い込み、吐く時には口から少しずつ出し、吸った時の2倍の時間をかけて吐き出すようにします。また、無理に深呼吸しようとすると逆効果になることがあるため、注意が必要です。
これらの方法を試すことで一時的に息苦しさをやわらげられます。いざという時にもあわてずに対処できるように知っておくとよいでしょう。
ストレスを軽減させる呼吸法
ストレスを軽減させる呼吸法として、簡単に取り入れられる腹式呼吸を紹介します。腹式呼吸は、お腹を使って深く息をする方法で、リラックス効果が期待できます。具体的には、鼻からゆっくりと息を吸い、お腹が膨らむのを感じたら、口からゆっくりと息を吐きます。この動作を数回繰り返すことで、心身ともにリラックスできます。
「4-7-8呼吸法」も、リラックスを目的として用いられる方法の1つです。これは、4秒かけて息を吸い、7秒間息を止め、8秒かけて息を吐くという手順です。この呼吸法は、不安や緊張をやわらげるのに役立ちます。
また、毎日の生活の中で、少しの時間でも心を落ち着け、現在の瞬間に集中することで、ストレスの軽減につなげられます。例えば、朝の散歩中に自然の音に耳を傾けたり、食事をゆっくり味わったりするとよいでしょう。
食事・運動・禁煙など生活習慣の改善ポイント
息苦しさを軽減させるための生活習慣改善ポイントとして、まず意識すべきなのが体重管理です。太りすぎと痩せすぎのどちらも、呼吸機能に負担をかけます。適正体重を維持することで、呼吸器や循環器への負担が減ります。無理なダイエットではなく、バランスの良い食事や適度な運動を心がけましょう。
次に、禁煙です。タバコは肺に悪影響を及ぼし、息苦しさを引き起こす原因の1つです。禁煙を試みることで、呼吸が楽になるだけでなく、全身的な健康改善が期待できます。
軽い運動も大切です。毎日30分程度のウォーキングや軽いジョギングを取り入れると、肺機能の改善が期待されます。また、ストレッチやヨガも身体を柔らかく保ち、リラックス効果があります。
すぐに全部を変えるのは難しいかもしれませんが、できることから一歩ずつ始めることが大切です。自分のペースで取り組んでいきましょう。

医療機関を受診すべきタイミングと検査内容
息苦しい症状が続く時、どのタイミングで医療機関を受診するべきか悩むかもしれません。ここからは受診の目安や、診察の際に行われる典型的な検査内容について詳しく説明します。
どんな症状なら病院へ行くべき?
息苦しさが出現した際に、医療機関を受診すべき状態かどうかをチェックするリストを以下の通りまとめました。これらの症状が続く場合は、専門の医療機関への相談をお勧めします。
- 息切れや呼吸困難が長期間続く場合
- 夜間に何度も息苦しさで目が覚める場合
- 運動や軽い労作で息が切れる、またはその際に胸の痛みを伴う場合
- 急激に息苦しさが悪化し、動くことができないほどの症状が出る場合
- 胸部に圧迫感や強い痛みを感じる場合
これらの症状が現れた場合は、早めに受診しましょう。
呼吸器・循環器・血液などの検査内容と治療法
息苦しさで受診した場合、医療機関ではまず問診を行い、詳しい話を聞きます。この問診により息苦しさの原因をある程度しぼることができます。その後、疑った病気により様々な検査が行われます。呼吸機能検査では息を吸ったり吐いたりして肺の機能を詳しく調べ、レントゲンやCTスキャンでは肺や胸部の異常を画像的に確認します。心電図は心臓のリズムや機能をチェックし、血液検査では貧血や感染症などの有無を調べます。
治療法は原因により違いますが、吸入療法や投薬が行われることがあります。また、生活習慣の指導も重要で、運動や食事、禁煙などの生活改善が推奨されることも多いです。これらの検査や治療法を駆使し、適切に対応することで症状の軽減を図れます。
何科にかかるべきかの判断ポイント
息苦しさの原因は多岐にわたるため、どの診療科を受診するのか迷うことがあります。一般的には以下の目安に従ってください。
- 呼吸器の症状が主である場合:呼吸器内科
- 胸の痛みや動悸など心臓の症状がある場合:循環器内科
初めての症状で何科を受診すればよいかわからない場合は、まずはかかりつけ医や近所のクリニックに相談してみましょう。かかりつけ医が必要に応じて専門医を紹介してくれますので躊躇せず受診しましょう。以上のポイントを参考に、適切な診療科を選んで早めに受診することが大切です。
まとめ:息苦しさは原因に応じた対応と早めの受診が大切
息苦しさは、多くの人々が経験する不快な症状ですが、原因は多岐にわたります。肺や心臓の病気、精神的な病気などそれぞれの原因に応じた対策が必要です。特に緊急性のある息苦しさを感じた場合は、急いで病院を受診してください。
息苦しさの裏には重大な病気が隠れていることもありますので、この記事を参考に受診を検討してください。これからも健康に関する正しい知識を身につけて、自分や家族の健康を守りましょう。
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2003年奈良県立医科大学卒
名古屋大学大学院で博士号取得
これまでトヨタ記念病院、名古屋大学病院などで臨床、教育、研究に従事。2年半のトロント小児病院でのポスドク後、現在は臨床医として内科診療に携わる一方で複数の企業で産業医として働き盛り世代の病気の予防に力を入れている。また2022年に独立し、創薬支援のための難病患者データベースの構築や若手医療従事者の教育を支援する活動を行っている。