「CT検査で何がわかる?」部位別に見つかる病気や検査の流れを解説

2025/07/15
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CT
「人間ドックのCT検査って受けた方が良いの?」「そもそもCT検査って何?」。

このように悩んだり、疑問に感じたりする方も多いのではないでしょうか。CT検査は、身体の断面を画像で詳しく確認できる医療技術で、病気の早期発見にもつながる重要な検査です。

本記事は「CT検査でわかること」や「CT検査の流れと必要な準備」などについて解説します。CT検査受診の判断材料として活用できる内容になっていますので、CT検査に対して疑問がある方はぜひ最後までご覧ください。
目次

CT検査とは

CT検査は、X線を利用して身体の内部を映し出す検査方法です。

身体の状態を正確に把握できるため、病気を早期に発見し、治療方針を決めるにあたり重要な役割を果たしています。

まずは、CT検査の仕組みや特徴、他の画像検査との違いを見ていきましょう。

CT検査の概要と仕組み

CT検査は、X線を使って身体の断面(輪切り)画像を撮影する検査で、頭や胸、お腹など身体の様々な部分を細かく調べられます。検査自体は、数分で終わることが多く、身体への負担が少ないのも特徴の1つです。

検査では、CTスキャナーという機械が身体の周囲を回りながら受診者の身体にX線をあて、その情報をコンピューター処理することで画像を作ります。作成された画像には、骨や血管、内臓などの状態が映し出されており、小さな異常でも見つけやすくなっています。

CTスキャナーはX線を使うため、受診者はレントゲンよりもやや多めの放射線を浴びることになりますが、その量はごくわずかなので健康に大きな影響を与えるものではありません。

CT検査と他の画像診断との違い

画像検査には、CT検査の他にもMRI検査やレントゲン検査などがあります。それぞれ用いられている技術や、得意な分野が異なります。それぞれの違いは以下の通りです。


検査 使用する技術 検査時間の目安 得意な部位
CT検査 X線 10〜15分 骨、臓器の詳しい断面画像
MRI検査 磁気と電波 10〜15分 脳や神経、筋肉などやわらかい組織
レントゲン検査 X線 5〜10分 骨折など、骨の状態を見るのに最適

画像検査は「何を調べたいか」で、使い分けられています。CT検査は、比較的素早く身体の内部を調べられるため、日常の診療から緊急の対応まで幅広く用いられています。

なお、CT検査とMRI検査の違いは、以下の記事で解説しているため、詳細が気になる方はそちらもご覧ください。

CTとMRIの違いとは? それぞれの特徴と発見できる疾患についても解説

画像検査には多くの方になじみが深いレントゲン検査があります。レントゲンの他にも体内の状態をみることができる画像検査では、超音波検査、CT、MRI、核医学検査などがあり、それぞれ特性が異なります。この記事の中ではCT検査とMRI検査に焦点をあてて、それぞれの特徴をみていきます。

CT検査でわかること:部位別の診断可能な疾患

CT検査では、身体の様々な部位を詳しく調べられます。ここからは、身体の部位ごとに「CT検査でどのようなことがわかるのか」をご紹介します。

なお、CT検査を受ければ以下の病気が必ず判別可能であるとは言いきれません。病気の発症直後や、臓器の位置関係によっては判別が難しい場合もあり、追加で別の検査が必要になることもあります。

頭部CT検査でわかること

頭部のCT検査では、脳やそのまわりの状態を詳しく調べられます。出血の有無や、脳組織が壊死した状態を確認できるため、脳出血や脳梗塞といった重い病気の発見にも役立ちます。

例えば「突然ひどい頭痛がした」「意識がぼんやりする」などの症状がある時、CT検査を実施することで、脳内の異常を発見して早期治療につなげられる可能性があるのです。

また、転倒や事故によって頭を打った時にも、脳内の出血やダメージがあるかどうかを正確に調べることができます。

胸部CT検査でわかること

胸部CT検査は、主に肺や気管支などの呼吸器の病気を見つけるのに適しています。胸部CTで発見できる可能性がある病気の例は以下の通りです。

  • 肺炎
  • 肺がん
  • 慢性閉塞性肺疾患(COPD)
  • 気胸(肺がしぼんでしまう病気)

「咳が長引く」「胸が痛い」「息がしにくい」といった症状がある時、CT検査を行うことで、小さな異常も捉えられます。結果として、早期から治療を始められる可能性が高まります。

胸部CTについては、以下の記事でも解説していますので、詳細が気になる方はそちらもご覧ください。

胸部CT検査(肺がん・肺CT)ではなにがわかる? 検査方法、受診費用などについて

日本人の死因の中でももっとも多いのが「がん」による死です。2019年の統計では、その中でも肺がんがもっとも割合が多いとされています。肺がんは「この症状がかならず出る」というものはなく、無症状のうちに進行している場合があります。この記事では胸部CT(肺がん・肺CT)検査からわかること、また検査をおすすめする人などをご紹介いたします。

腹部CT検査でわかること

腹部CT検査は、肝臓、膵(すい)臓、腎臓などの臓器の状態を調べるのに役立ちます。腹部CTでわかる疾患の例は以下の通りです。

  • 腸閉塞
  • リンパ節の異常
  • 炎症性疾患(膵炎、肝炎など)
  • 結石症(尿管結石、胆石など)
  • 消化器系のがん(膵臓がん、肝臓がんなど)

超音波検査では見えにくい部分も、CT検査ならはっきり映るため診断の精度が高まります。また、大動脈瘤(血管がこぶのようにふくらむ病気)のような、腹部の血管の異常もチェックできます。腹部CT検査は、重大な病気の早期発見につながる重要な検査と言えるでしょう。

骨・関節のCTでわかること

CT検査は、骨のヒビや骨折の状態、関節の異常などをより詳しく調べられるため、整形外科の分野でも広く用いられています。具体的な例は以下の通りです。

  • 関節の炎症や変形
  • スポーツや事故によるけが
  • 関節リウマチや変形性関節症の進行の様子

CT検査は、比較的素早く実施できるため、事故による骨折や、関節の変形など緊急の対応が必要な状況でも、スムーズに治療へつなげることができます。

また、関節リウマチや変形性関節症といった慢性疾患の進行度を評価するためにも役立ちます。

CT検査でわかること:部位別の診断可能な疾患

CT検査の流れと事前準備

CT検査は調べる部位によって、絶食や服薬中止などの事前準備が必要です。このような注意点は、医療機関でスタッフから説明されるのが一般的です。

とはいえ、事前に流れや注意点を知っておくことで、当日も落ち着いて対応でき、不安も少なくなるでしょう。それぞれ、詳しく解説します。

検査前の準備と注意事項

CT検査には、いくつかの注意事項があります。以下のポイントを確認しておきましょう。

食事ついて(絶食の有無)

検査の内容によっては、検査前に食事を控える必要があります。特に、造影剤を使う場合は、数時間の絶食が必要になることがあります。医師からの指示をよく確認しましょう。

服薬の注意点

日常的に飲んでいる薬がある場合は、医師に相談しましょう。必要な場合、検査前に服薬中止の指示が出ることがあります。

金属の取り外し

アクセサリー、時計、補聴器、入れ歯などの金属類は、検査中の画像に影響を与えることがあります。当日はすべて外しておきましょう。

造影剤の使用

CT検査では、体内の血管や臓器をより詳しく撮影するため、造影剤を使うことがあります。過去にアレルギー反応が出たことがある方は、必ず事前に医師へ相談してください。

検査当日の流れと所要時間

CT検査を実施する当日の流れは、おおむね以下のようになります。


流れ 概要
受付 指定された時間に医療機関を訪れ、受付を済ませます。必要な書類や保険証を持参してください。
検査説明 医師または技師が検査の流れや注意点について説明します。疑問があればこの時に質問しましょう。
準備室 検査着に着替え、金属類を外します。造影剤を使用する場合は、点滴の準備をします。
検査 検査台に横たわり、スタッフの指示に従ってリラックスしてください。検査自体は通常10分から15分ほどで完了します。
終了 検査が終わったら着替えて終了です。結果の説明は後日改めて行われることがあります。

受付から、終了まで30分から1時間ほどで終わるのが一般的です。検査結果の説明は、必要に応じて当日に医師から行われます。結果によっては追加の検査を行うこともあるでしょう。

検査後の注意点と結果の受け取り

検査が終わったあとも、気をつけたいポイントがいくつかあります。

結果の通知について

病気で医療機関を受診して検査した場合、当日に医師から説明があります。人間ドックや健康診断の場合、検査結果は数日から数週間程度で通知されるのが一般的です。結果の受け取り方法は医療機関によって異なるため、受付で確認しましょう。

造影剤使用後の注意点

造影剤を使用した場合は、体外に早く排出するために水分を多めにとることが大切です。体調に変化がなければ、普段通りの生活に戻って問題ありません。吐き気や発疹などの副作用が出た場合は、すぐに医療機関に連絡しましょう。

避けた方がいいこと

造影剤CT検査を受けた後にアルコールを摂取するのは避けましょう。アルコールには利尿作用があり、脱水を引き起こすおそれがあり、体内から造影剤を排出しやすくするために大切な水分補給が妨げられる可能性があります。検査当日のアルコール摂取は控えましょう。 また、検査後は普段どおり食事をしてかまいませんが、身体の負担を避けるため刺激が強いものは控えましょう。
CT検査は安全性が高く、身体の異常を早期に見つけるための大切な検査です。事前に正しい情報を知っておくことで、不安なく落ち着いて検査を受けられるでしょう。

CT検査の流れと事前準備

CT検査の料金と保険について

CT検査の料金は「保険が適用されるか」で大きく異なります。保険が適用になる場合、自己負担額は3,000円から5,000円(3割負担の場合)となります。

保険適用の対象となるのは、病気の症状があって治療方針を決める時や、定期的な状態確認のために医師が必要と判断した場合です。

一方、健康診断や人間ドックで予防的にCT検査を実施する際は、保険適用となりません。この場合、自由診療となり費用は全額自己負担となります。費用の目安は5,000円から30,000円ほどです。金額は、撮影する部位や条件によって異なるので注意しましょう。

CT検査の料金と保険について

このように、CT検査の料金は目的や医師の判断によって大きく異なるため、検査を受ける前に費用や保険適用の有無について、医療機関に確認しておくことが大切です。事前に情報を得ておけば、費用が予想外に高くて驚くようなことはなく、安心して検査に臨めるでしょう。

CT検査の安全性と被ばく量

CT検査は、X線(放射線)を使って身体の内部を調べる検査です。

一般的に、CT検査の放射線量は5から30mSv(ミリシーベルト)だと言われています。環境省の「放射線による健康影響等に関する統一的な基礎資料」によると、人体に影響があるのは100mSv以上だとされており、検査による被ばくは安全な範囲内だと言えます。

他の検査による被ばく量は以下の通りです。


検査 線量
胸部X線撮影 0.06mSv
上部消化管検査(バリウム検査) 3mSv
CT撮影 5〜30mSv
PET検査 2〜10mSv
⻭科撮影 0.002〜0.01mSv

参考:放射線による健康影響等に関する統一的な基礎資料|環境省

検査機器の技術は大きく進歩しており、必要最小限の放射線量で高精度な画像を得られるよう工夫されています。医療機関でも、安全性を重視しながら検査が行われているので、過度に心配する必要はありません。

検査によっては、画像をより鮮明にするために「造影剤」という薬を使うことがあります。アレルギー反応はまれですが、万が一の際にも医療機関では迅速に対応できる体制が整っています。

ただし、過去に造影剤でアレルギーを起こしたことがある場合や、放射線治療の経験がある場合、現在服用している薬などがある場合には、事前に医師に伝えておくことが大切です。そうした情報を共有することによって、より安全に検査を受けることができるでしょう。

CT検査を受けるべきタイミングと判断基準

医療機関において、CT検査を受けるかどうかの判断は医師が行います。

とはいえ、「いつ検査の相談をすればいいのか」「どんな時に健康診断を受ければいいのか」を知っておくことは、健康管理を効果的に行うために重要です。自分が検査を受けるべきかどうかは、以下のチェックリストを参考にしてください。

  • 健康に不安がある
  • がんのリスクが高い
  • 外傷や急性症状がある
  • 特定の症状が続いている
  • 定期健康診断で異常が見つかった

すでに症状がある場合や、「病院に行くべき症状なのだろうか」と迷っている場合は医療機関を受診しましょう。

そうではないけれども「症状はないが健康面に不安がある」「将来的なリスクに備えておきたい」といった時は、人間ドックでCT検査を受けるのも良いでしょう。

人間ドックには、CT検査を含めた全身の健康チェックや、肺に特化した「胸部CT肺ドック」などがあります。日常的に喫煙や飲酒を行う方や、生活習慣病がある方は、健康リスクが高まるため注意が必要です。

人間ドックの詳細については、以下をご覧ください。

胸部CT肺ドック|スマートドック

CTスキャンによって、胸部の撮影を行い、肺や心臓、血管の状態を詳細に検査することができます。 健康診断で行われているレントゲンでは確認しづらい箇所も含め、病気につながる異常箇所を調べる検査です。

よくある質問

最後に、CT検査についてよくある疑問を見ていきましょう。

CT検査は痛いですか?

CT検査は、身体の外から撮影する非侵襲的(身体を傷つけない)検査のため、痛みはありません。ただし、造影剤を使う場合は、注射によって痛みや違和感を覚えることがあります。また、ごくまれに薬によって身体が熱く感じたり、気分が悪くなったりすることがあります。

そもそも「造影剤」って何ですか?

造影剤は、画像検査において、画像にコントラスト(白黒の差)をつけたり、特定の臓器や組織を強調したりするために使用される薬剤です。造影剤には、CT検査で用いられるヨード造影剤や、胃の検査で使われるバリウムなどがあります。

CT検査では腕から注射し、体内をめぐって必要な部位を際立たせます。アレルギー反応が出ることはまれですが、不安がある場合は事前に医師に相談しましょう。

CT検査が受けられない場合はあるの?

造影剤に強いアレルギーがある方や、腎機能が低下している方、妊娠中の方は注意が必要です。また、閉所恐怖症がある場合も検査が難しいことがあります。このような既往歴がある方や、身体に不調がある方、妊娠中の方は必ず事前に相談しましょう。

まとめ:CT検査で健康管理を強化しましょう

本記事はCT検査について解説しました。

CT検査は、X線を利用して身体の内部を映し出す医療技術で、身体の中をより正確に把握できます。病気を早期に発見したり、治療方針を決めたりするために重要な役割を果たしており、健康のためには、なくてはならない検査だと言えるでしょう。

検査を実施する際は絶食や服薬の中止など、準備、または注意すべき点がいくつかあります。これらは、事前に医療機関のスタッフから説明がありますが、事前に知っておくことでより安心して検査に臨めるでしょう。

記事についてお気づきの点がございましたら、
編集部までご連絡いただけますと幸いです。
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