2023/02/22 ( 公開日 : 2022/11/22 )

MRI検査ではなぜ大きな音が鳴ってうるさいの? 傾斜磁場ってなに?

検査
MRI 脳ドック
この記事は約3分で読めます
171
MRI検査はなぜ大きな音がするのでしょうか? 記事の中ではMRIで撮像に時間がかかる理由や、撮影中に大きな音が鳴りつづける理由などについて解説しています。
目次

MRIについて

MRIとは、Magntetic Resonance Imaging(磁気共鳴画像装置)のことで、さまざまな方向から体の断面像を撮影することができます。
レントゲンやCTなどとは違ってX線を一切使用しないで、磁場と電波を撮影するのが特徴です。

MRIの外観

MRIはCTと同じようにトンネル状ですが、トンネル内部は磁石(コイル)になっています。

MRIで作られる画像

物質が強力な磁場の中に置かれた状態で特定周波数の電波を照射すると、物質の中の水素原子が同じ方向を向きます。
この状態のことを、励起(れいき)状態といいます。

しばらくして電波を切ったときに、各組織(水・脂肪・骨・がん細胞など)はその組織独自の速さで、もとの安定した状態に戻っていく性質を持っています。

この戻るときの時間差を白黒で表現したものが、MRI画像です。

MRIで撮像に時間がかかる理由

MRIで撮像に時間がかかる理由としては、励起と緩和(待っている時間)をくりかえすことで情報を得るという点と、同じ断面の情報でも撮像条件を変えてそれぞれの撮影を行わなければならないため、結果として時間がかかります。

◇撮像条件の種類とそれぞれの特性

名称 特性
T2WI 水分を含んだ組織の信号が強調される。多くの病変が白く描出されるため病変の拾い出しに有用。
T1WI 解剖学的構造が捉えやすく、形態異常を発見しやすい。病変の診断に対してほかの画像との比較をする、対照画像として用いられる。脳出血の診断にやや向いている。
T2*WI 微小出血や血管腫の検索に用いられる。
FLAIR 脳脊髄液が低信号(黒っぽい)のため、脳溝や脳室周辺の病変の診断に有用。
DWI ディフュージョン(拡散強調画像)と呼ばれるもので、早期脳梗塞の診断に用いられる。脂肪抑制効果もあるため腫瘍病変の判別にも有用。

MRIで撮像中に大きな音が出る理由

CTスキャンでは寝台が移動しながら目的部位の撮影を行いますが、MRIは動かないで撮像を行います。

目的の断面を画像化するためには傾斜磁場を用います。傾斜磁場を作るためには電気的に磁場を変化させる必要があるため、空気が振動して大きな音が鳴りつづけます
短時間で撮像をするためには膨大な電力が必要となり、大きなエネルギーが発生してさらに音が大きくなります。

MRIで脳を画像化するには、位置を決めるために安定した傾斜磁場を作りつづける必要があります。
三次元的な傾斜磁場を作っているとイメージするといいでしょう。

MRIが脳ドックに向いている4つの理由

以下のような4つの特性により、脳ドックではMRI装置を使うことが向いているとされています。

  • 電磁波を利用するため被ばくの概念がなく、くりかえし検査できる
  • 画像を得るためには水素原子が必要(水分を多く含む臓器の診断に有用)
  • 骨の影響を受けない
  • 造影剤を使わなくても血管を描出できる、侵襲性がない

脳ドックに興味がある方へ

以下の記事で脳ドックについて解説しています。
健康寿命の延伸のため、市区町村や健康組合から補助が多くでることもありますので、ぜひ受診の際の参考にされてみてはいかがでしょうか。

脳ドックとはなにか? 検査の内容、受診をおすすめする方、費用や注意点について解説

脳疾患は仕事やプライベートに大きな影響を与えます。脳梗塞や脳出血を発症すると、もとの生活には戻れない方も多いです。脳ドックは未病段階の状態を把握することができ、早期発見、早期治療のために有用な検査です。この記事では脳ドックの検査内容や、見つけることができる疾患、特に受診をおすすめする方について説明いたします。

知っておきたい脳ドックの補助金・助成金制度 思っていたよりずっと安く受診できるってほんと?

脳ドックは健康保険から対象外とされているため、費用は基本的に自己負担になります。しかしながら、所属している健康保険組合やお住まいの市区町村から補助金や助成金を受けられる場合があります。この記事の中では、脳ドックを受ける前に調べておきたい、補助金・助成金についてご紹介いたします。

よくある質問

Q MRIとMRAの違いは?
A MRI:MRを使って得られる画像(Image)
MRA:MRを使って得られる血管画像(Angio)
Q MRI室でつねに音が鳴っているのは?
A 安定した磁場を提供するために機械を冷やす必要があり、液体ヘリウムを常時注入しています。このほかに傾斜磁場を作るための音も鳴っています。
Q MRI検査は万能?
A ① MRI装置は人体の水素原子(水分)が必要です。骨、肺などの検査は苦手といえます。
② 動きに弱いです。心臓、肺、腸管の検査は苦手といえます。
Q MRI装置 1.5Tと3Tの性能の違いは?
A 理論上では磁場が強力になると撮像時間が短縮し、得られる情報が多くなって画質の向上というメリットがあります。ただしノイズ成分を多く拾うデメリットもあり、すべての検査において3Tの画質が1.5Tに勝るわけではありません。
171
記事についてお気づきの点がございましたら、
編集部までご連絡いただけますと幸いです。

スマート脳ドック

気になる方は、即日予約・受診可能です。
30分での脳ドック検査「スマート脳ドック」

まずは空き枠を確認してみる
監修 大畑 響之 (おおはた・ひろゆき)
メディカルチェックスタジオ 診療放射線技師

24年間の病院勤務ののち、スマート脳ドック立ち上げのためにスマートスキャンに参画。医療データ読影部兼、メディカルチェックスタジオ新宿・銀座にて技師として勤務中。
「受診者さま目線を大切にして、日々の業務に努めて参ります。」

こちらの記事もおすすめ

🚑さまざまな検査の中身を詳しくまとめています🚑

知っておきたい脳ドックの補助金・助成金制度 思っていたよりずっと安く受診できるってほんと?

脳ドック受けてみた! 各種メディアさま スマート脳ドック | 体験レポート

要介護が必要になる原因第2位の脳疾患、脳ドックを50代・60代の方におすすめする理由

📚 知識を増やすことも未病対策のひとつです 📚

こわい/こわくない頭痛とは? 脳梗塞は頭痛を感じないってほんと? 知っておきたい頭痛の分類

肺がんに初期症状はある? 知っておきたい基礎知識と、コロナ禍の「隠れがん患者」について

30代が健康診断の結果で見過ごしてはいけないことは? メンタル不調にも注意!

🥗 食事・運動・睡眠を整えるための情報が満載🥗

話題のオートミールは健康にいいの? 栄養素や種類についても解説!

ドライアイとは? 冬は悪化しやすく頭痛の原因に?! 対策についても解説!

自律神経を整えましょう! 副交感神経を優位にする9つの生活習慣も収録

🧑‍⚕️ インタビューなど耳寄りな情報を掲載! 🧑‍⚕️

健康面でのリスク管理はできていますか? 知久先生にインタビュー

つらい気持ちやストレスを和らげる「認知行動療法」とは?セルフで実践できる方法も解説!

健康経営とは? 実践すると企業にどんなメリットがあるの?

記事を探す