脳梗塞の前兆となる症状とは? 急に起こるからだの異変に注意!

2022/12/07
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脳梗塞はある日突然発症し、その日から体の自由を奪ってしまう病気です。しかし前兆となる症状も多く報告されており、日常に潜む「脳梗塞の前兆」を見落とさずに、検査を受ける必要があります。この記事のなかでは、脳梗塞の前兆となる症状や、注視したいポイントについて解説します。
目次

脳梗塞には前兆がある?

脳梗塞は脳の動脈がつまって、血流が十分に脳細胞に行き渡らなくなることでさまざまな症状が引き起こされます。

本格的に動脈がつまるまえに、その前触れとなる症状が起きることもあります。

脳梗塞の前兆は何日前に現れるか?

脳梗塞の前兆は、発症する48時間以内に現れることが多いとされています。発症までの時間は人それぞれ異なりますが、症状が現れたらすぐに医療機関に相談することが重要です。
脳梗塞の前兆かどうかを判断するために、アメリカで広まったFASTという定義も抑えておきましょう。

 Face:顔に歪みがないか、笑顔が対称的か
 Arms:両腕を挙げるとき、片方の腕が下がったり、挙がらなかったりしないか
 Speech:ろれつが回っているか、話す言葉がおかしくないか

これらの前兆を見逃さずにすみやかに(Time)適切な対処をすることをFASTと言います。素早い対応が脳梗塞の影響を最小限に抑える鍵となります。

脳梗塞の前兆となる症状

これらの症状があるときには、すぐにお近くの病院を受診しましょう。

運動障害

・体の左右どちらかに力が入れられない
・食事中に箸やお椀を落としてしまう
・足を引きずっていると指摘される
・顔の半分だけが動かない

言語障害

・呂律がまわらない
・言葉や名前がなかなか出てこない

感覚障害

・手足の左右どちらかの側の感覚が鈍い
・手や足が痺れる

視覚障害

・視野の半分が欠ける
・ものが二重になって見える
・片目がみえない

バランスの障害

・ふらついて立っていられない
・足元がおぼつかない

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痛みを伴う症状

脳梗塞の前兆として、痛みを伴う症状も見逃せません。目の奥が痛くなる場合は、眼動脈が閉塞されたことによって発生することがあります。
また、片頭痛のような激しい頭痛が突然現れる、急性的な首や肩の痛みが出ることが報告されています。これらの症状が現れたら、単なる疲れやストレスと見過ごさず、専門医にすぐ相談することが大切です。

痛みは体からの重要な警告信号ですので、無視せずに適切な対策を講じることで、大きなリスクを回避できます。

脳梗塞につながる違和感を見逃さない

動脈を塞いでいる血栓(血の塊のこと)が溶け、血の流れが通常にもどると、体も普通の状態にもどります。
しかしこうした症状が起きると、本格的に動脈が塞がるまで時間の問題という場合もあります。

実際に脳梗塞の前兆が起こった方は、3ヶ月以内に10〜15%が脳梗塞を発症しています。
このなかでも約半数の人が、48時間以内に脳梗塞を発症していることを考えると、初期症状を見逃すことが危険であるとわかるはずです。

専門病院での流れ

異常を感じて専門病院を受診した場合、検査が行われ、問題があればすぐに治療が始まります。
明らかに脳梗塞の前兆と判断できる場合は、その日のうちに入院する可能性もあることを覚えておきましょう。
その場合、早急に脳梗塞の発症に備える措置が取られます。

脳梗塞の前兆かどうか判別しにくい症状でも、ABCD2テスト(下記の図を参照)で点数が3点以上の場合は即日入院の可能性があります。

表1 ABCD2スコア
A(Age) 年齢 60歳以上 1点
B(Blood pressure) 血圧 140/90mmHg以上 1点
C(Clinical symptoms) 症状 体の片側のまひ 2点
まひを伴わないろれつ障害 1点
D(Duration) 症状の持続時間 60分以上 2点
10〜59分 1点
D(Diabetes) 糖尿病 あり 1点
    合計 12点
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脳血栓とは?

脳血栓とは、脳内の血管に血液の塊(血栓)ができて、血流が遮断されてしまう状態で、脳梗塞の一種です。血栓が形成されると、血液が脳の特定部分に届かなくなり、その部分が酸素不足となり、細胞が損傷を受けることがあります。

脳梗塞は、脳血栓によって血管が詰まることで発症するケースが多いです。脳血栓の場合には、発症後3時間以内であれば血栓を溶かす治療薬を使用でき、脳梗塞の進行や悪化を防げます。しかし、一般の方が脳血栓かどうかを判断することは極めて難しいです。そのため、脳梗塞を疑う症状が出た場合には早期に医療機関を受診することが重要です。

脳梗塞を起こさないための予防

脳梗塞は生活習慣病と強く結びついています。
生活習慣病は血液がドロドロになり、なおかつ血管の健康を悪化させるものが多いです。
その結果、動脈硬化や血栓につながり、脳梗塞を発症するに至ります。

脳梗塞を発生させるリスクがあるものについて、ここでは簡単にご説明いたします。

高血圧

血圧が高いと全身の血管に負担が大きい状態になります。
この状態がつづくと血管は弾力をなくし、脆くなり、詰まりやすくなります。
日々の生活でできることとしては、塩分の摂取を控えめにして、野菜や果物や海藻類を摂取することが有効です。

高血圧の原因や予防方法については、こちらの記事もご覧ください。

高血圧が原因の気をつけるべき病気は? 血圧を下げるためにできる取り組み5選も紹介!

血圧が高い傾向にあっても、自覚症状が少ないために対策が遅くなることがあります。そのため、高血圧だと診断された場合に、どうすればよいのか悩む方も多いのではないでしょうか。この記事の中では、高血圧の概要や原因、放置することで予想されるリスクなどについて詳しく解説いたします。

糖尿病

糖尿病では血糖の濃度が高い状態になりますが、この状態が長くつづくと血管が傷ついてしまいます。
日々実践できることとしては、ゆるめの糖質制限をすることです。
パスタ、ラーメン、丼もの、スイーツ、ペットボトルの清涼飲料水などを、それまでの半分にするだけでもかなり効果的です。

糖尿病については、こちらの記事もご覧ください。

糖尿病とは? 1型と2型の違いや、症状、合併症などについて解説します!

糖尿病は生活習慣病のひとつです。初期段階では自覚症状がないことも多く、いつの間にか糖尿病が進行していたということもあります。糖尿病はほかの病気を引き起こす原因にもなるため、この記事で糖尿病について学び、日頃から糖尿病の予防をしていきましょう。

脂質異常症(高脂血症)

動脈硬化の直接的な原因になるのが脂質異常症です。
動物性脂肪の多い食品、鶏卵・魚卵などのコレステロールが多い食品の摂取しすぎで、カロリー過多になっている人が多いです。
また過度な飲酒も原因のひとつ。
豆・芋・根菜・きのこ・海藻などを気にして食べるようにすると、コレステロール値を下げることができます。

脂質についての注意点については、こちらの記事もご覧ください。

内臓脂肪を落とすにはどうする? 超悪玉コレステロールが動脈硬化を起こす仕組みも解説

内臓脂肪が体に溜まっていると動脈硬化につながる要因になりやすく、最悪の場合には大きな脳疾患を引き起こすことも。「自分は太っていないから大丈夫」そんな風に思っている方の中にも、じつは内臓脂肪が多い方がいます。内臓脂肪がどんな風に人体に悪影響を与えるか知ることで、脳疾患リスクについて学びましょう!

脳梗塞の前兆に気づいたらすぐに病院へ

もし体に脳梗塞の前兆と似ている現象が起こったときには、すぐにでも病院へ向かうことが必要です。
今回ご紹介した症状を頭の片隅に覚えておくと、もしものときに役立つかもしれません。
取り越し苦労になるとしても、念には念を入れ、すぐに対応することをおすすめいたします。

記事についてお気づきの点がございましたら、
編集部までご連絡いただけますと幸いです。
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監修医 知久 正明 (ちく・まさあき)
メディカルチェックスタジオ東京銀座クリニック院長・医学博士

病気になる前に治すという『未病』を理念に掲げていきます。循環器内科分野では心臓病だけでなく血管病まで診られる最新の医療機器を備えたバスキュラーラボで、『病気より患者さんを診る』を基本として診療しています。

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