2023/12/04 ( 公開日 : 2022/07/22 )

隠れ肥満(サルコペニア肥満)とは何か? 一見、普通体型の人こそ危険!

生活習慣
肥満
この記事は約4分で読めます
偏った食事と運動不足によって、隠れ肥満(サルコペニア肥満)になる方が増えています。隠れ肥満とは一見すると太っているようには見えませんが、体内に内臓脂肪がたくさんついている状態です。原因としてはバランスの悪い食事や運動不足によって、メタボリック症候群と同じような不健全な状態になっています。
目次

隠れ肥満(サルコペニア肥満)とは?

隠れ肥満は、サルコペニア肥満とも呼ばれています。
サルコは「筋肉」、ペニアは「減少」という意味で、筋肉量が減って体の脂肪の割合が増えている肥満のことです。

隠れ肥満の方は、体格指数と呼ばれるBMIが正常でも、筋肉や骨に比べて内臓脂肪が多い状態になっています。
見た目には肥満体型ではないため、自分自身も周囲の方も気づかないことが多いですが、体脂肪検査をした際に筋肉が少なく脂肪が多いことで判明します。

隠れ肥満の原因は?

隠れ肥満になる原因としてもっとも多いのが「バランスの悪い食生活」と「運動不足」です。

バランスの悪い食生活

隠れ肥満は若い女性に多く、食事制限などで無理なダイエットをすることが原因となる場合があります。
無理なダイエットでよくあるのが、「炭水化物を取らない」というものです。

炭水化物を取らないと脂肪だけが減って体重が減少しているように思われますが、実際には筋肉量も落ちて基礎代謝が減ってしまうことにより、脂肪がむしろ溜まってしまう状態になります。
隠れ肥満はダイエットで減量が成功したように見えていても、体脂肪率を調べてみると非常に高い数値になります。

若い女性の場合には、体型維持のために栄養不足の状態になりがちですが、高齢者では食が細くなることで同様のことが起きます。
食事を少量しか食べないことが続くと、筋肉の材料であるタンパク質やタンパク質を作るために必要なミネラルなどが不足して、筋肉が形成されなくなってしまうのです。

運動不足

運動をしないかつ極端なカロリー制限をしていると、筋肉量が減って基礎代謝が落ちてきてしまいます
筋肉が減ると脂肪を燃焼する力も低下するため、前述のように脂肪が蓄積するという悪循環に入ります。

隠れ肥満による人体への影響

実際に筋肉が減ることで、体にはどのような悪影響があるのでしょうか。

代謝が下がる

人間の体温は36〜37度で保たれるようになっていますが、体の熱生産の約6割を筋肉が占めています。
筋肉量が多いと基礎代謝(体の起こす熱生産)が増えるため、メタボリックシンドロームなどの生活習慣病の予防になります。
しかし反対に筋肉が少ないと隠れ肥満のリスクが高まります。

免疫力が下がる

筋肉は免疫力とも深い関係があります。リンパ球などの免疫細胞はグルタミンというアミノ酸によって活性化しますが、これは筋肉の中に多く蓄えられています。
したがって筋肉量が減ることによって、免疫機能が低下するといわれています。

ホルモンが生み出されない

骨格筋(※運動をして増やせる筋肉のこと)が生み出すホルモンの役割としては、以下のものがあります。

  • ・筋肉や骨の形成や再生
  • ・抗炎症作用
  • ・糖質や脂質の代謝への関与
  • ・心筋細胞や血管内皮細胞の保護

筋肉量が減ると、こうしたさまざまな働きをしてくれているホルモンが生み出される量も減ります。

隠れ肥満は生活にどう影響する?

認知力の低下

  • 生活習慣病の発症により記憶力が低下する

病気リスクの増大

  • 糖尿病や脂肪肝の発症リスクが増える
  • がんや心・脳血管疾患のリスクが高まる

また肥満全体にいえることですが、立つこと歩くことが辛いと感じたり、バランス感覚が悪くなって転んだりすることが増えたり、手先の器用さがなくなるなどがあります。
行動することが億劫になると、肥満の度合いが増していきますので、悪循環に入ってしまいやすいです。

隠れ肥満に有効な対処法

有効な対処法としては「バランスの取れた食事」と「適度な筋力トレーニング」を行うことです。

食事で注意すること

体重を増やさないようにしようとする方に多いのが、「炭水化物を取らない」であるとか、「食事をしっかり取らずに、お腹が空いたらお菓子で済ませる」といったものです。
しかしこうした食習慣は体にとってバランスがいいとは言えません。

一回の食事の中で、以下のものを摂取するように心がけましょう。

  • ・主食となるごはん、パン、麺類などの糖質
  • ・魚、卵、大豆などのタンパク質を多く含むおかず
  • ・緑黄色野菜、キノコ類、海藻などの副菜

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運動で注意すること

深層筋(インナーマッスル)を鍛えることが有用ですので、筋肉に軽く負荷をかけるトレーニングを積極的に取り入れることをおすすめいたします。
筋力トレーニングは、まずはジムに通ったり道具を買ったりする必要はなく、階段をゆっくり降りたり、椅子にゆっくり座ったりするなど自重トレーニングで十分です。

一週間の中で10分程度の自重トレーニングを週に2回行うだけでも、継続すれば確実に筋力はついていきます。

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今日から運動・食事習慣の改善を始めましょう!

隠れ肥満は体型こそ崩れていないように見えますが、体の中ではリスクの高い状態が進行しています
筋力が減っていることが原因で冷え性になっている方などもいます。
運動・食事習慣を整えることで、ご自身でも思ってもみなかった不調が改善されることもあります。

運動習慣と食事習慣の改善は今日からでもすぐにできるものです。
生活を充実させるためにも、少しずつ改善を積み重ねていきましょう!

記事についてお気づきの点がございましたら、
編集部までご連絡いただけますと幸いです。

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