20代でも人間ドックは必要? 健康診断との違いやおすすめの検査、費用などを解説
20代は健康的で体力にも恵まれている年代ですが、それだけに身体の不調を見逃しやすい時期です。若いときに身についた生活習慣が30代、40代の健康に影響する可能性もあるでしょう。
本記事では「20代の方が人間ドックを受けるべき理由」「20代の方にとっておすすめの検査」などを解説します。人間ドックの重要性や利用するときのポイントなどがわかる内容になっていますので、ぜひ最後までご覧ください。
20代でも人間ドックは受けるべき?
20代の人間ドック利用は、将来的な病気の早期発見や予防につながります。
20代は就職や結婚、出産など、ライフステージの変化から生活習慣が乱れやすくなる時期です。健康に悪影響を及ぼす要素も多いため、定期的に人間ドックを受けることは大切です。
人間ドックの必要性がわかるよう、以下の内容を解説します。
- 若年層に増加する健康リスク
- 人間ドックと健康診断の違い
- 20代で人間ドックを受けるべき人の特徴
それぞれ、見ていきましょう。
若年層に増加する健康リスク
最近では、若年層でも生活習慣病やがんなどに罹患するリスクが指摘されています。
仕事や学業からストレスを抱え、運動不足や偏った食生活が続くことも少なくありません。例えば、毎日遅くまで働き、外食が続くと、高血圧や糖尿病のリスクが高まる可能性があります。また、喫煙開始年齢が早いほど、がんや心血管疾患などの病気にかかりやすいという報告もあります。
人間ドックを早めに受けることは、生活習慣病やがんの早期発見、生活習慣の見直しや必要に応じた治療につながります。若いときから自分の健康と向き合い、将来の病気を予防しましょう。
人間ドックと健康診断の違い
人間ドックと健康診断の目的は「病気の早期発見」「生活習慣の見直し」であり、両者に大きな違いはありません。一方で、検査内容や費用負担は異なります。
健康診断 | 人間ドック | |
利用の有無 |
義務 | 任意 |
検査項目 |
11種類(医師の判断で省略可) | 約50種類(医療機関により設定可能) |
費用負担 |
原則は無料(もしくは安価) | 30,000〜100,000円 |
特徴 |
必要な検査により、健康状態をおおまかにチェックできる | 検査項目が多く、健康状態を詳しくチェックできる |
健康診断は、大きく分類して11種類の検査がおこなわれます。一方、人間ドックは検査の数が多く、画像検査や内視鏡検査(胃カメラ)などで、細部までチェックが可能です。
費用について、健康診断は基本的に無料となっています。これは労働安全衛生法により、雇用している事業者が全額負担することが定められているためです。人間ドックは医療機関や検査項目により費用が異なります。一般的には3〜10万円になることが多いようです。
20代で人間ドックを受けるべき人の特徴
20代の方の中には、健康に自信があるため、人間ドックの必要性を感じていない方も多いでしょう。しかし、以下のような方は注意が必要です。
- 体調不良が続いている
- 家族に病気の既往がある
- 生活習慣に不安を感じている
- ストレスや過労を感じている
慢性的なだるさや胃の不調、睡眠の質の低下が続いている場合、何らかの不調が潜んでいるかもしれません。また、家族に糖尿病や高血圧、がんなどの既往歴がある方は遺伝的に同じ病気になるリスクが高いとの報告もあります。
不規則な食事、運動不足、過度な飲酒や喫煙などの生活が続いていると、気づかず身体に負担をかけていることがあります。また、ストレスや過労を感じている方は、生活習慣の乱れにもつながりやすいため注意が必要です。
これらに心当たりがある方は、自分の健康状態や体質、将来的なリスクを知るために、人間ドックを受けることを検討しましょう。
20代におすすめの人間ドック検査項目
人間ドックは、基本的な検査項目に加えて、自分の状況に合った検査を受けることが大切です。
若いうちに健康リスクを知ることで、生活習慣の見直しをはじめとした予防対策が取りやすくなります。
ここからは20代の方に向けて、人間ドックの基本的な検査項目、男女別におすすめの検査をご紹介します。
基本的な検査項目
20代の方が人間ドックで受けておきたい基本的な検査項目は以下のとおりです。
血液検査
血液検査は貧血や肝機能、血糖値、コレステロール、腎機能などの健康状態をチェックできる検査です。また、炎症反応(CRP)や白血球数などから、感染症にかかっていないかや、体内で炎症が起きていないかも確認できます。
尿検査
尿検査は、尿中のタンパクや糖分をみることで、腎臓や膀胱の健康状態を評価します。尿の状態によっては、泌尿器系の感染症や腎臓病が疑われるケースもあります。尿中の異常値は、早期に病気の兆候をとらえるために重要です。
胸部レントゲン
胸部レントゲンでは、肺や心臓の健康状態を画像で確認し、肺炎や結核などの感染症の兆候や、心拡大の有無などを評価できます。肺がんや心臓病の早期発見が期待できるため、定期的な受診がすすめられます。
心電図検査
心電図検査は、心臓の電気的な活動を記録して、不整脈や心拍の異常を確認します。心筋梗塞や狭心症の兆候をとらえる手がかりにもなるため、症状がなくても受けておきたいです。
女性におすすめのオプション検査
女性に特におすすめしたいオプション検査は以下のとおりです。
乳がん検診
乳がん検診には、マンモグラフィや乳腺エコーがあります。
乳がんは30代以下の若年層でも発症することがありますが、定期的な検査によって早期発見、早期治療が可能です。乳腺の密度が高い20〜30代はマンモグラフィよりも乳腺エコーが有効とされています。
子宮頸がん検診
子宮頸がん検診も大切な検査の1つです。
子宮頸がんはヒトパピローマウイルス(HPV)の感染が主な原因とされており、初期段階ではほとんど自覚症状がありません。性交渉の経験がある女性は、20歳から2年に1回の検診が推奨されており、早期発見であれば軽度な治療で済むことが多いとされています。
骨盤内ドック
骨盤内ドックは、子宮や卵巣といった女性特有の臓器を詳しく調べる検査です。
子宮頸がんや卵巣がんなどの女性特有のがんは、20代でも発症することがあります。
スマートドックの「骨盤内がんドック(子宮/卵巣がん)」では、子宮や卵巣を含む骨盤内をMRIで撮影し、がんや子宮筋腫、子宮内膜症の有無を検査します。
特に、「月経不順がある」「下腹部に違和感がある」「家族に婦人科の病気の既往がある」といった方は、一度検査を受けておくと安心です。骨盤内のドックの詳細は「子宮/卵巣がん検査」をご覧ください。
妊娠前の検診
妊娠を希望する方にとって、妊娠前の健康チェックは欠かせません。
例えば、風疹抗体検査は妊娠初期の風疹感染による胎児への影響(先天性風疹症候群)を防ぐために大切です。抗体が十分でない場合は、妊娠前に予防接種を受ける必要があります。
また、検査によって、貧血が指摘されたり、栄養に不安があったりするときは、専門職による栄養指導や治療を受けることもできます。
男性におすすめのオプション検査
男性におすすめしたいオプション検査は以下のとおりです。
前立腺がん検査
前立腺がんは高齢者に多く、50歳を過ぎてから罹患率が高くなるがんです。家族に前立腺がんの既往歴がある場合、若年層でも発症リスクが高まるといわれています。
前立腺がんの有無は、PSA(前立腺特異抗原)という血液検査で把握できることがあります。
なお、スマートドックの「骨盤内がんドック(前立腺がん)」では、前立腺を含む骨盤内にあるがんの有無をMRI検査によりチェック可能です。骨盤内がんドックについては「前立腺がん検査」でもご紹介していますので、詳細はそちらをご覧ください。
「前立腺がんになった家族がいる」「将来の健康リスクを早めに把握しておきたい」といった方は利用を検討するとよいでしょう。
ピロリ菌検査
ピロリ菌は胃の健康に影響して、長期的な感染により胃がんのリスクを高めます。定期的な検査で感染の有無を確認し、必要に応じて治療を受けましょう。検査には血液検査や尿検査、呼気検査などがあります。
肝機能検査・腎機能検査
肝機能、腎機能検査も男性におすすめの検査です。
厚生労働省の「国民健康・栄養調査」によると、生活習慣病のリスクを高める量を飲酒している割合は男性の方が高いとされています。
男性はアルコール摂取量が多くなる傾向があり、肝臓や腎臓への負担が蓄積しやすいと考えられています。肝機能検査(AST、ALT、γ-GTP)や、腎機能検査(クレアチニン、eGFRなど)を受けることで、内臓のダメージを早期に発見できます。
これらの検査を受けることで、自覚症状が出る前に健康リスクを把握でき、適切な予防や生活改善につなげられるでしょう。
人間ドックの費用と補助制度
20代の方にとって、経済的に少ない負担で人間ドックを受けられることは重要なポイントです。人間ドックにかかる費用や、若い世代向けの補助制度について説明します。
費用の目安と内訳
人間ドックの費用は医療機関ごとに定められており、検査項目やプランによって異なります。
「日帰り人間ドック」「1日人間ドック」には、身体測定、血液検査、内臓の画像診断など基本的な項目が含まれ、費用の目安はおおよそ3万円〜5万円です。
より詳しく体を調べる「1泊2日人間ドック」「2日人間ドック」では、検査項目が増える分、費用は3万円〜10万円とやや高めになります。
がんの早期発見を目的としたPET検査や、心臓・肝臓の精密検査などをオプションで追加すると、総額が10万円を超える場合もあります。以下は検査内容と料金の一例です。
プラン | 金額 | 検査項目 |
1日ドック(日帰りプラン) |
43,500円 |
「基本項目」の検査
|
1日ドック+オプション付き |
62,700円 |
「基本項目」に加えて以下の検査
|
2日ドック(宿泊プラン) |
68,000円 |
「基本項目」に加えて以下の検査
|
人間ドックの費用は医療機関ごとに異なるため、自分の年齢や体調、症状に応じて必要な検査を選びましょう。
補助制度や保険の活用方法
人間ドックの費用は「自治体の助成制度」や「加入している医療保険の活用」により割引できることもあります。20代でも活用できるケースもあるので、それぞれ見ていきましょう。
自治体の助成制度の活用
自治体によっては、人間ドックの費用を一部助成しているところがあり、例えば年1回無料または低額で受けられる制度を整えているところもあります。若い世代の健康意識を高める目的で実施されているため、まずは自治体のウェブサイトや保健所に問い合わせてみるとよいでしょう。
加入している医療保険の活用
民間の医療保険のなかには、特定の健康診断や人間ドックを受けると給付金がもらえるものがあります。ただし、病気の早期発見や予防目的の検査は、保険の対象外になっていることも多いので、契約内容を事前に確認しておくことが大切です。
健康保険組合の補助制度の活用
会社員は、健康保険組合を通じて補助が受けられるケースもあります。
例えば、年に1度の人間ドック受診に対して、一定額の費用補助が出ることもあります。組合ごとに内容が異なるので、勤め先の担当部署や健康保険組合に確認してみてください。
これらの補助制度や保険を活用することで、20代でも人間ドックを少ない負担で受けられるでしょう。
人間ドックの受診タイミングと頻度
人間ドックは、20歳以上であれば誰でも受けられます。
20代での受診は「まだ早い」と思われがちですが、就職や転職、結婚、妊活などのライフイベントに合わせて検討するのがおすすめです。
環境や役割が変わるタイミングで健康状態を確認すれば、予防の意識が高まり、安心して次のステップにすすめるでしょう。
また、病気のリスクは、生活習慣や年齢、家族の既往歴などによって異なります。家族に糖尿病や高血圧などの既往歴がある場合や、自分自身に不調があるときは、病気の早期発見と予防のために定期的な検査が必要です。医師と相談して、よりこまめなチェックを検討しましょう。
20代におすすめの人間ドック施設の選び方
最後に、20代が人間ドックを受ける施設を探すときに注意すべきポイントを、以下の通りまとめました。
- 20代向けのプランがあるか
- 女性専用の施設であるか
- 駅近で通いやすいか
- 最新の医療機器がそろっているか
- 口コミや評判がよいか
- 検査後にフォローアップする体制があるか
それぞれ、具体的にみていきましょう。
20代向けのプランがあるか
ライフステージにあった検査が受けられるように、若い世代向けの検査プランを提供しているか確認しましょう。
例えば、将来の妊娠や出産を見据えた女性向け検査や、ストレスチェックを含むメンタル面のサポートを受けられることもあります。
女性専用の施設であるか
女性専用の人間ドック施設や、レディースデイを設けているクリニックは、女性ならではの健康問題に対応した検査が充実しているケースが多いです。
乳がん・子宮がん検査などの婦人科系検査が受けやすく、同性の医師やスタッフによる対応で安心感もあるでしょう。
駅近で通いやすいか
忙しい社会人や学生にとって、アクセスの良さは重要です。駅から近い施設なら、通勤や通学のついでにも立ち寄りやすいでしょう。
朝早くから受け付けているところや、休日に受診できる施設もあるので、スケジュール調整もしやすくなります。
最新の医療機器がそろっているか
精密な検査を求めるなら、最新の医療機器を使っているクリニックを選ぶといいでしょう。より正確な診断が期待でき、検査時間の短縮や身体への負担軽減にもつながります。
口コミや評判がよいか
実際に施設を利用した人の口コミや評判を参考にすることで、施設の対応や雰囲気を知ることができます。
スタッフの対応や説明の丁寧さ、検査の待ち時間についての口コミはチェックしておくと安心です。
検査後にフォローアップする体制があるか
検査後に結果説明やカウンセリングを行っているか確認しましょう。
不安や疑問が残ったままでは、検査の効果が十分に活かされないこともあります。生活習慣の改善に向けたアドバイスや、必要に応じて専門医への紹介があると、検査を受けたままにならず安心です。
まとめ:20代からの健康管理で将来のリスクを減らそう
ここまで「20代の方が人間ドックを受けるべき理由」「20代の方にとっておすすめの検査」などを解説してきました。
20代は体力もあり、健康に不安を感じにくい時期ですが、気づかないうちに生活習慣病に罹患するリスクを積み重ねているかもしれません。
人間ドックは、健康意識の変化や生活習慣を見直し、病気の予防にもつながる検査です。若いうちから健康意識を高めておくことで、年齢を重ねても元気に過ごせる土台がつくられます。将来の自分のために、20代のうちから一歩踏み出してみましょう。
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