30代から増える「子宮頸がん」 初期症状といま知っておきたい予防の話

2025/06/20
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子宮頸がんは、30代前半から罹患数が増えるがんであり、早期発見、早期治療が大切です。本記事では、子宮頸がんの初期症状や、検診をはじめとした予防法について詳しくご紹介します。子宮頸がんの罹患リスクを減らすために知っておくべき知識にも触れますので、ぜひ最後までご覧ください。
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目次

子宮頸がんとは?


子宮頸がんは、子宮の入り口にあたる子宮頸部に発生するがんです。女性に特有のがんであり、比較的若い年齢層でも発症することが知られています。ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染が主な原因です。

初期段階では自覚症状がほとんどないため、見逃されやすい傾向にあります。がんが進行するとさまざまな症状が現れますが、その前に発見し、適切な治療につなげることが非常に重要です。

また、HPVワクチンの接種や定期的な婦人科検診が、子宮頸がんの予防や早期発見に有効とされています。子宮頸がんの基本的な知識を持ち、自身の健康を守りましょう。

子宮頸がんの初期症状と気をつけたいサイン


子宮頸がんの初期は、ほとんど自覚症状が出ないことが知られています。もし普段と様子が違うようなら「よくあることだから」と見過ごさず、婦人科を受診しましょう。以下に具体的な症状を紹介しますので、セルフチェックする際の参考にしてください。

不正出血(月経時以外の出血)

不正出血は、子宮頸がんの初期症状の1つです。通常の月経以外の時期に発生する出血には特に注意しましょう。他の理由でも不正出血が起こる可能性はありますが、続く場合は婦人科を受診して医師の診察を受けることをお勧めします。

また、性交後や排便後に出血が見られることがあります。これらの出血が見られるときは、子宮頸部に異常がある可能性もありますので、見過ごさないようにしましょう。特に、20歳以上の女性やHPVの感染歴がある場合は、定期的に検診を受けましょう。これらの症状が見られた際にはすぐに婦人科を受診し、医師に相談しましょう。

おりものの異常

おりものの変化も、子宮頸がんの初期症状として注意すべきサインです。通常、おりものは無色透明から白色の範囲であり、においはほとんどないか、少し酸っぱいにおいがすることがあります。しかし、感染や異常がある場合、おりものの色やにおいが変わることがあります。

具体的には、おりものの量が増加したり、血液が混じってピンク色や茶色になったりすることがあります。さらに、悪臭が伴うこともあります。これらの変化は、子宮頸部に異常や感染がある可能性を示しています。

このような症状を自己診断するのは難しいため、異常を感じた場合は速やかに婦人科を受診し、専門医の診察を受けることが重要です。また、定期的な検診も欠かさないようにしましょう。

下腹部や腰の痛み

下腹部や腰の痛みも子宮頸がんの症状として現れることがあります。これらの痛みは、水腎症などが原因となっている可能性があります。下腹部の痛みは子宮や骨盤内の異常によって起こっている場合があり、子宮頸がんが原因の可能性も否定できません。痛みが増したり、持続的に続いたりする場合は注意が必要です。

腰の痛みは、がんの進行に伴って周囲の組織や神経に浸潤した症状の可能性があります。

このような症状が見られた場合、自己判断で対処せずに医師の診察を受けることをお勧めします。

性交時の痛み

性交時の痛みも、子宮頸がんが進行した際にみられる症状です。健康な状態でも性交時に痛みを感じることがありますが、子宮頸がんが原因となり起こることもあります。子宮頸がんの影響で子宮頸部に炎症や異常が生じたことが原因で、性交時に痛みを感じる可能性もあります。加えて、性交後に出血が伴う場合もあります。こちらも見逃さないようにしましょう。

性交後に痛みや不快感、出血が続く場合は、早急に婦人科を受診して症状の原因を特定することが大切です。早期に専門医の診断を受けることで不安を軽減し、適切な治療につなげられるでしょう。

子宮頸がんの初期症状と気をつけたいサイン

子宮頸がん初期症状のセルフチェック法


子宮頸がんが進行すると、不正出血、おりものの異常、下腹部や腰の痛み、性交時の痛みなどが現れることがあります。これらの症状に気づけるようになるためには、普段から自身の体調や月経周期を観察することが大切です。

不正出血とは、通常の月経以外の出血がある場合を指します。おりものの異常は、色やにおい、量が変化した際や外陰部のかゆみや痛みで気がつくでしょう。

下腹部や腰の痛みを継続的に感じる場合は注意が必要です。性交時に通常とは異なる痛みや不快感を覚えた場合は、婦人科の受診を検討してもいいでしょう。

  • 不正出血がある
  • おりものの様子が普段と異なる
  • 外陰部にかゆみや痛みがある
  • 性交時に痛みや不快感がある
  • 下腹部や腰が痛む


以上の症状が1つでもみられた場合は、早めに婦人科を受診して医師に相談することが大切です。普段から自分の身体の状態を気にかけることで早期発見につながり、その後の対応も迅速に行えるでしょう。

初期症状が出た場合の対処法と病院での診察


子宮頸がんが疑われる症状が現れた場合は、早めに婦人科を受診することが重要です。具体的には、前述の通り、不正出血や異常なおりもの、性交時の痛みなどが挙げられます。

また、初期段階では自覚症状が乏しいため、検診のタイミングを逃さないよう心掛けることも重要です。

診察の流れ

一般的な婦人科診察の流れをご紹介します。

最初に問診が行われ、月経周期や基礎体温、症状について医師に伝えます。その後は必要に応じて視診や内診が行われ、内診台で医師が腟から指を入れて子宮や卵巣の状態を確認します。性交経験がない場合は、お腹の上や肛門からの診察にも対応してもらえるので申し出るようにしましょう。
さらに、経腟超音波検査で子宮や卵巣の様子を画像で確認します。場合によってはMRI検査や腹腔鏡検査の予約を取るように指示されることもあります。

婦人科診察の流れ

子宮頸がんの予防方法


子宮頸がんの予防には、HPVワクチン接種と定期的な婦人科検診の両方が重要です。

HPVワクチンの効果

30代から増える「子宮頸がん」 初期症状といま知っておきたい予防の話

HPVワクチンは、子宮頸がんの予防に非常に効果的です。ヒトパピローマウイルス(HPV)は子宮頸がんの原因の95%以上を占めるとされています。

ワクチン接種によって、高リスク型HPVの感染を予防することが可能です。特に16型と18型と呼ばれる高リスク型ウイルスに対して効果的です。ワクチン接種によって、これらのウイルスによるがんの発生リスクを大幅に減少させられます。

ワクチン接種は小学6年から高校1年相当の女子に行うことが推奨されています。一定の間隔を開けて、種類によって合計2回または3回の接種を行います。接種するワクチンの種類は、医師と相談して決定しましょう。

早期の接種によって、ウイルスに感染する前に着実に免疫を得られるようになります。また20代以降に限らず、性行為の経験がある年齢層に対してはワクチンの効果が期待できます。迷っている方は医療機関で相談しましょう。

HPVワクチンの副反応としては、接種部位の痛みや腫れ、軽い発熱などが報告されています。しかし、これらは一時的な症状であり、長期的な健康被害のリスクと比較して非常に低いとされています。接種にあたっては、医師と相談し、適切な情報を得てから判断することが重要です。

ワクチン接種と併せて定期的な婦人科検診を受けることが、子宮頸がんの予防に効果的です。これらを組み合わせることで、子宮頸がんのリスクを抑えられます。

定期検診のススメ

定期検診は、子宮頸がんの早期発見において極めて重要です。症状が現れる前に病変を発見し、早期治療につなげられる可能性があります。20歳以降の女性は、定期的に子宮頸がんの検診を受けることが推奨されています。
子宮頸がん検診では、子宮頸部細胞診やHPV検査が行われます。これらの検査でがん細胞やHPVウイルスの有無を早期に確認できるため、がんの発生前に対策を講じることが可能です。また、検診結果が「要精密検査」となった場合は再検査の案内があり、その結果に基づいて追加の精密検査が行われるため、より詳細な診断が可能となります。

多くの女性は、不正出血やおりものの異常、下腹部の痛みなどの症状が出てくるまで自覚症状がありません。定期検診を受けることで、これらの症状が出る前に子宮頸がんであることを知ることができる可能性が高くなります。検診は婦人科で受けることができ、痛みもほとんどありません。また、HPV検査も併せて行うことで、より正確なリスク評価が可能です。また、検診によって異常が発見された場合、早期に適切な治療を開始できます。

自覚症状に頼らず、定期検診の受診を心がけることで子宮頸がんのリスクを大幅に低減できます。忙しい日常生活の中でも、健康管理の一環として定期検診を予定しておきましょう。

まとめ:子宮頸がん初期症状に早めに対応するために


子宮頸がんの初期は、自覚症状が乏しいため見過ごされがちです。しかし、早期発見、早期治療は重要です。子宮頸がんが進行すると不正出血やおりものの異常、下腹部痛、性交時の痛みといった症状が現れることがありますので注意しましょう。これらのサインを見逃さないためには、定期的な婦人科検診が欠かせません。また、HPVワクチンの接種も予防措置の一環として有効です。

初期症状が発見された場合は迅速に医療機関を受診して、適切な治療を受けることが大切です。早期治療によりがんの進行を防げる可能性が高くなります。また、婦人科検診は、子宮頸がんを早期に発見するための重要な手段です。定期検診を怠らないようにしましょう。

加えて、子宮頸がんの予防方法についても知っておくといいでしょう。定期検診やHPVワクチンの効果を正しく理解し、自身の健康を守るために積極的に行動しましょう。早めの対応が、あなたの健康を守る鍵となります。

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監修医 内田 里香子 (うちだ・りかこ)
日本産婦人科学会所属
北海道大学、大阪大学大学院卒業。市民病院、市中病院で産婦人科医師として経験を積む。
現在は医療法人霜星会りかこレディースクリニックの院長として産婦人科診療に携る。