卵巣がんの原因とは? 自分を守るための予防法と早期発見のポイント

2025/06/23
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卵巣がんは多くの女性にとって重要な健康問題です。その原因を理解することは、自分自身を守るための第一歩です。卵巣がんの原因には、遺伝的要因や生活習慣、ホルモンバランスの変化などがありますが、特にいくつかの遺伝子の変異が関与していることが知られています。また、食生活や運動習慣を改善すること、定期的な婦人科検診を受けることが、卵巣がんの予防や早期発見につながるのです。この記事では、卵巣がんの主な原因と考えられる要因や予防法、早期発見のためのポイントについて詳しく説明します。
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目次

卵巣がんとは


卵巣がんとは、卵巣に発生する悪性腫瘍です。卵巣は女性の生殖器官の1つで、ホルモンを生成したり、卵子を生産、貯蔵したりする役割を持っています。卵巣がんは大きく3つの種類に分類されます。最も一般的なのは上皮性卵巣がんで、これは卵巣の表面を覆う細胞から発生します。このタイプの卵巣がんは全体の約90%を占めており、特に50歳以上の女性に多く見られます。

次に、胚細胞腫瘍は、卵子を作る細胞から発生するがんで、若年女性に多く見られます。胚細胞腫瘍は比較的まれで、全体の約5%を占める程度です。治療方法によっては将来の妊娠も可能な場合があり、診断と早期治療が重要です。

性索間質性腫瘍は、ホルモンを生成する細胞から発生するがんで、まれなタイプです。性索間質性腫瘍は女性ホルモンや男性ホルモンを生成するため、症状に不規則な月経や過剰な毛髪の成長が含まれることがあります。

これらの卵巣がんはそれぞれ異なる特徴を持っており、早期発見と適切な治療が大変重要です。

卵巣がんの主な原因


卵巣がんは様々な要因によって発症することが知られています。以下に、卵巣がんの主な原因やリスク要因を紹介します。

遺伝的要因 BRCA1およびBRCA2遺伝子に変異がある場合、卵巣がんのリスクが高まります。家族に卵巣がんや乳がんの既往がある場合は特に注意が必要です。
年齢 年齢が上がると卵巣がんのリスクも増加します。特に50歳以上の女性ではリスクが高まるとされています。
ホルモンバランスの変化 初経の年齢が早いことや閉経が遅れること、ホルモン補充療法を受けることは、卵巣がんのリスクを上げる可能性があります。
ライフスタイル 肥満は卵巣がんのリスクに影響を与えると考えられています。
既往歴 子宮内膜症は卵巣がんのリスクを高める要素となります。


ご自身のリスクを正しく理解し、日常生活で具体的な予防策を講じることが重要です。定期的に婦人科検診を受け、早期発見に努めましょう。

卵巣がんのリスクを高める要因


卵巣がんのリスクを高める要因として、年齢、ホルモンバランス、遺伝的要因、排卵回数、婦人科疾患などが挙げられます。これらの要因を詳しく見ていきましょう。

年齢とホルモンバランス

卵巣がんのリスクは年齢と密接に関係しています。特に50歳を超える女性はリスクが増加します。これは、年齢とともにホルモンバランスが変化し、卵巣にかかる負荷が増えるためです。具体的には、ホルモン補充療法は卵巣がんのリスクを30%程度高め、その期間が長いほど、リスクは高くなると言われています。さらに、出産経験が少ない、またはない女性もリスクが高くなる傾向があります。このように、年齢とホルモンバランスは卵巣がんリスクに重要な影響を与えます。

遺伝的要因と家族歴

遺伝的要因も卵巣がんのリスクに大きく影響します。特にBRCA1およびBRCA2遺伝子に変異を持つ女性は、一般の人に比べて卵巣がんになりやすいと言われており、これらの遺伝子変異は、乳がんのリスクも高めます。加えて、家族に卵巣がんまたは乳がんの患者がいる場合、リスクはさらに増加するため、自分の家系にこれらのがんに罹患したことのある方が多い場合は、遺伝カウンセリングを受け、必要に応じて遺伝子検査を行うことが重要です。遺伝カウンセリングは、リスクを早期に把握し、予防策を立てるための第一歩となります。

排卵回数とライフスタイル

排卵回数が多いことも卵巣がんのリスクを高める要因の1つとなります。排卵の度に卵巣の表面が傷つき、その修復過程で細胞の変異が起こりやすくなるためです。出産経験のある女性は、妊娠中は排卵が一時的に停止するため排卵回数が減少し、その結果、卵巣がんのリスクが低下すると考えられています。また、経口避妊薬(ピル)の使用も同様に排卵を抑制し、リスクを低減させることが知られています。生活スタイルにおいても適切な食事や運動がリスクを抑える要素となります。総じて、妊娠・出産経験やピルの使用は、卵巣がんのリスクに大きな影響を与えるのです。

婦人科疾患とホルモン療法

子宮内膜症は、子宮内膜組織が卵巣外に異常増殖し、がん化するリスクを増加させます。また、ホルモン補充療法(HRT)を受けている女性にも一定のリスクがあり、長期間のHRTは乳がんと卵巣がんのリスクを増加させることがわかっています。そのため、婦人科疾患を持つ女性やホルモン療法を受けている女性は、定期的な検診を受けてリスク管理を行うことが重要です。

卵巣がんの予防と早期発見のためにできること


卵巣がんのリスクを軽減するためには、生活習慣の見直しや低用量ピルの服用が重要です。また、早期発見には健康診断や人間ドックのオプションで腹部のエコー検査を行うだけでなく、婦人科検診にて経腟超音波を受けることが推奨されています。

生活習慣の見直しと予防法

卵巣がんの予防に効果がある生活習慣としては、バランスの取れた食事や、定期的な運動が挙げられます。ウォーキングやジョギング、水泳などの有酸素運動を週に数回行うことで、全身の健康を維持できます。

また、低用量ピルの使用も卵巣がんの予防に一定の効果があると言われています。ホルモンバランスを整えることで、卵巣がんのリスクを低減させられる可能性があるため、医師と相談し、適切な方法を選ぶことが重要です。

定期的な婦人科検診の重要性

卵巣がんは初期症状が乏しく、発見が遅れることが多いです。そのため、定期的な婦人科検診が早期発見にはとても重要です。超音波検査は、卵巣の異常な腫れやしこりを見つけるのに役立ちます。腫瘍マーカー検査も血液中の特定のタンパク質の濃度を調べることで、がんの診断の補助や経過観察、治療効果の判定を行えます。定期的に検査を受けることで、異常を早急に対処できます。

卵巣がんと診断されたら—治療法とサポート体制


卵巣がんと診断された場合、治療法にはいくつかの選択肢があります。初期の対応としては、手術が一般的です。基本的に腫瘍、両側の卵巣と卵管、子宮を摘出し、さらに大網の切除を行います。

化学療法も主要な治療法の1つです。化学療法では、がん細胞を攻撃する薬剤を使用し、再発リスクを軽減します。進行し、手術不可となった卵巣がんでは特に、化学療法が重要な役割を果たします。

治療後の生活には、体力の低下や副作用に対するケアが必要です。栄養管理や適度な運動、定期的な検査を通じて健康状態を維持することが大切です。また、心理的なサポートも重要です。がん治療は心身に大きな負担がかかるため、カウンセリングや支援グループの利用が推奨されます。

セカンドオピニオンを活用して異なる視点からの意見を得ることで、より適切な治療方針を選択する参考になります。また、医療機関や専門の相談窓口を利用することで、より詳細な情報を得られます。これらの体制を整えることで、より安心して治療と日常生活に臨むことができるでしょう。

まとめ:卵巣がんのリスクを知り、予防と早期発見に努める


卵巣がんのリスクを理解し、適切な予防策を講じることは自分自身の健康を守る第一歩です。年齢やホルモンバランス、遺伝的要因、ライフスタイルなど多くの要因が関与しているため、日常生活を見直し、婦人科検診を定期的に受けることでリスクを軽減できます。また、早期発見できれば、治療の成功率も高まります。自分の身体をよく知り、異変があった場合にはすぐに医療機関に相談することが大切です。

卵巣がんについての知識を深めることで、心の準備を整え、必要な予防措置を講じられます。前向きな姿勢で健康管理に取り組めば、自身の生活の質も向上できるでしょう。安心して日々を過ごせるよう、適切な情報を活用し、健康で幸せな生活を送りましょう。

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監修医 一倉 絵莉子 (いちくら・えりこ)
産婦人科医 / 六本木ヒルズクリニック日本産科婦人科学会専門医、日本女性医学学会会員
日本大学医学部卒業。
川口市立医療センター、北里大学メディカルセンター産婦人科等に勤務。

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