2023/11/20 ( 公開日 : 2022/01/07 )
高血圧が原因の気をつけるべき病気は? 血圧を下げるためにできる取り組み5選も紹介!
高血圧はなにがよくないの? 知っておきたい基本
健康診断を終えたあとに、高血圧であることを知って驚く方は多いですよね。血圧が高い状態は体にとって特に意識できないものなので、自分で気づくことはとても難しいです。
しかし血圧が高いほど脳卒中などの疾患になる危険性が高いため、注意が必要となります。
血圧の値はどうやって決まる?
血圧は以下の3つの要素で決まります。
・心拍出量
心臓から一分間で全身に送られる血液量のこと。
・血管内径
血管の太さのこと。正常な血管から動脈硬化が進んで行くにつれて動脈内にプラークが溜まって内径も狭まります。水を撒くときにホースの出口をつまめば水圧が強くなりますが、これは血管でも同じことです。内径が狭くなれば血圧も高くなります。
・血管壁の弾力性
血管はもともとしなやかで弾力性がありますが、高血圧がつづくと血管は傷ついていきます。傷がついても血管は修復するのですが、そのたびに傷ついた箇所が硬くなっていくのです。
長年高血圧の方は血管にも負担がかかっているため、弾力性がなくなって詰まりやすくなったり、硬く脆くなったり、破れやすくなったりするというわけです。
上記から、血圧を高くしないためには「血管内径を狭めないこと」と、「血管壁の弾力性を失わせないこと」が大切であることが理解できるのではないでしょうか?
高血圧とは?
高血圧とは、安静時に測った血圧が正常値よりも常に高い状態を指します。日本では20歳以上の2人に1人が高血圧と言われており、生活習慣病につながる可能性が高いです。
ここでは、高血圧の基準値と種類について解説します。
高血圧の基準値
高血圧の診断基準は、診察で測定した収縮期血圧が140mmHgで、拡張期血圧が90mmHg以上です。
高血圧は血圧の高さに応じて、次の表のように分類されます。
分類 | 診察室での血圧 | 家庭での血圧 | ||
---|---|---|---|---|
収縮期血圧 | 拡張期血圧 | 収縮期血圧 | 拡張期血圧 | |
Ⅰ度高血圧 | 140~159 | 90~99 | 135~144 | 75~84 |
Ⅱ度高血圧 | 160~179 | 100~109 | 145~159 | 85~89 |
Ⅲ度高血圧 | 180以上 | 110以上 | 160以上 | 90~99 |
なお自宅の血圧計で計測したときの基準は、診察での基準値よりも5mmHg低く設定されています。
高血圧になる原因
高血圧になる原因は次の通りです。
食生活
肥満
自律神経の乱れ
喫煙
年齢/遺伝
その他の病気
以上の生活習慣やその他の病気が高血圧の原因だとされています。
食生活
日本人が高血圧になる一番の原因は、食塩の過剰摂取による食生活の乱れです。
厚生労働省発表の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、食塩に関する男女の摂取基準を次のように定めています。
成人男性:7.5g未満
成人女性:6.5g未満
和食には、塩分が多い傾向にあります。そこで日本人が、食塩の摂取量を減らすためには、和食に含まれる調味料や食品を減らすと良いです。
たとえば、次のような工夫をしてみてはいかがでしょうか。
- かけしょうゆを止めて、つけしょうゆにする
- 漬物や味噌汁を食べる機会を減らす
- 味噌汁の野菜を多めにして薄味にする
食生活の心がけ次第で、血圧の調整は可能ですので、ぜひ取り組んでみてください。
肥満
内臓脂肪型肥満の人も高血圧になることがあります。肥満の場合、拡張期血圧から収縮期血圧の順番に血圧が高くなる傾向にあります。
肥満の場合は高血圧の他にも、高血糖や高脂血症を抱えたメタボリック症候群の可能性を考える必要もあるでしょう。心臓病や脳血管疾患などのリスクも高くなるため、早めの対策が必要です。
自律神経の乱れ
ストレスや睡眠不足で交感神経の働きが過剰になり、自律神経が乱れると、高血圧になる可能性があります。
交感神経の働きのひとつに血管の収縮があります。血管が収縮すると、血液の通り道が細くなり、血圧が上昇するのです。
一時的な血圧の上昇は問題ないのですが、過剰な交感神経の働きにより、持続的に血管が収縮すると高血圧につながります。
喫煙
喫煙は動脈硬化を進行させるので高血圧になりやすくなります。
また、たばこに含まれるニコチンには、血管を収縮させる作用があるため、喫煙をすると一過性に血圧が上昇します。
年齢・遺伝
加齢によって動脈硬化が進んだり、自律神経が乱れやすくなったりすることで、血圧が上昇しやすくなります。
また、家族に高血圧の人がいる場合は、血圧が上昇しやすい体質が遺伝している可能性もあります。
その他の病気
心疾患や腎臓疾患などが原因で、高血圧になることもあります。心臓は全身へと血液を巡らせる役割があり、腎臓は血液をろ過する働きがあります。
つまり、心臓と腎臓はともに、循環器系に関わっているのです。
病気が原因で起こる高血圧の場合は、原因となる病気を治療することが重要です。治療を受けずに放っておくと、高血圧が進行し、さらに他の病気を招く可能性があります。
高血圧によって引き起こされる病気
高血圧によって引き起こされる病気は、以下のようなものです。
・脳血管疾患
・心血管疾患
・慢性腎臓病
高血圧が進むと、動脈硬化のリスクが高まり、以上の病気につながる確率が上がります。
脳血管疾患
脳血管疾患の中でも脳卒中は高血圧と因果関係が高い病気で、脳梗塞や脳出血、くも膜下出血などの総称です。
運動麻痺や感覚障害、言語障害などのさまざまな後遺症が残りやすいのも脳卒中の特徴です。
心血管疾患
高血圧は心血管疾患を発症しやすくなります。なぜなら、血圧が上昇することで、通常よりも血液を送る力が必要になり、心臓の負担が増加するからです。
心血管疾患の中には、心筋梗塞や狭心症などがあります。心筋梗塞は心臓に酸素を送るための冠動脈が完全に塞がれた状態です。
また狭心症は、冠動脈の一部が狭窄して、心臓への酸素供給量と需要のバランスが崩れた状態を指します。
慢性腎臓病
高血圧は血管に負担がかかるため、血液中の老廃物をろ過する働きのある腎臓の細動脈に負担がかかります。
腎臓の機能が低下すると、高血圧が悪化するため、腎臓病と高血圧の悪循環が起こりやすくなるのです。さらに、慢性腎臓病が悪化すると人工透析や腎移植が必要になる場合もあります。
高血圧の受診科目
高血圧は、まずは内科(特に循環器内科または内分泌内科などを標榜している医院・病院)を受診しましょう。循環器とは血液循環と、それに関わる心臓や血管などの臓器を指します。
高血圧は生活習慣にも影響を受けるため、病院や医院で治療を受けながら、生活習慣の改善にも努めることが重要です。
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病気になる前に治すという『未病』を理念に掲げていきます。循環器内科分野では心臓病だけでなく血管病まで診られる最新の医療機器を備えたバスキュラーラボで、『病気より患者さんを診る』を基本として診療しています。
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