2023/05/16 ( 公開日 : 2023/05/16 )

悪化すると脳ヘルニアに? 急性硬膜下血腫について

症状
脳出血 脳疾患 頭痛
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急性硬膜下血腫とは、頭部に力が加わることで脳の表面の血管や脳実質が傷むなどして出血を来たし、血腫が溜まった状態のことです。交通事故などで頭部を強く打っている場合には、この急性硬膜下血腫が原因で死亡する方も多いです。
目次

急性硬膜下血腫とは?

急性硬膜下血腫は脳を覆っている硬膜の下に出血が起こり、血液が急速に溜まってしまうことで脳を圧迫している状態のことです。
外側から頭蓋骨、硬膜、くも膜、軟膜、脳表という順番で存在していますが、この硬膜と脳表のあいだに出血しているものを急性硬膜下血腫といいます。

主な原因

急性硬膜下血腫の原因は、頭部外傷によるものがほとんどといわれています。
具体的には「転倒や転落」「交通事故で頭を強く打つ」「殴打によって怪我をする」などがありますが、このほかでも生活のシチュエーションで起きるさまざまな頭への受傷が原因となります。

頭部への外傷で脳表に脳挫傷が起こって、硬膜下に血腫を形成するのが典型的な例です。
硬膜とくも膜のあいだは結合が弱く、血腫が広がりやすいことが知られています。

児童虐待の死因第一位

虐待にともなって発症することがあり、乳幼児を乱暴に揺さぶることを契機として外傷が生じるため、俗に「揺さぶられっこ症候群」とも呼ばれます。
親の話す内容と受傷している部位、状態が矛盾しているときや、親が子どもに対して無関心な様子がみられる場合には注意が必要です。

よくみられる症状

急性硬膜下血腫は生命の危険も高く、早期の手術をしたとしても死亡率は40〜60%ほどになるといわれています。 症状としては、意識障害と、脳の局所障害による症状があります。

①意識障害

受傷の直後にすでに意識がない場合もあれば、出血すればするほどに意識が悪くなっていくこともあります。
脳が血腫によって歪んでしまうと、昏睡状態になるといわれています。

②脳の局所障害による症状

血腫で脳が局所的に圧迫されると、その圧迫によって脳は正常に動作しなくなり、局所的な症状が体に現れます。

さらに悪化すると脳ヘルニアといわれる状態となります。
脳幹の圧迫が起こり、瞳孔の開き方で左右差が現れたり、両方の瞳の瞳孔が開いてしまったりします。
さらに悪化すると循環障害が起こって、生命を維持することも困難になりかねません。

検査と診断方法

患者さんが運ばれてきたら、まずCTやMRIによって検査を行います。

画像所見としてみられるのは、頭蓋骨に接している部位の三日月状の血腫です。
最初のCTで出血量が多く、脳が歪んで脳ヘルニアを起こしそうなときには、なるべく早く手術を行う必要があります。
もし出血量が大した量ではなくて、2回目のCT(初回から約1~2時間後に行う)で出血量が増加していなければ、経過観察をつづけて行います。

治療について

血種が大きくないとき、あるいは生命の危険性がない程度の場合は、血種が吸収されることを期待します。
血種が吸収されずに慢性化する場合があり、その際は穿頭洗浄術を行うことがあります。
(※穿頭洗浄術については、下記の記事内で説明しています。)

慢性硬膜下血腫について知っておきたいこと 治る認知症って何?

慢性硬膜下血腫とは、硬膜とくも膜のあいだで起こる血腫です。転倒などで頭をぶつけてから、1ヶ月ほどして次第に出血してくる病気です。この記事の中では慢性硬膜下血腫の原因、症状、検査と診断方法、治療方法などについて解説いたします。

脳の圧迫が強い場合や血腫が増加する場合には、開頭血腫除去術を行います。
開頭した後で硬膜を切開して、脳を圧迫している血腫を除去、その後に止血をします。

脳そのものに損傷がない場合には、脳に対しての圧迫を解除することで障害なども残らない良好な予後となることもあります。

もし脳そのものに損傷が伴っていると、血腫を除去しても脳が急激に腫脹して、危険な状態がつづくことがあります。
この場合には開頭した骨を外したままで可能な限り脳にかかる圧力を逃す手技を行います。

記事についてお気づきの点がございましたら、
編集部までご連絡いただけますと幸いです。

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監修医 鳴海 治 (なるみ・おさむ)
元メディカルチェックスタジオ医師・医学博士

28年間の脳神経外科の手術と救急の経験から、再生しない脳という臓器の特性、知らないうちに進行し突然発症して障害を残す脳卒中疾患の特性に対しては「発症させない」ことが最も有効な対策だと考えています。 なるべく多くの方が健康なうちに脳ドックを受診し、問題解決できる環境を提供してゆきたいと思います。

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