2022/12/26 ( 公開日 : 2021/11/05 )

石綿肺(アスベスト症)とは? 発症する肺の病気や、補償について知っておきたいこと

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アスベストは、高度経済成長期に安くて高機能な素材として、建材を中心に広く利用されてきました。しかし、健康に大きな被害を及ぼすことが分かり、2006年には全面的に製造や使用が禁止となりました。アスベストは潜伏期間が長く2021年現在にも病気を発症する可能性があります。この記事を読むことで、アスベストそのものや関連する病気、給付について知ることができます。
目次

アスベスト(石綿)とは?

アスベスト(石綿)は、ヒトの髪の毛と比べて「5000分の1」というかなり細い線維をもつ鉱物です。細い線維に反し、丈夫で熱に強く変形しにくい性質をもちます。
目に見えないほど細く軽いため、空気中に浮きやすく、ヒトが吸い込んでしまう恐れがあります。

少量であれば、吸い込んでも一部は体内から排出されますが、多量だと肺胞に付着するため肺がんなどの病気を引き起こす有害な鉱物です。

アスベストの使用状況

アスベストのほとんどは建材に使われていました。特にビルの高層化や鉄骨化が盛んになり始めた「高度経済成長期」が最盛期となります。
アスベストは安い上に耐火性、断熱性、防音性、絶縁性など多様な機能をもっていたため、使いやすかったのです。

肺がんや中皮腫を発症する発がん性を持つことが分かってから、現在では製造・使用等が禁止されていますが、未だ建物などには数多く残っています。

アスベストが原因で発症する肺の病気

アスベストと相関関係がある病気は5つです。所見として「胸膜プラーク」というものも多く見られます。
アスベストの病気は、吸い込んで肺に留まることから呼吸器系の症状を引き起こします。

アスベストは吸ってから15~40年など長い年月を経て病気が発症するのが特徴です。
発症までの潜伏期間が長いため、2020年に入った現在でも発症することが考えられます。

石綿肺

アスベストを大量に吸い込むこと(「ばく露」ともいいます)で肺が線維化する「じん肺」という病気のひとつです。
吸い込んだアスベストの量に依存し、量が多いほど肺の繊維化が起きやすいことが分かっています。
症状として、息切れや運動能力の低下が見られます。
通常は胸部X線検査・CT検査での所見と、大量の石綿ばく露歴によって診断されます。

肺がん

気管支や肺胞を覆う「上皮」に発生する悪性腫瘍のことです。
アスベスト以外の原因でも発症し、日本での死因で上位となっています。

肺がん発生の最大の原因は喫煙ですが、アスベスト吸入も合わさると発症率が格段に上がります。初期は無症状のこともありますが、進行することで息苦しさや倦怠感と運動能力の低下がみられます。

中皮腫

内臓は膜に覆われており、その膜をさらに覆っているのが「中皮」です。
中皮の細胞が悪性腫瘍となったものを「中皮腫」と呼びます。

潜伏期間は40年とされており、日本においては2020年代後半が発症のピークと考えられています
胸膜で起こった中皮腫は息切れ、胸痛など、腹膜の中皮腫では、腹痛、腹部膨満感、腹水貯留などが特徴的な症状です。

びまん性胸膜肥厚

肺を包む膜が線維化することで起こる病気です。
石綿だけではなく、結核性胸膜炎、放射線や開胸術後などといった原因でも発症することがあります。
通常は胸壁を包む膜まで線維化が及んでいることが多いです。

びまん性胸膜肥厚を発症する前に、良性石綿胸水と呼ばれる病気を生じることがあります。
胸部X線検査・CT検査、石綿ばく露歴などによって診断されます。

良性石綿胸水

肺の外側と肋骨の内側などを包む膜に炎症が生じ、胸水が溜まる病気です。
アスベスト以外にも、悪性腫瘍などさまざまな原因で発症します。
多くは無症状で自然に治る場合が多いですが、時折症状があり処置が必要なケースも見られます。
その場合は、胸水が肺を圧迫し息切れや胸の痛みなどを引き起こします。

どの程度アスベストを吸い込んだら病気を発症する?

アスベストを吸い込んだ量とアスベスト関連の病気には相関関係が認められています。
しかし、発症する具体的な吸引量までは不明な点が多く明らかにされていません。

石綿使用時期に建設などの仕事に従事していて、担当した建物の石綿使用の有無を知りたい場合は、働いていた業者や建築士等に使用の有無を問い合わせてみるのも良いでしょう。

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監修医 伊藤 晴紀 (いとう・はるき)
元メディカルチェックスタジオ医師・医学博士

同じ病気でも、患者様ひとりひとり治療方針は違ってきます。それぞれの生活やバックグラウンドに合った医療を提供できるよう心がけております。
患者様が健康で長生きできるよう、診断・治療だけでなく、最新の医療知識を織り交ぜながら診察しております。

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