くも膜下出血に初期症状はある? 突然の頭痛には要注意!

2025/10/22
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くも膜下出血は、脳出血の1つです。 発症すると死亡する確率が高いのが特徴で、その確率は約50%にも及びます。回復しても後遺症が残る場合が多く、再出血が起こるとさらなる生命の危機に晒されます。この記事では、くも膜下出血に関連するとされる要因や、発症の前触れの可能性がある症状についてお伝えします。
目次

くも膜下出血の症状と特徴

くも膜下出血の最も大きな要因は脳動脈瘤(のうどうみゃくりゅう)によるものです。
脳動脈にできた瘤(こぶ)が破裂することによって、脳を包んでいるくも膜と脳の間のくも膜下腔に血液が流れ出します。

◇動脈瘤の破裂で起こる症状例◇

  • 強烈な頭痛(鈍器で殴られたような痛み)
  • 意識障害
  • 嘔吐(強い吐き気)

これらの症状はかならずすべてが起きるわけではありません。

くも膜下出血が起きる原因

くも膜下出血の80〜90%が、脳動脈瘤の破裂に起因すると言われています。
この脳動脈瘤ができる原因は、完全にはわかっていませんが、動脈の分岐部に血圧が強くかかってしまうことも1つの原因と考えられています。
血管壁に圧がかかることで血管壁の脆弱な部分が外側に膨らみ、瘤を形成し、その一部が破れることでくも膜下出血は起こります。

◇脳動脈瘤の種類◇

おもに形状から以下の三種類に大別できます。

・囊状(のうじょう)動脈瘤
・紡錘状(ぼうすいじょう)動脈瘤
・解離性脳動脈瘤

くも膜下出血の前触れとなる症状

くも膜下出血は、破裂するまで症状があらわれず、先ほど述べた強烈な頭痛などの症状が突然出現することがほとんどです。
しかし以下の場合には、初期症状と言えるものが起こることもあります。

・動脈瘤が目の動きをコントロールする神経を圧迫している
・少量の血液が瘤から漏れ出すかたちで頭痛を引き起こしている

この現象が起きているときには、以下の症状が起こります。

  • 物が二重に見える
  • 頭痛がする
  • 吐き気がする
  • めまいがする

突然始まった頭痛を放置するのは危険

くも膜下出血の頭痛は明らかに激しいものの場合がほとんどですが、動脈瘤から血液が少しずつ漏れ、くも膜下腔に流れこんでいるようなときには、がまんできる程度の頭痛である場合もあります

普段から頭痛を持つ人は、このような前兆となる頭痛をがまんしてしまいがちです。
前兆となる症状がすぐに収まった場合でも、特に普段より激しい頭痛の場合にはなるべく早く病院を受診することが必要です。

また「◯時◯分に頭痛が突然始まった」と自分ですぐにわかるような頭痛は極めて特殊なものです。見過ごさずに病院へ向かいましょう。

脳動脈瘤が破裂して意識不明になってしまうか、まだ自力で病院へたどり着ける状態に留まっているかで、生存率や障害が残る程度が大きく変わることは知っておきましょう。

くも膜下出血の頭痛の特徴は?痛む場所と症状の違い

くも膜下出血による頭痛は、後頭部から首の後ろにかけて生じることがあり、強い痛みを感じることが特徴です。

前後の状況や体調に関わらず突然起こることから、以下のように例えられることがあります。

  • 雷に打たれたような痛み
  • 今まで経験したことがない痛み
  • 突然、バットで殴られたような痛み

また、頭痛に伴う症状として、「吐き気や嘔吐」「意識がもうろうとする」「視覚障害」などが起こることがあります。

これらの症状がみられる頭痛や、突然の激しい頭痛は、くも膜下出血によるものの可能性があるため、すぐに医療機関を受診しましょう。

くも膜下出血の要因

脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血の4大要因は以下のものです。

・高血圧
・喫煙習慣
・過度の飲酒習慣
・家系によるもの

高血圧

喫煙習慣

喫煙習慣のある方は、くも膜下出血の発症リスクが高くなることが報告されています。
タバコの煙にはニコチンや一酸化炭素などの有害な物質が含まれています。
これらは血管の収縮や、血圧の上昇、心拍数の増加をもたらします。
血圧の変動は動脈瘤に影響を及ぼすとされています。

喫煙によるリスクについては以下の記事で詳しく解説しています。

タバコを吸うことで発症する可能性がある病気とは? 依存度チェックも収録!

健康のために禁煙しようと思っても、「1本だけなら…」とついついタバコに手を伸ばしてしまうことはありませんか? タバコには麻薬と同程度の依存性があるため、止めようと思ってもなかなか止められないものです。今回は、なぜ1本だけでも喫煙すべきではないのか、喫煙によりどのような病気になる可能性があるかなどを紹介します。

過度の飲酒習慣

過度の飲酒も危険因子の1つです。アルコールを1週間で純アルコール換算で150g以上摂取することは、くも膜下出血のリスク因子となる週間で純アルコール換算で150g以上のアルコール摂取はくも膜下出血のリスク因子であることが知られています。
なお、5%のビール500mlで約20gの純アルコール量になるので毎日500mlのビールを1本以上飲むと1週間で150g以上の純アルコール摂取になります。

家系によるもの

親や兄弟・姉妹にくも膜下出血の方がいる場合、そうでない方と比べてくも膜下出血の発症リスクが約2倍高くなることが報告されています。

くも膜下出血の続発症について

脳動脈瘤破裂後の続発症には、以下のようなものがあります。

再出血

くも膜下出血後は発症早期に再出血しやすく、再出血は治療成績に影響を及ぼすとされており、医療機関では早期にカテーテル治療や直達手術などが検討されることがあります。

脳血管れん縮

脳血管れん縮とは、くも膜下出血の4日目以降から2週間以内に起こる原因不明の血管の収縮のことです。脳血管が細くなることで血液が途絶えて脳梗塞を起こすことがあります。
虚血性の脳卒中と似た症状が身体にあらわれます。

水頭症

くも膜下出血で溢れ出た血液はのちに固まりますが、この血の塊が脳の周囲を流れている髄液の正常な排出を妨げてしまうことがあります。
これにより頭蓋内圧が上昇すると、頭痛、眠気、吐き気、嘔吐などの症状が引き起こされることが知られています。
出血後早期に生じるものと、約4週間程度で生じてくる慢性の水頭症があります。

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くも膜下出血の後遺症について

くも膜下出血の後遺症は、出血した部位、出血量、発症してから治療が始まるまでの時間、合併症の有無などにより様々です。

主な後遺症としては、以下の表に記載するようなものがあります。

後遺症の種類と症状
後遺症の種類 関連する脳の場所と起きる症状
運動まひ 運動をするときには前頭葉の後ろ端に存在している運動野から、身体を動かすための指令が出る。
この部分が影響を受けているときには、身体の半分に何らかの影響が及ぶ。
感覚まひ 視床(ししょう)や頭頂葉が損傷を受けると、感覚まひが起きる。
触覚や痛覚が過敏になったり鈍くなったりとする。
視野障害 視神経や側頭葉、後頭葉に障害が起きた場合に発生する。
ものが二重に見えたり、片目の視野が見えにくくなったりするなど、種類は様々。
嚥下障害 運動まひや感覚まひにより、舌や喉の動きが悪くなることで起こる。
食べ物が器官に入らないように蓋をしてくれる喉頭蓋(こうとうがい)の動きが悪くなって起こり、誤嚥性肺炎も起こりやすくなる。
構音障害 話すときに運動まひや感覚まひによって、舌や口がうまく動かずに正しい音が作れなくなる障害。
高次脳機能障害 失語症、失行症、失認症、注意障害や記憶障害のこと。
上述の内容はあくまでも一例です。

上述の表の内容はあくまでも一例です。

くも膜下出血の後遺症については、以下の記事をご覧ください。

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後遺症はどこまで回復する? 日常生活への影響とリハビリ

後遺症がどれ躯体の程度なのか、あるいは症状がどこまで回復するかは、出血部位、発症後から治療に至るまでの時間、合併症の有無などによって異なります。

後遺症が出た場合、日常生活に支障をきたす恐れもあります。例えば、身体のまひがあると、移動や食事、入浴などの基本的な動作にもサポートが必要となるでしょう。

また、記憶力や注意力に障害があると、スケジュール管理や仕事にも影響を及ぼす可能性があります。後遺症の回復を促すためにはリハビリが重要です。

急性期(意識がはっきりしない時期)のリハビリ

病気が発症してから早い段階は、筋力や関節の機能低下を防ぐことが重要です。

リハビリでは、ベッド上や車椅子での姿勢を工夫し、手足の位置を安定させるための装具を使用することがあります。

また、関節や筋肉が固まらないようにストレッチを行ったり、身体の位置や姿勢を整えたりして二次的な障害を防ぐことが大切です。

回復期(状態が落ち着いてきた時期)でのリハビリ

状態が安定してきた段階では、運動機能や生活動作に対するアプローチが行われます。

例えば、歩行練習や立ち上がり動作、着替え、食事など、生活に欠かせない動作を再び行えるように練習していきます。

また、高次脳機能障害(※)では、注意力や記憶力、判断力が低下することがあるため、慎重な対応が必要です。こうした症状に対しては、障害されている認知機能に対するリハビリが実施されます。

後遺症があらわれた場合でも、適切な治療とリハビリにより部分的に機能が回復する可能性があります。前向きな気持ちで、専門家とともにリハビリを続けることをご検討ください。

高次脳機能障害については以下の記事をご覧ください。

高次脳機能障害とは? 診断基準、間違えやすい疾患は?(医師監修)

高次脳機能障害は病気や事故などのさまざまな原因で脳が部分的に損傷されたために、言語・思考・記憶・行為・学習・注意などの知的な機能に障害が起こった状態です。原因疾患にはいくつか種類がありますが、いちばん多い原因は脳血管障害です。今回の記事では高次脳機能障害の診断基準、特徴、原因疾患などをご紹介いたします。


※高次脳機能障害:脳の損傷によって注意力、記憶力、感情のコントロールなどに問題が生じる状態のこと。外見ではわかりにくいことが多く、日常生活や仕事に影響が出る場合がある。

まとめ|くも膜下出血を防ぐことはできる?

くも膜下出血は脳動脈瘤の破裂によって起こることがほとんどです。
発症する前に瘤がすでにでき上がっていて、何らかの拍子にそれが破裂すると考えられています。
脳ドック(MRI検査)で脳動脈瘤が確認されるケースがあり、症状があらわれる前に治療が検討されることもあります。

くも膜下出血の要因である「高血圧」「喫煙習慣」「過度の飲酒習慣」「家系によるもの」が当てはまる方は、一度脳ドックを受診することをおすすめいたします。

記事についてお気づきの点がございましたら、
編集部までご連絡いただけますと幸いです。
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監修医 村上 友太 (むらかみ・ゆうた)
東京予防クリニック 院長・医師・医学博士
日本脳神経外科学会専門医
日本脳卒中学会専門医
日本抗加齢医学会専門医
日本健康経営専門医
健康経営エキスパートアドバイザー

2011年福島県立医科大学医学部卒業。2013年福島県立医科大学脳神経外科学入局。星総合病院脳卒中センター長、福島県立医科大学脳神経外科学講座助教、青森新都市病院脳神経外科医長を歴任。2022年より東京予防クリニック院長として内科疾患、脳神経疾患、予防医療を中心に診療している。