2022/09/02 ( 公開日 : 2022/08/09 )
痩せすぎは太りすぎよりも危険? 心疾患や胃下垂のリスク増

痩せすぎにはどんなリスクがある?

体の肥満度を表す指数として、ボディマス指数(BMI)と呼ばれるものがあります。
こちらでは一般的に肥満状態で、BMIの数値が高い方に注目が集まっていました。
しかし現代では研究が進み、BMIが低い、痩せすぎの方にも健康リスクがあることが明らかになっています。
2011年に国立がん研究センターが発表した長期追跡型の調査においては、太りすぎ(BMI:30.0~39.9)より、むしろ痩せすぎ(BMI:14.0~18.9)の方が死亡リスクが高いという研究結果もでています(*1)。


筋肉量の減少が体に与える影響
なぜ痩せすぎがリスクになるかというと、体の筋肉量が足りていないことが多いからです。
例えば心臓は血液を全身に送り出しますが、血液を心臓に戻す際には骨格筋(運動をして増やすことができる筋肉)などもポンプの働きをして、血液の循環を助けています。
特にふくらはぎは、「第二の心臓」ともいわれるほど重要です。
また筋肉が減ることで、以下のような体への悪影響があります。
- 代謝が下がる
- 免疫力が下がる
- 認知症のリスクが上がる
痩せすぎの方は心臓に過剰に負荷がかかっている状態で、血液循環をしています。
心疾患の患者さんの中では、太っている方と同じくらい痩せている方が多いのもこうした理由が関係しています。
また筋肉を作る筋細胞が分泌するマイオカインの中でも、「イリシン」という物質は脳の活動性を高める効果があるため、筋肉量が減ることでこの物質も減り、認知症のリスクが上がる(*2)といわれています 。
痩せ型の人は胃下垂になるリスクあり?
胃が正常な位置よりつねに下がった状態を「胃下垂」といいます。
筋肉が弱かったり内臓脂肪が少なすぎると、胃が重さに耐えられずに下に伸びてしまうのです(注:背が高くて痩せている人の中には、遺伝的に胃下垂になりやすい人もいます。またストレスによる自律神経の乱れによって、胃の働きが低下して胃下垂となることもあります。)
また内臓脂肪が少なすぎるのも注意が必要です。
健康的な食事を摂取することを心がけて、適切な筋肉量がある健康的な体を目指しましょう。
編集部までご連絡いただけますと幸いです。
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京都府立医科大学卒業後、虎の門病院入職。内科全般を学び、その後がんや慢性疾患を多く扱う消化器内科医に。『健康防衛・健康増進』の重要性を痛感。『患者様の健康増進のために本気で取り組みたい』という強い想いで、愛和クリニック開業。
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