2025/04/14 ( 公開日 : 2025/04/14 )

子宮頸がん検診の重要性と受診方法について

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がん 予防 子宮
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子宮頸がんは20代から30代の比較的若い女性が発症する可能性が高いがんであり、早期発見が大切です。しかし、受診方法が分からず迷っている方も多いのではないでしょうか。そこで、この記事では、子宮頸がん検診の重要性や受診方法を詳しく紹介します。
子宮/卵巣がん検査について詳しくみる
目次

子宮頸がん検診とは?


子宮頸がん検診は、子宮頸部の異常な細胞を発見し、がんの進行を防ぐための検査です。厚生労働省では20歳以上の女性へ、子宮頸がん検診を推奨しています。詳しくは後述しますが、主な検査内容は問診や視診、内診、子宮頸部の細胞診です。検査結果をもとに、今後の検診時期や最適な治療方法を選択します。定期的に検診を受けることで、子宮頸がんの予防と健康維持につながります。

検診は何歳から受けるべき?どれくらいの頻度が適切?


日本では自治体によって違いはあるものの、子宮頸がん検診の補助対象年齢を20歳からとしています。原則として2年に1度の細胞診が推奨されており、30歳以上では5年に一度、子宮頸がんの原因となるHPV(ヒトパピローマウイルス)の有無を調べる検査も推奨されています。症状がない場合の検診は必要性を感じないかもしれませんが、若い世代に多い子宮頸がんは、定期的な検査で早期発見につなげることが大切です。

子宮頸がん検診の流れと結果の見方

子宮頸がん検診は、比較的短時間で受けられる検査です。一般的な検診の流れを把握しておくと、安心して受診できるでしょう。

1. 受付と問診

まず、受付を済ませ、問診票に健康状態や過去の検診歴、気になる症状などを記入します。その後、医師や看護師との簡単な問診が行われ、検査の説明を受けます。最終月経日や月経周期など、月経にかかわる内容を問診されるため、あらかじめ日付などが分かりやすいようにしておくと、問診がスムーズです。

2. 内診台での検査

子宮頸がん検診は必ず内診があります。内診台に上がると、医師が膣内にクスコ(膣鏡)と呼ばれる器具を挿入し、子宮頸部の細胞を専用のブラシやヘラで採取します。この作業は通常1~2分で完了し、違和感を感じる場合はあるものの、強い痛みはほとんどありません。

また、細胞を採取する前には、子宮頸部を直接観察する視診も行われます。

3. 検査後の注意点

子宮頸がん検診では細胞をこすって採取するため、検査後は軽い出血が起きる場合があります。出血が長引く場合は検診した医療機関を再度受診しましょう。検査後の少量の出血が止まった場合には、通常の生活に戻ることができます。

4. 検査結果の受け取り

医療機関によって異なりますが、通常1~2週間以内に検査結果が分かります。子宮頸がん検診の結果は、国際的な子宮頸がん検診の判定方法である「ベセスダ分類」で判定されます。結果は以下のように分類されています。

結果 状態 今後の検査等
NILM 陰性 異常なし 定期検診
ASC-US

軽度扁平上皮内
病変疑い

軽度の変化があるものの、腫瘍かは不明 要精密検査
ASC-H

高度扁平上皮内
病変疑い

強い変化があるものの、
今回の検査では診断不能

要精密検査
LSIL 軽度異形成

HPV感染や
子宮頸部軽度異形成の疑い

要精密検査
HSIL 中等度異形成
高度異形成
上皮内癌
左記の病変の疑い 要精密検査
SCC 扁平上皮癌 悪性腫瘍の疑い 要精密検査


陰性の場合は、推奨されている期間での定期検診を続けましょう。要精密検査の場合でも、病態によって行う検査は異なります。一定期間後に再度細胞診検査をする場合や、より詳しく検査するためにコルポスコープと呼ばれる子宮頸部を拡大できる器具を用いて検査する場合もあります。異常が確認された場合でも、必ずしもがんであるとは限りません。子宮頸がんには、がんになる手前の病変と指摘される場合もあります。まずは医師と相談しながら、適切な検査や治療を受けることが大切です。

子宮頸がん検診の費用と助成制度


先述したように、子宮頸がん検診は実費で受けるか、または自治体の助成制度を利用するかによって負担額が異なります。また、助成制度の内容もそれぞれの自治体で異なるため、受診前に確認しましょう。

検診にかかる費用の目安

子宮頸がん検診の費用は、施設や地域によって異なりますが、一般的に個人負担額は約5,000円から10,000円程度が目安です。検査の種類や内容によっても変動するため、受診前に確認しましょう。

公的助成制度の利用方法

多くの自治体では、公的助成制度を設けており、対象者は無料または低価格で検診を受けられます。20歳以上で公的助成制度を利用できる自治体がほとんどですが、クーポンや申請書の利用が必要な場合もあるため、事前に自治体の窓口や公式サイトで最新情報を確認しておくと良いでしょう。

子宮頸がん検診の受診場所


子宮頸がん検診を受ける病院やクリニックを選ぶ際は、専門医が在籍する医療機関を事前に調べておくと、より安心して検診を受けられます。自治体の公的助成制度を利用する場合は、利用できる医療機関がリスト化されているため、その中から選ぶのも良いでしょう。

病院とクリニックの選び方

まずは、婦人科の専門医が在籍している病院またはクリニックを受診しましょう。クリニックでは平日夜間や休日に診療時間を設けている場合も多いため、仕事や家事で忙しい方にはクリニックが便利です。総合病院のような大規模の病院では、症状のない子宮頸がん検診を受けていない場合もあります。まずは、子宮頸がん検診を実施しているかを確認しましょう。

健診センターの活用

健診センターは、健診を専門に扱う場所です。全身の健康チェックのための健診を受ける際に、子宮頸がん検診を受けることもできます。受付方法はそれぞれ異なるため、まずはホームページなどで調べてみましょう。健診センターでは、全身の健康診断を受けられるメリットもあります。

子宮頸がん検診の検査内容について


子宮頸がん検診は、細胞診検査とHPV検査があります。以下で詳しく説明します。

細胞診検査について

細胞診検査は、子宮頸部をこすってブラシで細胞を採取し、顕微鏡で観察する検査方法です。がんになり得る細胞の有無を観察します。

まず、内診台で医師がクスコ(膣鏡)と呼ばれる器具を使って膣内を開き、ブラシで子宮頸部の細胞を採取します。採取した細胞をスライドに塗布し顕微鏡で観察します。月経中は検査結果が正確に出ない可能性があるため、月経中を避けて検査を受けましょう。

先述したように、検査結果が陰性の場合は、通常の定期検査を続けることが推奨され、陽性の場合は、精密検査が必要となる場合があります。

HPV検査について

HPV検査は、子宮頸がんの原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)の感染を検出するための検査です。

ヒトパピローマウイルス(HPV)は約150種類あると言われており、その中でも子宮頸がんになりやすい、高リスクHPVが13種類特定されています。HPV検査では、この高リスクHPVの13種類の有無を調べます。

HPV検査の手順は、細胞診検査と同様です。HPV検査でハイリスク群のヒトパピローマウイルスが陽性になった場合は、さらに詳しく検査する場合もあります。

細胞診検査とHPV(ヒトパピローマウイルス)検査の違い

細胞診検査とHPV検査はそれぞれ役割が異なります。

細胞診検査は、子宮頸部の細胞を採取し、ヒトパピローマウイルス(HPV)によって、子宮頸部に変化がないかを調べます。
HPV検査は、子宮頸がんを引き起こす可能性のある高リスク型HPVへの感染の有無を調べる検査です。

HPV検査は、子宮頸がんへのなりやすさが分かるため、結果的に子宮頸がんの予防効果が高いと証明されています。細胞診検査だけを受けるよりも、より正確な検査結果が分かります。

子宮頸がん検診を受けるメリット


子宮頸がん検診を定期的に受けると、がんの早期発見が可能です。がんが早期に発見されると治療の選択肢が広がり、生存率も上がります。子宮頸がん検診は他の部位の検診と異なり、がんになる前の病変も見つけることができ、対処できます。また、検診を受けると安心感も得られます。定期的に検診を受けることで健康に対する意識も高まり、より良い生活を送れるでしょう。

予防接種との関係性


子宮頸がんの予防策として、HPVワクチンがあります。HPVワクチンは、がんの原因となるヒトパピローマウイルスへの感染リスクを減らす効果が認められており、日本でも特に若い世代を中心に接種することが推奨されています。

HPVは主に性交渉により感染するため、初めて性行為をする前の若い年齢での接種が最も効果的とされています。この時期に接種することで、ウイルスに感染する前に十分な免疫を獲得できるとされており、将来的に子宮頸がんの発症リスクを低減できるため、子宮頸がんの予防策として重要視されています。日本では小学校6年生から高校1年生までの女子は公費でHPVワクチンの摂取が可能です。

検診前に知っておくべきこと


子宮頸がんの検診前は、特に日常生活の注意点はありません。ただし、月経期間中は検査結果が正確に出ない場合があるため、検査日は月経周期を考慮して選びましょう。検査前に膣内洗浄をすると、採取したい細胞が洗い流される場合があるため、膣内洗浄も避けてください。また、検査時の服装は、ワンピースやスカートなど検診時に脱ぎやすい服を選ぶと良いでしょう。

医師に相談するポイント

検診前後に異常な出血や痛み、長引く不快感などがある場合、必ず医師に伝えることが大切です。検査の適切な頻度や、次回の検診時期についても相談しましょう。検診結果が自分ではよく分からない場合には、具体的な質問を事前に用意しておくと良いでしょう。

まとめ:子宮頸がんの早期発見のために定期的に検診を受けましょう


子宮頸がんは比較的若い年齢層の女性に起きやすいがんです。子宮頸がん検診を定期的に受けることで、がんの早期発見につながり、治癒率も高まります。

また、子宮頸がんはワクチンで予防できるがんでもあります。対象年齢であれば、ワクチンの接種も検討してください。

子宮頸がんの正しい知識を持ち、定期的に検診を受けることで、自身の健康を保ちましょう。

記事についてお気づきの点がございましたら、
編集部までご連絡いただけますと幸いです。

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