画像検査といえば、多くの方になじみが深いレントゲン検査がまず挙げられます。レントゲンの他にも体内の状態を見ることができる画像検査としては超音波検査、CT、MRI、核医学検査などがありますが、それぞれ特性が異なります。この記事ではCT検査とMRI検査に焦点をあて、それぞれの特徴を解説します。
CTとMRIは何が違うの?
CT検査とMRI検査は、どちらも体の内部を画像として確認する検査ですが、「検査方法」「発見できる疾患の種類」「得られる情報量」に違いがあります。
検査方法
撮影するにあたり、CT検査は放射線を使用します。それに対して、MRI検査は磁力と電波を使用します。
身体の断面を撮影した複数枚の写真をコンピュータで処理して、希望の部位の画像を出力したものがCT検査です。
身体の細胞に含まれる水素原子を、磁力と電波によって影響を与えて画像化したものがMRI検査です。
発見できる疾患の種類
| |
CT検査 |
MRI検査 |
| 発見できる疾患 |
脳出血
くも膜下出血
脳梗塞
脳腫瘍 など |
脳梗塞(ラクナ梗塞)
脳動脈瘤
脳動脈奇形などの異常 |
得られる情報量
CT検査は0.5mm以下の小さな病変を見つけたり、広範囲にわたって確認したりすることが得意です。
MRI検査では色の濃淡(コントラスト)がCT検査よりもはっきりしているため、病変がより明確に判断しやすいです。
また、CT検査では血管の状態などを確認するために、「造影剤」という薬剤を使用することがあります。
それに対してMRI検査では、血管の状態を確認する際にも、通常のMRI検査と同じ方法で検査ができます。
どちらの検査にもいい部分があるので、より得意な撮影部位や病気の種類によって使い分けたり、併用したりします。
表 CT検査とMRI検査の比較
| |
CT検査 |
MRI検査 |
| 仕組み |
X線 |
磁力と電波 |
| 体への負担 |
少ないが、まったくないとはいえない |
ほとんどない |
| 検査時間 |
比較的短時間(5~15分) |
時間がかかる(15~60分) |
| 検査可能な施設 |
多い |
多いとはいえない |
| 細かい描写 |
非常に得意 |
得意 |
| 色の濃淡 |
普通 |
非常に鮮明 |
| 出血の状態の確認 |
得意 |
非常に得意 |
| 血管の状態の確認 |
造影剤が必要 |
得意 |
| 空気と骨の区別 |
できる |
できない |
CT検査の特徴
検査時間が短い
CT検査は写真撮影と同じ仕組みなので、磁力と電波を使うMRI検査より短時間で検査が行えます。
一般的に5分から15分ほどで終了し、何百枚もの画像を連続撮影します。
画像はコンピュータを使うことで、角度を変えて見ることが可能です。
X線を使う
CT検査では撮影にX線を使用します。
検査によってがんを早期に発見できる可能性があり、適切な治療につながることが多いとされています。安全性を高めるための技術開発が進み、現在では放射線被ばくによる影響は非常に小さくなってきました。ただ、それでも被ばくによるリスクはゼロとはいえません。
造影剤を使用することがある
CT検査の特徴として、MRI検査に比べて色の濃淡(コントラスト)が若干弱く、血管の状態を確認することがあまり得意ではありません。
そのため、検査の目的や対象によっては、造影剤という薬を血管に入れてから撮影することがあります。
「造影CT検査」とも呼ばれ、血管や臓器をより見えやすくします。
しかし、薬に対して過敏な方や、アレルギーのある方は使用ができません。
薬や医療機器に不安のある方は医師に相談し、自分に適した検査を受けましょう。
MRIの特徴
検査時間が長い
MRI検査は15~60分ほどかかります。
検査中は狭いところで静止しているため、閉所が苦手な方にとっては大変な検査かもしれません。また磁力を使う仕組み上、検査中には大きな音が出続けます。
磁力を用いる
MRI検査は磁力と電波を用いた検査なので、被ばくの影響はありません。
またMRI検査の磁力や電波が身体に悪影響を及ぼす可能性は限りなくゼロに近いといわれています。今後の研究で影響が確認される可能性はありますが、現在は安全性が高いとされています。
色の濃淡(コントラスト)が鮮明
MRI検査は、画像の濃淡が非常に鮮明に写し出されます。
また造影剤を使用しなくても血管の細かい状態を確認することが可能です。
様々な部位や角度から確認ができるのはCT検査と同じですが、濃淡がくっきりしているため、CT検査では検出できなかった小さな腫瘍が見つかることもあります。
造影剤の有無と安全性

造影剤とは、CT検査やMRI検査で、血管や臓器をよりはっきり映し出すために使用される薬剤です。
造影剤の投与により、画像に濃淡の差(コントラスト)がつき、血管の形や臓器の血流の様子、病変の広がりなどを詳しく確認できます。これにより、より正確な診断や病気の早期発見が可能となります。
ただし、造影剤の投与によりアレルギー反応が起こるケースがまれにあります。軽い症状としては、かゆみ、じんましん、吐き気などが挙げられます。
ごくまれに呼吸困難、血圧低下、意識障害、腎障害などの重い症状があらわれることもあるため、十分な配慮が必要です。
特に造影剤の1つであるガドリニウム製剤は、胎児への影響が報告されています(※)。検査を受ける際は、過去のアレルギーや持病の有無、喘息の有無、甲状腺疾患の有無、妊娠の可能性などを必ず医師に伝えましょう。
(※参考文献:「妊娠中のMRI検査の胎児期、幼年期への影響」論文の紹介|日本小児放射線学会)
妊娠、授乳/金属デバイス/閉所恐怖症のときは?
「妊娠中や授乳中の方」「金属デバイスの植え込みがある方」「閉所恐怖症の方」が画像検査を受ける際には、特別な配慮が求められる場合があります。
妊娠、授乳中の方
妊娠中には、放射線による胎児への影響を考慮してCT検査は行わないのが一般的です。
ただし、緊急性が高い場合や、検査がどうしても必要な場合には、医師が安全性を十分に考慮したうえで実施されることがあります。
また、MRI検査は放射線を使用しませんが、妊娠中の安全性が十分に確認されていないため、実施には慎重な判断が求められます。
特に、造影剤の使用については胎児への影響が報告されているため、妊娠の可能性がある場合は必ず事前に医師へ伝えましょう。
金属デバイスの植え込みがある方
体内でペースメーカー、植え込み型除細動器といった金属デバイスを使用している場合は、MRI検査を受けられないことがあります。磁力によってデバイスが影響を受ける可能性があるためです。
近年では、MRI対応のペースメーカーも登場していますが、すべての機種が必ずしも安全に使用できるわけではありません。
また、デバイスの植え込みがある方が検査を受ける際は、ペースメーカーの設定を一時的に変更するなどの対応が必要になります。
該当する方は、「ペースメーカー手帳」や装着時の情報がわかる資料を持参し、必ず事前に医師へ相談しましょう。
閉所恐怖症の方
MRI検査ではトンネル型の機器を使用するため、閉所恐怖症の方は不安や緊張を感じることがあります。
そのような場合には、「検査中に音楽を聴く」「照明を工夫する」「リラックス効果のある薬を使用する」といった方法で不安を軽減することが可能です。
また、閉所が苦手でも安心して検査を受けられる「オープン型MRI(※)」を導入している医療機関もあります。
そのような場合には、検査を受ける前に医師や検査技師に不安であることを伝え、対策について相談しましょう。
閉所恐怖症でもMRIは受けられる? 知っておきたい最新の脳ドック事情
近年受診する人が増えている脳ドック。狭い空間に頭から入るMRI装置に、閉所恐怖症の方は「自分にはムリかも…」と思われているかもしれません。しかしながら、現代のMRIは短時間での撮影ができるようになっています。この記事の中では、閉所恐怖症の方にも安心してMRIを受けていただけるように、最新の動向をご説明いたします。
※オープン型MRI:トンネル型のように全身が機械に入る構造ではなく、開放部分が広い設計のMRI装置。圧迫感が少なく、閉所が苦手な方や子ども、高齢の方でも安心して検査を受けやすい。
CTとMRIは医師の判断で使い分けることが一般的
CT検査もMRI検査もすぐれた点があり、検査の目的や部位によって使い分けたり、併用したりします。
検査に不安があるときには、医師にしっかりと確認した後で受けましょう。
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編集部までご連絡いただけますと幸いです。
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