初めての脳ドックは何歳で受けるべき? 若くても受診すべき人の条件と推奨頻度
40歳を過ぎたら脳ドックを受けてみるべき
現代を生きる私たちの寿命は、祖父母や親の世代よりも長く延びることが見込まれています。厚生労働省の調べでも、年々男女ともに平均寿命は延伸しています。
表1 日本人の平均寿命の変化
| 1990年 | 2015年 | |
| 男性の平均寿命 | 75.9歳 | 80.7歳 |
| 女性の平均寿命 | 81.9歳 | 87.0歳 |
また、2007年生まれの子どもの平均寿命は、先進国では100歳を超えてくるというデータもあります。このように寿命が延び続ける世界において、長く生きるだけでなく、健康でいる時間をいかに長くするかが大切になります。
では、健康寿命を長くするために何歳ぐらいから脳ドックを受け始めればよいかというと、40歳が節目の年齢であると言えるでしょう。長年にわたって生活習慣が乱れていると、目に見える異変となって現れてくるのが40歳ごろです。
健康診断でも異常を示す数値が増えてくるため、著名人、有名人の大きな病気のニュースが自分ごととして捉えられるようになる方も多いはず。
「白質病変」など、認知症につながりうる変化が脳にみられるようになるのも40歳ごろからの方が多いです。
こうした、無自覚のうちに進行してしまう脳の異変を知るには、脳ドックの受診が有用とされます。
20代・30代でも脳ドックを受診した方がよい人とは?
現代では、糖尿病などの基礎疾患を持つ若い方が増えています。その背景にはファストフードの食べ過ぎ、夜遅くまで起きていることによる慢性的寝不足など、若いがゆえに自分の健康を過信してしまうことがあります。
脳の中にある細い動脈が詰まってしまって起こる白質病変などの症状は、20代・30代にもみられます。
一部の調査では、30代の約23%が脳に何らかの異常が見られるという結果が得られています。

このような症状のすべてが即座に問題となるというわけではありません。
しかし白質病変を例に挙げると、30代の約15%に初期症状があらわれているという調査結果もあります。

50代の方であっても、50%以上は白質病変の症状が見られず、その多くは健康への意識が高いことがわかっています。
つまり30代でも、50代の方よりもはるかに脳が不健康な状態になっている方が多く、そのほとんどは無自覚なのです。
こうした脳の変化に気づかないまま年月が過ぎると、脳血管障害や認知症につながるケースがあります。脳は再生が限られており、万が一の場合には障害が残るケースもあります。
脳ドックはどのくらいの頻度で受ければよい?
脳に異常が無い場合は3〜5年おきに1回でOK
20代や30代に多い脳卒中の原因は脳出血です。
脳出血は多くは脳動脈瘤(こぶ)が破けることで起き、猛烈な頭の痛みとなってあらわれます。
脳動脈の瘤は遺伝的な要因でできやすいため、若いうちに一度検査しておくことが大切です。
もし若いうちに脳ドックを受けて特に問題が見つからなければ、30代後半になるまでは3〜5年に一度程度の受診でもよいでしょう。
30代後半になると、健康診断で引っかかる数値が多くなる方もいるかもしれません。
2〜3年に1度、定期的に脳の状態を確認しておけば安心して生活できるでしょう。
一方で、若くても1〜2年おきの受診が推奨されるケースもあります。
- 過剰な塩分、糖分、動物性脂肪を摂取する習慣がある
- 過度な飲酒、喫煙習慣がある
- 高血圧、高血糖、脂質異常のうち、2つ以上に当てはまる
- 頭部に影響があるスポーツ(ラグビー、サッカー、ボクシング、レスリング、アメリカンフットボール)の選手である
あまりにも偏った食生活や、喫煙・飲酒・運動不足などがあると、身体の血管は若くても不健康な状態になっている可能性があります。
本来しなやかな動脈が固まることを「動脈硬化」と呼びますが、現代では若い方でも驚くほど動脈硬化が進んでいる方がいます。脳ドックの受診は日々の生活を見直すきっかけとなるでしょう。
50代以上は脳に異常が無い場合2〜3年おきに1回の受診が理想
50代を超えると、脳疾患のリスクは急上昇します。
身体の衰えとともに、長年少しずつ身体の中に蓄積されていた負債が、脳疾患などの問題となってあらわれ始めます。
「くも膜下出血」や「心筋梗塞」など、脳や心臓などの重要な臓器が病におかされることをイメージされる方も多いでしょうが、20年、30年と身体にダメージが溜まり続けた結果、全身に影響を及ぼす疾患となるケースがみられます。
脳に異常があった場合、発症前からの変化を把握することが治療などに役立つとされています。50代以上の方は異常がなくても2〜3年おきに1度、軽い異常がある方は1〜2年に1回程度脳ドックを受診することが推奨されます。
脳ドックで異常が見つかったら1年に1回受診
脳ドックでは多くの方が何らかの異常を指摘されます。
前述の「白質病変」は加齢とともにいくらかは見つけられるものですので、年齢と照らし合わせて、異常なものでなければ経過観察になることが多いです。
「脳動脈瘤」や、「無症候性の脳梗塞(ラクナ梗塞)」「脳腫瘍」などの所見がみつかる方もいます。
これらは見つかったらすぐに外科手術が必要となるわけではありません。
経過観察になる場合も多いです。
もし医師から「経過観察」と言われた場合には、半年後なり1年後なりに再受診をしましょう。病変が進行すると、外科手術が必要になることもあります。
自分で「大丈夫だろう」と考えるのは危険です。
医師から詳しく話を聞き、適切な対応方法について説明を受けることが大切です。
【早見表】年齢と健康状態別・脳ドックの推奨受診頻度
脳ドックの受診頻度は、年齢や現在の健康状態、リスク要因によって異なります。 ここまで解説してきた年代ごとの目安や注意点を一覧表にまとめました。
ご自身がどのくらいのペースで受診すべきか、整理するためにご活用ください。
| 年代 | 脳・血管に異常がない場合 | リスク要因がある場合※ |
| 20代 〜 30代前半 | 3〜5年に1回 | 1〜2年に1回 |
| 30代後半 〜 40代 | 2〜3年に1回 | 1〜2年に1回 |
| 50代以降 | 2〜3年に1回 | 1年に1回 |
| 全年代(異常あり) | 医師の指示に従う(半年〜1年後など) | 医師の指示に従う |
※リスク要因:高血圧・糖尿病などの基礎疾患がある、喫煙・飲酒習慣がある、血縁者に脳卒中経験者がいる など
かかる費用と時間は「脳ドック<脳疾患」

入院時の1日あたりの入院費自己負担額は、1泊平均で23,300円とも言われます(*1)。
もし脳梗塞で入院した場合には、入院費用は平均でも158万程度(*2)。推定の自己負担額は3割としても、47万円程度かかります。そしてさらに介護が必要になった際には、追加で多くの費用がかかることは想像にかたくないでしょう。
*1 生命保険文化センター「令和元年度 生活保障に関する調査」
*2 公益社団法人全日本病院協会「医療費」 重症度別2020年10月-12月
もし脳疾患が起きてしまい、さらに介護が必要な状態になると、時間も費用もどんどん積み重なっていきます。
そうならないためには、脳ドックを利用するなど予防医療を活用し、日々の生活を見直すことが重要です。
編集部までご連絡いただけますと幸いです。
ご意見はこちら
スマホでかんたんスマートに。
脳の健康状態を調べてみませんか?
病気になる前に治すという『未病』を理念に掲げていきます。循環器内科分野では心臓病だけでなく血管病まで診られる最新の医療機器を備えたバスキュラーラボで、『病気より患者さんを診る』を基本として診療しています。
2004年浜松医科大学医学部卒業
脳神経外科学会専門医
脳卒中学会専門医
脳ドック学会認定医