2022/11/30 ( 公開日 : 2022/11/09 )

健康経営とは? 実践すると企業にどんなメリットがあるの?

編集部コラム
予防
この記事は約6分で読めます
健康経営には、どのようなメリットがあるのでしょうか。政府が力を入れる理由、健康経営優良法人制度について、健康経営を導入する方法についてなど、この記事の中では基本的なことをわかりやすく解説いたします。まだ知識がまったくない方にこそ読んでいただきたい内容になっています。
目次

健康経営はいつ始まったの?

法人とは個人が集まったものですので、個人個人の健康の度合いがそのまま法人が健康かどうかを決めます。
実際に健康経営について考えられ始めたのは、1960年代のアメリカといわれています。
この頃のアメリカでは公民権運動やベトナム戦争が深刻化している頃で、映画などでタバコをずっと吸っている様子などもみなさんご存じかと思います。
かなり不健康な時代です。

この頃は環境汚染であったり、嗜好品をとにかくいいものとPRして売っていた時代で、その結果として個人は健康からほど遠い状態になっていました。

1990年代になると、アメリカの臨床心理学者ロバート・ローゼンが「ヘルシー・カンパニー」という本を書き、そのなかで従業員の健康が会社経営にとって非常に大切な要素になることが明らかにされました。

つまり、法人は個人の健康についてしっかりと考えることによって、(その機会を与えること、促すことによって)法人自身にもいい効果があることが、何十年もかけて次第にわかってきたのです。

健康経営とは?

個人が体調を崩していることについて考えてみれば、体調のよくない日には大して何も生み出していないし、集中力も創造力も発揮できていないことに思い至るでしょう。

もしつねにだるい、よく眠れていなくて集中力がない、また不健康がつづいて臓器の調子を悪くしている、などの状態にあったら、月に20日以上出勤していたとしても生産的とはいえない状態になっているでしょう。

「体の調子が悪くなるのは従業員個人の責任であって、法人としては特にどうすることもできない」というのが、健康経営に対して何も実践できていない法人ということになります。

健康経営とはつまり、「法人を構成する個人の生活習慣や健康に対して、できるだけ法人として働きかけていくことであり、それによって経営に対してプラスの効果を起こすこと」なのです。

健康経営のメリット

健康もやる気・熱意の一部

体が重い、つねに眠い、調子がよくないなど、不健康な体になってしまっている方は、仕事にもやる気や熱意があまり見られないのではないでしょうか。

これはつまり不健康な状態から少しでも健康な状態にシフトしてもらえれば、日々の仕事でもやる気や熱意などが現れるということです。
みなさんの経験からしても、病気に半分足を突っ込んでいながら、仕事だけはできるという方はごく少ないでしょう。

やる気を出してもらう、熱意を持ってもらうなど、メンタル的な部分での変革にも健康は不可欠です。

低パフォーマンスを改善

出社しているけれど、健康問題によって業務効率が落ちている状態を「プレゼンティーズム(Presenteeism)」といいます。
アメリカではこのプレゼンティーズム、つまり出勤しているけれどパフォーマンスを発揮できていない状態が、企業にとってみえにくい健康関連の大きなコストになっていることが明らかになっています。

◇気にすべき些細な不調

  • メンタル面の不調
  • 腸、呼吸器の不調
  • 頭痛、肩こり
  • アレルギー、感染症
  • 二日酔い など

健康になるための食事、運動、睡眠習慣を従業員に学んでもらうことで、こうした低いパフォーマンスの従業員を、より生産的な状態にすることができます。

企業のブランディング

政府からも健康経営は強く奨励されており、取り組みをしっかりとすれば、健康経営優良法人に選定してもらえます。
これらは銀行などから投資を受けるうえでも、採用面などでも大きなプラスとして働きます。

とくにミレニアル世代以降の若い世代では、法人として考え方が古い企業に対しては就業したくないと考える方が増えているという背景があります。
少子高齢化がどんどん進んでいる日本では、健康経営の考え方にしっかりとキャッチアップして、若い世代に訴えかけるのも必要なことであるといえるのではないでしょうか。

政府も力を入れる健康経営

健康経営が注目されるのはなぜ?

世界でももっとも高齢化が進んだ社会である日本で、健康経営が必要とされるのは以下のような理由があるからです。

・少子高齢化で労働人口が減っている
・後期高齢者が増えて医療費が増大する懸念がある
・健康保険組合の財政悪化、健康保険料の上昇による企業負担増
・従業員の雇用延長が難しい  など

政府が取り組む健康経営制度

経済産業省は、2014年度からは上場企業を対象として「健康経営銘柄」を選定。
また、2016年度からは「健康経営優良法人認定制度」を推進しています。

「健康経営優良法人」は大規模法人部門と中小規模法人部門に別れており、それぞれ上位の500法人を「ホワイト500」、「ブライト500」としています。

出典:「健康経営の推進について」(経済産業省)

大企業であればホワイト500に何年か選ばれれば、より健康経営を世間に普及していくアンバサダーとしての役割が強くなる「健康経営銘柄」に選出される可能性がある、とイメージするとわかりやすいかもしれません。

健康経営を導入する方法

大企業と中小企業では規模が異なるかもしれませんが、健康経営を導入するための方法は大体似たような道をたどります。
というのも、健康経営の評価モデルは以下のように5つの側面に分けることができるからです。

健康経営を実践する組織体制づくり

健康経営に取り組む際には、さまざまなひとが関わります。
大企業であれば経営者が指針を示し、産業医や保健師と関わる必要があり、健保組合との協力も不可欠です。
中小企業でも健康づくり担当者の設置が必要となります。

課題の確認

健康経営を推進するうえでは、現状の従業員の状態を知ることが必要です。
たとえば再検査、精密検査になるひとがどの程度いるのか、保健指導実施率はどの程度なのか、有所見率はどのくらいなのかなど、健康経営を行っていく上でKPIとなる数値の確認をして課題をみつけます。

企業ごとに抱える問題で課題の設定は異なると思いますが、目標設定は非常に大切です。

計画の実行・評価

実行のフェーズではスケジュールをしっかりと決めて、改善させたい数値を達成するための教育、運動機会の提供、食生活の改善、検診への補助金、メンタルヘルスへの取り組みなどを行い、その結果の評価を行います。

モチベーションが上がらないままでやらされている状態だと、目標とする数値も達成できないでしょう。
従業員の健康は一年で劇的に変わることを目指すよりも、何年かかけて目標を達成していく、健康面での社内文化を作っていくことが必要かもしれません。

法令遵守

定期検診の実施、50人以上の事業場に置いてストレスチェックを実施していること、労働基準法または労働安全衛生法に係る違反によって送検されていないこと、など法令に遵守することは土台として必要です。

社内外へ告知

健康経営を行っていくことを、社内にも社外にもしっかりとアナウンスするのも大切です。
その上で会社の経営者から、いかに健康経営が経営そのものに対してプラスの効果があるのかを、これまでの考え方を塗り替えるつもりで伝えることが必要でしょう。

事業と同様に、社員間で共通のビジョンを持つことが大切です。

またプレスリリースや、ホームページでのアナウンスで顧客や投資家に対しても自分たちの考え方や取り組みを発信していきましょう。

脳ドックで健康経営を応援します

働き盛りである30代・40代・50代、もちろんその上の世代の方にも、脳ドックの受診をおすすめいたします。
脳や心臓は人体の中でも非常に重要な臓器ですが、健康診断や人間ドックではその状態を詳しく知ることができません。脳血管疾患が起きると、障害が残ってしまう場合が多く、本人だけでなくご家族にも負担がかかります。

企業として、優秀な人材(とくに管理職世代)の重大疾病の回避、予防の意識向上に脳ドックを導入する企業さまも年々増えています。

スマート脳ドックなら忙しい社会人の方にも、平日の業務のあいだにも受けていただけるように、受付からお帰りまでわずか30分以内。
受診者は累計で9万人以上、全国各地で受けることが可能です。
ぜひ健康経営で目標を達成するためのツールとして、お使いいただければと思います。

記事についてお気づきの点がございましたら、
編集部までご連絡いただけますと幸いです。

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