子宮体がんが心配な方へ|エコー検査でわかるポイントを解説
この記事では、エコー検査を活用した検査方法や診断の流れ、婦人科健診の重要性、子宮体がんのリスク評価や早期発見のメリット、健康管理に役立つ具体的なアクションなどを詳しく解説します。
子宮体がんとは?- 不正性器出血は重要なサイン
子宮体がんは子宮内膜に発生する悪性腫瘍で、不正性器出血が代表的な症状です。まずは症状や前兆、そして同じ子宮にできるがんである子宮頸がんとの違いを知ることが大切です。
子宮体がんの主な症状と見逃しやすい前兆
子宮体がんの特徴的な症状には、不正性器出血が挙げられます。月経とは異なるタイミングでの出血や閉経後の出血、おりものに少量血が混じる状態が続く場合には注意が必要です。また、おりものの量や性状の変化、下腹部の痛み、腰痛、下肢のむくみなども見逃しやすい前兆です。初期には自覚症状が少ないため、早期発見には定期的な婦人科健診とエコー検査が重要とされています。
子宮頸がんとの違いは? 原因と発症しやすい年代
子宮体がんと子宮頸がんはどちらも子宮にできる悪性腫瘍ですが、発生する部位や主な原因が異なります。子宮体がんは子宮の内膜(体部)に発生し、女性ホルモンの一種であるエストロゲンの過剰分泌が発症リスクにつながります。主に以下のような方はリスクが高いといわれています。
- 出産経験がない
- 閉経している
- 肥満体質である
一方、子宮頸がんは子宮の頸部にでき、HPV感染が原因となることが多いです。子宮体がんは40代後半から60代の女性に多いですが、子宮頸がんは20代後半から40代にも多いです。それぞれの疾患で予防法や定期健診の方法も異なります。

子宮体がんの発見にエコー検査が有効な理由
エコー検査はがんの可能性の有無や、がんの状態を調べるために重要で、ほとんどのがんの検査において行われます。
エコー検査は子宮内膜の厚みや異常を画像で観察できるため、子宮体がんの早期発見に役立ちます。
エコー検査でわかること
エコー検査では、子宮の形や内膜の厚み、病変の有無などを画像として確認できます。子宮内膜の増殖や異常な腫瘍、ポリープなどがある場合、医師が組織の状態を把握し、早期に判断できる点がメリットです。また、エコー検査は痛みが少なく、短時間で実施可能なため、多くの婦人科クリニックで利用されており、定期的な婦人科健診の一環として効果的です。
ただし、この検査のみで子宮体がんかどうかを確定することは難しいです。不正性器出血などの症状がある方は、がんの可能性の有無を確かめるためにもまずは医師に相談して検査を受け、早期発見につなげましょう。
エコー検査の限界
エコー検査は子宮体がんの早期発見に役立つ一方で、完全な診断には限界があります。画像だけでは病変が良性なのか、悪性なのかを判断することが難しいことも多く、初期の微細な異常が見落とされるケースもありました。そのため、エコーで異常が見つかった際にはがんの診断を確かにするために細胞診や組織採取など、精密検査が必要となることがあります。
また、肥満体質の方や、骨盤内にガスがある方の場合は画像が不明瞭になることも報告されています。最終的な診断には専門医による総合的な検討が欠かせませんので、不安があれば医師に相談し、複数の検査方法を併用することが推奨されます。
検査方法の種類:経腟エコーと経腹エコーの違い
子宮の状態を調べるエコー検査には、主に「経腟(けいちつ)エコー」と「経腹(けいふく)エコー」という2種類の方法があります。どちらも超音波を使いますが、そのアプローチ方法と見える範囲が異なります。子宮体がんの早期発見のためには、この違いを理解しておくことが大切です。
経腟エコーとは腟の中に細い棒状のプローブを挿入して行う検査で、周波数が高く、プローブの近くはきれいに見えます。また、経腹エコーでは見づらい骨盤周辺部も画像としてきれいに映し出せる点が特徴です。子宮体がんの重要な指標となる子宮内膜の厚さや均一性、血流の状態などをミリ単位で正確に評価することが可能です。
一方、経腹エコーはお腹の上からプローブ当てて行う検査で、経腟エコーと比べて周波数が低いことから、深いところまでよく見える点が特徴です。経腟エコーでは見づらい子宮や卵巣の全体的な大きさ、巨大な子宮筋腫の有無など、骨盤内を広く見渡すのに適しています。ただし、お腹の上から直接プローブを当てることから、肥満の方は皮下脂肪が分厚いため、画像が見にくくなります。また、早期の子宮体がん発見には不向きともいわれています。
これらのことから、子宮内膜の状態を詳しく観察し、子宮体がんの初期サインを見つけるためには「経腟エコー」が有用とされ、多くの医療現場で標準的に実施されています。しかし、性交渉の経験がない方や、何らかの理由で経腟プローブの挿入が難しい場合には、経腹エコーが選択されたり、経腟エコーのプローブを肛門から挿入したりして観察することもあります。ご自身の状況で不安な点があれば、遠慮なく医師に相談し、最適な検査方法を確認しましょう。
検査から確定診断までの全ステップ
検査から確定診断までは複数のステップで進みます。段階ごとに必要な検査が変わるため、理解しておくと安心です。

Step1:スクリーニング検査
スクリーニング検査では、まず問診や内診を行い、症状の有無や子宮体がんリスクを評価します。次に、エコー検査によって子宮内膜の厚みや形、異常な病変の有無をチェックします。経腟エコーは特に内膜の詳細な確認に適しており、不正性器出血などの初期症状がある方に推奨されます。ここで疑いがあれば、追加の精密検査に進む流れとなります。
子宮体がんは初期症状が出にくいため、自覚症状がない場合でも定期的な婦人科健診でスクリーニング検査を受けておくことが、早期発見に大きく役立ちます。必要に応じて医師が個別の健診プランを提案しますので、安心して相談しましょう。
Step2:精密検査
エコー検査で子宮内膜の異常や腫瘍が疑われた場合は、精密検査が行われます。具体的には、子宮内膜から細胞や組織を採取する「細胞診」や「組織診」が中心です。採取した検体は顕微鏡で観察され、細胞の形や増殖の様子から病変の有無や性質が評価されます。
また、MRIやCT検査といった画像診断も併用されることがあり、病変の範囲や周囲組織への広がりを正確に把握します。細胞診や組織診は痛みを伴うことがあります。子宮内膜全体を検査する場合は痛みがより強く出る可能性があり、必要に応じて麻酔を使うこともできるため、医師との相談を通して不安を軽減しましょう。
Step3:確定診断と進行度の説明
精密検査の後は、採取した組織や細胞の特徴を詳しく調べます。顕微鏡による病理診断で、がん細胞の有無や悪性度、組織型が明らかになります。子宮体がんと診断された場合は、MRI検査やCT検査で子宮内膜から周辺組織への浸潤範囲、リンパ節や他臓器への転移の有無を詳細に評価したうえで治療方針や追加検査の検討が行われます。
確定診断の段階では婦人科医や病理専門医が連携し、画像診断や細胞診の所見を総合的に判断します。がんの種類や広がり、患者の年齢や健康状態に応じて、最適な治療方法が選択されます。早期の場合は子宮温存治療や負担の少ない手術が検討されることもありますが、進行度が高い場合は子宮全摘出や化学療法が選択されることがあります。
なぜ早期発見が重要なのか?
早期発見は子宮体がんの治療成績と生存率を大きく左右するため重要です。癌が子宮内部にとどまった状態で発見できれば80%以上の方が良好な経過が得られるとされています。また、早期発見できた方が負担の少ない治療の選択も可能となります。
進行度(ステージ)で大きく変わる5年生存率
子宮体がんは進行度によって5年生存率が大きく変わります。例えば、早期ステージ(ステージⅠ)で発見された場合、主な治療は手術であり、5年生存率は約90%と高い数値です。一方、進行してステージⅢやⅣとなると、他臓器やリンパ節への転移の可能性が増し、治療も手術、化学療法、放射線療法の併用が必要となります。5年生存率はステージⅢでは60%台となるものの、ステージⅣでは約21%にまで低下します。
早期発見ができれば、身体への負担が少ない治療を選べるだけでなく、将来の生活の質も高く維持できることにつながります。自覚症状があまりなくても、定期的な健診や精密検査を受けることが長期的な健康維持のカギです。
早期なら子宮温存も可能に? 身体への負担が少ない治療とは
子宮体がんが早期に発見された場合、今後の妊娠を考えている方は子宮温存治療を選択できるかもしれません。例えば、病変が子宮内膜に限局している初期の場合は、身体への負担が少ない子宮内膜切除術や薬物療法によるホルモン治療などが検討されます。これにより妊娠希望がある若年女性も子宮を残しながらの治癒が見込めます。もちろん、進行度や組織型によっては追加の治療も必要ですが、早期発見によるメリットは非常に大きいです。医師の判断を受けながら、一人ひとりの状況に合わせた治療プランが立てられます。
子宮体がんのリスク要因と予防法
子宮体がんのリスク要因や予防法を知ることで、日常生活から発症リスクを減らすことができます。
子宮体がんになりやすい人の特徴
子宮体がんには卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)という2つの女性ホルモンが深く関わっています。そのため、閉経後の女性、エストロゲン過剰曝露、月経不順などがある方は子宮体がんのリスクが高いとされています。
特に家族に婦人科がんの患者がいる方や、子宮内膜増殖症や多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の既往がある方も発症リスクが増加する傾向が高いです。また、肥満、糖尿病の方は、血中にインスリンの量が多くなる高インスリン血症という状態になっており、これがエストロゲンの分泌を促進するため、子宮体がんになりやすいと考えられています。
さらに、高血圧などの生活習慣病によっても左右されるので、自分や家族の健康状態を把握し、定期的な婦人科健診を受けることが予防につながります。特に年齢が40歳を超えた女性は発症リスクが高まるため注意が必要です。

日常生活での予防策
子宮体がんは、現在のところ特有の予防法は確立されていません。
しかし、子宮体がんだけでなく、がん全体の予防法として生活習慣の見直しが大切です。バランスの良い食事や適度な運動、肥満の予防がリスクの低減につながります。特に野菜や食物繊維の摂取量を増やし、動物性脂肪の過剰な摂取を避けることが肝要です。
定期的な婦人科健診やエコー検査の受診によって、早期に子宮の異常に気づくことも重要です。また、月経不順や不正性器出血、下腹部痛などの症状がある場合は速やかに医師に相談しましょう。ストレス管理や睡眠の質の向上も身体の免疫力を保つことに役立ちます。
まとめ:不安な症状があれば、まずは婦人科でエコー検査の相談を
不正性器出血などの前兆がある場合は、迷わず婦人科医やクリニックで相談してみることが大切です。定期的な婦人科健診やエコー検査は健康管理の基本となり、安心した生活につながります。今日から健康への意識を高め、体調の小さな変化にも気づけるよう心がけてください。
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東北大学大学院医学系研究科博士課程
2019年浜松医科大学医学部医学科卒 産婦人科専門医取得後、周産期医学分野を専攻する大学院生として診療と研究に従事。 クリニックなどの一次施設から、産科専門病院や3次救急病院まで幅広い診療分野で診療を行ってきました。