2023/11/24 ( 公開日 : 2022/04/26 )
睡眠と脳の関係とは? 視床下部や脳幹の働きについても解説いたします!
なぜ脳には睡眠が必要なの?
「睡眠中には脳は活動をしていない」という印象を持っている方はいないでしょうか?
しかし、実際は脳にとって睡眠はただの休止状態ではなくて、不具合を修復して整備する重要な活動です。
脳は睡眠中も活動を停止しているわけではありません。脳は動き続けており、レム睡眠とノンレム睡眠が交互に行われています。
・レム睡眠
脳が活発に動いていて記憶の整理や定着などを行っている。
REMはRapid Eye Movement(急速眼球運動)のこと。
・ノンレム睡眠
REMがない(non-REM)睡眠で、深い睡眠状態のこと。
大脳は休息しているため、脳や体の疲労回復に必要な睡眠と言われている。
私たちは日中さまざまな活動をしますが、脳にとってはあまりに情報量が膨大だと整理することができません。
そこで学習した記憶を整理し、必要なものは残し、不必要なものは捨てるという処理を毎晩行っています。
それ以外にも、日中の作業効率を回復させることも睡眠が脳に与える重要な効果のひとつです。
回復効果があるのは、アミロイドβと呼ばれる代謝老廃物が睡眠中に取り除かれるためです。
視床下部や脳幹はどんな風に働く?
脳の中にはさまざまな部位があり、その部位が情報を伝達しあうことで、私たちは体を睡眠状態にしたり、また覚醒状態にしたりしています。
その睡眠と覚醒の移行は、私たちが幼い頃からあまりにも自然に行われているため、自分自身でその仕組みを理解することはなかったかもしれません。
今回はいくつか脳の部位を取り上げて、睡眠とどのように関わっているのかを説明いたします。
視床下部
視床下部は脳の奥底にあるピーナッツ程度の組織で、睡眠と覚醒に影響を与えています。
ヒトの場合は脳重量の0.3%程度ですが、重要な機能を担っています。
中でも視床下部のさらに深い脳底にある「視交叉上核(suprachiasmatic nucleus : SCN)」は、両目の網膜から大脳に伸びる視神経が交わる場所のすこし上にあり、約45,000個の神経細胞が集まって神経核をつくっています。
この視交叉上核が、体内時計のリズムを作り出しています。
脳幹
脳幹は中枢神経系を構成する部位が集まっている器官です。
大脳に近い側から中脳、橋、延髄から構成されています。
この脳幹は視床下部と通信をすることで覚醒と睡眠間の移行を制御します。
視床下部と脳幹にある睡眠促進細胞(sleep-promoting cells)は、GABA(γ-アミノ酪酸:Gamma-AminoButyric Acid)と呼ばれる脳化学物質を生成して、覚醒中心の活動を低下させるように作用するのです。
また脳幹はレム睡眠時にも重要な役割をします。
体の姿勢や手足の動きに必要な筋肉をリラックスさせるシグナルを送ることで、睡眠中に夢を見ても体が動かないようにしています。
視床
視床は感覚器から大脳皮質への情報を中継する機能を持っています。睡眠時には静まった状態になり、外的世界から体を切り離します。
しかし、レム睡眠中には視床は活発になり、夢で見ているイメージ・音・その他の感覚を皮質に伝えています。
松果体
脳のふたつの半球に挟まれる位置にある松果体は、視交叉上核からのシグナルを受信してメラトニンというホルモンを作ります。
視交叉上核は視神経と深い関係にありますから、光が途絶えるなどすると、メラトニンの分泌を増やすシグナルを送るわけですね。
日中と夜間ではおよそ10倍ほど、メラトニンの分泌量に差があると言われています。
もし自然光で目覚めと睡眠をうまく調整できない場合には、メラトニンを摂取することでうまく入眠できるようになります。
また食材の中にも、摂取することで結果としてメラトニンが増える食材もあります。
【メラトニンが増える食材】
- くるみ
- バナナ
- 乳製品
- 大豆製品
- ゴマ など
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