ヒアルロン酸注射で膝の痛みは改善できる? 効果・注意点・治療法を詳しく解説

2026/01/23
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膝の痛みにより「歩くのがつらい」「階段の上り下りが苦痛」と感じていませんか? 年齢を重ねるにつれて膝の関節はすり減りやすくなり、痛みや腫れを引き起こすことがあります。そのような膝の不調に対する治療法の1つにヒアルロン酸注射があります。

本記事では以下の点を中心に解説します。

●膝のヒアルロン酸注射とは?
●ヒアルロン酸注射を膝に行うときの注意点
●ヒアルロン酸注射を行っても症状が続くときの対処法

ぜひ最後までお読みください。
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目次

膝のヒアルロン酸注射とは?

 

ヒアルロン酸注射は、膝関節内にヒアルロン酸を直接注入し、関節の動きをスムーズにする治療法です。

ヒアルロン酸の作用と期待できる効果

ヒアルロン酸は、関節内で潤滑油のような働きを担い、骨と軟骨の摩擦を抑える役割を果たしています。注射によってヒアルロン酸を補うことで、関節液の粘りや弾力が回復し、動きのスムーズさや衝撃吸収機能を高めることが期待できます。

また、加齢や摩耗(まもう)によって減少したヒアルロン酸を補充することで、関節の保護作用を維持することができ、炎症や痛みの軽減にもつながります。こうした効果により、日常生活での歩行や立ち座りなどの動作がより快適になることが期待されます。

ヒアルロン酸注射の目的

ヒアルロン酸注射の目的は、関節内のヒアルロン酸を補い、膝の動きをなめらかに保つことにあります。関節面の摩擦を和らげることで炎症や痛みを軽減し、歩行や階段の昇り降りなど、日常動作をしやすくする効果が期待されます。

また、運動療法やリハビリと組み合わせることで、変形性膝関節症などの進行を抑える治療としても用いられています。痛みを和らげるだけでなく、膝の機能を守りながら生活の質を維持することが、ヒアルロン酸注射の大きな目的です。

ヒアルロン酸注射の回数と持続期間の目安

ヒアルロン酸注射は、治療初期に週1回程度のペースで数回行うケースが多いです。膝の状態が落ち着いてきたら、2〜4週ごとの継続投与に切り替え、関節内の環境を安定させていきます。

効果は注射後数日から数週間続くとされ、痛みや炎症の再発を防ぐことが期待されます。ただし、変形が進行したケースでは効果が弱まることもあり、医師の判断でほかの治療法へ移行する場合もあります。

ヒアルロン酸注射が用いられる主な疾患

 

ヒアルロン酸注射は、膝の関節痛をはじめとした関節疾患に広く用いられる保存療法です。以下では、ヒアルロン酸が用いられる主な疾患について詳しく解説します。

変形性膝関節症

変形性膝関節症は、加齢や膝への長年の負担によって軟骨がすり減ることで炎症や痛みが生じる慢性的な関節疾患です。軟骨が摩耗すると関節液中のヒアルロン酸が減少し、関節の動きが悪くなったり、骨の端に突起(骨棘(こつきょく))が形成されたりすることがあります。

その結果、“膝に水がたまる”といった症状を伴うことも少なくありません。ヒアルロン酸注射を行うことで関節の潤滑性が改善し、痛みを緩和したり、病気の進行を抑えたりする効果が期待されます。

半月板損傷

半月板損傷は、ジャンプや急な方向転換といった膝に強い負担がかかる動作によって起こることが多く、靱帯(じんたい)損傷を併発する場合もあります。損傷部位に炎症が生じると、痛みや腫れ、動かしにくさがあらわれます。

こうした症状を和らげるために、ヒアルロン酸注射が行われます。短時間で行えるうえ、副作用が少ない保存的治療としても用いられています。

ヒアルロン酸注射を膝に行うときの注意点

 

ヒアルロン酸注射は膝の痛みを一時的に緩和しますが、繰り返すうちに効果が弱まることがあります。関節の損傷を治すものではないため、誤った使い方はかえって症状を悪化させることもあります。
以下では、ヒアルロン酸注射を膝に行うときの注意点について詳しく解説します。

継続によって変化の現れ方に個人差が出ることもある

ヒアルロン酸注射を継続して受けることで、痛みの感じ方や動かしやすさに変化がみられる場合がありますが、そのあらわれ方には個人差があります。また、関節の状態や軟骨のすり減り具合によって、注射だけでは十分な改善が得られないこともあります。

症状の変化を感じた際は、再生医療や手術など、ほかの治療方法について医師と相談しながら検討していくことが大切です。

膝へのヒアルロン酸注射で根本的な治療はできない

ヒアルロン酸注射は、膝の痛みを軽減するための対症療法であり、根本的な治療ではありません。注射によって一時的に炎症や摩擦が和らぎますが、軟骨の損傷や関節の変形そのものを治す効果は期待できないといわれています。

痛みが軽くなることで膝を使いすぎてしまい、かえって関節の悪化を早めるリスクもあります。また、感染や神経への影響などの副作用が起こる場合もあるため、長期的に継続する際は医師と相談しながら慎重に進めることが大切です。

国際的な基準ではヒアルロン酸注射の推奨度は低い

海外の学会の多くは、ヒアルロン酸注射に対する評価は慎重な傾向にあります。
米国整形外科学会(AAOS)や国際変形性関節症学会(OARSI)などの指針では、関節症に対する有効性について十分な根拠が得られていないとして、明確な推奨は行われていません。

膝関節内の感染やアレルギーなどのリスクがある

ヒアルロン酸注射は、安全に配慮した治療とされていますが、膝関節内に注射を行う以上、感染やアレルギー反応などのリスクがわずかながら伴います。特に、注射回数が多い場合には、針を通じて炎症を起こす可能性が高まります。

医療機関では衛生管理が徹底されていますが、注射後に腫れや痛み、発熱などの異変を感じた場合は、医師への早めの相談が大切です。

ヒアルロン酸注射を行っても症状が続くときの対処法

 

ヒアルロン酸注射が用いられる主な疾患や、ヒアルロン酸注射を膝に行うときの注意点について解説してきましたが、ここからはヒアルロン酸注射を行っても症状が続くときの対処法について詳しく解説します。

ステロイド注射

ステロイド注射は、膝関節の炎症が強い場合に検討される治療方法の1つです。ヒアルロン酸注射と比べて、短期間で炎症や痛みを軽減することを目的として行われることがあります。症状に応じてリハビリと併用される場合もありますが、頻繁に使用すると副作用のリスクが高まるおそれがあるため、医師の判断のもとで慎重に回数や間隔を調整することが大切です。

人工膝関節置換術

人工膝関節置換術は、保存的な治療で十分な改善が得られない場合に選択されることが多い外科的治療です。損傷した関節の一部を人工関節に置き換えることで、痛みの軽減や関節機能の回復を目指します。

手術後は入院やリハビリを通じて日常生活への復帰を目指しますが、身体への負担や回復までの期間も考慮することが望ましいです。

再生医療

再生医療は、自身の血液や細胞を活用して、傷ついた軟骨や靭帯などの修復を目指す治療法です。代表的なものに、PRP療法(多血小板血漿(たけっしょうばんけっしょう)注射)や幹細胞(かんさいぼう)を用いた治療があり、入院を必要とせず外来で受けられるケースもあります。手術を避けたい方に検討されることが多く、身体への負担が少ない点が特徴です。

まとめ

 

ここまでヒアルロン酸注射による膝の痛みの改善についてお伝えしてきました。要点をまとめると以下のとおりです。

  • 膝のヒアルロン酸注射とは、膝関節内にヒアルロン酸を直接注入し、関節の動きをスムーズにする治療法のこと。注射によってヒアルロン酸を補うことで、関節液の粘りや弾力が回復し、動きのスムーズさや衝撃吸収機能を高めることが期待できる
  • ヒアルロン酸注射を膝に行うときの注意点としては、継続によって変化のあらわれ方に個人差が出ることもあること、膝へのヒアルロン酸注射で根本的な治療はできないこと、国際的な基準ではヒアルロン酸注射の推奨度は低いこと、膝関節内の感染やアレルギーなどのリスクがあることが挙げられる
  • ヒアルロン酸注射を行っても症状が続くときの対処法としては、ステロイド注射、人工膝関節置換術、再生医療が挙げられる

 

ヒアルロン酸注射は、膝の痛みを和らげる治療の1つですが、症状や関節の状態によって合う人と合わない人がいます。治療を続けても痛みが残る場合は、ほかの方法も含めて医師と相談しながら、より自身に合った治療を検討していくことが大切です。

【参考文献】
https://www.nms.ac.jp/hosp/section/orthopedics/guide/_11580.html
https://hosp.juntendo.ac.jp/clinic/department/seikei/disease/disease01.html

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監修医 澤田 樹佳 (さわだ・きよし)
さわだクリニック院長
医学博士
金沢大学大学院卒業

自分が患者様ならどうして欲しいか、を考え日々の診療を行っています。
医療的な問題ならどんなことでもサポートしてまいります。

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